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P/F比によって診断されたARDSとS/F比によって診断されたARDSは臨床的に同等

e0156318_21563989.jpg 血液ガス分析を用いないARDSの試験組み入れ基準についての意見です。

Wei Chen, et al.
Clinical Characteristics and Outcomes are Similar in ARDS Diagnosed by SpO2/FiO2 Ratio compared with PaO2/FiO2 Ratio
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.15-0169


背景:
 ARDSの患者においてSpO2/FiO2比(SF)は、PaO2/FiO2比(PF)と強く関連している。しかしながら、SFがPFにとってかわるかどうか、またSFがPFによって診断されたARDS患者と臨床的な違いがあるかどうかよくわかっていない。

方法:
 われわれは大規模観察研究コホートの二次解析を行った。患者は内科ICUに入室した患者でARDSのベルリン基準を満たすものとした。低酸素血症はPF300以下、SF315以下と規定。

結果:
 362人のARDS患者のうち238人(66%)がPFによって、124人(34%)がSFによって診断された。SFによって診断された患者で同日に血液ガス分析を実施している患者10人では、PFはARDS基準を満たさなかった。全体として、APACHEIIスコアを除く臨床的特徴・データにはSF、PF両群で差はみられなかった(PFではAPACHEIIスコアが高くなった:血液ガス分析データに由来)。人工呼吸器装着期間(両群平均7日)、ICSU入室期間(PF,SFでそれぞれ平均10 vs 9日)、入院死亡率(両群平均36%)を含む臨床アウトカムに差はみられなかった。

結論:
 SFによって診断されたARDS患者ではPFによる同患者と同等の臨床的特徴を有していた。SFは臨床試験に早期に組み入れられるべきARDS患者に対しても診断的ツールとして一考に値する。


by otowelt | 2015-09-04 00:49 | 集中治療

PTSD患者におけるOSAS合併は症状・QOL・CPAP治療有効性が不良

e0156318_23251398.jpg PTSD患者の半数以上がOSASというコホートもすごいですが・・・。

Christopher J. Lettieri, et al.
Obstructive sleep apnea syndrome and post-traumatic stress disorder:
Clinical outcomes and impact of PAP therapy
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.15-0693


目的:
 PTSD患者における、閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)の症状とQOLに与える影響を調べた。加えて、CPAP治療のアドヒアランスと治療反応性をこの集団で調査した。

方法:
 睡眠障害センターの症例対照観察コホートを用いた研究である。200人の連続したPTSD患者が睡眠について評価された。OSASのあるPTSD患者・ないPTSD患者がPTSDのないOSAS患者50人および健常な50人と比較された。ポリソムノグラフィ、睡眠関連症状、QOL、CPAP治療の客観的評価をおこなった。

結果:
 PTSD患者のうち56.6%がOSASと診断された。PTSD+OSASは他の集団と比較してQOLが低く、日中の眠気も多かった。PTSD患者は有意にCPAP治療のアドヒアランスと治療反応性が不良であった。眠気の改善はOSASのみの患者では82%が改善したのに対して、アドヒアランス良好なPTSD+OSAS患者では62.5%、アドヒアランス不良のPTSD+OSAS患者では21.4%しか改善しなかった(p<0.001)。同様に、治療後のFOSQ(Functional outcomes of sleep questionnaire:QOLの指標)が17.9点以上改善したのはOSASのみの患者で72%、PTSD+OSASの患者ではアドヒアランス良好の場合56.3、不良の場合26.2%%だった(p<0.03)。

結論: 
 PTSDの患者では、OSASの合併は症状の悪化、QOLの低下、CPAP治療のアドヒアランスや治療反応性の不良と関連していた。PTSD患者では注意深くOSASの合併を考慮すべきである。


by otowelt | 2015-09-03 00:35 | 呼吸器その他

新生児期の急性呼吸器感染症はその後の呼吸器合併症・喘息の入院のリスク

e0156318_9224056.jpg 2日連続、新生児の論文です。

Hannah C. Moore, et al.
Infant respiratory infections and later respiratory hospitalisation in childhood
ERJ August 20, 2015 ERJ-00587-2015


背景:
 急性呼吸器感染症(ARI)は、新生児においてゆゆしき問題である。われわれは、ARIと小児期早期の呼吸器合併症の発症との関連性について調べた。

方法:
 人口ベースの縦断的入院データと、1997年から2002年までの西オーストラリアの145580人の児のデータ(新生児期、出生、死亡記録)を調べた。繰り返す新生児期のARIが、3歳時点の呼吸器系疾患の入院のリスクとなるかどうか調べた。

結果:
 新生児期のARIは有意にその後の呼吸器系の入院のリスクを上昇させた(ハザード比3.5, 95%信頼区間3.1–3.8、補正ハザード比3.0, 95%信頼区間2.6–3.4[母体の喫煙、出生時期、出産方法、出生週数で補正])。ARIによる新生児期の入院数・入院期間が増えるごとに、その後の呼吸器系の入院リスクも増加した。ただ、これは出生週数によって修飾されなかった。呼吸器系の入院を喘息の入院に限定しても、この結果は同等であった。

結論:
 新生児期のARIによる繰り返す入院は、3歳時点での呼吸器系合併症や喘息による入院のリスクであった。このリスク増加は、出生週数に影響されなかった。新生児期のARIを減らすことが重要である。


by otowelt | 2015-09-02 00:26 | 呼吸器その他

母体の肥満は児の喘鳴のリスク?

e0156318_9224056.jpg アトピー素因のある母親では、母体自身の喘息のリスクも増加させるので注意が必要です。

Jacobien B. Eising, et al.
Maternal body mass index, neonatal lung function and respiratory symptoms in childhood
ERJ August 20, 2015 ERJ-00784-2014


背景:
 近年の研究によれば、母体の肥満は児の喘鳴リスクと関連しているとされている。われわれは、新生児の呼吸機能に影響を与えるかどうか調べた。

方法:
 プロスペクティブな出生コホートを用いて、2606人の新生児の呼吸機能を測定した(single occlusion technique)。日々の喘鳴症状については親にアンケートを実施した。喘鳴に対する紹介・処方のデータは家庭医の診療録に基づいて抽出した。

結果:
 母体の高いBMIは、出生後1年以内の喘鳴リスクを増加させ、5歳までの喘鳴に対する紹介・処方を増加させた。BMIが1kg/m2増加するにつれ、喘鳴は2%(95%信頼区間1.000~1.042%)増加した。呼吸機能は、出生後1年以内の喘鳴といくらか関連性がみられた。解析モデルに呼吸抵抗を組み入れると、罹患率比は1.015(95%信頼区間0.998–1.032)に低下した。母体のBMIの増加はβ2刺激薬の処方の増加とも関連していた。
 5歳児については、喘鳴による紹介と関連性がみられたが、上述のような関連性は観察されなかった。

結論:
 母体の高いBMIは児の喘鳴と関連していた。出生後1年以内では、これは呼吸機能の障害によって説明できた(特に非アトピーの母親)。5歳時での呼吸機能について、この関連性は薄かった。


by otowelt | 2015-09-01 16:05 | 呼吸器その他