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ベンゾジアゼピンは市中肺炎の発症・死亡リスクを上昇

ベンゾジアゼピンは市中肺炎の発症・死亡リスクを上昇_e0156318_13183343.jpg誤嚥リスクが高そうな高齢者の患者さんにベンゾジアゼピンをどんどん使おうとはさすがに思いませんが。

Eneanya Obiora,et al.
The impact of benzodiazepines on occurrence of pneumonia and mortality from pneumonia: a nested case-control and survival analysis in a population-based cohort
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2012-202374


目的:
 ベンゾジアゼピンは、敗血症や重症患者における感染のリスク、死亡リスクの増加と関連していると考えられている。そこで、われわれはベンゾジアゼピンの使用が肺炎の死亡にどのくらい影響を与えるか調べた。

方法:
 29697人のコントロール群と4964人の市中肺炎の患者によるコホート内症例対照研究が、イギリスプライマリケア患者データベース(2001年~2002年)を用いて行われ、ベンゾジアゼピンと肺炎の関連性についてロジスティック回帰による解析をおこなった。市中肺炎4964例におけるベンゾジアゼピンの死亡率への影響を同定するためにCox回帰分析が用いられた。結果は補正オッズ比、補正ハザード比、95%信頼区間で提示した。

結果:
 ベンゾジアゼピンの曝露は市中肺炎のリスクを増加させた(OR 1.54, 95% CI 1.42 to 1.67)。ジアゼパム(セルシン®、ホリゾン®)、ロラゼパム(ワイパックス®)、テマゼパム(レストリル®)、ゾピクロン(アモバン®、ゾピクール®)が市中肺炎の発症リスクを増加させたが、クロルジアゼポキシド(バランス®、コントール®)は増加させなかった。
 それぞれの補正オッズ比については、ジアゼパム1.49 (95%CI 1.34 to 1.65)、ロラゼパム1.65 (95%CI 1.24 to 2.20)、テマゼパム1.43(95%CI1.29 to 1.59)、ゾピクロン1.98 (95%CI 1.49 to 2.64)、クロルジアゼポキシド1.19 (95%CI 0.88 to 1.62)。
 また、ベンゾジアゼピンは市中肺炎と診断された患者において、30日死亡率(HR 1.22 (95% CI 1.06 to 1.39))を増加させた。 現在のベンゾジアゼピン使用(HR1.35 (95%CI 1.10 to 1.64))、最近のベンゾジアゼピン(HR1.36 (95%CI1.04 to 1.79))も30日死亡率に寄与した。
 また、ベンゾジアゼピンは長期死亡率(HR 1.32 (95% CI 1.19 to 1.47))を増加させた。現在の使用、最近の使用、過去の使用すべてにおいて有意なハザード比上昇がみられた。
 ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、ロラゼパム、テマゼパムは長期死亡に影響を与えた。
ベンゾジアゼピンは市中肺炎の発症・死亡リスクを上昇_e0156318_1222126.jpg
Discussion:
 過去の報告では、GABA受容体の抑制により免疫細胞の機能低下が示唆されている(Anesthesiology 2011:A765.)。例えば集中治療領域におけるミダゾラムは、非GABA系の鎮静薬と比較すると二次性感染症のリスク上昇が示唆されているが(JAMA 2009;301:489–99.)、感染自体には差はみられなかったという別の報告もある(JAMA 2012;307:1151–60.)。
 この論文における選択バイアスの可能性は拭い去れない上、‘急性下気道感染症’(ALRTI)の疾患コードが組み込まれており、厳密に肺炎リスクと関連しているかどうかは定かではない。しかしながら、臨床的に肺炎であろうと推定される疾患スペクトラムのリスク上昇と考えてよいだろう。

結論:
 ベンゾジアゼピンは市中肺炎による死亡リスクを上昇させる。この仮説は、ベンゾジアゼインの安全性プロファイルに対するさらなる臨床試験の必要性を促すものである。

by otowelt | 2012-12-07 12:31 | 感染症全般

EGFR-TKI投与による非小細胞肺癌の増悪後、EGFR-TKIにアリムタを併用することで良好な結果

良好な結果につながった可能性としてチミジル酸シンターゼのダウンレギュレーションが考えられます。

Yoshimura, Naruo, et al.
Prospective Assessment of Continuation of Erlotinib or Gefitinib in Patients with Acquired Resistance to Erlotinib or Gefitinib Followed by the Addition of Pemetrexed
Journal of Thoracic Oncology: 29 November 2012 doi: 10.1097/JTO.0b013e3182762bfb


背景:
 EGFR遺伝子変異のある非小細胞肺癌の患者にはゲフィチニブあるいはエルロチニブが効果を発揮する。しかしながら多くの場合、EGFR-TKIの治療の後に増悪する。われわれは、増悪がみられた患者に対してEGFR-TKIにペメトレキセドを併用することの効果と安全性を検証した。

方法:
 EGFR遺伝子変異があるIIIB/IV期の非小細胞肺癌でゲフィチニブあるいはエルロチニブ治療中に増悪がみられた患者に対して、EGFR-TKI投与下でペメトレキセドを併用した。ペメトレキセドは1日目に500mg/m2投与した。EGFR-TKIは2日目から16日目に投与した。増悪がみられるまでこれを3週ごとに繰り返した。プライマリエンドポイントは疾患制御率とした。

結果:
 2010年2月から2011年4月までに、27人の患者がこのスタディに登録した。14人がexon19のdeletion(E746-A750)、11人がexon 21の変異(L858R)であった。2人のEGFRステータスは不明であった。
 治療サイクル数中央値は6サイクルであった。全奏効率(CR+PR)は25.9%(95%CI 9.4%-42.4%)で、疾患制御率(CR+PR+SD)は77.8%であった(95%CI 62.1%-93.5%)。
EGFR-TKI投与による非小細胞肺癌の増悪後、EGFR-TKIにアリムタを併用することで良好な結果_e0156318_1383354.jpg
 Grade 3/4の血液毒性は、好中球減少(22.2%)、白血球減少(14.8%)、貧血(7.4%)がみられた。Grade4の非血液毒性は観察されなかった。主要なGrade3の非血液毒性は、食欲不振(14.8%)、感染(14.8%)、疲労感(11.1%)であった。
 無増悪生存期間中央値は7.0ヶ月であり、生存期間中央値は11.4ヶ月であった。治療関連死は観察されなかった。
EGFR-TKI投与による非小細胞肺癌の増悪後、EGFR-TKIにアリムタを併用することで良好な結果_e0156318_1302892.jpg
結論:
 EGFR-TKI投与中の増悪後に、ペメトレキセドを併用することで良好な治療反応性と忍容性が得られた。

by otowelt | 2012-12-07 00:45 | 肺癌・その他腫瘍

線維性間質性肺疾患に対する治療介入のシステマティックレビュー

 きわめて難解な論文です。ランダム化試験だけでなく数多くの試験を複雑な手法で解析しているので、かなり時間をかけないと読めません。

Sabrina Bajwah, et al.
Interventions to improve symptoms and quality of life of patients with fibrotic interstitial lung disease: a systematic review of the literature
Thorax Online First, published on December 1, 2012 as 10.1136/thoraxjnl-2012-202040


背景:
 このスタディは、線維性の間質性肺疾患のある患者の呼吸困難感や他の症状、QOLを改善するための介入法の有用性のエビデンスを評価するものである。

方法:
 11のデータベースを、信頼性のあるウェブサイトやキージャーナルを手動操作で検索した。スタディは、2人の独立した研究者によって解析されデータが抽出された。メタアナリシスが行われた。
 疾患は、特発性肺線維症(IPF)、NSIP、cryptogenic fibrosing alveolitis(CFA)、特発性間質性肺炎のスタディを選出した。

結果:
 34試験、19の介入、3635人の患者が組み込まれた。メタアナリシスでは、インターフェロンγ-1bやシルデナフィルは6分間歩行距離や呼吸困難感に有意な効果はみられなかった。
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▲インターフェロンγ-1bの6分間歩行距離と呼吸困難感への有効性
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▲シルデナフィルの6分間歩行距離と呼吸困難感への有効性

 呼吸リハビリテーションとピルフェニドンは6分間歩行距離に影響を与えた(それぞれの平均差(95% CI)は、27.4 (4.1 to 50.7)、24.0 (4.3 to 43.7))。
線維性間質性肺疾患に対する治療介入のシステマティックレビュー_e0156318_21265663.jpg
▲呼吸リハビリテーションの6分間歩行距離への有効性

 呼吸リハビリテーションは呼吸困難感に対して混合的な効果がみられた。呼吸リハビリテーションとシルデナフィルは、QOL改善に有効的な傾向がみられた。

 酸素療法によって6分間歩行距離にわずかながら(weak)改善がみられた。呼吸困難感に対してはプレドニゾロン、ダイアモルフィン、Dペニシラミン、コルヒチンがわずかながら改善をもたらし、咳嗽に対してはインターフェロンαとサリドマイドが、不安症状に対してはダイアモルフィン、疲労感に対しては呼吸リハビリテーション、QOLに対してはサリドマイドとドキシサイクリンがわずかながら改善をもたらした。

結論:
 呼吸リハビリテーションとピルフェニドンは6分間歩行距離の改善に強固な(strong)エビデンスを有し、シルデナフィルと呼吸リハビリテーションはQOL改善に中等度(moderate)のエビデンスを有していた。

by otowelt | 2012-12-06 12:39 | びまん性肺疾患

ウエスト径が大きいと呼吸機能は悪くなる

ウエスト径が大きいと呼吸機能は悪くなる_e0156318_2083667.jpgウエスト径が大きくなるほど呼吸機能が悪くなるというシステマティックレビューです。

Wehrmeister FC, et al.
Waist circumference and pulmonary function: a systematic review and meta-analysis.
Syst Rev. 2012 Nov 16;1(1):55. [Epub ahead of print]


背景:
 肥満の健康への影響は数多く報告されている。ウエスト径の呼吸機能に対する影響の報告は少ない。われわれの目的は、ウエスト径と呼吸機能の関連性をレビューすることである。

方法:
 PubMed, CINAHL, Web of Science、Scopusデータベースによるシステマティックレビューをおこなった。2011年12月までのin pressおよびオンラインの文献を組み込んだ。

結果:
 547の試験が同定され、10試験が組み込まれた。メタアナリシスによって、ウエスト径と呼吸機能の逆相関が明らかとなった。特に男性ではその影響が女性よりも大きかった(男性:一秒量β=-15.9 (95%CI = -15.3~-7.7)、努力肺活量β= -16.6 (95%CI= -21.2~-12.2)、女性:一秒量β= -5.6 (95%CI = -9.1~-2.1)、努力肺活量β= -7.0 (95%CI= -9.1~-4.8))。
 メタ回帰では、性別が異質性に最も寄与する因子であった。
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結論:
 特に男性では、ウエスト径と呼吸機能の逆相関がみられる。

by otowelt | 2012-12-06 00:52 | 呼吸器その他

多剤耐性結核に対するリネゾリドは有効であり、減量することで副作用を減らすことが可能

MDR-TBでリネゾリドを使用することがありますが、600mg1日2回を長期間継続することは難しいので、300mg1日2回といったレジメンのほうが妥当であると考えられています。

Giovanni Sotgiu, et al.
Efficacy, safety and tolerability of linezolid containing regimens in treating MDR-TB and XDR-TB: systematic review and meta-analysis
Eur Respir J 2012 40:1430-1442


背景:
 リネゾリドは多剤耐性結核(MDR-TB)に対して使用されているが、システマティックエビデンスが不足している。われわれは、リネゾリドを含むレジメンにおける効果と安全性を検証すべくシステマティックレビューとメタアナリシスを施行した。
 ただし、ランダム化比較試験を集めたものではない。

方法:
 PRISMAに基づき、12試験(3大陸11ヶ国より)がMDR-TBのリネゾリドを含むレジメンの安全性、忍容性、効果に対して完全な情報を報告していた。半数の6試験がヨーロッパの試験であった。メタアナリシスは、治療アウトカムのある121人の患者の個々のデータを用いて行われた(治癒、完遂、死亡あるいは失敗)。
 5例を下回る試験やin vitro試験、感受性データの無い試験などは除外された。

結果:
 超多剤耐性結核(XDR-TB)が32.5%に認められた。
多剤耐性結核に対するリネゾリドは有効であり、減量することで副作用を減らすことが可能_e0156318_11532092.jpg
 ほとんどのMDR-TBの症例は喀痰塗抹陰性化(86人(92.5%)/93人)、培養陰性化(100人(93.5%) /107人)がリネゾリド含有レジメンによって達成された(塗抹と培養陰性化までの中央期間(IQR)は43.5日(21–90)、61日(29–119))。121人のうち99人(81.8%)が治療に成功した。
多剤耐性結核に対するリネゾリドは有効であり、減量することで副作用を減らすことが可能_e0156318_11552148.jpg
 サブグループ効果解析では、リネゾリドの投与量600mg超と以下で有意な差はみられなかった。
 副作用はおおよそ2人に1人(107人中63人(58.9%))で観察された。貧血(38.1%)、末梢神経障害(47.1%)、消化器系副作用(16.7%)、視神経炎(13.2%)、血小板減少(11.8%)。副作用の頻度はリネゾリド600mgを超える場合に有意に多くみられた。

結論:
 このスタディでは、MDR-TBに対するリネゾリドの効果は優れていたが、副作用の観点から処方には注意が必要であろう。

by otowelt | 2012-12-05 02:10 | 抗酸菌感染症

侵襲性アスペルギルス症に対するBAL中PCRはガラクトマンナン抗原と同等の診断能

BAL中のPCRのシステマティックレビューです。

Tomer Avni, et al.
Diagnostic Accuracy of PCR Alone Compared to Galactomannan in Bronchoalveolar Lavage Fluid for Diagnosis of Invasive Pulmonary Aspergillosis: a Systematic Review
J Clin Microbiol. 2012 Nov;50(11):3652-8


背景:
 気管支肺胞洗浄(BAL)のPCRは侵襲性アスペルギルス症(IPA)の診断に有用とされている。われわれは、システマティックレビューをおこない、BAL中PCRの診断能をガラクトマンナン抗原と比較し検証した。

方法:
 われわれは、プロスペクティブおよびレトロスペクティブのコホート試験と症例対照研究を組み込んだ。2人のレビュアーによって独立してデータが抽出された。バイアスリスクはQUADAS-2を用いた。感度・特異度は二変量モデルで推定され、95%信頼区間を算出した。

結果:
 19の試験が1993年から2012年までの間に出版された。proven IPA/probable IPAの診断に対する感度・特異度はそれぞれ90.2% (95%信頼区間77.2~96.1%)、96.4% (95%信頼区間93.3~98.1%)だった。9つのコホート試験は2002年あるいは2008年のEORTC/MSG基準を固守しており、これらの場合だと感度・特異度はそれぞれ77.2% (95%信頼区間62~87.6%)、93.5% (95%信頼区間90.6~95.6%)であった。
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侵襲性アスペルギルス症に対するBAL中PCRはガラクトマンナン抗原と同等の診断能_e0156318_123250.jpg

 気管支鏡前の抗真菌治療は有意に感度を下げた。BAL中PCRはBAL中ガラクトマンナン抗原(ODIカットオフ値0.5)と診断能は同等であった。PCRとガラクトマンナン双方が陽性であった場合、感度はガラクトマンナン抗原単独よりも上昇するが、特異度は不変であった。

結論:
 BAL中のPCRの診断パフォーマンスは良好で、BAL中のガラクトマンナン抗原に遜色なかった。双方を組み合わせることで特異度を下げずに感度を上昇させることができる。

by otowelt | 2012-12-04 12:35 | 感染症全般

メタアナリシス:ファーストライン白金製剤ベースの化学療法にベバシズマブを加えることでOS、PFSの改善

 アバスチンのメタアナリシスです。トータルのOS延長と捉えるには早計かもしれません。OSの95%信頼区間上限が0.99なので、かなりきわどい結果です。サブセット解析での腺癌、体重減少が軽度である患者群には有効であろうと考えられますが、新しい第II/III相試験が1つ出るたびにメタアナリシスをすぐに行う研究者がおられるので(たとえばJO19907)、メタアナリシス=揺るぎないものという神話に振り回されないように気を付けないといけません。
 そういった意味では、単一のよく練られた第III相試験の方が信頼性が高いようにすら思うことがあります。

Soria JC, et al.
Systematic review and meta-analysis of randomised, phase II/III trials adding bevacizumab to platinum-based chemotherapy as first-line treatment in patients with advanced non-small-cell lung cancer.
Ann Oncol. 2012 Nov 23. [Epub ahead of print]


背景:
 これまでの試験で、非小細胞肺癌(NSCLC)のベバシズマブの効果と安全性が示されている。

方法:
 手術不能局所進行NSCLC、再発あるいは転移性NSCLCに対する、白金製剤ベースのファーストライン化学療法におけるベバシズマブ上乗せ効果を比較したランダム化比較試験のメタアナリシスを施行した。
 ハザード比(HR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、有害事象におけるオッズ比(OR)を算出した。χ2検定によって治療効果、予後予測因子、患者背景の相互作用を評価した。

結果:
 第II/III相試験において、2194人の患者データ(1313人:ベバシズマブ、881人:コントロール)が抽出された(試験は第II相:AVF-0757g, JO19907, 第III相:ECOG 4599, AVAiL)。
 化学療法単独と比べて、ベバシズマブは有意にOS(HR 0.90; 95%CI0.81, 0.99; P = 0.03)およびPFSを延長(0.72; 95% CI 0.66, 0.79;P<0.001)。ベバシズマブは他の組織型よりも腺癌に有意にOSへの効果が高くみられた(P = 0.02)。
メタアナリシス:ファーストライン白金製剤ベースの化学療法にベバシズマブを加えることでOS、PFSの改善_e0156318_1245333.jpg
(上:OS、下:PFS)
 
 サブセットでの腺癌、体重減少が5%以下と軽度である患者はこの恩恵を大きく受けた。
メタアナリシス:ファーストライン白金製剤ベースの化学療法にベバシズマブを加えることでOS、PFSの改善_e0156318_18112594.jpg
 ベバシズマブはgrade 3以上の蛋白尿、高血圧、出血性イベント、好中球減少、発熱性好中球減少症と関連していた。
 出版バイアスについての記載がほとんどない。

結論:
 進行NSCLCにおいて、ファーストラインの白金製剤ベースの化学療法にベバシズマブを加えることで有意にOSおよびPFSが延長する。

by otowelt | 2012-12-03 20:33 | 肺癌・その他腫瘍

膿性痰に基づくCOPD急性増悪の抗菌薬戦略の妥当性

以前、喀痰の色と細菌感染症の関連についてご紹介しました。この報告によれば、緑色や黄色の喀痰は細菌感染の可能性が高いという結果でした。

・喀痰の色が緑色か黄色であれば細菌培養の陽性率が高い
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今月のERJから、喀痰の膿性とCOPD急性増悪に関連する報告がありました。Anthonisenの分類でも項目の1つとして挙げられているので、呼吸器科医にとっても重要な所見だろうと思います。

Nestor Soler, et al. Sputum purulence-guided antibiotic use in hospitalised patients with exacerbations of COPD
ERJ December 1, 2012 vol. 40 no. 6 1344-1353


背景:
 入院を要するCOPD急性増悪の患者において、喀痰の膿性は下気道の細菌感染に関連している。われわれは、プロスペクティブ非ランダム化パイロット試験を組み、喀痰膿性度による抗菌薬治療戦略を計画した。これによって、膿性度とバイオマーカーの関連性を検証した。

方法:
 スペインのバルセロナ大学病院で施行。COPD急性増悪の入院患者において、抗菌薬の使用は喀痰膿性である(黄色あるいは緑色)患者に限定した。膿性でない患者は抗菌薬を使用しなかった。
 プライマリエンドポイトを入院中の治療失敗率とした。セカンダリエンドポイントは、短期および長期アウトカムパラメータとした。

結果:
 73人の患者を登録したところ、34人が非膿性の喀痰であった。定義上、Anthonisenの増悪分類に両群で差がみられた。治療失敗の基準を満たした割合に有意差はみられなかった(9% vs 10% 、p=0.51)。入院時の血清CRPは有意に膿性群の方が高かった(11.6 vs 5.3、p=0.006)。3日目のCRPも同様に膿性群で高値であった(2.7 vs 1.2, p=0.01)。血清プロカルシトニンは両群とも同等であった。
膿性痰に基づくCOPD急性増悪の抗菌薬戦略の妥当性_e0156318_1002611.jpg
 短期アウトカムに差はみられなかった。180日時点での急性増悪率については膿性群の方が高かった。長期アウトカムとしての呼吸機能に両群に差はみられなかった。

結論:
 これらの結果は、COPD急性増悪における抗菌薬を膿性痰に基づく戦略とするランダム化試験の仮説を支持するものである。血清CRPは、細菌性気管支感染症の存在診断に有用であると考えられる。

by otowelt | 2012-12-03 00:37 | 気管支喘息・COPD

再発性Clostridium difficile感染に対する便の投与は、必要なら受けると答える患者が大多数

再発性Clostridium difficile感染に対する便の投与は、必要なら受けると答える患者が大多数_e0156318_9451897.jpg医療従事者にとっては少しメジャーな治療法になりました。

Clostridium difficile関連腸炎に対してIMT(便注入療法)は有効

便注入療法という訳もなんだか語弊がありますので、便微生物移植療法などの方がよいかもしれません。CIDから、この便を投与するという治療法に関するアンケート調査結果の論文が出ていました。意外にも、治療内容を聞いてもそれを受け入れられる方が多いことに驚きました。便を臭いと色のない錠剤にできればベストなのでしょうが、”いかなる注入方法であろうと主治医が推奨するなら受ける”という患者がほとんどでした。

Jonathan S. Zipursky, et al.
Patient Attitudes Toward the Use of Fecal Microbiota Transplantation in the Treatment of Recurrent Clostridium difficile Infection
Clin Infect Dis. (2012) 55 (12): 1652-1658. doi: 10.1093/cid/cis809


背景:
 便微生物移植療法fecal microbiota transplantation (FMT)は、安全で効果的な再発性Clostridium difficile感染症(CDI)の治療選択肢である。ただ、あまり頻繁には用いられない。この理由として、そもそもが受けれがたいものであるという患者側の前提に由来する。

方法:
 仮説に基づいた事例を含め、計画された再発性CDIのサーベイを通してわれわれはFMTの美学的忍容性と治療オプションとしてどう希望するかを検証した。
 サーベイアンケートでは、2つのシナリオを準備した。シナリオ1では、CDIの症状に悩まされている場合に選ぶ選択肢はどちらかを選んでもらった。すなわち(1)抗菌薬単独治療(治療効果65%)あるいは(2)細菌叢再構築療法“floral reconstitution” (FR)(治療効果90%)。FRとしたのは、便に対する先入観を取り払うためである。抗菌薬単独両方を選んだ場合、なぜその選択肢を選んだか尋ねた。シナリオ2では、FRがFMTであることを詳細に記載した内容とした。

結果:
 400のサーベイが配布され、192人(48%)が回答した。70%の回答者が女性であり、59%が50歳以上であった。
 シナリオ1の効果的データのみを提供すると、162人の回答者(85%)がFMTを受けると答え、29人(15%)が抗菌薬単独治療を選んだ。なぜ抗菌薬単独を選んだか聞くと、15人(52%)が抗菌薬単独治療で十分だろうと考え、14人(48%)がFRについて詳しい内容を聞いていないから、と答えた。
 シナリオ2でFMTが便を注入するものだと知らされると、16の回答者はFMTから抗菌薬単独治療に変更を希望し、8人が抗菌薬単独療法からFMTに変更を希望した。ただこれによって、FMTを選んだ人の合計数の変化には統計学的に有意差はなかった(154人 [81%]; P = .15)。この時点で37人になった抗菌薬単独療法群の患者にその理由を尋ねたところ、19人(51%)は安全性の懸念をもち、16人(43%)はFRが”気持ち悪すぎる(too gross)”と答えた。
 錠剤としてFMTが提供されるのであれば、あるいは主治医がこれを治療選択肢として推奨するならば、FMTを選ぶと答えた回答者が多かった(90%; P = .002、94%; P < .001)。錠剤として提供される可能性、においや色をなくすことができることなどFMTの詳細な情報提供を受けた場合、FMTを選択する患者は有意に増えた。
再発性Clostridium difficile感染に対する便の投与は、必要なら受けると答える患者が大多数_e0156318_930141.jpg

 回答者は、FMTが全体的に”なんかイヤだ・魅力的でない(unappealing)”と評価しており、”便を扱うこと”と”経鼻チューブでFMTを受けること”がよりイヤだと考えている。女性回答者はこの傾向が強く、高齢者はあまりこの傾向が強くなかった。ほとんどの回答者は、FMTを病院内や主治医の職場で受けることが望ましいとしている(48%、39%)。

結論:
 患者はFMTを本来あまりよいものと思っていないが、再発性CDIに対する治療選択肢という情報を与えられ、特に主治医が推奨する場合には考慮してもよいと思っている。

by otowelt | 2012-12-01 00:48 | 感染症全般