<   2014年 06月 ( 23 )   > この月の画像一覧

メタアナリシス:閉塞性睡眠時無呼吸に対するCPAP治療は肺動脈圧を軽減

メタアナリシス:閉塞性睡眠時無呼吸に対するCPAP治療は肺動脈圧を軽減_e0156318_23181522.jpg OSAそのものが肺動脈圧を上昇させるというよりも、肥満が相乗的に作用しているものと考えられます。

XUEFENG SUN, et al.
Continuous positive airway pressure is associated with a decrease in pulmonary artery pressure in patients with obstructive sleep apnoea: A meta-analysis
Respirology, Early View, Article first published online: 9 MAY 2014


背景:
 肺高血圧は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に合併すると考えられている。CPAP治療はOSAにおける肺高血圧の軽減を可能にするかもしれないが、エビデンスは限られておりその結果もまちまちである。

方法:
 このメタアナリシスでは、CPAP治療がOSA患者の肺高血圧を軽減することができるかどうか調べた。2013年5月までの文献についてMEDLINE, EMBASE, コクランライブラリを検索した。2人のレビュアーが論文を閲覧し、データを抽出した。CPAP治療前後のOSA患者の肺動脈圧を比較した研究を統合する上で、ランダム効果モデルを用いた。

結果:
 6つの研究、181人の患者が本メタアナリシスに組み込まれた。AHIはおおむね40以上のOSA患者であり、BMIは1つの研究では報告されていなかったものの肥満患者が多数を占めた。
 解析の結果、CPAP治療は統計学的に有意にOSA患者における肺動脈圧を改善させた(標準化平均差−1.34, 95%信頼区間−2.33 to −0.34, P = 0.009)。
メタアナリシス:閉塞性睡眠時無呼吸に対するCPAP治療は肺動脈圧を軽減_e0156318_23151892.jpg

 ただし、3試験についてはCPAP治療自体の1日あたりの継続時間が報告されていなかった。また、サンプルサイズが大きかったChaouatらの研究では除外基準がなく、呼吸器・循環器疾患の除外ができていないものと考えられた。ほとんどの研究では右心カテーテルではなく心臓超音波検査による推定肺動脈圧が測定されていた。

結論:
 このメタアナリシスにはいくつかのlimitationがあるが、CPAP治療はOSA患者の肺動脈圧の減少と関連していた。


by otowelt | 2014-06-04 00:42 | 呼吸器その他

抗レトロウイルス治療を受けているHIV感染者全員に対してイソニアジドの予防投与は結核発症予防効果あり

抗レトロウイルス治療を受けているHIV感染者全員に対してイソニアジドの予防投与は結核発症予防効果あり_e0156318_1215550.jpg 驚愕の試験結果だと思ったのですが、よくよく考えれば過剰に発症抑制(取りこぼし例の抑制)をしているので当たり前の事象なのかもしれません。

Molebogeng X Rangaka, et al.
Isoniazid plus antiretroviral therapy to prevent tuberculosis: a randomised double-blind, placebo-controlled trial
Lancet, Published Online May 14, 2014


背景:
 抗レトロウイルス治療は結核のリスクを減らすが、HIV非感染者と比較してHIV感染者では結核の頻度が多い。われわれの目的は、抗レトロウイルス療法を受けている18歳以上のHIV-1感染患者について、結核リスクに対するイソニアジド予防投与の効果を評価することである。

方法:
 試験は、南アフリカケープタウンのカエリチャで実施された。被験者を1:1にイソニアジド予防投与12ヶ月群、プラセボ群にランダムに割り付けた。被験者、主治医、薬剤師に対して盲検化で行われた。スクリーニングにおいて、喀痰の抗酸菌培養検査が陽性となった結核症例は除外基準となった。
 プライマリエンドポイントは、結核の発症(疑い例や不確定例も含む)とした。

結果:
 2008年1月31日~2011年9月31日の試験期間中、合計1329人がランダム化された(イソニアジド群662人、プラセボ群667人)。全体で3227人年が解析対象となった。
 結核発症は95人に同定された。そのうちイソニアジド群は37人、発生率は2.3/100人年(95%信頼区間1.6~3.1)、プラセボ群は58人、発生率は3.6/100人年(95%信頼区間2.8~4.7)であった。ハザード比0.63(95%信頼区間0.41~0.94)だった。
抗レトロウイルス治療を受けているHIV感染者全員に対してイソニアジドの予防投与は結核発症予防効果あり_e0156318_1210320.jpg
(文献より引用)
抗レトロウイルス治療を受けているHIV感染者全員に対してイソニアジドの予防投与は結核発症予防効果あり_e0156318_1210481.jpg
(文献より引用)

 Grade3または4のALT値上昇のため試験薬投与を中断したのは、イソニアジド群19人/662人、プラセボ群10人/667人だった(リスク比1.9、95%信頼区間0.90~4.09)。
 この試験結果において、イソニアジド予防投与の効果がツベルクリン反応検査ないしインターフェロンγ遊離アッセイが陽性の患者のみに限定されるというエビデンスは観察されなかった。これらの結果が陰性であった患者の補正後ハザード比は、ツベルクリン反応検査0.43(95%信頼区間0.21~0.86)、インターフェロンγ遊離アッセイ0.43(95%信頼区間0.20~0.96)だった。陽性患者についてはそれぞれ0.86(同:0.37~2.00)、0.55(同:0.26~1.24)だった。

結論:
 予測試験や有益性予測の多変量アルゴリズムを行わずとも、イソニアジドの予防投与は、中等度以上の結核蔓延地域で抗レトロウイルス療法を受けている全患者に、ツベルクリン反応テストやインターフェロンγ遊離アッセイの陽性・陰性に関係なく推奨されるべきである。


by otowelt | 2014-06-03 00:57 | 抗酸菌感染症

カビくさい部屋にいると呼吸機能が悪化する

カビくさい部屋にいると呼吸機能が悪化する_e0156318_15514412.jpg 個人的には風呂掃除のときにカビとたたかうことが多かったのですが、半年に1回防カビ燻煙剤をするようになってからピンク色のカビが全く出なくなりました。

Samu Hernberg, et al.
Indoor molds and lung function in healthy adults
Respiratory Medicine Volume 108, Issue 5 , Pages 677-684, May 2014


背景:
 室内の真菌(mold:糸状菌)の曝露は世界的にありふれたことであり、重要な健康障害の原因である。しかし、真菌の曝露と呼吸機能の関連について気管支喘息を有さない成人ではほとんど調査されていない。われわれの目的は、自宅や職場における湿気・真菌曝露と呼吸機能の関連について調べることである。

方法:
 この集団ベース研究において、269人の気管支喘息を有さない南フィンランドの成人が質問票に答えた。質問は、自宅・職場の室内の湿気や真菌曝露、そのほか呼吸機能に影響を与えると思われる内容を問うた。また被験者には呼吸機能検査を実施した。重回帰モデルによって、曝露と呼吸機能の関連を調べた。

結果:
 交絡因子によって補正した線形回帰分析において、自宅でのカビくささ(mold odor)がある被験者は1秒量は平均200mL少なく(効果推定値−0.20L, 95%信頼区間−0.60 to 0.21)、努力性肺活量は平均460mL少なかった(効果推定値−0.46L, 95%信頼区間−0.95 to 0.03)。
 自宅だけでなく職場におけるカビくささを含めても、これら2パラメータは同様に減少した(1秒量効果推定値−0.15L, 95%信頼区間−0.42 to 0.12、努力性肺活量効果推定値−0.22, 95%信頼区間−0.55 to 0.11)。
 女性の場合、自宅のカビくささは1秒量で平均510mL減少(効果推定値−0.51L, 95%信頼区間−1.0 to 0.03)、努力性肺活量で平均820mL減少(効果推定値−0.82,95%信頼区間−1.4 to −0.20)。

結論:
 気管支喘息を有さない成人患者において、カビくささは呼吸機能の悪化と関連していた。特の女性では顕著であった。


by otowelt | 2014-06-02 00:28 | 呼吸器その他