<   2013年 05月 ( 79 )   > この月の画像一覧

COPDにおける太極拳の有用性

COPDにおける太極拳の有用性_e0156318_23131240.jpg 孫氏(孫式)太極拳は、形意拳の歩法、八卦掌の身法、武式太極拳の手法が統合されたもので、5大太極拳の1つだそうです。臨床試験の内容よりも、太極拳にたくさん種類があることの方が頭に残りました。

Regina Wai Man Leung, et al.
Short-form Sun-style t’ai chi as an exercise training modality in people with COPD
ERJ May 1, 2013 vol. 41 no. 5 1051-1057


目的:
 このスタディの目的は、短期的な孫氏(孫式)太極拳(Sun-style t’ai chi)(SSTC)の効果を調べること(part A)と、COPD患者におけるSSTCの運動強度を検証すること(part B)である。

方法:
 Part A:登録参加者はランダムに太極拳群および通常治療群(コントロール群)に割り付けられた。1週間に2回の太極拳を12週間続けた。
COPDにおける太極拳の有用性_e0156318_2237216.jpg

 Part B:太極拳群で訓練を受けた参加者が漸増シャトルウォーキングテストなどの運動試験をおこない、SSTCの酸素消費(VO2)を調べた。SSTCの運動強度はVO2予備能(%)と定義した。

Supplementary material:
COPDにおける太極拳の有用性_e0156318_22475222.jpg
▲Waving hands in the cloud
COPDにおける太極拳の有用性_e0156318_22483865.jpg
▲Perry and Punch

結果:
 42人の参加者(平均±SD一秒量が予測値の59±16%)のうち38人がpart Aを完遂し、15人がpart Bを完遂した。コントロール群と比較してSSTCは有意にシャトルウォーキング耐久時間の増加がみられた(平均差384秒, 95%信頼区間186–510)。また準継ぎ足立ち検査における中央-片側重心動揺性の減少がみられ(平均差-12.4 mm, 95%信頼区間 -21– -3)、慢性呼吸器疾患質問表において総合スコアの上昇がみられた(平均差11点, 95%信頼区間 4–18)。SSTCの運動強度はVO2予備能(%)で53±18%だった。

結論:
 COPD患者において中等度の運動強度を達成するため、SSTCは効果的なトレーニングモダリティである。


by otowelt | 2013-05-07 00:50 | 気管支喘息・COPD

胸腔鏡下ブラ切除術後の気胸再発抑制のためポリグリコール酸(PGA)シート(ネオベール)被覆追加は有用

胸腔鏡下ブラ切除術後の気胸再発抑制のためポリグリコール酸(PGA)シート(ネオベール)被覆追加は有用_e0156318_17233259.jpg既知の知見ですが、あまり臨床試験は多くありません。PGAのほかにもバイクリルやデキソンなどの吸収性シートも有効と考えられています。

Lee S, et al.
Efficacy of Polyglycolic Acid Sheet After Thoracoscopic Bullectomy for Spontaneous Pneumothorax.
Ann Thorac Surg. 2013 Apr 25. pii: S0003-4975(13)00515-8. doi:10.1016/j.athoracsur.2013.03.011.


背景:
 胸腔鏡下ブラ切除術後の気胸の再発の頻度はさまざまな処置によって改善している。このスタディの目的は、術後の気胸再発を予防するためのポリグリコール酸(PGA)シート(ネオベール)および胸膜アブレーションの有用性を調べることである。

方法:
 2009年1月から2011年8月までの間、原発性自然気胸に対して胸腔鏡下ブラ切除術を受けた257人の患者を本試験に登録した。グループAでは128人の患者が胸膜アブレーションを受けた。これらの患者とグループBの129人の胸膜アブレーション+PGAシート被覆(縫合線を含めた臓側胸膜被覆)の効果を比較した。

結果:
 術前の患者特性に概ね差はみられなかったが、グループAの患者年齢層が高かった(23.67 ± 6.54歳 vs 21.69 ± 5.65歳; p = 0.010)。グループAでは3日以上の術後エアリークがグループBよりも多く観察された(7.8% vs 2.3%; p = 0.045)。Kaplan-Meier曲線では、無再発率はグループBの方が高かった(p = 0.047)。

結論:
 胸腔鏡下ブラ切除術後のPGAシート被覆+胸膜アブレーションは術後のエアリーク遷延や再発を抑制するために有効である。


by otowelt | 2013-05-06 10:11 | 呼吸器その他

シプロフロキサシン・ドライパウダー吸入は気管支拡張症の細菌感染に対して有望か

シプロフロキサシン・ドライパウダー吸入は気管支拡張症の細菌感染に対して有望か_e0156318_14451413.jpg シプロフロキサシンの吸入は、トブラマイシン吸入のトービイ®と同じくPulmoSphereTMを使用して吸入します。気道コロナイゼーションしている緑膿菌などの耐性化が懸念されますが、本試験でMICの上昇は数人で報告されているものの、大きくDiscussionには取り上げられていません。

Robert Wilson, et al.
Ciprofloxacin dry powder for inhalation in non-cystic fibrosis bronchiectasis: a phase II randomised study
Eur Respir J 2013; 41: 1107–1115


目的:
 この第II相ランダム化二重盲検多施設共同試験(NCT00930982)では、非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者におけるシプロフロキサシン・ドライパウダー吸入(DPI)(PulmoSphereTMを使用:ノバルティスファーマ)の効果と安全性を検証する。
シプロフロキサシン・ドライパウダー吸入は気管支拡張症の細菌感染に対して有望か_e0156318_14173977.jpg
方法:
 緑膿菌やインフルエンザ桿菌などの呼吸器系病原微生物を有する培養陽性の気管支拡張症患者を、28日間にわたってシプロフロキサシンDPI 32.5mgあるいはプラセボを1日2回吸入する群にランダムに割り付けた。安定した患者のみを登録し、血痰や非結核性抗酸菌症があったり急性増悪の既往がある場合は除外基準に該当した。
 プライマリエンドポイントを治療終了後の喀痰細菌log10CFU・g-1とし、ほかに呼吸機能検査、QOL、安全性が調べられた。

結果:
 60人の患者がシプロフロキサシンDPI 32.5mgの治療を受け、64人がプラセボの治療を受けた。シプロフロキサシンDPI群は治療終了時の喀痰細菌量が有意に減少していた(-3.62 log10 CFU・g-1 [range -9.78–5.02 log10 CFU・g-1] vs -0.27 log10 CFU・g-1 [range -7.96–5.25 log10 CFU・g-1], p<0.001)。
シプロフロキサシン・ドライパウダー吸入は気管支拡張症の細菌感染に対して有望か_e0156318_14241694.jpg
 少なくとも治療期間に1回以上の増悪をきたした患者はシプロフロキサシンDPI群で22人(36.7%)、プラセボ群で25人(39.1%)と有意差はなかった(ハザード比0.802, 95%信頼区間 0.443–1.454;p=0.605)。介入を要する増悪の頻度について両群に差はみられなかった。
シプロフロキサシン・ドライパウダー吸入は気管支拡張症の細菌感染に対して有望か_e0156318_14272244.jpg
 シプロフロキサシンDPI群では、35%の患者が微生物学的根絶(eradication)を達成した(vs 8%, p=0.001)。
シプロフロキサシン・ドライパウダー吸入は気管支拡張症の細菌感染に対して有望か_e0156318_14312667.jpg
 安全性に問題はみられず、気管支攣縮の頻度も少なかった。

結論:
 非嚢胞性線維症患者において、シプロフロキサシンDPI 32.5mg1日2回28日間の治療は、忍容性があり有意に喀痰中の細菌量を減らすことができる。



by otowelt | 2013-05-05 12:01 | 感染症全般

成人一般集団でのアジスロマイシンの使用は心血管系死亡リスク上昇と関連しない

成人一般集団でのアジスロマイシンの使用は心血管系死亡リスク上昇と関連しない_e0156318_162884.jpg スタチン、ビタミンD、アジスロマイシン。いわゆる”流行”のスタディの1つと認識しているので、いつも俯瞰的に拝見しています。ただ、リスク増加が報告されている以上は安易に使用できない現状もあります。

Henrik Svanström, et al.
Use of Azithromycin and Death from Cardiovascular Causes
N Engl J Med 2013;368:1704-12.


背景:
 アジスロマイシンを使用することは、ベースラインの高リスク患者では心血管系による死亡のリスク上昇と関連しているとされている。しかしながら、任意に抽出した一般人口集団で同様のリスク上昇がみられるかどうかはわかっていない。

方法:
 18歳から64歳のデンマークの成人を対象としたコホート研究で、1997年から2010年における処方箋、死因、患者背景に関する登録データを用いてアジスロマイシンと心血管系死亡リスク上昇の関連を調査した。
 心血管系による死亡の発生率比を、アジスロマイシン使用110万2050件と抗菌薬を使用しない場合との比較(傾向スコアによる1:1でマッチ。エピソード合計220万4100件)をおこなった。また、アジスロマイシン使用110万2419件とペニシリンV使用736万4292件とのアンマッチ比較もおこなった。

結果:
 心血管系による死亡リスクは、アジスロマイシンを使用中(5日間の治療エピソードと定義)の場合、抗菌薬を使用しない場合と比較して有意に増加した(発生率比2.85、95%信頼区間1.13~7.24)。使用抗菌薬との比較では、心血管系による死亡はアジスロマイシン使用中に17件(粗死亡率1.1/1000人年)、ペニシリンV使用中の場合に146件(粗死亡率1.5/1000人年)観察された。傾向スコアによって補正した場合、アジスロマイシンの使用はペニシリンVと比較して心血管系死亡リスク上昇とは関連していなかった(発生率比 0.93、95%信頼区間0.56~1.55)。アジスロマイシン使用は、ペニシリンV使用と比べて補正後絶対リスク差が、治療100万件あたり心血管系死亡-1件(95%信頼区間-9~11)だった。
成人一般集団でのアジスロマイシンの使用は心血管系死亡リスク上昇と関連しない_e0156318_16223416.jpg
成人一般集団でのアジスロマイシンの使用は心血管系死亡リスク上昇と関連しない_e0156318_16262638.jpg
結論:
 18歳から64歳の成人の一般人口集団でのアジスロマイシン使用は、心血管系による死亡のリスク上昇とは関連しない。


by otowelt | 2013-05-04 16:04 | 感染症全般

肥満患者ではボリコナゾールの血中濃度が想定より上がる

肥満患者ではボリコナゾールの血中濃度が想定より上がる_e0156318_22382295.jpg
 最近、かなりBMIが高い侵襲性肺アスペルギルス症の患者さんに対してボリコナゾールを使用しました。しかしながら血中濃度がかなり高く出たため、改めて気をつけようと兜の緒を締め直しました。
 最近の臨床試験をいくつかピックアップしてみました。


Hoenigl M, et al.
Potential Factors for Inadequate Voriconazole Plasma Concentrations in ICU Patients and Patients with Haematological Malignancies.
Antimicrob Agents Chemother. 2013 Apr 29.


背景:
 ボリコナゾールの血中濃度(VPCs)は多様に変化し、治療域を出ると侵襲性アスペルギルス症(IA)のアウトカムを悪化させたり、毒性を増加させたりする。
 このスタディの目的は、実臨床において不適切なVPCs例をICU患者および血液悪性腫瘍患者で抽出し、そのリスク因子を検証することである。

方法:
 12ヶ月におよぶ試験の間、VPCsを高速液体クロマトグラフィーで解析した症例を抽出した。適切な血中濃度は1.5-5.5 mg/Lと定義した。VPCs <1.5mg/Lは血中濃度低値、VPCs >5.5 mg/Lは潜在的毒性域と想定した。

結果:
 ボリコナゾールを投与された61人のうち、合計221のVPCs測定例を抽出した。
 221のうち124(56%)が血中濃度低値であった。多変量解析ではVPCs低値は、ボリコナゾールの治療失敗、予防的使用例、若年例、基礎疾患としての血液悪性腫瘍の存在、プロトンポンプ阻害薬の併用、副作用がないことと有意に関連していた。またVPCs低値は、ボリコナゾールの臨床的失敗の独立予測因子でもあった。適切な血中濃度であったのは221のうち79(36%)だった。そして18検体(8%)において潜在的毒性域が測定された。多変量解析では、BMI高値、血液悪性腫瘍がないこと、治療適応例、下痢がVPCs高値のリスク因子であった。神経学的副作用は6人の患者にみられ、ほとんどが上位4分の1の濃度例にみられた。

結論:
 ボリコナゾールの治療にあたっては若年例、予防的使用、基礎疾患としての血液悪性腫瘍の存在、BMI、プロトンポンプ阻害薬の併用の因子を考慮する必要があるだろう。


Davies-Vorbrodt S, et al.
Voriconazole serum concentrations in obese and overweight immunocompromised patients: a retrospective review.
Pharmacotherapy. 2013 Jan;33(1):22-30. doi: 10.1002/phar.1156.


目的:
 肥満患者および過体重の免疫抑制患者において、ボリコナゾールの用量と血中濃度の関連を評価すること。

方法:
 包括的がんセンターにおけるレトロスペクティブ試験である。対象は92人の血液悪性腫瘍または造血幹細胞移植を受けたボリコナゾール投与患者である。124の血中濃度が解析対象となった。
 患者背景、ボリコナゾール血中濃度、その他の臨床的因子、安全性データが抽出された。患者はBMIによって層別化された。

結果:
 高いBMI患者はボリコナゾール血中濃度(ランダム値)が有意に高かった(BMI25以上:6.4 mg/L BMI25未満:2.8 mg/L, p=0.04)。この傾向は経口ボリコナゾールよりも静脈注射製剤のほうが顕著であった。経口ボリコナゾールの場合、BMI25以上とBMI25未満では血中濃度はそれぞれ2.8 mg/L、2.0 mg/Lだった(p=0.18)。BMI25以上の患者は一日ボリコナゾールの用量も多かった(640 vs 400 mg, p<0.001)。
 ボリコナゾール血中濃度高値はALTが正常上限の3倍以上の上昇になった患者の比率と関連していた。ボリコナゾールの血中濃度(ランダム値)2 mg/L以上は、高い治療反応性と関連していた(50% vs 33% [2mg/L未満])。

結論:
 肥満患者や過体重の患者では、実際の体重に基づいてボリコナゾールの用量を用いると、血中濃度が高くなる。そのため、こういった集団では適切な血中濃度を維持するために体重を補正する必要があるかもしれない。


Koselke E, et al.
Evaluation of the effect of obesity on voriconazole serum concentrations.
J Antimicrob Chemother. 2012 Dec;67(12):2957-62


方法:
 ボリコナゾールの血中濃度と毒性を肥満患者(BMI35超)と正常体重患者(BMI18.5-24.9)で比較した。用量はボリコナゾール4 mg/kg、12時間ごとの投与とした。

結果:
 肥満群(21人)では有意にボリコナゾールの平均血中濃度が正常体重群(66人)より高かった(6.2 vs 3.5 mg/L, P < 0.0001)。肥満群では有意にボリコナゾールの治療域以上の濃度(>5.5mg/L)の比率が高かった(67% vs 17%, P < 0.0001)。しかしながら、肝毒性および神経毒性の頻度は2群で差はみられなかった。
 肥満患者の解析において、理想体重に基づいた計算、補正体重に基づいた計算、実際の体重に基づいた計算では血中濃度に有意な差がみられた(それぞれ3.95、3.3、6.2 mg/L、P = 0.0009)。実際の体重に基づいた計算の場合、治療域にあったのはたった29%の患者であった。

結論:
 実際の体重に基づいた計算の場合、ボリコナゾール4mg/kg、12時間ごとの投与量では血中濃度が高くなってしまう。特に肥満患者の場合、理想体重や補正体重を用いる必要があるだろう。



by otowelt | 2013-05-04 00:00 | 感染症全般

肺炎の診断時にCRPを追加することは有用

肺炎の診断時にCRPを追加することは有用_e0156318_14504913.jpg 個人的にはCRPはかなり有用だと思って臨床で使用しています。少なくとも盲目的にALPやLDHを測定するよりはましだろうと思っています。
 読んでみてわかったのですが、論文の内容があまりにも難しすぎました。

Saskia F van Vugt, et al.
Use of serum C reactive protein and procalcitonin concentrations in addition to symptoms and signs to predict pneumonia in patients presenting to primary care with acute cough: diagnostic study
BMJ 2013;346:f2450 doi: 10.1136/bmj.f2450 (Published 30 April 2013)


目的:
 肺炎の臨床症状や徴候に加えて選択した炎症性マーカーを使用することの診断精度を検証し、診断的ツールとして妥当かどうか調べる。

方法:
 2007年から2010年までの間、12のヨーロッパのプライマリケアセンターでおこなわれた(GRACE-09 study [Genomics to combat Resistance against Antibiotics in Community-acquired LRTI in Europe; www.grace-lrti.org])。
 参加者は成人で急性咳嗽を呈した者とし、コンサルト初日に病歴聴取、身体診察、血清CRP測定、血清プロカルシトニン測定をおこなわれ、7日以内に胸部レントゲンを撮影された。
 肺炎は放射線科医によって診断され、臨床情報に関しては放射線科医には知らされなかった。

結果:
 294人の医療従事者によって3106人の患者が適格基準を満たしたが、286人がデータ無・不適切な胸部レントゲンなどで除外された。28日死亡率はゼロで、11人の患者(0.5%)が入院を要した。
 除外基準で省かれた残りの2820人(平均年齢50歳、40%が男性)のうち140人(5%)が肺炎を有していた。1675人の胸部レントゲンで観察者間一致をこころみたところ、94%で一致していた(Cohenの重み付き一致係数κ=0.45,95%信頼区間0.36 to 0.54)。6つの公表している"症状と徴候モデル"では、この判別性にばらつきがみられた(ROC曲線下面積:0.55 [95%信頼区間0.50 to 0.61] ~0.71 [0.66 to 0.76])。
 われわれの患者における臨床的予測項目の組み合わせは、鼻汁がないこと、呼吸困難感の存在、cracklesや呼吸音減少などの聴診所見、100/分以上の頻脈、37.8℃以上の発熱でROC曲線下面積は0.70(95%信頼区間0.65 to 0.75)だった。Hosmer-Lemeshow検定は7.35(df=8, P=0.50)。
 肺炎のある患者での平均血清CRP値は19 mg/L(日本では1.9mg/dL)であった。血清CRP値を臨床症状および徴候モデルに加えることで肺炎に対する多変量オッズ比は上昇した。追加的CRPのHosmer-Lemeshow検定は10.69(df=8, P=0.22)。カットオフ値30mg/L(日本では3mg/dL)でCRPを加えると、ROC曲線下面積は0.77 (95%信頼区間0.73 to 0.81)に改善した(Hosmer-Lemeshow検定9.67 [df=8, P=0.29])。
肺炎の診断時にCRPを追加することは有用_e0156318_14324225.jpg
 CRPを項目に加えることで低リスク患者は1556人(31.2%)になり、肺炎の頻度は2%だった。一方、高リスクと判断された132人の患者では、肺炎の頻度は31%となった。CRPを加えた場合、低リスク、中リスク、高リスクで陽性尤度比はそれぞれ0.4, 1.2, 8.6だった。
 プロカルシトニンの測定は追加的診断情報に影響はもたらさなかった。
肺炎の診断時にCRPを追加することは有用_e0156318_14423393.jpg
結論:
 プライマリケアで急性咳嗽のある成人患者で、臨床症状、徴候に基づく臨床ルールは、軽症あるいは重症の所見がある患者で最良の診断的価値をもたらす。
 2820人の急性咳嗽患者のうち胸部レントゲンで肺炎と診断されたのは140人(5%)だった。肺炎を予測する臨床症状や徴候は、鼻汁がないこと、呼吸困難感の存在、cracklesや呼吸音減少などの聴診所見、100/分以上の頻脈、37.8℃以上の発熱である。これらは肺炎低リスク患者あるいは高リスク患者を正しく同定することができる。さらに、血清CRPを測定することは肺炎を正しく除外するのに役立つ。プロカルシトニンには付加的価値はなかった。


by otowelt | 2013-05-03 00:45 | 感染症全般

Ziehl-Neelsen染色の考案者1:Franz Ziehl

Ziehl-Neelsen染色の考案者1:Franz Ziehl_e0156318_2339052.jpg
 Franz Ziehlは1857年4月にドイツのヴィスマールに市役所職員の息子として生まれました。彼はハイデルベルグ大学で医学を学び、24歳(1881年)のときに同大学を卒業しました。医師免許を取得したあと、彼は1887年までクリニックの内科で研鑽を積みました。その後、彼の父親が逝去したため、経済的理由からリューベックへ移り住んだと言われています。彼は神経内科学に精通しており、リューベックの地でも神経内科医として働いていたそうです。その一方で細菌学にも非常に明るかったそうです。

 1882年3月24日に当時有名な細菌学者であったRobert Kochによって結核菌が発見され、世界中の学者の間で話題になりました。Ziehlをはじめ、Ehrlich、Neelsenなどの多くの研究者にとって染色法の確立が目下の課題であり、互いに競い合うように、また互いに協力し合って染色法の確立を研究しました。

 Ziehlは最も早く結核菌に対する石炭酸フクシン染色の方法を提示しました。入手が難しいアニリンに変わって、石炭酸フクシンを用いる方法は画期的でした。
Ziehl, F.: Zur Färbung des Tuberkelbacillus. Dt. Med. Wschr. 1882; 8: 451.

 このZiehlの染色は、翌年Friedrich Neelsenによって硫酸による脱色過程とメチレンブルーによる対比染色を追加改良されました。

 その後、アメリカで「Ziehl-Neelsen染色」として紹介されたため、この名前が世界中に知られるようになりました。抗酸菌が石炭酸フクシンによりって赤く染まり、 背景をメチレンブルーで対染色を行なうことによって、コントラストがしっかりとした染色法は一躍有名になりました。しかしながら、これらの染色の成功は、Koch、Ehrlich、Rindfleisch、Ziehl、Neelsenの誰が欠けてもなしえなかった偉業であることから、染色名をZiehlとNeelsenのみに限定するのはおかしいのではないかという意見もあります。Koch-Ehrlich-Rindfleisch-Ziehl-Neelsen染色にすべきだという見解もあります。

 1926年4月、Ziehlはリューベックの地で逝去しました。彼の偉業は、現在も抗酸菌染色にその名を残しています。


<音楽と医学>
モーツァルトの死因は毒殺だったのか?
ラフマニノフはMarfan症候群ではなかったのかもしれない
ショパンの死因は結核ではなかったかもしれない
ベートーヴェンの難聴と肝硬変の原因はワインの飲みすぎによる鉛中毒
ブラームスは外科医ビルロートの親友だった

<偉人たち>
Ziehl-Neelsen染色の考案者1:Franz Ziehl
Ziehl-Neelsen染色の考案者2:Friedrich Carl Adolf Neelsen
Boerhaave症候群の提唱者:Herman Boerhaave
Pancoast腫瘍の提唱者:Henry Pancoast
Clara細胞の発見者:Max Clara
サコマノ法の考案者:Geno Saccomanno
Mendelson症候群の提唱者:Curtis Lester Mendelson
Hoover徴候の提唱者:Charles Franklin Hoover
Gram染色の発見者:Hans Christian Joachim Gram




by otowelt | 2013-05-02 07:16 | コラム:医学と偉人

Dr.くらはらの呼吸器図鑑

Dr.くらはらの呼吸器図鑑_e0156318_114543100.jpg
 宣伝です、すいません。 
 救急隊員向けの情報誌『プレホスピタル・ケア』(東京法令出版)で4月号から連載を開始します。呼吸器と救急の関わりについてできるだけ面白く書けるよう頑張ります。


 オンラインではFujisan.co.jpから購入できます。

by otowelt | 2013-05-01 10:08 | その他

小児におけるClostridium difficile感染症の頻度は想定されているよりも多い

小児におけるClostridium difficile感染症の頻度は想定されているよりも多い_e0156318_944728.jpgDiscussionでは、検査の質の向上や医療従事者のCDI周知のために、頻度が増加したのだろうと考察されています。

Sahil Khanna, et al.
The Epidemiology of Clostridium difficile Infection in Children: A Population-Based Study
Clin Infect Dis. (2013) 56 (10): 1401-1406


背景:
 当初リスクが低いと想定されていた小児のような集団でも近年Clostridium difficile感染症(CDI)は増加している。多くの臨床試験は入院患者を対象にしたものであり、入院バイアスなどによって潜在的に影響を受けている。

方法:
 ミネソタ州オルムステッド郡において、1991年から2009年までの間われわれは小児住民(0歳~18歳)におけるCDIの頻度や重症度、治療反応、アウトカムについての集団ベース研究を行った。

結果:
 99人のCDI患者が同定されたが、7人は下痢がないなどの理由で除外された。そのため、92人のCDI患者を解析した。年齢中央値は2.3年(1ヶ月~17.6歳)であった。75%の症例は市中発症だった。
小児におけるClostridium difficile感染症の頻度は想定されているよりも多い_e0156318_9381996.jpg

 年齢および性別を調整したCDIの頻度は10万人あたり13.8人であった。時期別では1991年~1997年の10万人当たり2.6人から2004年~2009年の32.6人に12.5倍に増加していた(P < .0001)。市中発症CDIの頻度は10万人あたり10.3人であり、これも時期別では1991年~1997年から2004年~2009年にかけて10.5倍に増加していた(P < .0001)。
小児におけるClostridium difficile感染症の頻度は想定されているよりも多い_e0156318_9373477.jpg

 重症(白血球15000以上・クレアチニン値50%以上の上昇)、重症複雑性(敗血症・低血圧・イレウス・中毒性巨大結腸症・消化管穿孔・ICU入室の必要性・CDI関連合併症での外科手術・死亡)、再発性のCDIはそれぞれ9%、3%、20%の患者にみられた。初期治療は82%がメトロニダゾールであり、18%が治療失敗を経験していた。初期治療がバンコマイシンであった患者は8%で、治療失敗は観察されなかった。

結論:
 集団ベースコホート試験において、小児におけるCDIの頻度は1991年から2009年にかけて有意に増加していた。このCDIの多くの症例が市中発症であり、CDIの小児における頻度を院内発症に限定している現状では小児における疾患のひろがりを過小評価している可能性が示唆される。



by otowelt | 2013-05-01 00:18 | 感染症全般