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鼻カニューラの吸入酸素濃度は呼吸数、換気量、口の開閉に影響を受ける

e0156318_2234130.jpg 一般的に鼻カニューラで酸素を投与する場合、吸入酸素濃度(FiO2)は、20+(4×酸素流量[L/min])で表されます。たとえば鼻カニューラ3L/minであれば、20+4×3=32%となります。呼吸数が多すぎたり口を開けているとFiO2が低下するのではないかと言われていますが、それを裏付ける研究はほとんどありませんでした。

ANDREW O’REILLY NUGENT, et al.
Measurement of oxygen concentration delivered via nasal cannulae by tracheal sampling
Respirology (2014) doi: 10.1111/resp.12268


背景および目的:
 酸素は多くの臨床場面で使用されているが、鼻カニューラがもたらす精確な吸入酸素濃度(FiO2)を決定することは困難である。われわれは、気管支鏡を用いて留置したカテーテルを使って気管内のFiO2を測定した。また、酸素流量、呼吸数、口の開閉、推定分時換気量(VE)の影響について調べた。

方法:
 20人の被験者にカテーテルを留置した。気管内ガス濃度は、酸素流量、呼吸数、口の開閉によって6つのパターンを検査し、酸素は5分間投与した。換気は呼吸インダクタンスプレスチモグラフィー(respiratory inductance plethysmography: RIP)によってモニターした。鼻カニューラから流れたFiO2は治療群ごとに比較し、FiO2、PaO2、VEの関連性を調べた。

結果:
 FiO2は酸素流量が増えるごとに上昇した。呼吸数はFiO2に有意に影響を与えた。鼻カニューラ2L/minの酸素投与で通常の呼吸数である15回/分では、FiO2は0.296であった。しかし、呼吸数が20回/分になるとFiO2は0.012減少し、10回/分のなると0.004減少した。口をあけた状態ではFiO2は0.024減少した。
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(文献より引用:FiO2に呼吸数が与える影響)

VEが増加するにつれ、FiO2とPaO2は減少した。

結論:
 鼻カニューラによってもたらされるFiO2を気管内カテーテルを用いた継続的測定によって報告した。この研究により、呼吸数、VE、口の開閉が有意に酸素濃度に影響を与えることがわかった。


by otowelt | 2014-04-07 00:35 | 呼吸器その他

ALK陽性非小細胞肺癌に対する第2世代ALK阻害剤セリチニブの有効性

e0156318_2251650.jpg 呼吸器内科医の皆さんはすでにご存知だと思いますが、第2世代ALK阻害剤LDK378の効果についてNEJMからの報告です。

Alice T. Shaw, et al.
Ceritinib in ALK-Rearranged Non–Small-Cell Lung Cancer
N Engl J Med 2014; 370:1189-1197 March 27, 2014


背景:
 未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子(ALK)の再構成がある非小細胞肺癌(NSCLC)は、ALK阻害薬であるクリゾチニブに感受性があるが、多数の患者に耐性が生じるとされている。セリチニブ(LDK378)は、クリゾチニブよりも強力な抗腫瘍効果がある新規ALK阻害薬である。

方法:
 この第1相試験では、ALK遺伝子変化を有するNSCLC患者に50~750mgのセリチニブを1日1回経口投与した。拡大期に、患者に最大耐用量を投与した。セリチニブの安全性、薬物動態、抗腫瘍活性を調べた。クリゾチニブ投与中にPDとなったNSCLC患者においてALK耐性変異を同定するため、セリチニブ投与前に生検した。

結果:
 本研究では59例の患者を登録した。セリチニブの最大耐用量は1日1回750mgであり、用量制限毒性イベント(dose-limiting toxic events)は、下痢、嘔吐、脱水症状、アミノトランスフェラーゼ上昇、低リン血症などがみられた。拡大期に71人を追加し、合計130人を対象とした。セリチニブを1日に400mg以上投与したNSCLC患者114人の全奏効率は58%(95%信頼区間48~67)だった。クリゾチニブ投与歴のある80人の奏効率は56%(95%信頼区間45~67)だった。効果はALKに種々の耐性変異のある患者でも、変異のない患者でも観察された。セリチニブを1日に400mg以上投与されたNSCLC患者のPFS中央値は7.0ヶ月(95%信頼区間5.6~9.5)だった。

結論:
 セリチニブは、クリゾチニブ投与中に増悪した症例を含むALK再構成を有する進行NSCLC患者において、ALK耐性変異の有無に関係なく高い抗腫瘍効果がみられた。


by otowelt | 2014-04-05 00:30 | 肺癌・その他腫瘍

サルコイドーシス患者の性別・年齢による画像所見の差

 Lettersなので少し短い論文ですが、サルコイドーシスの年齢と画像所見に着目した興味深い報告だと思います。驚くべきことに40年前のデータまで検討されているようです。

Michiru Sawahata, et al.
Age-related differences in chest radiographic staging of sarcoidosis in Japan
ERJ Published online before print March 13, 2014, doi: 10.1183/09031936.00005414


 1974年4月から2012年7月までの間、気管支鏡施行目的に入院した588人の連続した日本人サルコイドーシス患者を登録(431人が生検診断、157人が臨床診断)。診断は日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会の診断基準に基づいた。
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(文献より引用:全体のstage別頻度) 男性では、stage 1+2が最もよくみられた。若年者ではstage 1, stage 2, stage1+2, BHLがよくみられたが、高齢者ではstage 0およびstage 3/4がよく観察された。stage 1あるいは2の患者頻度は加齢にともなって減少する傾向がみられた。


by otowelt | 2014-04-04 00:32 | サルコイドーシス

超早産児に対するHFOVは従来換気法と比較して将来の呼吸機能アウトカムを改善

e0156318_833325.jpg HFOVのその後の追跡調査の報告です。

Sanja Zivanovic, et al.
Late Outcomes of a Randomized Trial of High-Frequency Oscillation in Neonates
N Engl J Med 2014; 370:1121-1130March 20, 2014


背景:
 これまでの新生児における観察研究の結果から、高頻度振動換気法(HFOV)は従来換気法と比べて末梢気道機能が良好であることが示唆されている。これを確認するためのランダム化試験のデータが求められている。

方法:
 29週未満で出生し、出生直後HFOVと従来換気法を比較した多施設共同ランダム化試験に319人を登録した(いずれも思春期に達した患者)。試験そのものは新生児797人を対象とし、このうち592人が生存退院した。参加者が11~14 歳になった時点でアンケートを依頼し、呼吸機能と呼吸器の健康状態、健康関連 QOL、機能状態についてHFOVにランダムに割り付けられた場合のデータと従来換気法のデータを比べた。プライマリアウトカムは、呼気肺活量の75%における努力呼気流量(FEF75)とした。

結果:
 その結果、HFOV群は末梢気道機能の検査においてより良好な結果が得られた(FEF75のzスコア:HFOV -0.97 vs 従来換気法 -1.19、補正後の差0.23 [95%信頼区間 0.02~0.45])。また、1秒量、努力肺活量、最大呼気流量、拡散能、インパルスオシロメトリーなど複数の呼吸機能検査でも、HFOVを有効とする有意な差が観察された。学業面(教科)では、HFOV群は従来換気群と比べて8科目中3科目で教師から高い成績評価を受けていたものの、機能的転帰に関しては有意な差はなかった。

結論:
 超早産児を対象としたランダム化試験のHFOV治療群では、従来換気法よりも11~14歳での呼吸機能が有意に良好であった。また、機能的転帰が不良であることを示すエビデンスは観察されなかった。


by otowelt | 2014-04-03 00:22 | 集中治療