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インダカテロールはチオトロピウムなどの長時間作用型β2刺激薬の代替になりうる

インダカテロールは有効な薬剤でしょうが、その量と安全性が不透明であり課題は多いです。CHESTからのシステマティックレビューです。

Gustavo J., et al.
Comparison of Indacaterol With Tiotropium or Twice-Daily Long-Acting β-Agonists for Stable COPD: A Systematic Review
CHEST. 2012;142(5):1104-1110


背景:
 気管支拡張薬は、COPD患者における根幹治療である。インダカテロールの吸入は、プラセボと比較して臨床的に大きな改善がみられたという報告がある。

方法:
 インダカテロールの安全性と効果を調べるため、チオトロピウムあるいは1日2回の長時間作用型β2刺激薬を中等症から重度のCOPD患者に対して使用した試験と比較し、システマティックレビューをおこなった。ランダム化比較試験が過去の出版・未出版の文献から抽出された。

結果:
 5試験(5920人の患者)が同定された。チオトロピウムと比較して、インダカテロールは有意に呼吸困難感の際のレスキュー投薬の使用が減少した(臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical important difference, MCID)であるtransitional dyspnea index [TDI]達成43%増加: NNT = 10)。加えて、健康ステータスMCIDはチオトロピウムよりインダカテロールの方が達成度が高かった(OR = 1.43; 95% CI, 1.22–1.68; P = .00001; NNT= 10)。治療終了時一秒量は、インダカテロールの方が1日2回の長時間作用型β2刺激薬よりも有意に改善(80 mL, P = .00001)。同様に、インダカテロールは1日2回の長時間作用型β2刺激薬と比較して有意に呼吸困難(MCID in TDI, P = .008)、健康ステータス(MCID in SGRQ, P = .04)を改善。 インダカテロールは、安全性、忍容性ともに比較群と同等であった。

結論:
 インダカテロールは、健康ステータス、呼吸困難感、呼吸機能検査の観点からチオトロピウムあるいは1日2回の長時間作用型β2刺激薬と同等の有効性がある。

by otowelt | 2012-11-12 11:04 | 気管支喘息・COPD

フルオロキノロンは重篤な不整脈のリスクを上昇

この間JAMAでもフルオロキノロンと網膜剥離のリスクが報告されていましたね。
Oral fluoroquinolones and the risk of retinal detachment
JAMA 2012;307(13):1414-1419


世界的にも使用頻度が増えているので、注意しましょうという啓蒙的な内容です。

Francesco Lapi, et al.
Fluoroquinolones and the Risk of Serious Arrhythmia: A Population-Based Study
Clin Infect Dis. (2012) 55(11): 1457-1465


背景:
 フルオロキノロンは、不整脈のリスクと考えられているがデータが少ない。われわれは、重篤な不整脈(心室性不整脈や突然死)のリスクを調べた。

方法:
 呼吸器系疾患に対して1990年1月から2005年12月31日までの間治療された患者を、カナダ・ケベック州のヘルスケアデータベースから抽出した。2007年3月31日までデータを追跡した。
 このコホートに対して症例対照研究をおこない、全重篤不整脈症例を同定した。これらの症例は1奨励あたりに20コントロールとマッチさせた。フルオロキノロン使用が重篤な不整脈使用にもたらす補正リスク比算出のため、ロジスティック回帰分析がおこなわれた。

結果:
 605127人の患者コホートのうち、1838人の不整脈症例が同定された(4.7/10 000人年)。重篤な不整脈は現在使用されているフルオノキノロンにおいてもリスクが高かった(RR = 1.76; 95%CI, 1.19–2.59)、特に新規フルオロキノロンではリスク比が高かった(RR = 2.23; 95% CI, 1.31–3.80)。ガチフロキサシンは最も高い不整脈リスクであり(RR = 7.38; 95% CI, 2.30–23.70)、モキシフロキサシンとシプロフロキサシンも同様に重篤な不整脈リスクが高かった(RR = 3.30; 95% CI, 1.47–7.37 and RR = 2.15; 95% CI, 1.34–3.46,respectively)。
フルオロキノロンは重篤な不整脈のリスクを上昇_e0156318_11505573.jpg
結論:
 製剤による差はあるものの、フルオロキノロンは不整脈リスクを上昇させる。ハイリスク患者に対するこれら薬剤ごとの差は選択する上での情報となるだろう。

by otowelt | 2012-11-11 11:56 | 感染症全般

慢性緑膿菌感染のある嚢胞性線維症患者に対するコリスチンドライパウダー製剤はトブラマイシン吸入に非劣性

国際的な学会では話題を集めています、緑膿菌感染を有する嚢胞性線維症に対するコリスチン吸入製剤であるターボスピン®ドライパウダー吸入の話題です。ペンのように細く、デザインもイタリアならではのクールなものです。
慢性緑膿菌感染のある嚢胞性線維症患者に対するコリスチンドライパウダー製剤はトブラマイシン吸入に非劣性_e0156318_9161360.jpg
PH&T社(http://www.phtpharma.com/medical-devices/products/turbospin-dpi.html)より

嚢胞性線維症は日本ではきわめて少ない疾患ですが、慢性緑膿菌感染を有する気管支拡張患者さんは数多くおられます。緑膿菌性肺炎を何度も繰り返し、喀痰に溺れるような患者さんも時におられますが、医師として非常につらいものがあります。そういった時に限って大量に検出される緑膿菌が耐性化傾向があるものだったりします。トブラマイシン(トービイ)吸入もそうですが、是非とも適応拡大をお願いしたいところです。
トブラマイシン吸入製剤(トービイ吸入液)製造承認

以下、Thoraxの今回の記事です。

Antje Schuster, et al.
Safety, efficacy and convenience of colistimethate sodium dry powder for inhalation (Colobreathe DPI) in patients with cystic fibrosis: a randomised study
Thorax Online First, published on November 7, 2012 as 10.1136/thoraxjnl-2012-202059


目的:
 新しい新規ドライパウダー吸入コリスチン製剤を、慢性緑膿菌感染症がある嚢胞性線維症の6歳以上の患者に使用して安全性と効果を検討するもの。

方法:
 プロスペクティブランダム化第3相オープンラベル試験において、6歳以上の肺の慢性緑膿菌感染症を有する嚢胞性線維症患者を登録した。患者はランダムにColobreatheドライパウダー(CDPI:1カプセルにコリスチメート125㎎=1662500 IU含有)(Turbospin,PH&T, Milan, Italy)あるいは3回の28日サイクルのトブラマイシン吸入(TIS)300㎎1日2回に割り付けられた。

結果:
 380人の患者がランダム化された。24週時点での予測一秒率の平均変化量は両群において同等であった(ITT解析374人:−0.97% 、95% CI −2.74% to 0.86%、per protocol解析261人:−0.56%、95% CI −2.71%to 1.70%)。コリスチン耐性株は両群とも1.1%以下であった。有害事象についても両群は同等であった。CDPI治療群の方がより”とても簡便あるいは使いやすい”という感想を持たれた(90.7% vs 53.9% respectively; p<0.001)。
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結論:
 緑膿菌感染を有する嚢胞性線維症患者のけるCDPI治療は、TISに対して24週間アウトカムは非劣性であった。コリスチンは耐性が少なく、治療選択肢として妥当性があるだろう。

by otowelt | 2012-11-09 05:24 | 感染症全般

胸腔ドレーン抜去は、深吸気時?あるいは深呼気時?

胸腔ドレーンを抜去するとき、呼吸器科医には大きく分けて2通りの方法があります。

1.深吸気時に抜去する
2.深呼気時に抜去する


 少数例では、呼気途中であったり吸気途中であったりする医師にも出会ったことがあります。
 私自身は、1.が当たり前だと思って研修を受けてきたのですが、実は施設によってこの意見は二分しているのが現状です。私が教えられたのは、吸気時が最も胸腔内圧が高いから抜去中に息止めができなくなったとしても最大吸気位なら次に来るのは呼気相だから、という2つの理由からでした。いくつかの教科書ではValsalva 法(深吸気後に息を止める)を採用している方がやや多いように思います。
 Rasidらの論文でも、文中に「Valsalva法によって呼吸を止めている最中に胸腔ドレーンを抜去し…」という記載がありますので、論文的には1.が主流であると推察されます。
Rashid MA, et al. A simple technique for anchoring chest tubes. Eur Respir J. 1998 Oct;12(4):958-9.

 この疑問にヒントをくれる報告があります。9人の外傷患者に挿入されていた102の胸腔ドレーンを、深吸気時に抜去する群52チューブ、深呼気時に抜去る群50チューブにランダムに割り付けておこなった前向き試験です。この試験では、気胸の再発あるいは少量の気胸腔の増大(ただし安定しているもの)の頻度は、深吸気時に抜去した群で8%、呼気時に抜去した群で6%でした(p = 1.0)。前者の群で2人、後者の群で1人の再挿入が必要でした。患者背景によって、これらのアウトカムに差はみられませんでした。
胸腔ドレーン抜去は、深吸気時?あるいは深呼気時?_e0156318_1262449.jpg
Bell RL, et al. Chest tube removal: end-inspiration or end-expiration? J Trauma. 2001 Apr;50(4):674-7.

 また、67の胸腔ドレーン抜去について解析した論文がありますが、この論文では29.9%に気胸再発(おそらく外気胸)がみられました。この論文は外傷患者で11人が亡くなっている重症例を集めたものですので、この再発率はそういったバイアスもかかっているものと思われます。この報告では、”胸壁の薄さ”が外気胸の独立危険因子と結論づけられています。
Anand RJ, et al. Thin chest wall is an independent risk factor for the development of pneumothorax after chest tube removal. Am Surg. 2012 Apr;78(4):478-80.

 人工呼吸器を装着していると、どのタイミングで抜去すればよいのか迷いますが、12%に外気胸が起こりえるという報告がありますので、抜去後はできれば数時間以内に胸部レントゲンで気胸のチェックはしておきたいものです。
Pizano LR, et al. When should a chest radiograph be obtained after chest tube removal in mechanically ventilated patients? A prospective study. J Trauma. 2002 Dec;53(6):1073-7.

 そのため、おそらく吸気時と呼気時のどちらのやり方でもさほど差はみられないと考えられます。10%近く起こりうるであろう外気胸の発症を考慮し、薄い胸壁の人にはより注意した方がよいだろうと思います。

by otowelt | 2012-11-08 12:34 | コントラバーシー

EBUSの超音波所見:悪性を予測する診断基準

今月のRespirologyで、EBUSにおける超音波所見で悪性を予測する診断基準の提唱がなされました。

2010年のCHESTの論文では、EBUSにおける縦隔リンパ節の悪性を予測する上で最も特異度が高い所見は不均一パターン(heterogeneous echogenicity)(86.6%)で、最も感度が高い所見は辺縁が整であること(94.4%)でした。
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EBUSの超音波所見:悪性を予測する診断基準_e0156318_10184468.jpg
Fujiwara T,et al. The utility of sonographic features during endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration for lymph node staging in patients with lung cancer: a standard endobronchial ultrasound image classification system. Chest. 2010 Sep;138(3):641-7.

2012年のJTOでは、カラードプラーエコーでは血流が豊富な所見(GradeII, III)や流入所見(bronchial artery flow sign)は悪性所見を示唆するという報告もあります。
EBUSの超音波所見:悪性を予測する診断基準_e0156318_10192784.jpg
Nakajima T, et al. Vascular image patterns of lymph nodes for the prediction of metastatic disease during EBUS-TBNA for mediastinal staging of lung cancer. J Thorac Oncol. 2012 Jun;7(6):1009-14.

以下、今月のRespirologyの報告です。

Schmid-Bindert G, et al. Predicting malignancy in mediastinal lymph nodes by endobronchial ultrasound: A new ultrasound scoring system. Respirology. 2012 Nov;17(8):1190-8. doi: 10.1111/j.1440-1843.2012.02223.x.

背景および目的:
 超音波ガイド下気管支鏡(EBUS)は、非小細胞肺癌の術前の縦隔リンパ節転移の検索のために広く使用されている。このスタディの目的は、縦隔リンパ節の悪性を予測する6つの超音波基準の有用性をプロスペクティブに調べたものである。

方法:
 基礎疾患にかかわらず、EBUSは縦隔リンパ節 腫大のある患者に施行された。以下の所見を悪性を予測する超音波所見の基準とした。
 ・短径>1㎝
 ・リンパ節内部の不均一パターン
 ・リンパ節が円形(round shape)
 ・リンパ節辺縁がはっきりしている
 ・リンパ節の中央構造が消失
 ・リンパ節内の血流が豊富

これらのスコアを合計したものを悪性の基準として使用した。もし基準が2つよりも多く(3つ以上)陽性であれば、リンパ節は悪性の高リスクであると判断した。さらに、これらは2人の研究者によって盲検下で検証された。

結果:
  145人において281のリンパ節が検討された。44%のリンパ節が悪性であり、10%がサルコイドーシス、10%が結核と判明した。観察者間の一致は良好であった。PPVが最も高かったのは、リンパ節内部の不均一パターンで73%、NPVは80%以上であった。スコアの合計が2点より大きい(3点以上)場合、オッズ比15.5で悪性の予測が可能であった(P < 0.00001)。

結論:
 EBUSを行う際、もし超音波基準が2点以下であればリンパ節が悪性である可能性は極めて低い。リンパ節内部の不均一パターンが最も単一所見としては有効であった。

by otowelt | 2012-11-07 05:16 | 肺癌・その他腫瘍

進行非小細胞肺癌におけるセカンドライン治療で、カルボプラチンのアリムタへの上乗せ効果認められず

NVALT7試験結果をpooled analysisに組み込んだものです。進行非小細胞肺癌におけるカルボプラチンのアリムタへの上乗せ効果は認められませんでした。

Andrea Ardizzoni, et al.
Pemetrexed Versus Pemetrexed and Carboplatin As Second-Line Chemotherapy in Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer: Results of the GOIRC 02-2006 Randomized Phase II Study and Pooled Analysis With the NVALT7 Trial
JCO Published online before print October 29, 2012, doi:


目的:
 進行非小細胞肺癌におけるペメトレキセドとペメトレキセド+カルボプラチンの効果を比較する。

患者および方法:
 ファーストラインの白金製剤ベースの化学療法中あるいは化学療法後に増悪らみれた進行非小細胞肺癌の患者をランダムにペメトレキセド(500mg/m2)群(arm A)、ペメトレキセド(500mg/m2)+カルボプラチン(AUC5)(arm B)に割り付けた。プライマリエンドポイントはPFSとした。
 この試験を計画した際に、すでにNVALT7 (Nederlandse Vereniging Artsen voor Longziekten en Tuberculose Lung Cancer Group Trial 7)試験が組まれていた。同試験とともにpooled analysisとして解析をおこなった。
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※NVALT7試験は、同様の試験概要で、カルボプラチン+ペメトレキセドがペメトレキセド単独をファーストラインの進行非小細胞肺癌で比較したもの。前者の方がPDまでの期間が長かった。
Egbert F. Smit, et al. Randomized Phase II and Pharmacogenetic Study of Pemetrexed Compared With Pemetrexed Plus Carboplatin in Pretreated Patients With Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer.J Clin Oncol. 2009 Apr 20;27(12):2038-45.

結果:
 2007年7月から2009年10月までの間に239人の患者(arm A, n=120, arm B, n=119)が登録された。PFS中央値はarm Aで3.6ヶ月、arm Bで3.5ヶ月だった(HR 1.05; 95%CI, 0.81 to 1.36; P= .706)。奏効率、PS、毒性についても統計学的差はみられなかった。
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 OSについて、ペメトレセドに対するカルボプラチンの上乗せ効果はみられなかった(HR 0.90; 95% CI, 0.74 to 1.10; P =.316; P heterogeneity = .495)。サブグループ解析で、扁平上皮癌患者におけるカルボプラチン上乗せ効果は統計学的に有意にOSを5.4ヶ月から9ヶ月に改善した(補正HR, 0.58; 95% CI, 0.37 to 0.91; P interaction test = .039)。
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結論:
 進行非小細胞肺癌に対するセカンドライン治療において、カルボプラチン+ペメトレキセドの併用は、ペメトレキセド単剤と比較して生存アウトカムを改善させない。扁平上皮癌患者におけるカルボプラチンの効果についてはさらに検証が必要だろう。

by otowelt | 2012-11-06 11:40 | 肺癌・その他腫瘍

経気管支肺生検はEBUS-TBNAの合併症リスク因子

CHESTのトップページに掲載されていた論文です。EBUS-TBNAで肺生検をおこなえば、合併症リスクは上昇するのは当然なのですが・・・。

George A. Eapen, et al.
Complications, Consequences, and Practice Patterns of Endobronchial Ultrasound-Guided Transbronchial Needle Aspiration: Results of the AQuIRE Registry
CHEST.2012doi:10.1378/chest.12-0350


背景:
 超音波ガイド下経気管支針生検(EBUS-TBNA)の合併症のリスク因子を同定するスタディは少ない。このスタディの目的は、EBUS-TBNAを行う上での合併症のリスク因子を同定することである。

方法:
 American College of Chest Physicians Quality Improvement Registry, Evaluation, and Education (AQuIRE) データベースにおいて、EBUS-TBNAを施行された患者データをプロスペクティブに抽出し、その合併症の頻度、因果関係、予測因子を解析した。

結果:
 われわれは6病院において1317人の患者を登録した。19人の患者で合併症がみられた(1.44%; 95% CI, 0.87%-2.24%)。経気管支肺生検(TBBx)のみが合併症のリスク因子であり、TBBxを施行された3.21%の患者に起こり、TBBxを施行されていない1.15%の患者に起こった(OR, 2.85; 95% CI, 1.07-7.59; P = 0.04)。気胸は7人の患者にみられた(0.53%; 95% CI, 0.21%-1.09%)。ケアレベルの拡大は14人の患者におこなわれた(1.06%; 95% CI, 0.58%-1.78%):そのリスクファクターは以下の因子を含んでいた。70歳を超える患者(OR, 4.06; 95% CI, 1.36-12.12; P = 0.012)、入院患者(OR, 4.93; 95% CI, 1.30-18.74; P = 0.019)、深い鎮静あるいは全身麻酔(OR, 4.68; 95% CI, 1.02-21.61; P = 0.048)。
 迅速細胞診をおこなわれた患者の12.6%にTBBxがおこなわれ、迅速細胞診をおこなっていない患者の19.1%でTBBxがおこなわれた(P = 0.006)。

結論:
 TBBxのみがEBUS-TBNAの合併症のリスク因子であった。迅速細胞診は有意にTBBxの頻度を減らすことができる。

by otowelt | 2012-11-06 00:01 | 気管支鏡

M.abscessusにおいてクラリスロマイシンはerm(41)発現を誘導し耐性化に関連

私の尊敬する先生から耳にしたことがあるのですが、
M.abscessusの一部には、M. massilienseが混じりえんせ(massiliense)
という、内容もさることながらセンスも抜群の素晴らしいシャレがあります。

M. massilienseM.abscessusでは前者の方がクラリスロマイシンの感受性が良いことが知られていますが(喀痰陰性化率88% vs 25%; P < 0.001)、市中病院では16S rRNA検査ができないので臨床的にこれら菌種を区別することは難しいです。
Koh WJ, et al. Clinical significance of differentiation of Mycobacterium massiliense from Mycobacterium abscessus. Am J Respir Crit Care Med. 2011 Feb 1;183(3):405-10.

同じWon-Jung Kohのグループからの新しい報告がAJRCCMにありました。

Go-Eun Choi, et al.
Macrolide Treatment for Mycobacterium abscessus and Mycobacterium massiliense Infection and Inducible Resistance
Am. J. Respir. Crit. Care Med. November 1, 2012 vol. 186 no. 9 917-925


背景:
 クラリスロマイシンやアジスロマイシンのようなマクロライド系抗菌薬は、Mycobacterium abscessus M. massiliense感染症に対して経口で治療できる唯一のものである。

目的:
 実験モデルにおけるクラリスロマイシンとアジスロマイシンの活性を比較する。

方法:
 われわれは、クラリスロマイシンとアジスロマイシンの治療効果を比較し、その効果とエリスロマイシンリボソームメチルトランスフェラーゼ遺伝子(erm)(41)発現の誘発との関連性をM. abscessusM. massiliense感染症の実験モデルで検証した。

結果:
 全M. abscessus株において、クラリスロマイシン耐性が誘導された(3日目MIC vs 14日目MIC; P < 0.001)。一方アジスロマイシンは14日目でMIC増加がみられ(3日目と比較してP < 0.01)、クラリスロマイシンの14日目MICよりも有意にレベルが低かった(P < 0.001)。しかしながら、M. massilienseにおいてはクラリスロマイシンとアジスロマイシンの差はみられなかった。
 クラリスロマイシンと比較すると、アジスロマイシンはin vitro, ex vivo, in vivoにおいてM. abscessusに強い活性がみられ(P < 0.05)、M. massilienseではその差はみられなかった。M. abscessus感染症においてerm(41)遺伝子発現は、アジスロマイシンよりもクラリスロマイシン曝露後のほうがその頻度は高かった(P < 0.001)。erm(41)遺伝子はクラリスロマイシン耐性に寄与するものと推察された。

結論:
 M. abscessus感染症において、クラリスロマイシンはerm(41)遺伝子発現を誘発し、結果的にアジスロマイシンよりも耐性化が強くなる。アジスロマイシンは、M. abscessusには効果的であり、M. massilienseには両マクロライドとも有効であると考えられる。

by otowelt | 2012-11-05 18:19 | 抗酸菌感染症

GLOW2試験:COPD患者におけるNVA237 グリコトロピウム(シーブリ)の有効性

 LABAのインダカテロール(オンブレス)、ホルモテロール(オーキシス)、LAMAのグリコピロニウム(シーブリ)と新しい吸入薬が増えてきてややこしくなってきましたが、NVA237(シーブリ)についてのGLOW2試験結果は呼吸器内科医としては知っておかねばなりません。いずれQVA149(インダカテロール/グリコピロニウム:オンブレスとシーブリの合剤)も市場に出ると思われるので、何と何の合剤が何なのか覚えないといけませんね。シーブリはオンブレスと同じ、ブリーズヘラーです。
http://www.totalcare-copd.jp/seebri/index.html
 この分野におけるアウトカムであるトラフFEV1とは、反復投与薬剤の次の投与直前のFEV1のことです。つまり、投与後24 時間の時点で測定されるものです。

GLOW1試験:プラセボ群と比較し、NVA237の気管支拡張作用が12週時のトラフFEV1の改善で臨床的に有意に示された(p<0.01)。
D'Urzo A, et al. Efficacy and safety of once-daily NVA237 in patients with moderate-to-severe COPD: the GLOW1 trial. Respiratory Research 2011, 12:156.
GLOW2試験:プラセボ群と比較して、NVA237はGLOW1と同様の改善効果を示し、52週間にわたって非盲検チオトロピウムと同様の効果がトラフFEV1で示された。今回の試験。
GLOW3試験:NVA237の朝の投与が、プラセボ群と比較して初日から10%の有意な運動耐容能の改善をもたらし、試験終了時(21日目)には21%の有意な改善がみられた(p<0.001)
Beeh KM, et al. Once-daily NVA237 improves exercise tolerance from the first dose in patients with COPD: the GLOW3 trial. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2012;7:503-13.

Edward Kerwin, et al.
Efficacy and safety of NVA237 versus placebo and tiotropium in patients with COPD: the GLOW2 study
Eur Respir J 2012; 40: 1106–1114


背景:
 GLOW2試験は、COPD患者を対象としてNVA237の有効性、安全性、忍容性を評価するため、52週間にわたって二重盲検プラセボ対照並行群間試験をおこなった。

方法:
 NVA237を1日1回50μg投与、プラセボ、または非盲検チオトロピウム1日1回18μgの3群に2:1:1にランダムに割り付けられた。COPDベースライン治療および症状緩和薬の使用は許可された。

結果:
 COPD患者1066人を登録。810人が試験を完遂した。NVA237はプラセボと比べ、投与後12週における平均トラフFEV1が97mL改善(95% CI 64.6–130.2; p<0.001)した。同時点で、非盲検チオトロピウムのトラフFEV1は、プラセボと比較して83mLの改善であった(95%CI 45.6–121.4; p<0.001)。さらにNVA237は、中等度から重症のCOPDの患者において、非盲検チオトロピウムと同様の有効性がみられた。NVA237は速やかな効果発現(初回投与後5分以内)を示した。
GLOW2試験:COPD患者におけるNVA237 グリコトロピウム(シーブリ)の有効性_e0156318_2156363.jpg
 投与1日目、12週目、26週目、52週目において、0~4時間、0~12時間、12~24時間、0~24時間のFEV1-AUCはプラセボよりも優れていた(p<0.05)。
 NVA237はプラセボと比較して、COPDの症状(Transition dyspenea index:TDI)とQOL(St George’s Respiratory Questionnaire:SGRQ)を改善した。これらの症状とQOLのアウトカムは、非盲検チオトロピウムと同等の結果であった。
 またNVA237は、プラセボと比較して、初回増悪までの期間を有意に延長、52週投与期間における中等度~重度増悪の頻度を減少させた(p=0.001)。これも非盲検チオトロピウムと同等(p=0.001)。
GLOW2試験:COPD患者におけるNVA237 グリコトロピウム(シーブリ)の有効性_e0156318_2211876.jpg
 NVA237の忍容性は良好であり、有害事象の発生率はプラセボや非盲検チオトロピウムと同等であった。

結論:
 COPD患者におけるNVA2371日1回50μgは呼吸機能、COPD症状、増悪頻度を改善させ、非盲検チオトロピウムと同等の有効性がみられた。

by otowelt | 2012-11-05 00:04 | 気管支喘息・COPD

診断・治療Q&AサイトMDQAの紹介

私も参加させていただいているウェブサイトの紹介です。
IDATENのメーリングリストに参加されている方はご存知かと思いますが、シーニュ社が運営しているMDQAというサイトです。シーニュ社は、「この情報を届ければ、だれかが救われる」という理念で設立された会社です。私のブログと共通点が多く、感銘を受けました。

医療従事者同士がディスカッションできる場はウェブ上にいくつかあるのですが、MDQAは医療関係者が実名を用いてQ&Aの形で、診断と治療に関する情報交換・質疑応答・議論を行います。その履歴はデータとして蓄積されていきます。開設してまだ3ヶ月余りなので、できるだけ幅広い診療分野からの登録者を募っています。もちろん無料です!

これをお読みになった呼吸器の医師や看護師さんも是非登録して、日頃の疑問などをぶつけていただければと思います。
診断・治療Q&AサイトMDQAの紹介_e0156318_21414320.jpg
URL:http://www.mdqa.jp/

MDQAは、医療プロフェッショナルのための診断・治療Q&Aサイトです。Question(質問)とAnswer(回答)を通して、情報を得たり提供したりすることができます。医師、薬剤師、看護師等の医療従事者(またはその学生)であれば、無料で利用できます。

by otowelt | 2012-11-02 00:27 | その他