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ASCO 2010速報:ペメトレキセド+カルボプラチンもNSCLCファーストラインとして妥当

ASCO 2010速報:ペメトレキセド+カルボプラチンもNSCLCファーストラインとして妥当_e0156318_12371076.jpgASCO 2010速報:ペメトレキセド+カルボプラチンもNSCLCファーストラインとして妥当_e0156318_2233668.jpg



進行NSCLCに、ペメトレキセド+シスプラチン併用に比べて、
ペメトレキセド+カルボプラチンもファーストラインとして有効であることが
ランダム化phaseII試験で明らかになったことがASCO2010で発表された。

Randomized phase II study of pemetrexed in combination with cisplatin or carboplatin as first-line chemotherapy in advanced non-small cell lung cancer

背景:
 non-SqのNSCLCにおいて、ペメトレキセド+シスプラチンはファーストライン
 として行われるが、シスプラチンによる治療が難しい場合
 カルボプラチンが代用できる可能性があるが、そのエビデンスははっきりしていない。

方法:
 多施設共同ランダム化phaseII試験として、stage IIIb/IV NSCLCを対象に
 ペメトレキセド+シスプラチンとペメトレキセド+カルボプラチンが検討された。

結果:
 133人が登録され、130人が治療を受けた。
 ペメトレキセド(500mg/m2)+シスプラチン(75mg/m2)、
 ペメトレキセド(500mg/m2)+カルボプラチン(AUC6)はそれぞれ3週間ごとに
 投与し、合計6サイクル行った。non-Sqの比率は前者65人が81.5%(53人)、
 後者65人が80%(52人)とほぼ同じcharacteristicsだった。
 プライマリエンドポイントである6ヵ月PFSは、ペメトレキセド+シスプラチン群が
 52.8%(95%CI40.3-65.3)で、ぺメトレキセド+カルボプラチン群は
 39.3%(95%CI27.8-50.8)と、前者のほうがPFSは高かった。
 組織別では、Sqの6ヵ月PFSはそれぞれ34.9%、42%、non-Sqでは57.6%、
 38.5%であった。OS中央値はペメトレキセド+シスプラチン群が11.7ヵ月、
 ペメトレキセド+カルボプラチン群が8.9ヵ月、Sqではそれぞれ7.4ヵ月、
 9.8ヵ月だが、non-Sqでは11.9ヵ月、8.5ヵ月。RRは32.3%、20%だった。
 グレード3/4の有害事象が認められた患者は同等だった。
 血小板減少などカルボプラチンに多い傾向がみられたのは予想通りであった。

結論:
 両レジメンとも有効性は確認された。
 シスプラチンが投与できない患者にはカルボプラチンを使用できると考えてよい。
 しかしながら、survivalにやや差が出ることは考慮すべき点である。

by otowelt | 2010-06-08 21:33 | 肺癌・その他腫瘍

ASCO 2010速報:EGFR変異のあるNSCLCにBIBW2992は有用

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LUX-Lung2試験結果がASCO2010で発表された。
BIBW 2992は、EGFRとHER2の受容体型チロシンキナーゼに
不可逆的に結合する初の経口抗癌剤であり、呼吸器内科医の間でも話題である。

BIBW2992のおさらい
Tovok(BIBW2992)、PF-00299804

A phase II study of BIBW 2992 in patients with adenocarcinoma of the lung and activating EGFR mutations (LUX-Lung 2).

背景および方法:
 LUX-Lung 2試験は、初回治療を受けた、stage IIIB/IVのNSCLC患者を
 対象にしている。1日1回50m or 40mg投与で開始し、有害事象の度合いで
 40mg~20mgまで減量可能とした。プライマリエンドポイントはORR、
 セカンダリエンドポイントはPFSとした。

結果:
 登録患者は台湾350人、アメリカ111人の計461人で、うちEGFR変異が
 あり、BIBW 2992を投与されたのは台湾104人、アメリカ25人の
 計129人(男性54人、女性75人、平均61歳)。ファーストライン治療が
 61人、セカンドライン治療が68人だった。ORRは60%、DCRは86%だった。
 PFS中央値は14ヵ月、OS中央値は24ヵ月だった。PFS中央値は、ファースト
 ライン治療の患者で14.7ヵ月、セカンドライン治療の患者で11.8ヵ月だった。 
 毒性プロファイルは、下痢が50mg投与で93.9%、40mg投与で96.7%と
 多く、Grade3の下痢は50mg投与で21.2%、40mg投与で6.7%だった。
 皮膚障害が50mg投与で91.9%、40mg投与で90.0%で、Grade3の
 皮膚障害は50mg投与で25.3%、40mg投与で6.7%だった。

結論:
 ファーストライン、セカンドラインともにORR,、DCR、PFSにおいて
 高い効果が示された。有害事象は他のEGFR-TKIと同等と考えられる。

by otowelt | 2010-06-08 15:04 | 肺癌・その他腫瘍

ASCO 2010速報:高齢NSCLCには単剤抗癌剤よりCBDCA+PTXの方がOSが良い

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OSに差の出たphaseIII試験なので、今後の高齢者肺癌治療は
大きく変わることだろう。日本はどちらかといえば、年齢別で抗癌剤を
使い分ける歴史があり、欧米はPS別で抗癌剤を使い分ける歴史がある。
そのため、もともと年齢をそこまで重要視していなかった
oncologistにとってはたいした試験ではないかもしれないが…

Paclitaxel and carboplatin combo increases survival in advanced lung cancer in elderly

70歳以上の高齢者の進行NSCLCにおける、パクリタキセルと
カルボプラチンの併用と、単剤使用の多施設共同比較phaseIII試験が
おこなわれ、結果がASCO2010で発表された。

高齢者は基本的に白金製剤を用いない治療を行う。
しかしながら、この結果は高齢者化学療法の根底を変えるものである。

この臨床試験は、2005年から2009年にかけてフランスの62施設で施行。
70~89歳のNSCLC患者520人で、カルボプラチン+パクリタキセル群と
単剤化学療法(GEMあるいはVNB)に割り付けた。
この試験は、明らかに前者の併用群の方がOSがよかったため早期に試験終了
となった。(10.4ヵ月 VS 6.2ヵ月) また、PFSも6.3ヵ月 VS 3.2ヵ月と
2倍の差がみられた。毒性プロファイルも問題なかったが、好中球減少症が
多かった。(47.8% vs. 12.2%)

by otowelt | 2010-06-08 12:29 | 肺癌・その他腫瘍

ASCO 2010速報:セレンは肺癌発症を予防しない

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ASCO 2010速報:セレンは肺癌発症を予防しない_e0156318_2263230.jpgSelenium Shows No Decrease in Risk of Second Tumors for Patients with Resected NSCLC

1996年にLarry CらがセレンがNSCLCにおいて予防的効果を
持っていると発表した。
        JAMA. 1996;276:1957-63

ECOGの試験結果から、セレン(Se:Selenium)は肺癌の再発、二次原発
の両方に、進行リスクを軽減する効果がないことがASCO2010で報告された。

2000年~2009年に国際phaseIII試験を実施。
被験者は切除術を受けたstageⅠNSCLCのうち術後6ヶ月間再発のない1,522例。
200μgのSeleniumまたはplaceboをランダムに配布され、服用。
試験結果は、PFSがSeleniumよりもplaceboにおいて優れていた。
再発なしの5年生存率は、placebo78%、Selenium72%、
肺癌もしくは全種類の癌の初年度の二次原発腫瘍発生率は、
それぞれplaceboで1.36%、3.66%、Seleniumで1.91%/4.11%であった。

セレンにはがんの化学予防薬としての効果は認められないことが、
大規模調査において明らかとなった。

by otowelt | 2010-06-08 11:58 | 肺癌・その他腫瘍

ASCO 2010速報:SCLC患者へのpicoplatin+BSC

ASCO 2010速報:SCLC患者へのpicoplatin+BSC_e0156318_12371076.jpg


小細胞肺癌におけるpicoplatinについてはご存知の人も多い。以前取り上げた。
picoplatinはプラチナ無効SCLC治療への選択肢

ASCO2010で、picoplatinの小細胞肺癌におけるSPEAR試験の報告がなされた。
OSに差がなかったことはわかっていたが、後治療についての考察が述べられた。

TOPIC-newsでも、”selected patients”には意味がある。
とのきわめて遠回しな言い方になってしまった発表となった。
Treatment with picoplatin, a new generation platinum compound designed to overcome platinum resistance, resulted in significant improvement in survival for selected patients with small cell lung cancer
(SCLC), but overall survival did not reach statistical significance.


Picoplatin Confers Nonsignificant Survival Benefit for Patients with SCLC

背景および方法:
 picoplatinは、神経毒性および腎毒性が一般的な白金製剤に比べて少ない。
 The Study of Picoplatin Efficacy after Relapse (SPEAR試験)において、
 401人の患者を登録、2:1にpicoplatin+BSC群とBSC群に割りつけた。
 268人がpicolplatin IV 150 mg/m2を受け、133人がBSCを受けた。
 プライマリエンドポイントはOSとした。全患者は、白金製剤による治療を
 受けたあと6か月以内に反応がないあるいは増悪した症例である。

結果:
 OS中央値はpicoplatin群で20.57週、BSC群で19.71週と差がみられなかった。
 (p = 0.0895)  ただ、このスタディでは2群にバランスがみられていなかった。
 後治療をおこなったのが、picoplatin群で27.6% (n = 194)、
 BSC群は40.6% (n = 68)であった。これらの患者においては、
 picoplatin群OS18.29週、BSC群OS14.43週だった。そのうち、45日以内の
 不応性および再発SCLC患者においては、OS中央値はpicoplatin群で21.29週、
 BSC群で18.43週と有意差がみられた。(p = 0.0173)  
 picoplatin有害事象は、血小板減少(44%)、貧血(29%)、好中球減少(18%)など。
ASCO 2010速報:SCLC患者へのpicoplatin+BSC_e0156318_1145103.jpg
結論:
 picoplatin+BSC VS BSCでは、プライマリエンドポイントのOSに差がなかった。
 これは後治療のバランスが2群でとれていなかったためかもしれない。
 後治療をおこなった患者において、45日以内の不応性および再発例では
 picoplatin群の患者の方がOSがよかった。

by otowelt | 2010-06-08 11:45 | 肺癌・その他腫瘍

ASCO 2010速報:ALK阻害剤PF-02341066(crizotinib)のRR/DCR

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anaplastic lymphoma kinase (ALK) 融合遺伝子のある
NSCLC患者を対象としたALK阻害剤PF-02341066(crizotinib)の
推奨量による臨床試験で、RRとDCRの結果が報告された。
ASCO2010で、Seoul National University College of Medicine
Yung-Jue Bang医師が発表。

以前の記事参照
EML4-ALK陽性肺腺癌
肺癌治療におけるALK阻害薬の可能性

NSCLC患者の約4%にこの遺伝子が存在し、EGFR-TKIに対する反応が乏しい
ことが知られている。
ALK阻害剤PF-02341066(crizotinib)はc-MET(HGFR)とALKの受容体
チロシンキナーゼの双方を阻害する経口剤で、NSCLC細胞のアポトーシスを誘導する。

phase I試験で、PF-02341066の推奨用量は250mgの1日2回投与とされた。
今回、ALK融合遺伝子を有するNSCLC患者82人(平均年齢51歳)を対象とし、
phase I試験で決定した推奨量による臨床試験を施行した。
79人(96%)が腺癌、34人(41%)が3回以上の前治療を受けていた。
非喫煙者と前喫煙者を合わせると81人(99%)にのぼった。
治療8週時に奏効を示した患者の割合に基づいて、DCRを算出した。
 
RRは57%、8週時のCRとPRとSDを合わせたDCRは87%だった。
PFSの中央値は未到達だが、追跡期間中央値で6.4ヶ月、6ヶ月時PFS率は72%。
有害事象も問題なかったと考えられた。
Grade3有害事象は、ALT上昇4人(5%)、AST上昇5人(6%)、
リンパ球減少症2人(2%)など。

PF-02341066の国際的phaseIII試験が開始されたこともあわせて報告されている。

by otowelt | 2010-06-08 06:40 | 肺癌・その他腫瘍

ASCO 2010速報:c-Met阻害薬ARQ197 phase II試験

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c-Met遺伝子の増幅がみられる非小細胞肺癌は予後不良とされ、
EGFR阻害剤への抵抗性が考えられている。開発されたARQ197は
c-Metによるシグナル伝達経路を阻害する新規薬剤として注目されており、
同剤以外にも複数のc-Met阻害剤の開発が進められているのが現状である。

第一三共のリリース。
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/003706.html

第一三共・ArQuleがphase II試験をおこなっている
c-Met阻害剤:ARQ197について、非小細胞肺癌を対象とした
phase II試験結果が2010年6月5日ASCOで発表された。
Texas Southwestern Medical Center の血液腫瘍学部門長
John H.Schiller博士が発表した。

Novel ARQ 197 Targeted Therapy Holds Promise for Patients with Locally Advanced or Metastatic Non-small Cell Lung Cancer

エルロチニブと併用してPFSが延長したはいいが、
エルロチニブ単独群との有意差にまでは至らなかったという報告であった。
こ試験は6国33施設で実施され、EGFR阻害剤による
治療経験がない、少なくとも1種類の化学療法レジメン施行後に進行した
非小細胞肺癌患者167人を対象に、エルロチニブ+ARQ197併用投与群84人と
エルロチニブ+プラセボ投与群83人を比較したものである。
プライマリエンドポイントであるPFSの中央値は、プラセボ群で9.7週だったが
ARQ 197群は16.1週間と延長した。しかし、統計学的に有意差はなかった。
OS中央値は、プラセボ群29.4週でARQ 197群で36.6週と延長したが、
これも統計学的有意差はなかった。
しかしながら、非扁平上皮癌の患者117人に限定すると、PFSの中央値は
プラセボ群9.7週に対してARQ 197群で18.9週、OSの中央値は
プラセボ群29.4週に対してARQ 197群で43.1週と、有意な延長がみられた。
EGFR wild type、KRAS mutationの群に対して、有効性が高いと考察された。

統計学的に有意ではないが、思ったよりもかなりの延長ではないだろうか?
毒性プロファイルも差がないというので、今後c-Met阻害薬の期待も高まる。

by otowelt | 2010-06-07 14:13 | 肺癌・その他腫瘍

プライマリセッティングでSIMV-PSはA/Cと比較して臨床アウトカムは同等

当院の人工呼吸器はBP840であるが、BILEVELだけでなく
A/CもSIMVももちろん備えている。A/Cは、Assist/Controlの略である。
自発呼吸がない場合は大差ないが、基本的にA/Cの方がstrictである。

Assist(補助換気):自発吸気をトリガーして吸気が開始されるが、
 換気量(吸気圧)、吸気フロー、吸気終了のタイミングは人工呼吸器が決定。
Control(調節換気):吸気の開始、換気量(吸気圧フロー)、吸気終了の
 タイミングをすべて人工呼吸器が決定する。
SIMV:自発呼吸をトリガーして補助換気を行うが、自発呼吸がない場合は
 A/Cの調節換気と同じ換気となる。 


SIMV+PSとA/Cの比較試験がCHESTで出ていた。
当然、自発がない患者にSIMVを選ぶことは基本的にないわけだが、
そういった治療選択バイアスは除去されているらしい。
統計学に明るくないので、その解析アルゴリズムはよくわからない。

Outcomes of Patients Ventilated With Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation With Pressure Support; A Comparative Propensity Score Study
CHEST 2010; 137(6):1265–1277


背景:
 1つの呼吸モードが他のモードに比べて優位かどうかを検討した
 データは少ない。われわれは、SIMV-PSとA/Cを換気のプライマリー
 セッティングとして使用した場合の比較をおこなった。

方法:
 23の国の349のICUでおこなわれた。
 層別解析のなされた傾向スコアが350人のSIMV-PS患者と1228人のA/C患者
 に適用された。プライマリエンドポイントは、院内死亡率とした。

結果:
 ロジスティック回帰モデルでは、患者は北米ではSIMV-PSを受けやすく、
 重症度はやや低めで、術後あるいは外傷後の人工呼吸器装着である傾向
 があった。SIMV-PSは、喘息あるいは昏睡の場合、また敗血症や
 心不全といった合併症が人工呼吸器管理中に起こるような場合には
 選ばれにくかった。層別による傾向スコアで、われわれは院内死亡率に
 有意差を見出すことができなかった。
 傾向スコアを調節した場合にも、SIMV-PSの院内死亡率の寄与は
 有意にはみられなかった。(OR, 1.04; 95% CI, 0.77-1.42;P=.78)

 ※エンドポイントは五分位数を用いて評価されている。
  百分位数がいわゆるパーセンタイルと考える方法。
  quintile 1は、SIMV-PSを最も受けにくい群、quintile 5が
  もっとも受けやすい群になる。
プライマリセッティングでSIMV-PSはA/Cと比較して臨床アウトカムは同等_e0156318_9495066.jpg
結論:
 治療割り付けバイアスがSIMV-PSにはあるものの
 SIMV-PSはA/Cと比較しても、臨床的なアウトカムに影響しない。

by otowelt | 2010-06-07 05:50 | 集中治療

透析時のアミノグリコシド投与設計

クリックすると見やすくなる。
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by otowelt | 2010-06-05 18:58 | 感染症全般

Acinetobacter

感染症学会雑誌に耐性Acinetobacter baumanniiの肺炎の報告が
なされていた。MDRPのVAPで難渋することはあるが、まだAcinetobacterの
VAPには出会ったことがない。CRBSIでも注意すべき感染症の1つである。
SPACEの1つであるAcinetobacterについて勉強したことを記録しておく。

●Acinetobacter
Acinetobacter属はブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌で、
自然界の土壌や水系に存在する。病院だけでなく家庭の洗面台など
湿潤な室内環境から検出されるが、しばしば健常人の皮膚にも常在する。
人工呼吸器を使用している患者において肺炎、血管カテーテルを
挿入している患者において菌血症を起因することがあり、
手術部位感染、尿路感染、敗血症、髄膜炎、心内膜炎などの起因菌となる。
                Clin Microbiol Rev 1996;9:148-165.
Acinetobacter_e0156318_10213326.jpg
グラム染色では陰性球桿菌のように見えるのが特徴的である。
一見するとH.influenzaeに似ているのだろうか?

国内において、グラム陰性桿菌は22034 検体の血液培養で分離されており
その中の約1.6%がAcinetobacter spp.であった。
院内肺炎の起因菌としては、日本では0.7%と低率である。
しかし、アメリカではICU で発症した肺炎に対するAcinetobacter肺炎は
1975年では1.5%、1986年では4%、2003年には7.0%と上昇してきている。
nosocomial CRBSIの起因菌としては1%である。
                Clin Infect Dis. 2004 Aug 1;39(3):309-17
肺炎のリスクファクターとして、アルコール、喫煙、COPDが報告されている。
                Clin Infect Dis 1992;14:83―91
CR-BSIのリスクファクターとしては以下の表が挙げられる。
Acinetobacter_e0156318_1033217.jpg


●Acinetobacterに対する抗菌薬
 抗菌薬治療として、広域β―ラクタム抗菌薬、アミノ配糖体、フルオロキノロン、
 カルバペネム薬が使用されるが、多剤耐性菌が報告されている。
 欧米ではコリスチンの選択肢があるが日本にはない。
Acinetobacter_e0156318_10374261.jpg
 世界的にも院内の耐性率が上昇してきているのは明らかである。

●Acinetobacter耐性機構
 細胞壁に存在するporinのチャネルやエフラックスポンプの変化によって
 β ラクタマーゼ配合抗菌薬の耐性を生じたり、gyrA ・parC 遺伝子変化により
 標的の変異が生じてアミノ配糖体系抗菌薬の耐性を獲得などの
 報告がある。耐性獲得機序として伝達性プラスミド上のトランスポゾンが重要と
 いう報告もある。
                 N Engl J Med 2008;358:1271―81.
                 Clin Infect Dis 2006;42:692―9.

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by otowelt | 2010-06-05 10:26 | レクチャー