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トブラマイシン吸入製剤(トービイ吸入液)製造承認

トービイの話題。保険上の適応症を厳密に守ると、使用できる人が日本に100人もいないかもしれない。

・日経メディカルオンラインから (http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201210/527381.html

2012年9月28日、アミノグリコシド系抗生物質であるトブラマイシンの吸入製剤(商品名トービイ吸入液300mg)が製造承認を取得した。適応は「嚢胞性線維症における緑膿菌による呼吸器感染に伴う症状の改善」、用法・用量は「1回300mg、1日2回28日間噴霧吸入し、その後28日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す」となっている。
 嚢胞性線維症(cystic fibrosis;CF)は、欧米では、出世児約2500人当たり1人の発症頻度を示す比較的発症率が高い遺伝性疾患である。対して日本では、約187万人に1人と推定される極めて稀な疾患である。CFTR(塩素イオンチャネル)の遺伝子変異が原因で、気道、腸管、膵管、胆管、汗管、輸精管のイオン・水輸送が障害され、管腔内の粘液/分泌液が過度に粘稠となり、管腔が閉塞したり感染しやすくなる。典型例では、新生児期にイレウスを起こし、その後、気道感染症を繰り返し、膵外分泌機能不全による消化不良を来す。
 嚢胞性線維症は、治療法が確立しておらず、これまでは呼吸器症状に対して去痰薬や気管支拡張薬を投与するといった対症療法が行われてきた。また感染症に対しては、吸入の抗菌薬もしくは全身投与の抗菌薬が投与されてきたが、嚢胞性線維症患者でしばしば問題となる緑膿菌感染については、静注製剤しか治療の選択肢がない状況だった。その後、2012年には、嚢胞性線維症患者の粘液や分泌液の粘稠性を低下させるDNA分解酵素薬、ドルナーゼ アルファ(商品名プルモザイム吸入液)が発売され、臨床使用されている。
 今回、承認されたトービイは、アミノグリコシド系抗生物質であるトブラマイシンの吸入製剤である。トブラマイシン製剤は、点眼薬や注射製剤(商品名トブラシンほか)が既に販売されており、緑膿菌を含むグラム陰性菌による各種感染症に使用されているが、今回、トブラマイシン製剤に初めて吸入製剤が登場することになる。
 トービイは、静注による過度な血中濃度上昇を回避し、適切な濃度の抗生物質を感染部位に直接伝達することで、効率的かつ持続的に殺菌効果を発揮できる。また、静注と比較して侵襲性が低く、患者宅での使用も簡便である点が特徴である。海外では、1997年12月に米国で承認されて以降、世界40カ国以上で承認されている。日本では2010年に、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での評価に基づき厚労省から製薬会社に開発要請が出され、今回の承認に至っている。
 本薬は、国内での臨床試験は行われていないものの、海外での第3相臨床試験で46.9%に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用は、咳嗽(23.6%)、咽頭炎(12.0%)、鼻炎(10.5%)などである。また、注射用のアミノグリコシド系抗生物質を投与した場合に、重大な副作用として急性腎不全や第8脳神経障害が報告されているので、本薬の使用においても注意する必要があろう。

by otowelt | 2012-11-01 12:22 | 感染症全般

気管支鏡時の出血の90%が5ml未満である

気管支鏡時の出血の90%が5ml未満である_e0156318_23532156.jpg 当院は気管支鏡件数が多いので、出血量のスタディを前向きに組んだら興味深いんのではないかと思っていたら、先月にすでに似たような論文が出ていました。
 このスタディのもう一つのウリである血小板との関連についてですが、血小板3万程度であっても気管支鏡をやりたくないと思うのは保守的でしょうか?

Carr IM, et al.
Blood Loss during Flexible Bronchoscopy: A Prospective Observational Study.
Respiration. 2012;84(4):312-8.


背景:
 軟性気管支鏡において出血はいまだに重要な合併症である。

目的:
 われわれは、低リスク患者における気管支鏡時の出血と、肺の病理学的基礎疾患、SVC症候群、検査データなどとの関連について調査した。

方法:
 わえわれは、軟性気管支鏡を施行した患者を18ヶ月で234人登録した。血小板が2万未満であったり、抗凝固薬や抗血小板薬を服用していたり、肝不全の病歴がある患者は除外された。処置中の出血量は、ヘモグロビン同定機を用いた分泌物の吸引で測定し、極少量(<5 ml)、少量(5-20 ml)、中等量(20-100 ml)、重度(>100 ml)に分類された。

結果:
 合計210人(89.7%)が極少量の出血で、19人が少量、5人が中等量であった。重度の出血はなかった。SVC症候群のある患者は平均出血量が多く(6.0 ml)、SVC症候群のない気管支腫瘍(p = 0.033)やその他の疾患(p = 0.026)と比べて有意に差がみられた。
 出血量はTBNA単独がEBUS-TBNAに比べて有意に少なかった(TBNA, mean 3.4 ml vs mean 5.0 ml, p < 0.001)。貧血や血小板2万5000~15万5000、INR>1.3では出血リスクは上昇していなかった。

結論:
 この試験では重度の出血はみられず、このコホートでは出血のリスクは概して低かった。さらに、血小板が2万以上あれば、リスクは低いものと考えられる。

by otowelt | 2012-11-01 00:05 | 気管支鏡