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呼吸器学会総会2012:呼吸器科医師の勤務実態

呼吸器学会総会での特別企画での講演。

山谷睦雄医師
呼吸器科勤務医の勤務環境の現状と課題


目的:
 日本呼吸器学会会員や認定施設・関連施設の施設長に対する
 勤務環境に関する調査をおこない、勤務の現状について報告する。

結果:
 長時間勤務の問題について、平均夜間勤務20時間/週 以上
 と答えたのは全体の36%で、土日祝日勤務10時間/週 以上は
 15%、日直・当直2回/週 以上は16%であった。

 夜間勤務と休日勤務の半分以上の時間は無報酬で、
 拘束時間の8割、夜間・休日の患者死亡の看取りの大半は
 無報酬であった。

by otowelt | 2012-04-23 23:54 | 呼吸器その他

イマチニブ(グリベック)が肺動脈性肺高血圧症に対し承認申請

実臨床でボセンタンやベラプロストを内服している患者さんは
そこそこ目にするが、レバチオやアドシルカを用いているケースは
まだあまり見たことがない。
(ちなみにベラプロストは日本ではそれなりにメジャーだが
海外ではあまり使われておらず、ACCPも推奨まではしていない)

PDGF経路系の薬剤ということでイマチニブに注目が集まっているが、
ノバルティスファーマは2012年4月17日、イマチニブ(グリベック)について
肺動脈性肺高血圧症(PAH)の効能追加に関する承認申請を行った。

これはIMPRES試験の結果に基づくものであり、
2011年ERSでも話題を呼んだ。

ERS2011:イマチニブはPAH患者の運動耐容能を有意に改善

プライマリエンドポイントである24週間後の6分間歩行距離(6MWD)が、
イマチニブ群ではプラセボに比べて平均31.8m増加した(P=0.002)。
また、肺動脈圧、心拍出量および肺血管抵抗も有意に改善(all for P<0.001)。
ただし、セカンダリエンドポイントである、PAHによる入院・死亡、機能悪化、
6MWDの15%低下までの期間についてはプラセボとの有意差はなかった
(P=0.563)。

by otowelt | 2012-04-20 11:45 | 呼吸器その他

肺塞栓治療におけるrivaroxabanは標準治療に非劣性

e0156318_2119477.jpgThe EINSTEIN–PE Investigators
Oral Rivaroxaban for the Treatment of Symptomatic Pulmonary Embolism
N Engl J Med 2012; 366:1287-1297



背景:
 経口のXa因子阻害薬rivaroxabanの
 fixed-dose regimenは深部静脈血栓症
 治療において、モニタリングを必要とせず、
 標準的な抗凝固療法と同等の効果があるとされている。
 そのため、肺塞栓症の治療が簡略化される可能性がある。

方法:
 深部静脈血栓症の有無にかかわらず、急性肺塞栓患者4832人を
 対象としたランダム化非盲検event-driven非劣性試験において
 rivaroxabanを投与する群(15mg1日2回を3週間、その後
 20mg1日1回)と、エノキサパリン投与しその後ビタミンK拮抗薬を
 投与する標準療法群を、3、6、12ヶ月間比較。効果プライマリアウトカムは
 症候性の肺塞栓症の再発とした。安全性プライマリアウトカムは、
 出血とした。

結果:
 効果プライマリアウトカムについては、rivaroxaban群は
 標準療法群に対して非劣性で(noninferiority margin 2.0、P=0.003)、
 イベントはrivaroxaban群50件(2.1%)、標準療法群44件(1.8%)
 (HR1.12,95%CI 0.75~1.68)。安全性プライマリアウトカムは
 rivaroxaban群10.3%と標準療法群11.4%で確認
 (HR0.90,95% CI 0.76~1.07,P=0.23)。出血は、
 rivaroxaban群の26人(1.1%)と標準療法52人(2.2%)でみられた
 (HR0.49,95% CI 0.31~0.79,P=0.003)。

結論:
 肺塞栓症の初期ないし長期的治療において、rivaroxabanによる
 固定用量のレジメンは、標準療法に対して非劣性である。

by otowelt | 2012-04-07 21:22 | 呼吸器その他

慢性高山病における運動耐容能低下は肺間質への水分集積が関与

e0156318_1454365.jpgボリビアにおける慢性高山病のスタディ。
主にエコーで評価したものなので、
仮説が確実性かどうかは議論の余地がある。
しかしながら、エビデンス未開拓の領域なので
貴重な報告だと思う。


Lorenza Pratali, et al.
Exercise Induces Rapid Interstitial Lung Water Accumulation in Patients With Chronic Mountain Sickness
CHEST 2012; 141(4):953–958


背景:
 慢性高山病: chronic mountain sickness (CMS)は
 世界の山岳部における主要な健康問題である。
 進行した状態では、運動耐容能の低下はしばしば観察されるが
 その基礎となるメカニズムはまだよくわかっていない。
 最近のエビデンスでは、運動誘発性の肺高血圧はCMSにおいて
 顕著に表現されやすい。われわれは、この問題が
 肺への水分の集積をきたし、ひいては運動時低酸素血症を
 悪化させるかもしれないと仮説をたてた。

患者:
 25人のボリビアのCMS男性患者と26人のラパスとその周辺
 (3,600-4,000 m)で生まれ育った健常人。

方法:
 われわれは、CMS15人、健常人20人において
 胸部超音波検査による血管外の肺水分の観察、肺動脈圧、左室機能を
 安静時および標高3600m運動時に評価することができた。
※肺間質への水分集積は、ULC(untrasound lung comet)で観察した。
※運動はエルゴメーター(Ergoline 900EL; Ergoline Company)を使用


結果:
 CMS15人中14人において、高い標高での運動は
 急速に肺間質に水分の集積をきたし、既存の低酸素血症を
 さらに悪化させた。それに対して健常人の高地運動は
 20人中16人において水分の集積が観察されず( P=.002 vs CMS)、
 動脈血酸素化の変化もみられなかった。CMS患者における
 健常人に比べて、CMS患者では
 運動誘発性の肺間質水分集積と低酸素血症は
 肺動脈圧に2倍以上の差をつけて観察されたた。( P< .001)。
 しかし、左室機能障害ははっきりとしなかった。
 CMS患者における酸素吸入は運動誘発性肺高血圧を
 劇的に改善させ( P< .01)、肺間質の水分集積も改善させた( P< .05)。
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結論:
 われわれの知見によれば、この研究は
 高地における運動が肺間質への水分集積と低酸素血症をきたす
 という最初の直接的なエビデンスとなると考えている。

by otowelt | 2012-04-04 06:53 | 呼吸器その他

黒色胸水の鑑別疾患:Aspergillus niger、Rhizopus oryzea、悪性腫瘍、出血、膵胸腔瘻

ふと思い出して復習をしてみたのだが、
黒色胸水の鑑別は以下に挙げた通りだと考えられている。

●黒色胸水(black pleural effusion)の鑑別
・悪性黒色腫(melanoma)の胸腔内播種
  CMAJ MAY 18 2010 182(8)
  AJR Am J Roentgenol 1981;137:293-8.
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・骨髄移植後のzygomycosis感染症(Rhizopus oryzaeが報告)
  Med Mycol 2006;44:75-8.
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・Aspergillus nigerによる胸膜炎
 Am Rev Respira Dis 1984; 129:501-502


CHESTから、黒色胸水の原因として
”膵胸腔瘻pancreaticopleural fistula”を報告している論文があった。

Takashi Koide, et al.
A 54-Year-Old Man With an Uncommon Cause of Left Pleural Effusion
CHEST February 2012 vol. 141 no. 2 560-563


日本の杏林大学からの報告であり、非常に面白い。
膵炎により膵胸腔交通ができ、これにより逸脱酵素が
胸水内にみられるようになる。食道穿孔や悪性腫瘍、急性膵炎で
みられる胸水中アミラーゼよりも症例報告ではかなり高値となっており、
1000IU/Lを超える場合にはかなり有用な所見となる。
胸水中において間接ビリルビンが高く(6.5 mg/dL)、赤血球の存在、
鉄の存在(223 m g/dL)はアミラーゼが豊富な胸水による溶血による
出血を反映しており、これが黒色胸水の原因となったと
Discussionで述べられている。

●クリニカルパール
1. 黒色胸水は感染(Aspergillus niger,Rhizopus oryzea)や、
  悪性腫瘍、あるいは出血によって起こり得る。
2. アルコール乱用患者あるいは慢性膵炎患者において
  通常では説明できない胸水があった場合、貯留側に
  関係なく、膵胸腔瘻を疑うべきである。
3. 膵偽嚢胞の存在は膵胸腔瘻の診断を示唆するものであり
  胸水穿刺において胸水中アミラーゼが1000IU/Lを超える
  場合には確定的である。
4. 膵胸腔胸水の初期症状は胸部に関連したものであり
  腹部症状はあまり高頻度にはみられない。
5. 前方への膵偽嚢胞の破裂は少量腹水を引き起こしうるが
  後方への破裂は大量胸水(典型的には左側)を起こしうる。

by otowelt | 2012-03-14 06:45 | 呼吸器その他

気胸の診断における超音波のメタアナリシス

気胸におけるエコーについて知っておかねばならないサインは
以下の通りである。

1.lung slidingの消失
呼吸運動に伴う胸膜の動きを診ているもので、
正常であれば横にスライドしている像が確認できる。
気胸があるとlung slidingが消失する。
アニメーション動画などで見ないとわからないと思う。
YOUTUBEにたくさん転がっているので確認すべし。

2.commet tail artifactの消失
正常では胸膜から下に向かって伸びるエコー上のアーチファクトが
確認できることがあるが、気胸ではこれが消失する。
コンソリデーション等がある場合、増強すると言われており
病的肺の診断にも用いられる。
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※B-line
comet tail artifactのことをB-lineとも呼ぶことがあるが
これは、B-lineが3本以上・間隔が7mm以内といった
密な所見のときに間質性の疾患(肺水腫)などを疑うと
いう場面で用いられる用語である。なお、皮下にできる
B-line likeのものは、E-lineと呼ぶ。これは皮下気腫を意味する。
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3.M-modeにおけるseashore sign(sandy pattern)の消失
M-modeでは肺実質は呼吸性変動でsandy patternになる。
これはあたかも波が打ち寄せる砂浜のように見えるため
seashore signとも呼ばれる。気胸の場合、
seashore signの特徴であるsandy patternが消失する。
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※A-line
A-lineは肺内にできるB-lineと直交する線のことで、
1.のsea shore signと平行にできる肺内のエコーシャドウ
のことである。正常でも観察されるが、lung slidingがあり
増強しているときは気管支喘息やCOPDなどを疑う。
lung slidingがないのに増強しているときは、気胸を疑う。

過去にエコーによる気胸診断についてはメタアナリシスを紹介した。
気胸診断において超音波は感度特異度ともに高い
今月のCHESTから、気胸診断のエコーのメタアナリシスがまた出ていた。
Discussionにも記載されていたが、このメタアナリシスは
多くが外傷救急における論文を引用したものなので、
基本的に仰臥位レントゲンとエコーの話であることに注意したい。
なお、出版バイアス等についてのDiscussionがされていない。

Khaled Alrajhi, et al.
Test Characteristics of Ultrasonography for the Detection of Pneumothorax
A Systematic Review and Meta-analysis
CHEST 2012; 141(3):703–708


背景:
 気胸は潜在的に生命にかかわる病態である。CT検査は診断において標準的な
 位置づけであるが、胸部レントゲンは気胸の診断を除外する目的でも
 よく使われている。われわれは、臨床的に気胸と疑われ
 CTを使用したりあるいは脱気を行われた患者における
 エコーと仰臥位レントゲンの検査特性を比較した。

方法:
 われわれはMEDLINE、EMBASEの英語文献を検索した。
 2人の独立した研究者が適格論文をレビューするために
 標準化をおこなった。抽出したデータの質評価は、診断精度研究質評価ツール
 (QUADAS)の判定基準に基づいて行われた。
 われわれはメタナアリシス実施前に
 試験選択においてκ係数による一致度を計算した。

結果:
 われわれは570の論文をレビューし、21をフルレビューとして選択した
 (κ, 0.89)。8つの論文(合計1048患者)が適格基準を満たした(κ, 0.81)。
 1つ以外の全てのスタディは、エコーを使用しており
 気胸の除外としてはlung slidingおよびcomet tailを使用していた。
 胸部画像所見はエコーをおこなわれた1048人中864人で有用であった。
 エコーは気胸に同定において90.0%の感度(95% CI, 86.5-93.9)と
 98.2%の特異度(95% CI, 97.0-99.0)であった。
 胸部画像は50.2%の感度(95% CI, 43.5-57.0)と
 99.4%の特異度(95% CI, 98.3-99.8)であった。
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結論:
 気胸同定のためのエコーの使用はきわめてすぐれており
 仰臥位レントゲンよりも有用である。 ベッドサイドで迅速に
 おこなえるエコーは簡便かつ有用な検査であることから
 このスタディは気胸の同定にエコーをルーチンに用いることを
 支持するものである。

by otowelt | 2012-03-07 06:24 | 呼吸器その他

臨床研修医が呼吸器内科を選ぶとき

新潟大学からの報告。
呼吸器内科医にとってはかなり興味深い論文だ。
Abstractに該当する部分のみ掲載する。

田中 淳一ら
良き呼吸器科指導医としての理想像の検討 ―研修医の専門領域選択因子のアンケート結果―
日呼吸誌 1(2),2012、107-113


要旨:
 臨床研修医が専門分野を選択する際、指導医の影響が大きいと
 報告されている。昨今、呼吸器科医師不足が指摘され、呼吸器科を
 志望する医師を増やすことは急務である。研修医が進路を選択する際に、
 何を重視するのかを明らかにし、またその過程における指導医の
 影響を評価する目的で、臨床研修医、若手呼吸器科医師に
 アンケート調査を行った。その結果、選択時に重視する点は、
 やりがい、医学的な興味に続き、良き指導医の存在であった。
 一方で、研修医1 年次と2 年次で、また研修医と若手呼吸器科医師で
 選択時に重視する点、理想の指導医像に差異が認められた。
 本調査を通して、多くの臨床研修医が呼吸器科を選択するためには、
 呼吸器科のやりがいを伝え、興味を喚起する努力をし、
 研修医の経験・志向に応じ指導の仕方を変化させ、そのうえで
 若手呼吸器科医が目指す全人的診療を行う「良医」を
 ロールモデルとして認識させることが必要であることが示唆された。

引用文献も興味深い内容だ。
・西尾智尋ら.臨床研修医が呼吸器内科を専門分野に選択するプロセスの質的研究. 日呼吸会誌 2009; 47: 462-6.
・山谷睦雄ら.わが国における呼吸器科勤務医の勤務環境の現状.日医師会誌2011; 139: 2383-87.

by otowelt | 2012-03-04 22:11 | 呼吸器その他

妊娠中のニコチンパッチによる禁煙療法

Tim Coleman et. al.
A Randomized Trial of Nicotine-Replacement Therapy Patches in Pregnancy
N Engl J Med 2012; 366:808-818


背景:
 ニコチン置換療法は禁煙において効果的とされており、妊娠中でも然りである。
 われわれは、ニコチンパッチ療法の妊娠中における安全性と効果において
 検証した。

方法および結果:
 イギリスの7病院において16~50歳の12~24週にある女性で
 タバコ5cigarettes/day以上を対象に登録した。
 その1050人において、521人をニコチン置換療法(15 mg per 16 hours)、
 529人をプラセボに割りつけた。出産までの禁煙率は
 ニコチン療法とプラセボで、それぞれ9.4%、7.6%。
 非補正ORは1.26(95%CI 0.82 to 1.96)。
 しかしながら、1ヶ月後の禁煙率は21.3% vs. 11.7%と高い。
 コンプライアンスは低く、ニコチンパッチ群ではわずか7.2%、
 コントロール群は2.8%。周産期有害事象は同等であった。

結論:
 ニコチンパッチは妊娠中において有意に効果がみられるものではないが
 周産期有害事象は同等であった。しかしながらコンプライアンスが低い。

by otowelt | 2012-03-01 05:34 | 呼吸器その他

SSRIは肺高血圧のリスクを減少させない

この間BMJから新生児肺高血圧症と妊婦のSSRIの報告があったが、
Helle Kieler, et al.
Selective serotonin reuptake inhibitors during pregnancy and risk of persistent pulmonary hypertension in the newborn: population based cohort study from the five Nordic countries
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.d8012


CHESTから成人のSSRIと肺高血圧の関連について論文が出ている。
本来肺高血圧のリスク軽減のためにおこなった試験だが、
肺高血圧のリスクが上昇したという報告。
この試験デザインでは疫学的なリスク上昇は断言できないので
結論は緩やかな発言にとどめている。

Irfan A. Dhalla, et al.
Selective Serotonin Reuptake Inhibitors and Pulmonary Arterial Hypertension
A Case-Control Study
CHEST 2012; 141(2):348–353


背景:
 動物ないしヒトの臨床試験において、選択的セロトニン再取り込み阻害薬
 (SSRIs)が、肺高血圧症の予防あるいは治療に有用かもしれないとされている。

方法:
 SSRIが肺高血圧のリスクを減らすという仮説を検証するため
 症例対照研究を実施。肺高血圧で薬剤治療を要する症例を登録。
 それぞれの症例に対して10のマッチコントロールを設定。
 SSRI曝露と非SSRI抗不安薬曝露を解析。
 肺高血圧で治療を要する症例は、レセプトから判断した。
 
結果:
 460の肺高血圧症例に対して4539人のコントロールを設定。
 72.6%が女性であり、平均年齢は65.3歳であった。
 citalopramの使用が最も多かった。
 われわれの仮説に反して、SSRIの使用と肺高血圧には
 多変量解析においてリスク関連性がみられた
 (adjusted OR, 1.55; 95% CI, 1.13-2.13)。

結論:
 SSRIは肺高血圧のリスクは減少させない。

by otowelt | 2012-02-08 05:14 | 呼吸器その他

ASVはCPAPと比較してCSA/CSRとBNPの改善をもたらす

呼吸器内科医であれば、最近ASVを使うことも増えてきただろう。
実はこのASV、あまり大きな臨床試験がないのが現状。
Pepperell JC, et al. A randomized controlled trial of adaptive ventilation for Cheyne-Stokes breathing in heart failure. Am J Respir Crit Care Med. 2003;168(9):1109-14.

・ASV
ASVは従来のBiPAPと同様にIPAPとEPAPを設定でき、バックアップ換気の回数も設定することができる。その際にIPAP の最大と最小を設定し直前の呼吸フローから計算し供給圧を自動的に変動させる人工呼吸器である。




CHESTのpublished online before printに
ASVの試験が掲載されていた。

Winfried J. Randerath, et al.
Long-term auto servo-ventilation or constant positive pressure in heart failure and co-existing central with obstructive sleep apnea
Chest Published online before print January 26, 2012, doi: 10.1378/chest.11-2089


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、
 チェーンストークス呼吸(CSR)は心不全患者でよくみられる。
 持続的陽圧呼吸(CPAP)はCSA/CSRへの臨床的アウトカム改善効果
 がある。Auto Servo-Ventilation (ASV)の効果は
 心不全患者におけるCSA/CSRを抑制するとされているが、
 OSAとCSA/CSR合併例に対する試験はほとんどない。
 
目的:
 心不全患者で睡眠障害呼吸を合併した患者に対する
 ASVとCPAPの効果をランダム化対照試験によって
 呼吸障害を軽減し、心パラメータを改善するか調べる。

方法:
 両群ともBiPAP autoSV®, Respironics, USAを12ヶ月以上使用。
 70患者(男性63人、66.3±9.1歳, BMI 31.3±6.0 kg/m2)が
 OSAとCSA/CSRの合併、高血圧、冠動脈疾患ないし心筋症とNYHA II-IIIを
 有していた。ポリソムノグラフィ、BNP、スパイロメトリー、心エコーが
 ベースライン、3ヵ月後、12ヵ月後で検査された。

結果:
 どちらのモードの治療も有意に呼吸障害、酸素飽和度の低下、中途覚醒を
 改善した。CPAPと比較してASVはthe central AHIを有意に改善
 (ベースラインCPAP 21.8±11.7,ASV 23.1±13.2,
 12ヶ月CPAP 10.7±8.7, ASV 6.1±7.8, p<0.05)、また、BNPレベルも
 改善(ベースラインCPAP 686.7±978.7ng/ml, ASV 537.3±891.8,
 12ヶ月CPAP 847.3±1848.1, ASV 230.4±297.4, p<0.05)。
 運動耐容能と心エコーパラメータには両群とも差はみられなかった。

結論:
 ASVはCPAPと比較してCSA/CSRとBNPの改善をもたらす。

by otowelt | 2012-01-27 06:18 | 呼吸器その他