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重症進行性非IPF間質性肺疾患におけるリツキシマブの投与は呼吸機能に良好な効果

e0156318_12111774.jpg いかなる治療をもってしても効果が得られない間質性肺疾患の患者さんに対する、リツキシマブのレトロスペクティブな検討を報告したものです。

GREGORY J. KEIR, et al.
Rituximab in severe, treatment-refractory interstitial lung disease
Respirology Volume 19, Issue 3, pages 353–359, April 2014


背景および目的:
 通常の免疫抑制治療が行われているにもかかわらず進行する重症の間質性肺疾患(ILD)患者に対して、CD20モノクローナル抗体のリツキシマブは効果的に作用するかもしれない。

方法:
 2010年から2012年までの50人の重症進行性ILD患者(特発性肺線維症[IPF]は除外)のレトロスペクティブな検討において、リツキシマブの効果を検証した。リツキシマブ投与前後の呼吸機能の変化を調べた。

結果:
 50人中33人の患者のILDは膠原病に関連したものであった。他の6人が過敏性肺炎、11人がその他。リツキシマブ投与時、患者の平均努力性肺活量は予測値の44.0% (24.0–99.0%)であり、DLCOは24.5%(11.4–67.0%)だった。リツキシマブ投与前6~12ヶ月の努力性肺活量の減少中央値は14.3%で、DLCOは18.8%だったが、投与後6~12ヶ月には前者は6.7% (P < 0.01)の改善がみられDLCOは横ばいで安定した(0% change; P < 0.01)。
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(文献より引用:努力性肺活量とDLCOの変化)

 リツキシマブ投与後、2人の患者が入院を要する重篤な感染症(肺炎)を併発し、10人が基礎のILDに由来して死亡した。

結論:
 通常の免疫抑制治療が行われている重症の進行性非IPF-ILDに対するリツキシマブは効果的な治療となりうる。前向き比較試験によってこれらの効果や安全性を検証することが望まれる。


by otowelt | 2014-04-17 00:55 | びまん性肺疾患

喫煙者に対するACE阻害薬はCOPD発症を予防できる?

e0156318_1151268.jpg ACE阻害薬の呼吸器系に対するメリットは過去にも報告されております(Ann Pharmacother. 2002 ; 36(6): 1058-1067.、Clin Sci (Lond). 2012 ; 123 (8): 487-498.)。ACE阻害薬は結果的にNOを増加させるので肺うっ血を予防する効果がありますが、COPDに対して本当に根本から良好な効果をもたらすというよりも、表面的な部分だけを改善させているように見せている可能性は否定できません。ただ、もしACE阻害薬の使用がCOPDの死亡率を下げるとわかれば、インパクトは大きいでしょうね。

Hans Petersen, et al.
Rapid Lung Function Decline in Smokers Is a Risk Factor for COPD and Is Attenuated by Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor Use
CHEST 2014; 145(4):695–703


目的:
 アメリカにおいて喫煙はCOPDの最も重要なリスク因子である。喫煙者の1秒量の急速な減少に影響する宿主要因や、COPD発症リスクをどのように軽減できるかについては不明である。この研究は既往喫煙者における1秒量の減少について調べたものであり、急速に減少するパターンとそれ以外でCOPDの発症リスクを比較し、またある種の薬剤がこの現象に影響を及ぼすかどうかを検証した。

方法:
 ベースラインの呼吸機能検査で異常がみられなかった809人を含む、合計1170人の既往喫煙者がLovelace Smokers Cohortに登録され、複数回の呼吸機能検査を実施した。少なくとも3年(平均5.9年)のフォローアップ期間を設定した。気管支拡張薬投与後の1秒量を経時的にみた絶対的減少を以下の3群に分けた。すなわち、急速な減少(1年あたり30mL以上)、正常(1年あたり0~29.9mL)、減少なしの3群である。ロジスティック回帰およびKaplan-Meier生存曲線が解析に用いられた。

結果:
 既往喫煙者のおよそ32%に急速な減少が観察された。ベースラインで異常がみられなかった既往喫煙者において、急速な減少はCOPDの発症リスクを上昇させた(オッズ比1.88; P = .003)。ベースラインでACE阻害薬を使用していた場合、これは急速な減少に対して保護的に作用した。保護作用は心血管系疾患、高血圧、糖尿病を合併している患者では有意であった(オッズ比はそれぞれ0.48, 0.48, 0.12:P ≤ .02 for all analyses)。
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(文献より引用)

結論:
 既往喫煙者における1秒量の急速な減少はCOPD発症の高リスクである。喫煙者におけるACE阻害薬の使用は呼吸機能の急速な減少とCOPDへの進展に対して保護的に作用するかもしれない。


by otowelt | 2014-04-16 00:01 | 気管支喘息・COPD

肉の食べすぎは呼吸機能の悪化を招く

e0156318_1040313.jpg とても興味深い研究だと思います。私はお肉が大好きなのですが、食べると百発百中でおなかをこわします。

Hitomi Okubo, et al.
Processed meat consumption and lung function: modification by antioxidants and smoking
ERJ April 1, 2014 vol. 43 no. 4 972-982


背景:
 不健康な食生活は呼吸機能の悪化と関連している。抗酸化作用のある果物や野菜の摂取が少ないことに由来しているのかどうかは不明であり、加工肉などの有害な食事構成によって引き起こされているのかどうかも不明である。

方法:
 イギリスのHertfordshire Cohort Studyに参加した1551人の男性、1391人の女性において、加工肉消費量、果物・野菜消費量、抗酸化物質活性(TAC)を呼吸機能検査と関連付けて調査した。食事についてはアンケートを実施した。アンケートには129の食品・食品群が含まれている。「まったく食べない」から「1日6回以上」までの10パターンの回答を用意した。TACは酸素ラジカル吸収能(ORAC)データを用いた。

結果:
 登録された男女の背景はおおむね同等であったが、喫煙や飲酒に関しては男性の方が多かった。
 交絡因子で補正すると、男女ともに加工肉の消費量は1秒量、努力性肺活量、1秒率と逆相関を示した。しかし、果物や野菜の消費量、TACは1秒量、努力性肺活量と正の相関がみられた(1秒率は有意差なし)。男性において、加工肉消費量と1秒量の逆相関は、果物や野菜の消費量が少ない人(p=0.035 for interaction)やTACが低い人(p=0.025 for interaction)に顕著にみられた。加工肉を接種している人の1秒率の下落は、特に男性喫煙者で顕著だった(p=0.022 for interaction)。
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(文献より引用:男女における加工肉と果物・野菜摂取量が1秒量におよぼす影響)

結論:
 加工肉を多く摂取することで呼吸機能は悪化すると考えられ、特に果物や野菜の摂取が少ない人や食事TACが低い人に顕著にみられた。喫煙者ではなおさらである。


by otowelt | 2014-04-15 00:20 | 呼吸器その他

赤血球輸血を制限することは、非制限より院内感染症リスクを減少

e0156318_22453340.jpg 赤血球輸血と院内感染症リスクの話題です。非常に興味深いですね。

Jeffrey M. Rohde, et al.
Health Care–Associated Infection After Red Blood Cell Transfusion
A Systematic Review and Meta-analysis
JAMA. 2014;311(13):1317-1326. doi:10.1001/jama.2014.2726.


背景:
 赤血球輸血とヘルスケア関連感染症の関連性についてはよく分かっていない。

目的:
 赤血球輸血が感染のリスク上昇と関連しているか、またそのリスクが白血球除去とは独立したリスクなのかどうか検証する。

データ:
 2014年1月22日までのMEDLINE, EMBASE, Web of Science Core Collection, Cochrane Central Register of Controlled Trials, Cochrane Database of Sytematic Reviews, ClinicalTrials.gov, International Clinical Trials Registry, the International Standard Randomized Controlled Trial Number registerからのデータ。

研究:
 輸血制限群と非制限群の戦略を比較したランダム化比較試験。

データ抽出:
 8735人の患者を含む21のランダム化比較試験が適格基準を満たし、18試験(7593人)がメタアナリシスに妥当なデータを有していた。DerSimonian-Lairdランダムモデルを用いてオッズ比を統合。感染の絶対リスクはプロファイル尤度ランダム効果法を用いて計算された。

アウトカム:
 肺炎、縦隔炎、創傷感染、敗血症といったヘルスケア関連感染症の発生率。

結果:
 全体の重篤な感染症の発生率は、輸血制限群で11.8%(95%信頼区間7.0%-16.7%)、輸血非制限群で16.9%(95%信頼区間8.9%-25.4%)と輸血制限群で有意な減少がみられた。重篤な感染症に対するリスク比は0.82(95%信頼区間0.72-0.95)。白血球除去を行った試験についてみてもリスク比0.80(95%信頼区間0.67-0.95)と有意であった。対象患者別で観察すると、整形外科術後(リスク比0.70、95%信頼区間0.54-0.91)、敗血症(リスク比0.51、95%信頼区間0.28-0.95)で特に感染症の減少効果が強くみられた。心疾患、重症患者、上部消化管出血、低出生体重児では輸血制限の有無による差はみられず。

結論:
 入院患者において、赤血球輸血を制限する戦略は非制限と比べヘルスケア関連感染症のリスクを減少させる。赤血球輸血の制限は潜在的に感染症の発生を低くするかもしれない。


by otowelt | 2014-04-14 00:53 | 集中治療

医学論文を最も簡単に検索する方法は?

e0156318_22583112.jpg●はじめに
 「論文を検索して・・・」という言葉を出すだけでアレルギー反応を呈する研修医が結構います。これは論文の検索法をしっかり教わっていないからではなく、効率よく論文を検索できない煩わしさが主たる原因ではないかと考えています。


●ググってみよう
 「PubMed?うーん、無理です、難しいです」とPubMedという言葉を出すだけでもNGなんていう研修医も少なくありません。そういう論文検索嫌いのドクターにとって、実はGoogleなどの検索エンジンは非常に有用なツールに変化します。Google scholarという専門エンジンもありますが、もっと敷居を下げて一般的なGoogleで検索してみましょう。


●「キーワード+et al」
 たとえば、最近発表された肺癌の論文で抄読会に使えそうなものはないか探してみましょう。ここで重要なポイントは、①キーワードをクォーテーションマーク「”」「”」などでひとくくりにすること、②「et al」をキーワードに入れること、の2点です。
 ①について。クォーテーションマークでキーワードをくくることで効率的な検索ができます。これはGoogleのみならずすべての検索エンジンに共通のテクニックなので覚えておきましょう。たとえば、red blood cellsと検索すると、「red」、「blood」、「cells」が別々に検索されてしまうため、赤血球のみを効率よく検索できないというデメリットがあります。実は、"red blood cells"とクォーテーションマークでくくることでその範囲に入っている単語すべてをひとくくりにして分けずに検索することが可能なのです。
 ②について。"et al"と検索ワードに追加して入れることで科学論文のみを効率的にひっかけることができます。
 最後に、ウェブサイトの更新情報の時間を指定しましょう。ホットな論文を調べたければ、たとえば詳細検索で1週間以内と指定すればいいのです。

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 非小細胞肺癌に関するここ1週間以内にホットな論文を調べてみると、セリチニブのNEJMの論文が一番に出てきました。ふむふむ、実際の情報とたいして乖離はありません。


●おわりに
 PubMedもGoogle scholarも簡単に検索するために開発されたツールなのですが、初心者にとっては敷居の高い専門的ツールにうつることがあります。しかし、使い慣れた検索エンジンであっても、上記のような小さな作業だけで簡単に医学論文は検索できるのです。どうでしょう、医学論文の検索の閾値が少し下がりませんか?


by otowelt | 2014-04-12 00:32 | その他

非小細胞肺癌における微量胸水は予後不良因子

e0156318_10101326.jpg 実臨床に即した論文だと思います。微量胸水のどの程度が真の悪性胸水かどうかという検討はできないと思いますが、実際に微量胸水が存在するoperabilityがあると判断される患者さんもいらっしゃるので、要注意だと感じました。

Ryu JS et al.
Prognostic impact of minimal pleural effusion in non-small-cell lung cancer.
J Clin Oncol. 2014 Mar 20;32(9):960-7.


目的:
 10mm未満の微量胸水は悪性胸水の初期相を反映しているかもしれないが、臨床的な信頼性についてはほとんど研究されていない。そのため、われわれは非小細胞肺癌(NSCLC)の患者における微量胸水について調査し、予後の与える影響を考察した。また、当該機序についても検討した。

患者および方法:
 仁荷大学病院において2002年から2010年まで実施された研究である。診断時における胸部CTから2061人の患者の胸水を3群に分類した。すなわち、無胸水群、微量胸水群、悪性胸水群である。4因子(患者、病期、腫瘍、治療)に関する21の変数と予後との関連性を調べた。

結果:
 微量胸水は272人(13.2%)の患者に観察された。2061人のうち、stage Iは5.2%、stage IIは10.9%、stage IIIAは13.2%、stage IIIBは23.8%、stage IVは13.9%であった。微量胸水の存在は無胸水群と比較して予後不良因子であった(生存期間中央値7.7ヶ月 v 17.7ヶ月; log-rank P < .001)。他の因子で補正をおこなっても有意な結果であった(補正ハザード比1.40; 95%信頼区間1.21 to 1.62)。
早期と進行期の比較では、微量胸水は予後に及ぼす影響が大きかった(Pinteraction= .001)。微量胸水のあった患者のうち237人(87.8%)では、胸膜浸潤・接触が観察されたものは予後不良の独立因子であった(P = .03)。
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(文献より引用:A:全患者、B:stageI、C:stageII、D:stageIIIA、E:stageIIIB、F:stageIV)

結論:
 微量胸水は、NSCLCの病期診断時に遭遇する臨床的に関心のある現象である。その存在は予後不良因子であり、特に早期の段階では重要であると考えられる。


by otowelt | 2014-04-11 00:01 | 肺癌・その他腫瘍

リピトール®は気管支拡張症の咳嗽を減少

e0156318_23255314.jpg 気管支拡張症に対するアトルバスタチン(リピトール®)の論文です。別に疑っているわけではないのですが、スタチンが持つ多面的作用とは本当にそこまで臨床的に差を感じるほどのものなのでしょうか。

Pallavi Mandal, et al.
Atorvastatin as a stable treatment in bronchiectasis: a randomised controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 24 March 2014


背景:
 気管支拡張症は慢性咳嗽、喀痰、再発性の胸部感染症によって特徴づけられる疾患である。病因についてはよく分かっていないが、過剰な好中球性気道炎症が存在することが示唆されている。これまでの研究によりスタチンは多面的な効果を持ち、それゆえに気管支拡張症の潜在的な抗炎症治療選択肢になるうるかもしれない。われわれは、アトルバスタチンが気管支拡張症患者の咳嗽を減らすことができるかどうかの概念実証のランダム化比較試験を実施した。

方法:
 イギリスのエディンバラにあるクリニックに紹介された18~79歳の患者が対象となった。参加者は臨床的に有意な(咳嗽、喀痰)気管支拡張症が胸部CTで同定されており、前年に2回以上の胸部感染症を起こしている者とした。登録患者はランダムに高用量アトルバスタチン(80mg)あるいはプラセボにランダムに割り付けられた(1日1回6ヶ月間)。ランダム化はブロックランダム化。プライマリエンドポイントはベースラインから6ヶ月までの咳嗽の減少(LCQスコアで測定)とした。LCQスコア:臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical important difference, MCID)は1.3点。

結果:
 82人の患者がスクリーニングされ、22人がランダム化前に除外された。30人がアトルバスタチン、30人がプラセボに割り付けられた。ベースラインから6ヶ月までの平均LCQスコアの変化はアトルバスタチン群で1.5点、プラセボ群でー0.7点だった(平均差2.2点、95%信頼区間0.5-3.9、p=0·01)。アトルバスタチン群の30人のうち12人(40%)がLCQスコア1.3点以上改善がみられ、プラセボ群の30人のうち5人(17%)が同様の改善をみた(差23%, 95%信頼区間1—45; p=0·04)。アトルバスタチン群の10人(33%)、プラセボ群の3人(10%)に副作用がみられた(差23%, 95%信頼区間3—43; p=0·02)。重篤な副作用は観察されなかった。

結論:
 気管支拡張症における6ヶ月のアトルバスタチンはQOLスケールに基づく咳嗽症状を改善させた。多施設共同試験によってスタチンの長期投与が急性増悪を減らすことができるのか調べる必要があるだろう。


by otowelt | 2014-04-10 00:53 | 呼吸器その他

ネコから飼い主へ感染した結核

e0156318_12273469.jpg Mycobacterium bovisの話です。

Nigel Gibbens
Mycobacterium bovis infection in cats
Veterinary Record 2014;174:331-332 doi:10.1136/vr.g2344


概要:
 PHE(Public Health England )およびAHVLA(Animal Health and Veterinary Laboratories Agency)によれば、2013年にイギリス国内の2地域で飼いネコのMycobacterium bovis感染例が9件同定された。PHEは感染した当該ネコと接触歴のあった39人を同定し、結核の精密検査を施行するよう推奨し、24人がこれを受けた。結果、2人が活動性結核、2人が潜在性結核感染(LTBI)と診断された。活動性結核を発症した2人は、M. bovisの感染が確認された。LTBIについては微生物学的診断は不可能であった。2013年3月以降、新たなネコ-ヒト感染事例はないとのこと。


by otowelt | 2014-04-09 12:28 | 抗酸菌感染症

肺癌を新規に診断された患者における静脈血栓塞栓症の頻度:13.2%

e0156318_14152561.jpg  癌患者さんでは静脈血栓塞栓症がなくともD-ダイマーの上昇が恒常的に観察されることがあるため有用とは考えていませんが、静脈血栓塞栓症を軽視しないように気をつけなければなりません。

Yuhui Zhang, et al.
Prevalence and associations of venous thromboembolism in patients with newly diagnosed lung cancer
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2379


背景:
 肺癌に対する治療前の静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクについてはよくわかっていない。

方法:
 2009年1月から2011年1月までの間、5病院において合計673人の新規に肺癌と診断された入院患者が入院後1週間以内にVTEの精査をおこなった。画像検査を含め、すべてのVTEイベントが記録された。血球数、血清CEAが治療前に測定された。

結果:
 VTEイベントは673人の患者のうち89人(13.2%)に起こった。42人(6.2%)がPEのみであり、14人(2.1%)がDVTとPEの両方を発症した。多変量ロジスティック回帰分析により、遠隔転移(オッズ比2.2; 95%信頼区間1.2-3.9)、白血球増多(オッズ比2.8; 95%信頼区間1.5-5.4)が有意にDVTと関連していた。また、腺癌(オッズ比2.1; 95%信頼区間1.1-4.4)、貧血(オッズ比4.6; 95%信頼区間1.4-14.5)は有意にPEと関連していた。血清CEA上昇は、PEと関連していた(P for trend=0.06)。PEのリスク診断に対するCEAのROC曲線下面積は0.68 (95%信頼区間 0.59-0.76, P <0.001)であった。
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(文献より引用)

結論:
 肺癌と新規に診断された患者におけるVTEの頻度は高かった。肺癌患者において、DVT関連因子はPEのそれとは異なっているのかもしれない。血清CEA上昇はPE発症リスクの高い患者を同定するのに有用かもしれない。

補足:
 過去の報告と照らし合わせると結果はまちまちであるが、Connollyらの報告したより大規模な研究においても同様の数値であった。 
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(文献より引用)


by otowelt | 2014-04-09 00:05 | 肺癌・その他腫瘍

COPDに対するアドシルカ®は運動耐容能やQOLを改善させない

e0156318_019754.jpg COPDに対するアドシルカ®の効果を検証したランダム化比較試験です。

Andrew R Goudie, et al.
Tadalafil in patients with chronic obstructive pulmonary disease: a randomised, double-blind, parallel-group, placebo-controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 5 March 2014


背景:
 ホスホジエステラーゼ-5(PDE5)阻害薬は、特発性肺動脈性肺高血圧症における運動耐容能とQOLを改善させる。しかしながら、これらの効果がCOPD患者の一部の患者に有効かどうかは不明である。われわれは、PDE5阻害薬であるタダラフィルがCOPDと軽度の肺高血圧症を有する患者において運動耐容能とQOLを改善させるかどうか検証した。

方法:
 われわれは、ランダム化二重盲検並行群間プラセボ対照試験を2010年9月1日から2012年9月1日までの間イギリス・スコットランドの3施設において実施した。中等症から重症COPD患者がランダムに1:1にタダラフィル(10mg)およびプラセボに12週間、割り付けられた。患者、研究者、アウトカム解析者、投与薬剤はマスクされた。プライマリエンドポイントは、ベースラインと12週後の6分間歩行距離の平均差とした。また、QOLをベースライン、8週目、12週目に調べた。解析はper protocolおよびITTのいずれにおいても実施した。

結果:
 120人がランダムにタダラフィル(60人)あるいはプラセボ(60人)に割り付けられた。このうち、それぞれ56人(93%)、57人(95%)が試験を完遂した。12週時点でのタダラフィルとプラセボの間の6分間歩行距離の差は0.5m(95%信頼区間−11.6 to 12.5; p=0.937)だった。QOLについてもSGRQスコアやSF-36には有意差がみられなかった(SGRQ:−2.64、95%信頼区間−6.43 to 1.15、SF-36 4.08、95%信頼区間—1.35 to 9.52)。治療群の19人(32%)が消化器系の副作用を有し、そのうち4人がプロトンポンプ阻害薬を使用した。プラセボで同様の副作用を呈したのは5人(8%)だった。また、頭痛も治療群の方が多くみられた(28% vs. 8%)。顔面紅潮がみられた2人(3%)は薬剤を中止した。

結論:
 COPDにおけるタダラフィルは運動耐容能とQOLを改善させる効果は有さない。


by otowelt | 2014-04-08 00:49 | 気管支喘息・COPD