<   2014年 12月 ( 26 )   > この月の画像一覧

クリスマスBMJ:任天堂ゲーム機器による外傷などの医学的問題

 毎年恒例のクリスマスBMJです。念のためですが、BMJによる「ジョーク」なので真に受けないように。順次更新していきます。

 私もスーパマリオブラザーズ世代で、毎日プレイしていました。カセットに息を吹きかけていたのが懐かしいですね。

Maarten B Jalink, et al.
Nintendo related injuries and other problems: review
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g7267 (Published 16 December 2014)


目的:
 任天堂のテレビゲームによる外傷やその他の問題を同定すること。

方法:
 PubMedやEmbaseから2014年6月までの任天堂ゲーム機器による外傷やそのほかの問題について報告した研究を抽出した。

結果:
 38の報告のうちのほとんどが症例報告やケースシリーズであった。外傷や神経学的・精神医学的問題と幅広く報告があった。
 もっとも古く報告されたものは、13歳の女児における“任天堂痙攣”(N Engl J Med1990;322:1473)であった。これはスーパーマリオブラザーズによるものと報告されている。また、1990年台には“任天堂失禁”(Am J Dis Child1990;144:959、Am J Dis Child1991;145:1094)が報告されている。他にも“任天堂肘”(West J Med1992;156:667-8)や“任天堂幻覚”(Irish J Psychol Med1993;10:98-9.)など。
 従来のボタン式コントローラーは、 母指伸筋の腱鞘炎と関連していた。ニンテンドー64コントローラーにおけるジョイスティックは、手掌の潰瘍と関連していた。動作で反応するWiiリモコンは、筋骨格系や様々な外傷と関連していた。

結論:
 ほとんどの問題は軽度であり、またその頻度は低い。報告された外傷はゲームのやり方に問題があり、しっかりと休憩をとって正しくプレイすれば問題ないと思われる。


by otowelt | 2014-12-18 17:10 | その他

中等症の気管支喘息に対してブデソニド/ホルモテロールのレスキューのみでの管理はアウトカム不良

e0156318_95554.jpg シムビコートのSMART療法に関するスタディかと思ったのですが、何か違和感が残る研究です。正直、何を比較したいのかよくわかりませんでした。
 中等症の気管支喘息に対してICS/LABAの頓用使用だけでコントロールすることはそもそもありませんし・・・。

Alberto Papi, et al.
Regular versus as-needed budesonide and formoterol combination treatment for moderate asthma: a non-inferiority, randomised, double-blind clinical trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 4 December 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70266-8


背景:
 治療ガイドラインでは中等症の遷延性喘息患者に対して吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の併用定期使用に加えて、短時間作用性の気管支拡張薬のレスキュー使用が推奨されている。われわれは、定期使用なしで症状出現時にブデソニド/ホルモテロールをレスキュー使用するだけの治療と、定期使用とレスキューを組み合わせた治療を中等症の気管支喘息患者において比較検討した。

方法:
 この非劣性ランダム化比較試験において、われわれは成人の中等症の遷延性喘息患者(18~65歳)を登録した。6週間のrun-in period(ブデソニド/ホルモテロール+レスキューテルブタリン)ののち、患者は1:1にプラセボ定期1日2回吸入+レスキューブデソニド160μg/ホルモテロール4.5μg(レスキューブデソニド/ホルモテロール群)あるいは、1日2階のブデソニド160μg/ホルモテロール4.5μg+レスキュー500μgテルブタリン(定期ブデソニド/ホルモテロール群)に1年間割り付けた。
 プライマイラウトカムは、治療失敗までの期間とした(Kaplan-Meier)。

結果:
 2009年4月20日から2012年3月31日までの間、われわれは1010人の中等症気管支喘息の患者をスクリーニングし、866人をランダム化した(424人レスキュー群、442人定期群)。
 定期使用群と比較して、レスキュー群では1年時点での治療失敗がない頻度が少なかった(治療失敗が多かったということ)(Kaplan-Meier:レスキュー群53.6% vs 定期群64.0%、差10.3% [95%信頼区間3.2—17.4]、※事前に定義した非劣性限界9%)。また、レスキュー群の患者は治療失敗までの期間が短かった(第1四分位[25%の患者]の到達:11.86週 vs 28.00週)。治療失敗の差には夜間の覚醒が大きく寄与した(レスキュー群82人、定期群44人)。

結論:
 中等症の気管支喘息の患者においてレスキューのブデソニド/ホルモテロールを使用する(定期使用はなし)治療法は、ガイドラインですすめられているようにブデソニド/ホルモテロールの定期使用を用いるよりも効果が低い。ただし、その差は小さかった。



by otowelt | 2014-12-18 00:13 | 気管支喘息・COPD

メタアナリシス:サルコイドーシスの診断に対するEBUS-TBNAはパフォーマンス良好だが感度に課題

e0156318_11333269.jpg 肉芽腫を観察できるだけの組織量が重要なのだろうな、と感じます。

Rocco Trisolini, et al.
Endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration for diagnosis of sarcoidosis in clinically unselected study populations
Respirology, 5 DEC 2014 DOI: 10.1111/resp.12449


背景:
 これまでの報告では、超音波ガイド下経気管支針生検(EBUS-TBNA)はサルコイドーシスの診断に良好なパフォーマンスであるとされている。しかしながら、これまでに多くの著者がその結果を検証しようとした。というのも、多くの研究は高度専門施設であったりサルコイドーシス紹介例が多かったりする特殊な状況下であることが報告されていたためだ。

方法:
 われわれはシステマティックレビューおよびメタアナリシスを行い、画像上縦隔リンパ節腫大を指摘された連続患者を登録したサルコイドーシスのEBUS-TBNA診断の役割を検証した。PubMedなどの電子データベースを用いて文献をスクリーニングした。診断率、感度、特異度を算出。

結果:
 14の研究が登録された(2097人)。サルコイドーシスの頻度は中央値で15%だった。EBUS-TBNAによるサルコイドーシスの診断率は79%(標準偏差24%)であり、感度84%(95%信頼区間79–88%)、特異度100%(95%信頼区間99–100%)だった。スタディデザインによって異質性に影響がみられ、レトロスペティブデザインの研究はプロスペクティブのものよりも感度が不良であった((I2= 80.4%; P = 0.0001)。
e0156318_15571478.jpg
(文献より引用:感度、forest plot)

 線形回帰分析ではサルコイドーシスの頻度と感度の間に関連性は観察されなかった。
e0156318_1559174.jpg
(文献より引用)

結論:
 非選択患者/選択患者におけるサルコイドーシスの診断に対するEBUS-TBNAの結果は良好であった。各研究ごとの感度差を検証するために、さらなる質の高い研究が期待される。


by otowelt | 2014-12-17 00:11 | サルコイドーシス

生存した急性肺傷害の患者の長期死亡率は心原性肺水腫の患者と同等

e0156318_15104631.jpg 重症呼吸器疾患の長期フォローアップデータに重きを置いた研究です。

Christopher N. Schmickl, et al.
Comparison of Hospital Mortality and Long-Term Survival in Patients with Acute Lung Injury (ALI)/Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS) versus Cardiogenic Pulmonary Edema (CPE)
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.14-1371


背景:
 最も適切な治療を選択するために、急性肺傷害(ALI)と心原性肺水腫(CPE)の早期の鑑別診断は重要であるが、これらの鑑別が予後にどのような影響を与えるのかは研究されていない。人工呼吸器を装着する前に正確な予後情報を与えることは重要である。

方法:
 これは2006年から2009年に入院した急性肺水腫の成人患者コホートに基づいた長期フォローアップ研究である。ALIとCPEの診断は事後のエキスパートレビューによって確立された。ロジスティックCox回帰により、ALIとCPEの院内死亡率と長期生存を比較した。

結果:
 328人(ALI155人、CPE173人)のうち、240人(73%)が中央フォローアップ期間160日のうちに死亡した。交絡因子によって補正すると、ALIの患者は院内でより死亡しやすかったが(オッズ比4.2、95%信頼区間2.3-7.8、p<0.001)、在院中に生存した患者のフォローアップ中の死亡リスクは両群ともに同等であった(ハザード比1.13, 95%信頼区間0.79-1.62, P=0.50)。独立死亡予測因子には、年齢、APCHE IIIスコアが含まれた。
 ALI患者をARDS(ベルリン基準を満たすもの)のサブセット患者にしぼっても、その結果は同じであった。事後解析において、在院中に生存した患者の死亡率をアメリカの一般人口と比較すると有意に最初の2年で高かったが、その後5年で収束に向かった。

結論:
 CPE患者と比較してALI/ARDSの院内死亡率は高かったものの、在院中に生存患者の長期フォローアップではその生存は両群とも同等であった。


by otowelt | 2014-12-16 00:48 | 集中治療

LAMに対するシロリムスの長期的効果

e0156318_21492533.jpg 5年の追跡が可能であった12人のデータが注目点のようです。

Jianhua Yao, et al.
Sustained Effects of Sirolimus on Lung Function and Cystic Lung Lesions in Lymphangioleiomyomatosis
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 190, No. 11 (2014), pp. 1273-1282.


背景:
 肺リンパ脈管筋腫症の患者に対して、mTOR阻害薬であるシロリムスは、血管筋脂肪腫の大きさを減少させ、呼吸機能を安定化させることが報告されている。

目的:
 シロリムスが呼吸機能、嚢胞領域、隣接肺実質へどのような影響を与えるのか調べること。またそれらの効果が持続するのかどうか調べること。

方法:
 38人のLAM患者において、呼吸機能の減少、嚢胞スコア、嚢胞に隣接した肺実質の評価をコンピューターで解析した。シロリムス治療前後(試験終了時)の嚢胞スコアを比較した。12人のLAM患者において、呼吸機能の変化や嚢胞スコアを追跡した。

結果:
 シロリムスは年ごとの1秒量の減少(−2.3 ± 0.1 vs. 1.0 ± 0.3%予測値; P < 0.001)およびDLCOの減少(−2.6 ± 0.1 vs. 0.9 ± 0.2%予測値; P < 0.001)を抑制した。嚢胞スコアはシロリムスの治療前後で差はみられなかった。
 12人を5年間追跡したところ、1秒量の減少の抑制は続けて観察されていた(−1.4 ± 0.2 vs. 0.3 ± 0.4%予測値; P = 0.025)。嚢胞スコアについてはこれもやはり有意な差は認められなかった。
 副作用は報告されているものの、ほとんどの患者でシロリムスが継続可能であった。

結論:
 LAM患者において、シロリムスは長期にわたり呼吸機能の減少を抑制する。


by otowelt | 2014-12-15 00:35 | びまん性肺疾患

チャイコフスキーの死因はコレラか自殺か?

e0156318_22225327.jpg●はじめに
 ピョートル・チャイコフスキーは、ロシアで最も有名な作曲家の1人です。個人的にはラフマニノフの方が好きなのですが、チャイコフスキーも彼と同じく豪華なオーケストレーションと甘いメロディーが特徴の作曲家で、私も交響曲は今でも好んで聴きます。
e0156318_221942.jpg
(ピアノ協奏曲第1番 第1楽章)


●コレラで死亡?
 チャイコフスキーの死因は、実はコレラとされています。1893年11月2日、観劇の後にレストランで会食しているときに川の水をグラスで飲み干したことが理由とされています。その数時間後、とてつもない下痢と嘔吐症状が彼を襲いました。その後無尿に陥り、意識が混濁し、4日後の11月6日に死亡しました。劇的な経過ではありますが、コレラの経過として大きな矛盾はなさそうです。
Kornhauser P. The cause of P.I. Tchaikovsky's (1840-1893) death: cholera, suicide, or both? Acta Med Hist Adriat. 2010;8(1):145-72.

 彼がホモセクシャルであったことから、死因に関してはいろいろな憶測が飛びました。非倫理的な行為(年下の男に執着)から皇帝に自殺を強要されたのではないかとする説も有力視されました。また、もともとうつ病の症状が強く、恋する男性との関係が成就しないことに悲観して自殺を受け入れたのではないかとする意見もあります。ただ、自殺説の根拠は「葬儀の際、親戚やファンがコレラに感染していたはずの遺体(チャイコフスキー)に触れたりキスしたりしていた」というものでした。コレラが死の感染症として恐れられていた当時、遺体に触れることができる葬儀というのは、コレラの葬儀ではありえないという専門家の意見が根強いです。対外的に無理矢理コレラにしたのではないかと考えられました。

 しかしながら、現時点での世界的コンセンサスとして、チャイコフスキーの死因はコレラであったと結論づけられています。真相は闇の中です。

<音楽と医学>
モーツァルトの死因は毒殺だったのか?
ラフマニノフはMarfan症候群ではなかったのかもしれない
ショパンの死因は結核ではなかったかもしれない
ベートーヴェンの難聴と肝硬変の原因はワインの飲みすぎによる鉛中毒

<偉人たち>
Biot呼吸の提唱者:Camille Biot
Ziehl-Neelsen染色の考案者1:Franz Ziehl
Ziehl-Neelsen染色の考案者2:Friedrich Carl Adolf Neelsen
Boerhaave症候群の提唱者:Herman Boerhaave
Pancoast腫瘍の提唱者:Henry Pancoast
Clara細胞の発見者:Max Clara
サコマノ法の考案者:Geno Saccomanno
Mendelson症候群の提唱者:Curtis Lester Mendelson
Hoover徴候の提唱者:Charles Franklin Hoover
Gram染色の発見者:Hans Christian Joachim Gram



by otowelt | 2014-12-13 00:53 | コラム:医学と偉人

過体重や肥満の患者の呼吸困難感はCOPDと誤診されやすい

e0156318_23175684.jpg 日本では肥満のCOPD患者さんはマイノリティですので、この論文に書かれていることは欧米独自の特徴だろうと思います。

Bridget F. Collins, et al.
The Association of Weight With the Detection of Airflow Obstruction and Inhaled Treatment Among Patients With a Clinical Diagnosis of COPD
Chest. 2014;146(6):1513-1520.


背景:
 臨床的にCOPDと診断されたほとんどの患者は、気流閉塞(AFO)を同定するための呼吸機能検査を受けていない。過体重および肥満の患者は、より呼吸困難感を訴えやすく、それがAFOの存在を誤認させてしまうおそれがある。われわれは、臨床的にCOPDと診断された過体重および肥満の患者が誤診されやすいのかどうか、吸入薬を処方されやすいのかどうか調べた。

方法:
 BMIに基づいて過体重および肥満の患者を抽出。アウトカムは、①呼吸機能検査におけるAFO同定、②呼吸機能検査の3ヶ月前~9-12ヶ月後の吸入薬増量および減量、とした。

結果:
 5493人の過体重および肥満の患者のうち52%が臨床的にAFOを有するCOPDと診断された。AFOを有する患者の頻度はBMIが増加するにつれて減った。また、AFOのない患者では、過体重および肥満の者は処方をそのまま続けられたり、減らされにくい傾向にあった(adjusted proportions: 正常体重0.69 [95%信頼区間0.64-0.73]; 過体重0.62 [95%信頼区間 0.58-0.65; P = .014];肥満0.60 [95%信頼区間0.57-0.63; P = .001])。

結論:
 過体重および肥満の患者はCOPDと誤診されやすく、呼吸機能検査でAFOがないと判明しても吸入薬をやめない傾向があった。



by otowelt | 2014-12-12 00:05 | 気管支喘息・COPD

ViDiCO試験:一部のCOPD患者に対するビタミンD3補充は急性増悪を抑制

e0156318_12254076.jpg COPDとビタミンDの関連については過去にいくつか報告があります(Ann Intern Med 2012; 156: 105-114.など)。

Adrian R Martineau, et al.
Vitamin D3 supplementation in patients with chronic obstructive pulmonary disease (ViDiCO): a multicentre, double-blind, randomised controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 2 December 2014


背景:
 COPDの患者はしばしばビタミンD欠乏を有しており、それが上気道感染症の感受性を増加させているのではないかとされている。それによりCOPD急性増悪に陥る危険性がある。多施設共同試験において、ビタミンDno補充がCOPD急性増悪や上気道感染症を予防できるかどうか証明されていない。そこでわれわれは、ビタミンD3(コレカルシフェロール)の補充が中等症以上のCOPD急性増悪や上気道感染症の頻度を減らすことができるかどうか検証した。

方法:
 われわれはランダム化二重盲検プラセボ対照試験において、COPD患者に対してビタミンD3の補充をおこなった。患者は2か月ごとの3mgビタミンD3あるいはプラセボの経口補充を1年間続ける介入を受けた。参加者と研究スタッフは治療割り付けについてマスクされた。プライマリアウトカムは、初回の中等症以上の急性増悪および上気道感染症までの期間とした。

結果:
 240人の患者がランダムにビタミンD3群(122人)およびプラセボ(118人)に割り付けられた。プラセボと比較して、ビタミンD3は中等症以上の急性増悪までの期間には影響を与えなかった(補正ハザード比0.86、95%信頼区間0.69-1.31、p=0.75)。サブグループ解析では、血清25-ヒドロキシビタミンDの濃度が50nmol/L以下の患者においてビタミンD3は急性増悪に対して保護的に作用した(補正ハザード比0.57, 95%信頼区間0.35-0.92, p=0.021)。しかし、それ以上の血清濃度を有する患者ではその作用は観察されなかった。

結論:
 ベースラインの血清25-ヒドロキシビタミンD3が50nmol/L以下のCOPD患者に対してビタミンD3の補充は中等症以上の急性増悪に保護的に作用するが、上気道感染症には作用しない。 


by otowelt | 2014-12-11 00:49 | 気管支喘息・COPD

CHEST-2試験:慢性血栓塞栓性肺高血圧に対するリオシグアトの長期安全性と効果

e0156318_1116566.jpg CHEST-1試験のリオシグアト(アデムパス®)のその後の報告です。

CHEST-1試験、PATENT-1試験:新規肺高血圧症治療薬リオシグアトの有効性

Gérald Simonneau, et al.
Riociguat for the treatment of chronic thromboembolic pulmonary hypertension: a long-term extension study (CHEST-2)
ERJ November 13, 2014 erj00871-2014


背景:
 リオシグアトは手術不能の遷延性/再発性慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対して効果があるsGC(可溶性グアニル酸シクラーゼ)刺激薬である。16週間におよぶCHEST-1試験において、リオシグアトは6分間歩行距離および肺血管抵抗の改善をもたらした。CHEST-2試験は、長期の安全性と効果を検証したオープンラベル試験である。

方法:
 CHEST-1試験に登録された患者がリオシグアト(最大2.5mg1日3回)を投与された。この試験の主要目的は安全性と忍容性の評価、5分間歩行距離やWHO機能分類を含む効果エンドポイントとした。

結果:
 CHEST-2試験に合計237人が登録された。安全性プロファイルはCHEST-1試験と同等であった。6分間歩行距離およびWHO機能分類の改善は、CHEST-2試験においても持続的に観察されていた。CHEST-1試験のベースラインから、6分間歩行距離は+51±62m改善していた。

結論:
 CTEPHに対するリオシグアトは長期の安全性と効果が期待できる。


by otowelt | 2014-12-10 00:03 | 呼吸器その他

メタアナリシス:COPDに対する太極拳は運動耐容能やQOLを改善

e0156318_23131240.jpg 孫氏(孫式)太極拳についての報告は以前紹介しました。

COPDにおける太極拳の有用性

Wu W, et al.
Effects of Tai Chi on exercise capacity and health-related quality of life in patients with chronic obstructive pulmonary disease: a systematic review and meta-analysis.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2014 Nov 7;9:1253-1263. eCollection 2014.


背景:
 太極拳は伝統的な中国の運動であり、中国以外の国々でもさかんに行われている。これがCOPDにおける呼吸リハビリテーションプログラムに有効かもしれない。このシステマティックレビューおよびメタアナリシスにおいて、COPDの患者に対する太極拳が運動耐容能や健康関連QOL(HRQoL)にどういった効果をもたらすか調べた。

方法:
 電子データベース(PubMed, Embase, Web of Science, The Cochrane Library, Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature, ClinicalTrials.gov, China National Knowledge Infrastructure, China Biology Medicine disc)を検索した。1980年1月から2014年3月までの論文を同定した。研究は、ランダム化比較試験で少なくとも12週間の介入をおこなったものとした。プライマリアウトカムは、6分間歩行距離(6MWD)、SGRQ、慢性呼吸器疾患質問票(CRQ)とした。

結果:
 824人の患者を含む11の研究が適格基準を満たした。太極拳群と、運動なしまたは通常の身体運動群に分けて解析を行った。メタアナリシスによれば、運動なしの患者と比較して太極拳群では6MWD(平均差35.99, 95%信頼区間15.63-56.35, P=0.0005)、SGQR(平均差-10.02, 95%信頼区間-17.59, -2.45, P=0.009), CRQスコア(平均差0.95, 95%信頼区間0.22-1.67, P=0.01)は改善した。通常の運動群と比較しても、太極拳は有意にSGRQ(平均差-3.52, 95% CI -6.07, -0.97, P=0.007)を改善した。しかし、6MWDの改善はみられなかった(平均差13.65, 95%信頼区間-1.06, 28.37, P=0.07)。

結論:
 COPD患者において、太極拳は運動耐容能やHRQoLを改善させる効果がある。呼吸リハビリテーションプログラムの一環として太極拳を代替的に使用することを推奨してもよいかもしれない。


by otowelt | 2014-12-09 04:20 | 気管支喘息・COPD