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遷延するpure GGNのうちinvasive adenocarcinomaを鑑別する所見

遷延するpure GGNのうちinvasive adenocarcinomaを鑑別する所見_e0156318_13454587.jpg pure GGNのフォローアップについては一定の指針があり、呼吸器科医の多くはそれにしたがって診療をしています。ただし、pure GGNの中にもこの報告のようにinvasive adenocarcinomaを疑う所見がある場合には外科的切除が望ましいと思われます。

Hyun-ju Lim, et al.
Persistent Pure Ground-Glass Opacity Lung Nodules ≥ 10 mm in Diameter at CT Scan: Histopathologic Comparisons and Prognostic Implications
Chest. 2013;144(4):1291-1299.


背景:
 直径10mm以上のpure ground-glass opacity nodules (GGNs)の組織病理や予後についてはあまりわかっていない。われわれは、遷延する直径10mm以上のpure GGN(薄切スライスCT:TSCT)の形態学的特徴と組織病理、患者の予後を比較検証した。

方法:
 TSCTで評価をおこなわれ、3年以上経過を観察されたた計46の切除GGNが登録された。組織病理(adenocarcinoma in situ[AIS]、minimally invasive adenocarcinoma [MIA], invasive adenocarcinoma)とCT検査の特徴を調べた。invasive adenocarcinomaとAISあるいはMIAを鑑別する特徴を同定するため、CT検査と臨床的患者背景を単変量および多変量解析した。疾患再発も調べた。

結果:
 登録された46のGGNは20人が女性(平均年齢62歳)、26人が男性(平均年齢61歳)だった。GGNのサイズは平均16.6±5.5 mmだった。リンパ節が腫大していた患者はいなかった。
 結節影の内訳は、19のAIS(41%)、9のMIA(20%)、18のinvasive adenocarcinomas (39%)であった。単変量解析では、bronchogramの存在(P = .012)、結節影のサイズ(P = .032, カットオフ = 直径16.4 mm)、結節影の容量(P = .040, カットオフ = 0.472 g)は有意にinvasive adenocarcinomaとAISあるいはMIAを鑑別する所見であった。多変量解析では、結節影のサイズ(P = .010)と容量(P = .016)が有意な鑑別因子だった。
 42人がstage IA、4人がstage IBであり、外科手術後3年の経過で再発例は一例もなかった。

結論:
 直径10mm以上の遷延性pure GGNにおいて、結節影のサイズと容量はinvasive adenocarcinomaを予測する上で有用である。外科手術後の予後はいずれも良好であった。


by otowelt | 2013-10-08 00:44 | 肺癌・その他腫瘍

家族歴のある成人発症の気管支喘息に対して受動喫煙は相乗的リスク

家族歴のある成人発症の気管支喘息に対して受動喫煙は相乗的リスク_e0156318_12542450.jpg受動喫煙と成人発症の気管支喘息の関連を報告したものです。全文は読んでいません。

Taina K. Lajunen, et al.
The Synergistic Effect of Heredity and Exposure to Second-Hand Smoke on Adult-Onset Asthma
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 188, No. 7 (2013), pp. 776-782.


背景:
 受動喫煙に対する有害的効果に感受性のある集団を同定することができれば、予防的行動や介入に役立つかもしれない。

目的:
 成人発症の気管支喘息のリスクにおいて、気管支喘息の遺伝的因子が受動喫煙の効果にもたらす影響を検証すること。

方法:
 これは、南フィンランドでおこなわれた21歳から63歳までの成人発症気管支喘息患者とコントロール患者を調査した症例対照研究である。現喫煙および既往喫煙者を除外したのち、226人の症例と450人のコントロール患者を設定した。アウトカムは成人に新規発症した気管支喘息とした。

結果:
 親の気管支喘息の存在と直近の受動喫煙歴は、気管支喘息のリスクに対する相乗効果をもたらした(受動喫煙:補正オッズ比1.97、95%信頼区間1.12–3.45、親の気管支喘息の存在:補正オッズ比2.64、95%信頼区間1.65–4.24、両方を合わせた効果:補正オッズ比12.69、95%信頼区間3.44–46.91)。相対過剰リスクは9.08(95%信頼区間−0.22 to 43.18)だった。また、受動喫煙による用量依存的な相乗効果が観察された。

結論:
 受動喫煙は気管支喘息の家族歴に対して相乗的作用をもたらす可能性がある。家族歴のある成人発症の気管支喘息に対しては受動喫煙を避けることは極めて重要な予防策だろうと考えられる。


by otowelt | 2013-10-07 00:38 | 気管支喘息・COPD

ICU入室患者は長期的な認知機能障害のリスクが高い

ICU入室患者は長期的な認知機能障害のリスクが高い_e0156318_2056452.jpg ICUに入室した患者さんのその後のQOLや認知障害については過去にいくつか報告があります。

P.P. Pandharipande, et al.
Long-Term Cognitive Impairment after Critical Illness
N Engl J Med 2013; 369:1306-1316


背景:
 重症疾患の生存者は、日常生活に支障をきたすとされている。また遷延性認知機能障害を有することが多くいが、その特徴はほとんど明らかになっていない。

方法:
 呼吸不全またはショックで内科系あるいは外科系のICUに入室した成人患者を登録し、入院中にせん妄を評価した後、退院後3ヶ月と12ヶ月での全般的認知機能と実行機能も評価した。この評価には、神経心理検査the Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(スコアが低いほど全般的認知機能が低い)とトレイルメイキングテスト(数字と文字を「1→a→2・・・」のように交互に結ぶ[Part B]、スコアが低いほど実行機能が低い)を用いた。せん妄の持続期間とアウトカムとの関連、鎮静薬または鎮痛薬の投与とアウトカムとの関連は、交絡因子で補正した線形回帰モデルを用いた。

結果:
 821人中、ベースラインで認知機能障害があったのは6%で、74%が入院中せん妄を発症した。3か月時の全般的認知機能スコアは、患者の40%で母平均より1.5SD低く(中等度の外傷性脳損傷患者と同じ程度)、26%で2SD低かった(軽度のAlzheimer病患者のスコアと同じ程度)。認知機能障害は高齢患者と若年患者の両方で観察され、12か月時でも持続しており、全患者の34%が中等度の外傷性脳損傷患者と同じ程度、24%が軽度のAlzheimer病患者と同じ程度だった。せん妄の持続期間が長いほど、3か月および 12か月時の全般的認知機能の不良に独立して関連していた(P=0.001、P=0.04)。また実行機能の不良とも関連していた(P=0.004、P=0.007)。鎮静薬あるいは鎮痛薬の投与は、3か月時あるいは12か月時のいずれにおいても認知機能障害とは関連していなかった。

結論:
 内科系あるいは外科系ICU入室患者は、長期的な認知機能障害のリスクが高かった。入院中のせん妄期間が長いほど、3か月および12か月時の全般的認知機能と実行機能のスコアが不良であった。


by otowelt | 2013-10-04 00:20 | 集中治療

結婚している方が癌患者にとって有利

結婚している方が癌患者にとって有利_e0156318_2155139.jpg 「―――ちょっとあなた、病院行った方がいいんじゃない?」という妻の言葉の重要性を証明した試験、といったところでしょうか。ただし、あくまでSEERプログラムから解析をおこなったものであり、一つのデータとして客観的に眺める方がよいでしょう。

Ayal A. Aizer, et al.
Marital Status and Survival in Patients With Cancer
JCO September 23, 2013 JCO.2013.49.6489


目的:
 診断時の病期、確定的治療の実施、アメリカにおける癌特異的死亡(10の主要な原因による死亡)における結婚歴が与える影響を調べること。

方法:
 われわれは、SEERプログラムによって2004年から2008年の間に肺癌、結腸直腸癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、肝・胆管癌、非Hodgkinリンパ腫、頭頚部癌、卵巣癌、食道癌と診断された126万898人の患者を用いた。臨床的情報およびフォローアップ情報が有効な73万4889人の患者を解析するため多変量ロジスティックおよびCox回帰分析を用いた。

結果:
 結婚歴のある患者は、結婚をしていない患者と比較して転移性病変が少なかった(補正オッズ比0.83、95%信頼区間0.82~0.84、P < .001)。また、結婚歴がある患者はより確定的治療を受けており(補正オッズ比1.53、95%信頼区間1.51~1.56; P < .001)、患者背景・病期・治療内容によって補正後の癌に起因する死亡リスクを下げた(補正ハザード比0.80、95%信頼区間0.79~0.81、P <.001)。
結婚している方が癌患者にとって有利_e0156318_21442371.jpg
(文献より引用:転移性病変)
結婚している方が癌患者にとって有利_e0156318_21455728.jpg
(文献より引用:癌に対する確定的治療)
結婚している方が癌患者にとって有利_e0156318_21462793.jpg
(文献より引用:死亡リスク)

 これらの関連は、個々の癌についても同様の結果であった(すべてP< .05)。
 この結婚歴によるアウトカムの利益は、女性よりも男性に顕著にみられた(P < .001)。
 前立腺癌、乳癌、直腸結腸癌、食道癌、頭頚部癌に対する結婚による利益は、過去の化学療法で報告されている生存期間よりも長かった。

結論:
 既知の交絡因子で補正すると、結婚していない患者は有意に転移、治療不実施、癌による死亡のリスクが高かった。この試験は、社会的サポートが癌の同定、治療、生存に与える潜在的に重要な影響を強調するものである。


by otowelt | 2013-10-02 00:06 | 肺癌・その他腫瘍

現代では重症患者における臨床診断と剖検診断の解離は少ない

現代では重症患者における臨床診断と剖検診断の解離は少ない_e0156318_21524088.jpg 剖検をおこなう意義について深く検討された論文はなかなか見当たりません。剖検とは、“全”ではなく“個”で吟味すべきだからでしょうか。

Fröhlich, Stephen, et al.
Are Autopsy Findings Still Relevant to the Management of Critically Ill Patients in the Modern Era?
Critical Care Medicine, 28 August 2013, doi: 10.1097/CCM.0b013e3182a275b1


目的:
 この試験の目的は、現代における重症患者の剖検診断と臨床診断の診断精度を比較検証することである。

方法:
 われわれは、2006年6月から2011年6月までの間に死亡した患者の診療録と剖検所見をレトロスペクティブに盲検的レビューした。アイルランド、ダブリンにある大学病院のICUの症例を用いた。

結果:
 診断エラーを分類するために、改訂したGoldman基準を用いた(臨床診断と剖検診断の不一致に関するGoldman基準:Goldman et al. N Engl J Med 1983;308:1000、簡単に言うとクラス1が重大な解離でクラス5が完全一致)。
 629のICUでの死亡がこの試験に登録された。207人の剖検所見と204人の診療録がレビューに用いられた。平均年齢は59±18.1歳で、62%が男性、70%が術後患者、ICU在室日数の中央値は3日だった。
 Goldman基準で、クラス1のエラーは5人(2.4%; 95%信頼区間0.8-5.6%)、クラス2のエラーは11人(5.4%; 95%信頼区間2.4-9.7%)だった。全例2日あるいは3日間のICU在室であり、十分な診断をおこなえる猶予がなかった症例であった。微小な誤診は31人にみられた(15.2%、95%信頼区間4.5-12.4%)。臨床診断と剖検診断の完全一致(クラス5)は161人(79%、95%信頼区間72.7-84.3%)にみられた。診断の解離があった半数以上において、適切な精査をおこなっても生存期間中の診断が主治医にとって不可能であった。
現代では重症患者における臨床診断と剖検診断の解離は少ない_e0156318_21461176.jpg
(文献より引用)

結論:
 現代において、重症患者に対する臨床と病理学的な診断の解離は低いだろうと考えられた。これは診断技術が向上したこと、診断学的な分類がより堅固になったことなどが挙げられる。ただしかし、剖検は適切な精査をした患者の診断的解離を同定できるものである。臨床診断と剖検診断の解離の頻度や剖検がもたらす価値のある情報を持つ患者を調べるために、さらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2013-10-01 00:13 | 集中治療