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IPF急性増悪における肺高血圧は予後不良因子であり、新生血管形成と逆相関

CD31は別名PECAM-1(Platelet Endothelial Cell Adhesion Molecule-1)とも言い、血管内皮細胞を同定することができる。
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Eoin P. Judge, et al.
Acute exacerbations and pulmonary hypertension in advanced idiopathic pulmonary fibrosis
Eur Respir J 2012; 40: 93–100


背景:
 このスタディの目的は、進行した特発性肺線維症(IPF)の急性増悪のアウトカムへのリスクファクターを評価するものであり、疾患重症度とIPF肺組織片の新生血管形成の関連性を調べた。

方法:
 アイルランドのMater Misericordiae大学病院におけるIrish National Lung Transplant Unitで臨床試験を実施。
 肺移植アセスメントをおこなわれた55人のIPF患者で、27人の急性増悪群、28人の非急性増悪群にわけて解析をおこなった。血行動態データが、ベースライン時、急性増悪の時期、肺移植の時期において集められた。微小血管密度microvessel density (MVD)を定量するため、組織学的解析とCD31免疫染色(ref M0823, dilution 1:40;Dako Diagnostics Ireland Ltd, Dublin, Ireland)が、13人の移植患者の肺組織片におこなわれた。

結果:
 IPF急性増悪は、死亡率の上昇と関連していた(p=0.0015)。ベースライン時の肺高血圧とIPF急性増悪は、予後不良と関連していた(p<0.01)。また、ベースライン時の肺高血圧は、急性増悪のリスクとも有意に相関していた(HR 2.217,p=0.041)。新生血管形成(MVD)は、cellular fibrosisの領域において有意に増加しており、honeycombingの領域においては有意に減少していた。honeycombingの領域においては、平均肺動脈圧とMVDの間には有意な逆相関がみられた。
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結論:
 IPF急性増悪は有意に進行IPF患者で死亡率を上昇させた。肺高血圧は、急性増悪のリスクとその後の予後不良に関連していた。新生血管形成は有意にhoneycombing領域で減少しており、平均肺動脈圧と逆相関がみられた。

by otowelt | 2012-07-02 05:03 | びまん性肺疾患

MAESTRAL試験:COPD急性増悪においてモキシフロキサシンはアモキシシリン/クラブラン酸に非劣性

論文中に登場するAnthonisenのCOPD急性増悪分類は以下の通り(Anthonisen NR et al, Ann Intern Med 1987;106:196-204)
・COPD急性増悪1型:呼吸困難の増加、喀痰量の増加、喀痰膿性の増加
・COPD急性増悪2型:上記のうち2つ
・COPD急性増悪3型:上記のうち1つ

試験自体の信憑性についてはまだ読み込んでいないので判断しかねるが、私個人としては基本的に外来でキノロンを簡単に使いたくないと考えているので、この結果をうけてモキシフロキサシンを積極的に使用しようとは思わない。

Robert Wilson, et al.
Moxifloxacin versus amoxicillin/clavulanic acid in outpatient acute exacerbations of COPD: MAESTRAL results
ERJ July 1, 2012 vol. 40 no. 1 17-27


背景:
 COPDの急性増悪を引き起こす細菌感染症では抗菌薬治療を頻繁に要する。アモキシシリン/クラブラン酸は500/125 mg1日3回と比較して875/125mg1日2回では効果は同等であり、なおかつ忍容性が高かったという結果がある(Clin Infect Dis 1997; 24: 570–574.)。抗菌薬選択のための指針としてエビデンス集積が望まれている。

方法:
 慢性気管支炎の急性増悪におけるモキシフロキサシンの臨床試験:The Moxifloxacin in Acute Exacerbations of Chronic Bronchitis TriaL (MAESTRAL試験)は、多施設共同ランダム化二重盲検非劣性試験であり、外来患者に対しておこなわれたものである。患者は60歳以上で、Anthonisen1型の増悪で、FEV1が予測値の60%未満であるもの、昨年に2回以上急性増悪を起こしたものを対象とした。ステロイド使用によって層別化した患者で、モキシフロキサシン400㎎1日1回経口投与5日間群と、アモキシシリン/クラブラン酸 875/125mg1日2回経口投与7日間に割り付けた。プライマリエンドポイントは治療8週時点での臨床的治療失敗(per protocolで)。

結果:
 1492人の患者が30ヶ国から登録され、1372人がランダム化、1352人がITT/安全性解析をおこなわれた。1056人がプライマリ効果解析(per protocol)に妥当であると判断された。病原微生物別には521人がper protocol対象となった。
 モキシフロキサシンは、アモキシシリン/クラブラン酸にプライマリエンドポイントで非劣性を満たした(111 (20.6%) out of 538, versus 114 (22.0%) out of 518, respectively; 95% CI -5.89–3.83%)。細菌性COPD急性増悪と確定された患者において、モキシフロキサシンは有意に臨床的治療失敗率がアモキシシリン/クラブラン酸よりも低かった(ITT: 62 (19.0%) out of 327 versus 85
(25.4%) out of 335, respectively; p=0.016)。
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治療終了時の微生物学的根絶bacterial eradicationは、8週時点での高い臨床的治癒率と関連していた(p=0.0014)。ステロイド治療を受けた患者は、より重症度が高く失敗率も高かった。
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結論:
 MAESTRAL試験では、外来患者におけるCOPD急性増悪においてモキシフロキサシンはアモキシシリン/クラブラン酸と同等の効果があるものと考えられる。

by otowelt | 2012-07-01 10:18 | 気管支喘息・COPD