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喫煙習慣のある女性心房細動患者では脳卒中または死亡リスクが上昇

喫煙習慣のある女性心房細動患者では脳卒中または死亡リスクが上昇_e0156318_2026261.jpg 心房細動に対する喫煙のリスクは思っていたよりも高いのかもしれませんね。

Albertsen IE, et al.
The impact of smoking on thromboembolism and mortality in patients with incident atrial fibrillation: insights from the Danish Diet, Cancer and Health study.
Chest. 2013 Oct 3. doi: 10.1378/chest.13-1740.


背景:
 喫煙と心房細動は世界的に主要な健康問題であある。この試験の目的は、喫煙が女性の心房細動患者において脳卒中や死亡のリスクを上昇させるかどうか調べたものである。この仮説を調べるため、大規模なデンマークのコホートを用いた。

方法:
 対象患者は、この大規模コホート研究に参加した50~64歳の57053人(男性27178人、女性29876人)である。このうち心房細動を発症したのは3161人(平均年齢66.9歳、男性2032人、女性1129人)であり、Cox比例ハザードモデルを用いて喫煙習慣による脳卒中または死亡を評価した(追跡期間中央値4.9年)。

結果:
 非喫煙者29.6%、既往喫煙者36.5%、現喫煙者33.9%だった。この喫煙習慣別に脳卒中または死亡のリスク人年を算出すると、非喫煙者は3.2/100人年、既往喫煙者は4.6/100人年、25g/日以下喫煙者は8.1/100人年、25g/日超喫煙者は11.5/100人年だった。ビタミンK拮抗薬投与による補正後ハザード比は、非喫煙者に対したばこ消費量25g/日超の喫煙者で最も高く、男性2.73(95%信頼区間2.02~3.70)、女性3.13(95%信頼区間1.72~6.37)であった。ビタミンK拮抗薬、うっ血性心不全、高血圧、糖尿病、脳卒中・一過性脳虚血発作の既往、心血管、年齢による補正ハザード比は、非喫煙者に対してたばこ消費量25g/日超の喫煙者で最も高かった。

結論:
 脳卒中に対する一般的な交絡因子で補正した場合、女性の心房細動患者における脳卒中または死亡のリスク上昇が大きかった。


by otowelt | 2013-10-18 00:08 | 呼吸器その他

日本におけるCOPDの認知度は低い?

日本におけるCOPDの認知度は低い?_e0156318_23175684.jpg 呼吸器学会誌の原著論文です。要旨のみを記載します。COPDという名前ではなく、もう少し国民に浸透しやすい病名の方がよいのかもしれません。GOLD日本委員会調査では認知度は上昇しているとされていますが、個人的にはあまり認知度は高くないと思っています。

GOLD日本委員会調査:COPD認知度は28.1%に上昇

宇野友康ら.
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の認知度調査および普及向上の検討
日呼吸誌, 2(5): 536-543, 2013


背景:
 NICE studyで得られた慢性閉塞性肺疾患(COPD)の有病率から,40歳以上の日本人の約530万人がCOPDに罹患していると考えられ,2030年には世界の死因の第3位になると予測されている.一方で我が国のいわゆる三大生活習慣病と比し,COPDがいまだ広く認知されていない現状があると推測される.

方法:
 そこでCOPDの認知度や普及向上のために必要なことを,比較的農村地域の病院に来院した18歳以上をを対象に2010年9月に実施した335例のアンケート調査(自由参加型・選択および自己記入形式調査)から検討した.

結果:
 COPDを「知っている」との回答はわずかに9.3%と低く,認知度が低い理由として「自分に関係が薄い」が16.6%,「疾患概念が認識しにくい」が62.1%,「日本語ではないこと」が44.8%との回答(複数回答形式)であった.「覚えやすく,わかりやすい」病名についての質問では,COPDガイドライン3版で明記されたタバコ煙(喫煙)に関する見解を基に使用した「タバコ病」が最も多く,「慢性タバコ肺」・「肺生活習慣病」などが続いた.肺年齢についてもCOPDと同様に「知っている」との回答は5.3%と認知度が低かった.普及率向上についての回答は,テレビCMが最も多く,新聞雑誌・ポスター・たばこ増税と続き,講演会や市の広報などを希望する意見もみられた.

結論:
 今回の結果から,より身近な疾患として理解を浸透させるため,簡略和名の併用などが有用であると考えられた.また,都市部や農村部などの地域性も反映し,認知・普及率向上を目指した積極的な啓発活動の必要性が示唆された.


by otowelt | 2013-10-17 00:33 | 気管支喘息・COPD

一日歩数が多いほどCOPDの全身性炎症が減少

一日歩数が多いほどCOPDの全身性炎症が減少_e0156318_12265965.jpg CRPとインターロイキン6は、本当にCOPDの活動性のサロゲートマーカーになりうるのでしょうか?
 ところで、私の外来にかかりつけのCOPD患者さん、市民運動会で活躍した翌日のCRPとCPKがかなり高値でした。

MARILYN L. MOY, et al.
Daily Step Count is Associated with Plasma CRP and IL-6 in a US Cohort with COPD
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-1052


背景:
 身体活動性は重要なCOPDの臨床マーカーである。COPDはまた軽度の全身性炎症に特徴付けられている。しかしながら、COPDにおける身体活動性と全身性炎症の関連は不明である。

方法:
 171人の安定COPD患者において、我々は身体活動性の直接指標として一日の歩数を足首の装着するステップウォッチ活動モニター(Respir Med 2012;106:962-969.)を使用して測定した。運動耐容能が6分間歩行試験によって解析された。我々は血清CRPおよびインターロイキン6を測定した。一日歩数、6分間歩行距離とCRP、インターロイキン6の横断的関連性を線形回帰モデルによって検証した。

結果:
 登録患者の平均年齢は72 ± 8歳で、平均一秒量は1.5 ± 0.57 L (54 ± 20%予測値)だった。一日歩数の中央値は5,203歩[IQR 3,627-7,024]であり、CRP中央値は2.4 mg/L [IQR 1.2-5.0]、インターロイキン6中央値は2.9 pg/ml [IQR 2.0-5.1]だった。
 年齢、一秒量(%予測値)、喫煙量、心疾患、スタチン使用、急性増悪の既往、季節によって補正した場合、一日の歩数が1000増えるごとにCRP0.94 mg/L、インターロイキン6 0.96 pg/mlの減少と関連していた(P=0.020、P=0.044)。

結論:
 最も歩行するCOPD患者はCRPとインターロイキン6が低かった。これらの結果は、歩行によってCOPD患者における全身性炎症を減少させることができることを示唆する。


by otowelt | 2013-10-16 00:26 | 気管支喘息・COPD

バレニクリンは安定した大うつ病患者において抑うつ症状を増悪させることなく禁煙率を向上

バレニクリンは安定した大うつ病患者において抑うつ症状を増悪させることなく禁煙率を向上_e0156318_23175684.jpg バレニクリンとうつ病の関連については禁煙外来をしている医師にとって重要なポイントだろうと思います。

Robert M. Anthenelli, et al.
Effects of Varenicline on Smoking Cessation in Adults With Stably Treated Current or Past Major Depression: A Randomized Trial
Ann Intern Med. 2013;159(6):390-400.


背景:
 うつ病は喫煙者に多くみられる。

目的:
 うつ病患者の禁煙治療で、バレニクリン(チャンピックス®)あるいはプラセボを内服した場合の、禁煙と気分・不安の変化について評価すること。

デザイン:
 第4相多施設共同二重盲検ランダム比較試験。

参加施設:
 8ヶ国38施設。

対象:
 現在あるいは過去において大うつ病に対して治療され安定している患者で、最近の心血管イベントのない喫煙者525人。

介入:
 バレニクリン1mg1日2回投与あるいはプラセボを投与した。12週間の投与期間とその後40週間の非治療観察期間を設定した。

評価項目:
 プライマリアウトカムは、9~12週での一酸化炭素確認による持続的禁煙率(carbon monoxide-confirmed continuous abstinence rate: CAR)とした。その他のアウトカムは、非治療観察期間のCARと、気分・不安評価(Montgomery–Åsberg Depression Rating Scale:MADRS)、自殺念慮・自殺行動とした。

結果:
 試験の結果、バレニクリン群の68.4%、プラセボ群の66.5%が試験を完遂した。9~12週におけるCARは、バレニクリン群がプラセボ群に比べ優位に高かった(35.9% vs. 15.6%;オッズ比3.35[95%信頼区間2.16~5.21]、P < 0.001)。9~24週(25.0% vs. 12.3%、オッズ比 2.53[95%信頼区間1.56~4.10]、P<0.001)、9~52週(20.3% vs. 10.4%、オッズ比2.36[95%信頼区間1.40~3.98]、P=0.001)においても同様の結果であった。
 両群間で自殺念慮・自殺行動に有意差はなく、両群ともうつ病や不安の全体的な増悪は観察されなかった。
バレニクリンは安定した大うつ病患者において抑うつ症状を増悪させることなく禁煙率を向上_e0156318_21371444.jpg
(文献より引用:ベースラインからのMADRS平均変化)

 最も多い副作用は嘔気だった(バレニクリン群 27.0%、プラセボ群 10.4%)。バレニクリン群の2人が非治療観察期間に死亡した。

limitations:
 この試験では一部のデータが不足しており、また稀なイベント差を検出するための検定力が乏しい。また未治療のうつ病患者、他の精神疾患を合併した患者、気分安定剤や抗精神病薬を内服中の患者は含まれていない。

結論:
 現在あるいは過去において、治療安定が得られている大うつ病患者に対し、バレニクリンは抑うつ症状や不安を増悪させることなく、禁煙率を向上させることができる。


by otowelt | 2013-10-15 00:16 | 呼吸器その他

気管支鏡検査におけるガイドシースサクション法

気管支鏡検査におけるガイドシースサクション法_e0156318_9511053.jpg 学会誌なので要旨のみを記載しますが、素晴らしい内容だと思います。勉強になりました。

関根聡子ら.
原発性肺癌の気管支鏡検査におけるガイドシース吸引検体採取法(ガイドシースサクション法)の検討
気管支学:35(5),481─486,2013


背景:
 気管支鏡検査において,近年肺末梢病変に対するガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(EBUS-GS)を用いた擦過,生検が普及してきている.このEBUS-GSによる検体採取後のガイドシースの内腔には診断に寄与する検体が付着している.目的.ガイドシース内に採取される検体が診断に有用かを検討した.
方法:
 EBUS-GSによる擦過と生検後に,ガイドシースにさらにシリンジで陰圧をかけて検体を吸引採取する手技(以下ガイドシースサクション法)を行った.2011年4月から12月に,EBUS-GSを用いた気管支鏡検査を行って最終的に原発性肺癌と診断された症例のうち,検査時にガイドシースサクション法を追加して施行し得た症例について,レトロスペクティブな検討を行った.

結果:
 対象症例は43例(男性29例,女性14例),平均年齢は71.8歳.腫瘍の部位は左上葉5例,左下葉8例,右上葉12例,右中葉6例,右下葉12例で,腫瘍長径中央値は29 mmであった.擦過細胞診は39例/43例(90.7%),生検組織診は35例/42例(83.3%),気管支洗浄液細胞診は19例/41例(46.3%)で陽性であった.ガイドシースサクション法では全例で吸引液の塗抹標本が作製でき,32例/43例(74.4%)で陽性であった.また9例では本法で組織標本を作製でき6例で診断が可能であった.このうち2例では免疫染色や遺伝子検査も施行し得た.
 擦過細胞診,生検組織診のいずれでも診断確定できなかった3例のうち1例については,本法による細胞診を追加することで診断できた.気管支鏡のいずれの手技でも診断がつかなかった2例は,のちの手術で両者とも肺腺癌と診断された.腫瘍の部位や腫瘍径による本法の陽性率の違いはなく,この手技による合併症もなかった.

結論:
 気管支鏡検査におけるガイドシースサクション法は有用な検体採取法である.


by otowelt | 2013-10-14 00:05 | 気管支鏡

抗酸菌症エキスパート制度

医師向けの資格ではありませんが、結核病学会から新しい資格の会告がありました。

・登録抗酸菌症エキスパート(非会員対象) Registered Expert for Mycobacteriosis
・認定抗酸菌症エキスパート(日本結核病学会会員) Certified Expert for Mycobacteriosis


応募資格
次の1 から3 の条件を満たす場合に応募できます。
1. 看護師,准看護師,保健師,薬剤師,診療放射線技師,臨床検査技師,栄養士・管理栄養士,理学療法士,その他,認定制度委員会が認めた資格を有する者
2. 前項に掲げた資格の職歴が合わせて3 年以上を有する者
3. 本学会審議会が指定したセミナー等に参加し,所定単位50 点以上を取得した者

by otowelt | 2013-10-13 08:56 | 抗酸菌感染症

モーツァルトの死因は毒殺だったのか?

モーツァルトの死因は毒殺だったのか?_e0156318_10322443.jpg ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756年~1791年)は、世界中で胎児教育にもしばしば使用されるくらい有名な作曲家です。ハイドンやベートーヴェンと並んでウィーン古典派三大巨匠の一人とされています。ベートーヴェンはどちらかというと近代寄りの作風なので、ひとくくりにすると違和感を感じますが。モーツァルトは神聖ローマ帝国皇室宮廷室内作曲家、神聖ローマ帝国皇室クラヴィーア教師、ヴェローナのアカデミア・フィラルモニカ名誉楽長などを務めました。

 個人的にはモーツァルトの曲は、近代・ロマン派と比べてあまりメロディアスな曲風ではないため、そこまで好きというわけではありません。ただ、ピアノ協奏曲の完成度はいずれも高いと思っています。
モーツァルトの死因は毒殺だったのか?_e0156318_10254989.jpg
(ピアノ協奏曲第22番 K.482)

 モーツァルトのレクイエムは、彼の死によってその作曲が中断されました。
モーツァルトの死因は毒殺だったのか?_e0156318_10315854.jpg
(モーツァルトのレクイエム)

 モーツァルトの死因については驚くほどの説があり、いまだに不明です。Wikipediaによれば「―――症状としては全身の浮腫と高熱であったという。ウィーン市の公式記録では急性粟粒疹熱とされる。実際の死因はリウマチ熱であったと考えられている」と記載されています。
Baroni CD. The pathobiography and death of Wolfgang Amadeus Mozart: from legend to reality. Hum Pathol. 1997 May;28(5):519-21.

 しかし、過去の報告を集めると死因については実に140もの説があるとされており、死因に関連のなかったものも85の併存疾患が報告されています。これらの報告のうち、憶測の域を出るものはあまり多くありません。調べた限りでは、音楽家の中で最も医学的に死因に諸説のあるのがモーツァルトです。
Karhausen LR. Mozart's 140 causes of death and 27 mental disorders. BMJ. 2010 Dec 10;341:c6789.

 最終的に腎不全に陥ったであろうことは多くのコンセンサスが得られていますが、そこに至るプロセスを論じた報告はさまざまです。モーツァルトを目の敵にしていたアントニオ・サリエリがヒ素によって毒殺したという説は有名でしょう(死の間際に毒殺を自白したとされています)。当時、美顔用化粧水にヒ素が入っていたため、ヒ素の入手は容易だったと考えられます。
Hatzinger M, et al. Wolfgang Amadeus Mozart: the death of a genius. Acta Med Hist Adriat. 2013;11(1):149-58.

 また、慣習的治療法として用いられていた瀉血が致死的になったのではないかという意見も多くの賛同を集めています。モーツァルトに対して瀉血が何度行われたのかわかりませんが、危険な行為であったことは明白です。

 頭蓋骨には左側頭骨の骨折があったという報告もありますが、おそらく陳旧性の外傷をみているだけではないかと思いました。直接の死因になったとは考えにくいと思います。

 もし毒殺でないなら、リウマチ熱から心臓弁膜症に陥り、晩年瀉血によって貧血と心不全を発症し、死亡したと考えるのが妥当な流れではないかと考えています。サリエリに毒殺されたのかどうかは、物的証拠の無い現代では証明できません。

<音楽と医学>
モーツァルトの死因は毒殺だったのか?
ラフマニノフはMarfan症候群ではなかったのかもしれない
ショパンの死因は結核ではなかったかもしれない
ベートーヴェンの難聴と肝硬変の原因はワインの飲みすぎによる鉛中毒
ブラームスは外科医ビルロートの親友だった

<偉人たち>
Ziehl-Neelsen染色の考案者1:Franz Ziehl
Ziehl-Neelsen染色の考案者2:Friedrich Carl Adolf Neelsen
Boerhaave症候群の提唱者:Herman Boerhaave
Pancoast腫瘍の提唱者:Henry Pancoast
Clara細胞の発見者:Max Clara
サコマノ法の考案者:Geno Saccomanno
Mendelson症候群の提唱者:Curtis Lester Mendelson
Hoover徴候の提唱者:Charles Franklin Hoover
Gram染色の発見者:Hans Christian Joachim Gram



by otowelt | 2013-10-12 00:17 | コラム:医学と偉人

ADL低下と慢性心疾患は、抗結核薬によるビリルビン上昇を伴う薬剤性肝障害のリスク

ADL低下と慢性心疾患は、抗結核薬によるビリルビン上昇を伴う薬剤性肝障害のリスク_e0156318_15222350.jpg 個人的にはあまりビリルビンが上昇した結核患者さんは経験したことがありません。

Kato H, et al.
Risk Factors for Liver Injury with an Elevated Serum Bilirubin Concentration Caused by Antituberculous Drugs
Internal Medicine Vol. 52 (2013) No. 19 p. 2209-2214


目的:
 血清ビリルビン濃度の上昇による薬剤性肝障害(DILI)のリスク因子について満足した研究はほとんどない。

方法:
 われわれは、日本における2病院に入院した結核患者コホートを使用して観察試験を実施した。ADLの低下はBarthel Indexスコアによって80未満と定義した。結核患者はDOTSのもと標準治療を受けた。

結果:
 356人の患者が登録された。内訳は、244人(68.5%)が男性、112人(31.5%)が女性であった。平均年齢は63.8±20.2歳だった。血清ビリルビン濃度2.0mg/dL以上のDILIがなかった患者と比較すると、DILI患者ではADL低下が観察され、慢性心疾患を有する傾向が高く、アルブミン低値、AST高値であった。またDILI例ではピラジナミドを含む4剤併用レジメンの頻度が少なかった。
 ロジスティック回帰分析によれば、ADL低下が最もDILIを予測する因子であった(オッズ比16.5、95%信頼区間1.7~159、p = 0.015)。また、慢性心疾患もオッズ比を上昇させた(オッズ比4.0、95%信頼区間1.2~12.6、p=0.020)。
ADL低下と慢性心疾患は、抗結核薬によるビリルビン上昇を伴う薬剤性肝障害のリスク_e0156318_15182752.jpg
(文献より引用)

結論:
 ADL低下と慢性心疾患は血清ビリルビン濃度2.0mg/dL以上のDILIのリスクである。


by otowelt | 2013-10-11 00:05 | 抗酸菌感染症

PubMedを適度に使う方法

PubMedを適度に使う方法_e0156318_8501792.jpg●はじめに
 文献検索をする際、「パブメド(PubMed)」は最も使いやすい検索ツールの1つです。私も1日1回は必ずアクセスしています。PubMedは世界約70か国、5000誌の文献を検索することが可能な医学文献データベースとして有名です。1950年以降の文献が収載されており、MEDLINEと基本的には同じデータベースです。

 しかし、「PubMed」と聞けばアレルギーを起こす若手医師もいるでしょう。その理由は、「医学論文の文献検索が難しく感じるから」です。これは、若い頃に文献検索のノウハウをいきなりアドバンスな各論から教えられ、意味不明のまま研修医時代を過ごしてしまったからだと思います。私も研修医の頃、そんな難しいカスタマイズはいらないから、とりあえず最低限のことだけ教えて欲しいと思っていました。MeSHだかNASHだかよくわからない専門用語も出てきて、匙を投げてしまったこともあります。

 私は、ブログを書いているうちにPubMedを使うことができるようになりました。そう、実はPubMedって簡単なんです。蓋を開けてみても、全く難しくない。


●適度な使い方
 最低限のPubMedの使い方は、Googleと同じです。検索ワードをタイプして検索するだけです。たったそれだけです。繰り返しますが、PubMedはただの検索ツールです。もちろん自分仕様にカスタマイズしてもいいですが、ややこしいと思うならまずは検索ワードを打ち込んでどんどん検索することです。

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(PubMedの検索画面)

 さて「time machine」と打ち込んでみると、ズラっと論文が出てきます。「time machine」の前後に「“”」が入っていますが、これはtimeとmachineをつなげて検索するときに使う工夫です。Googleでもこのテクニックは使えます。たとえば、「タイムマシンの定義」と検索した場合と「“タイムマシンの定義”」とくくりを入れて検索したとしましょう。前者では「タイムマシン」「の」「定義」を全て分けて検索してしまうというデメリットがありますが、後者は「タイムマシンの定義」という単語のみを検索できます。

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(検索ヒット画面)

 PubMedで検索したとき、ヒット数に注目して下さい。40~60個くらいならその中から有用な論文くらい探せるでしょうが、この時点で1000や2000といった膨大な論文数がヒットしてしまえば、その検索ワードはちょっと大雑把すぎるということを意味します。1000も2000なんて、タイトルを読むだけで日が暮れてしまいます。そこで、新しい検索ワードをスペースの後に追加します。「"time machine" "neuron"」これで、2つの単語を満たす論文を検索できるようになりました。すると、先ほどのヒット件数が4件にまで絞れました。これを「手動絞り込み」と勝手に命名します。この手動絞り込みができるだけで、PubMedの90%は使いこなせてると言って過言ではありません(たぶん)。

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(手動絞り込み)

 検索したあと、「Free PMC Article」、「Free Article」と記載してある論文は無料で閲覧できます。当然ですが、有名ジャーナルは契約していないとそもそも全文読めないので、アブストラクトで我慢するしかありません。アブストラクトすらないものもあるので注意して下さい。

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(無料で閲覧できる論文)


●おわりに
 英語が苦手で、日本語じゃないとダメ!という人にはm3.comにあるPubMedβhttp://www.m3.com/pubmed/promotion.jsp)を使いましょう。その時「和訳付き」を選んでください。そうすると、自動翻訳の和訳がついてきます(予想より質の高い自動翻訳です)。

 Googleの検索方法と難易度的には同じくらいですし、難しくないでしょう。PubMedには他にも色々機能があるので、慣れたらカスタマイズを自分なりにしてみましょう。それはまた別の話です。



by otowelt | 2013-10-10 00:33 | レクチャー

中等度~重症気管支喘息に対する抗インターロイキン-9モノクローナル抗体の追加投与はアウトカム改善なし

中等度~重症気管支喘息に対する抗インターロイキン-9モノクローナル抗体の追加投与はアウトカム改善なし_e0156318_9463836.jpg 抗インターロイキン-9モノクローナル抗体のいわゆる“ネガティブスタディ”です。インターロイキン-9に関しては複数の治験があり、効果が期待されているのですが。
 インターロイキン-4についてはデュピルマブの報告が記憶に新しいと思います。

好酸球増加を伴う中等症から重症の持続性気管支喘息に対してデュピルマブは有効

Chad K Oh, et al.
A randomized, controlled trial to evaluate the effect of an anti-interleukin-9 monoclonal antibody in adults with uncontrolled asthma
Respiratory Research 2013, 14:93


背景:
 臨床前試験において、インターロイキン-9は気管支喘息の気道炎症の発展と維持に主要な役割を果たしているかもしれないと考えられている(BMC Pulm Med 2011, 11:14.)。この試験の目的は、コントロール不良である中等度~重症の成人の気管支喘息患者に対する抗インターロイキン-9モノクローナル抗体であるMEDI-528の効果を評価することである。

方法:
 2009年10月から2011年11月までに実施されたこのプロスペクティブ二重盲検多施設(53施設)共同並行群間試験において、329人の患者が1:1:1:1にプラセボ皮下注射、MEDI-528(30、100、300mg)に2週ごと24週間投与する4群にランダムに割り付けた(気管支喘息治療は従来の治療を継続)。患者は18~65歳の気管支喘息患者で、BMI18~35 kg/m2と規定した。
 治療開始初期は吸入ステロイド薬の量を変化させないように設定(治療開始0~13週目)し、コントロールが得られておればステロイド減量が可能とする時期をその後(治療開始13~25週目)に設けた。
 プライマリエンドポイントは、治療開始13週目の平均喘息コントロール質問票-6(Asthma Control Questionnaire-6 :ACQ-6、Eur Respir J 1999, 14:902–907.)の変化とした。セカンダリエンドポイントは、治療13週目と24週目の重みつき気管支喘息発作頻度と気管支拡張薬投与前一秒量、治療12週目と24週目の喘息QOL質問票スコア、試験期間中のMEDI-528の安全性とした。プライマリエンドポイントは共分散を用いて解析をおこなった。

結果:
 327人のうち69%が女性で平均年齢は43歳(18~65歳)であった。
 平均(標準偏差)ベースラインACQ-6スコアはプラセボ(82人)およびMEDI-528(全用量群合算245人)で2.8(0.7)、2.8(0.8)だった。また、%予測一秒量はそれぞれ70.7% (15.9)、71.5% (16.7)だった。治療13週目のベースラインからの平均(SD)変化はプラセボ、MEDI-528群でそれぞれ−1.2 (1.0)、−1.2 (1.1)だった(p = 0.86)。治療25週目の気管支喘息発作頻度(95%信頼区間)は、それぞれ0.58 (0.36–0.88)、0.49 (0.37–0.64)だった(単位:発作数/人/年)(p = 0.52)。
中等度~重症気管支喘息に対する抗インターロイキン-9モノクローナル抗体の追加投与はアウトカム改善なし_e0156318_937795.jpg
(文献より引用:ACQ-6スコア)
中等度~重症気管支喘息に対する抗インターロイキン-9モノクローナル抗体の追加投与はアウトカム改善なし_e0156318_9374373.jpg
(文献より引用:気管支喘息発作頻度)
中等度~重症気管支喘息に対する抗インターロイキン-9モノクローナル抗体の追加投与はアウトカム改善なし_e0156318_9382624.jpg
(文献より引用:一秒量変化)

 副作用は両群ともに同等であった(プラセボ:82.9%、MEDI-528 30mg:76.5%、100mg:81.9%、300mg:85.2%)。最も多くみられたのは気管支喘息(発作)だった(関与が否定できないため)(30.5% vs 33.5%)。続いて、上気道感染(14.6% vs 17.1%)、頭痛(9.8% vs 9.8%)など。

結論:
 従来の気管支喘息に対する薬剤にMEDI-528の追加投与は、ACQ-6スコア、気管支喘息悪化率、一秒量の改善をもたらさなかった。プラセボと比較して安全性の懸念事項は特にない。


by otowelt | 2013-10-09 00:03 | 気管支喘息・COPD