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日本のPPFE52人の臨床的検討

e0156318_10545513.png まとまった報告は珍しいですね。 

Ishii H, et al.
Pleuroparenchymal fibroelastosis diagnosed by multidisciplinary discussions in Japan
Respiratory Medicine, DOI: https://doi.org/10.1016/j.rmed.2018.06.022


背景:
 特発性間質性肺炎のうち、Pleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE) はまれなサブセットである。PPFEに関する大規模な臨床研究は存在しない。この研究の目的は日本におけるPPFEの臨床的および生理学的特徴を同定することである。

方法:
 これは日本で行われた後ろ向きの多施設共同研究である。MDDにおいてPPFEと診断され52人を登録した。

結果:
 第6胸椎レベルでの胸郭の前後と横の比で定義されたFlat chest indexは、BMI(r = 0.340, p = 0.013)、%予測努力性肺活量(FVC)r = 0.355, p = 0.012)と有意に相関していた。また、残気量/全肺気量(RV/TLC)と逆相関していた(r = −0.312, p = 0.042)。RV/TLCはBMI(r = −0.746, p < 0.0001)および%予測FVC(r = −0.507, p = 0.0005)と逆相関し、年齢、GAPスコアを正の相関をしていた(r = 0.332, p = 0.030)。生存期間中央値は96ヶ月で、5年次での生存率は58%だった。KL-6が600U/mLを超える症例のほうが生存期間が有意に短かった(p < 0.001)。

結論:
 PPFEにおける低BMI、FVC減少、RV/TLC上昇は、胸郭扁平の進行と関連し、吸気を阻害して拡張機能障害に陥る可能性がある。KL-6高値は、PPFEの予後を不良にする。





by otowelt | 2018-07-31 00:13 | びまん性肺疾患

非結核性抗酸菌症に対する外科的手術は喀痰陰性化率向上に寄与する

e0156318_10555091.png 外科的手術の適応はそれでもしっかり検討すべきだと思います。限局している例がもっともやりやすいですね。

María Luisa Aznar, et al.
Adjuvant lung resection in the management of nontuberculous mycobacterial lung infection: A retrospective matched cohort study
Respiratory Medicine, DOI: https://doi.org/10.1016/j.rmed.2018.07.003


背景および目的:
 肺非結核性抗酸菌症(NTM-PD)患者に対する肺切除は、治療薬による長期コントロールに失敗したときに適用される治療である。しかしながら、その他の治療と比較したデータや長期アウトカムデータは不足している。われわれは、コントロール患者と比較したNTM-PDの肺切除の適応とアウトカムを調べた。

方法:
 外科的治療を受けた患者を後ろ向きに27人同定した。年齢、性別、NTM菌種、放射線学的パターンを1:1でマッチさせた抗菌薬治療のみの患者を設定した。

結果: 
 外科的治療群では、年齢中央値は55歳(IQR 49-61歳)で、74.1%が女性だった。18人がMycobacterium avium complexで、9人が M. xenopiだった。手術内容は、肺全摘が8人、葉切除が20人、区域切除が1人、葉+区域切除が1人だった。外科手術後の合併症は6人(20%)に起こり、2人はARDSで、1人は気管支瘻、1人は心タンポナーデ、2人は膿胸だった。合併症は、内科的治療にかかわらず進行する疾患患者において頻繁にみられた(オッズ比10, p = 0.025)。1年以上追跡すると、外科的治療群では21人(87.5%)が喀痰陰性化がみられ、非外科的治療群の11人(45.8%)と比べると有意に多かった(率比2.36, 95%信頼区間1.37–4.03, p = 0.002)。

結論:
 肺切除を受けたNTM-PD患者は、喀痰陰性化を達成しやすい。長期的な抗菌薬投与もやめることができるかもしれない。





by otowelt | 2018-07-30 00:57 | 抗酸菌感染症

本の紹介:京都ERポケットブック

 結論を先に書きます。一内科医の私が書いても説得力がないかもしれませんが、これほど優れた救急マニュアルを見たことがありません。感動に値する一冊です。
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発売日:2018年6月11日
単行本 : 408ページ
価格 : 3,500円 (税別)
出版社 : 医学書院
編集 : 洛和会音羽病院救命救急センター・京都ER

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する

 私は10年ちょっと前、このマニュアルの舞台である洛和会音羽病院の研修医をしていました。徳洲会系列ほどではありませんでしたが、毎日たくさんの救急車が搬送されてくる救急部で、数日に1回当直をしていました。救急診療の合間に、本棚の後ろにあるソファに座って、先人たちが作った珠玉のパワーポイントをパソコンで見るのが楽しかった。Gram染色をする場所が救急部の端っこにあり、研修医たちはいつもそこで染色していました。あの救急部は、常に研修医たちの居場所でした。

 私は医師になったばかりの頃、実は救急医を目指していました。しかし、手術を要するほどの重度の腰椎椎間板ヘルニアを患っていたため、救急や外科を避けたという情けない過去があります。もう少し体が強ければ、私も今頃救急の書籍を執筆していたかもしれません。どうでもいい、たらればですが。

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 さて、本書はポケットに入るほど小さいです。それでいて厚さは400ページあり、なんとフルカラーです。フルカラーで3,500円というのは、出版社にとってコスト的にキツイ出版のはずです。大手の医学書院だから実現できたのかもしれませんね。
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 主要徴候の全てに登場する「アタマの中」がとてもよい。救急医はこう考えているというのがよく分かるし、救急に携わっていない私でもちょっとデキそうな気にさせてくれます。現場でバリバリ使える実用的な側面と、アカデミックで辞書的な側面というのは相互排他的な関係にあることが多いのですが、この本は見事にそれらをニコイチに完成させている。病棟の対応にもそのまま使えます。
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 このマニュアルの恐ろしいところは異常なまでの実用性の高さにあります。救急対応に必要なことがほぼ網羅されており、余白も余すことなくビッシリとカラフルな文字と図表が埋められています。ステロイドの外用薬も写真入りで掲載されているし、トラブル患者の救急対応までも書かれています。

 研修医時代になぜこの本が無かったのか、と嫉妬せずにはいられない。外来・病棟・救急を受け持つすべての医師は、これを買わずして、一体何を買うのか。





by otowelt | 2018-07-28 00:00 | その他

肺移植時におけるピルフェニドンによる創傷治癒遅延について

e0156318_10514140.png オフェブよりは安全性は高い印象です。

Mortensen A, et al.
Effect of pirfenidone on wound healing in lung transplant patients.
Multidiscip Respir Med. 2018 Jun 14;13:16.


背景:
 ピルフェニドンはIPFの進行を遅らせ死亡率を下げることがわかっている。TGF-βを阻害することで創傷治癒に影響を与える可能性がある。われわれは、肺移植までにピルフェニドンを内服することで、移植後の創傷治癒遅延のリスクを増加させるかどうか検証した。

方法:
 われわれは後ろ向きに肺線維症に対して肺移植をおこなわれた患者を登録した(2014年1月~2015年12月)。

結果:
 ピルフェニドンを移植前1ヶ月まで内服した18人を登録した。外科的な問題による胸骨離解があった1人を除いて、すべての患者で気道の離解はみられなかった。どの患者も少なくとも30日のピルフェニドンを内服しており、9人は90日以上内服していた。

結論:
 肺移植前までピルフェニドンを継続しても安全性に問題はない。






by otowelt | 2018-07-27 00:57 | びまん性肺疾患

I期肺癌切除後の再発予測因子

e0156318_848424.png 実地的でよいと思います。

安川 元章ら
病理病期I期非小細胞肺癌完全切除後の再発予測因子の検討
日本呼吸器外科学会雑誌, 2018 年 32 巻 4 号 p. 432-441


背景:
 肺癌病理病期I期の5年生存率は約80%で,完全切除できた症例でも再発する.

方法:
 今回,我々は病理病期I期非小細胞肺癌完全切除症例について予後検討を行い,再発予測因子を検討した.当院において肺葉切除以上と系統学的リンパ節郭清を行い,完全切除が施行できた原発性肺癌症例で,病期分類I期の非小細胞肺癌381例を対象とした.

結果:
 観察期間中央値は45ヵ月(1-89ヵ月)で,再発例は51例で,全症例の5年生存率は92.1%(95%信頼区間88.0-94.8%),5年無再発生存率は84.9%(95%信頼区間80.3-88.5%)であった.再発をエンドポイントとして検討した結果,単変量解析ではCT上の腫瘍浸潤径,病理学的腫瘍浸潤径,充実性腫瘍,組織型,組織学的グレード,PL因子,V因子,LY因子,術前CEA値が再発予測因子であったが,多変量解析では組織学的グレードのみが独立した再発予測因子であった.

結論:
 病理病期I 期非小細胞肺癌完全切除症例において,年齢,性別,CT 上の腫瘍浸潤径,病理学的腫瘍浸潤径,病理病期T 因子,腫瘍の存在部位,充実性腫瘍,組織型,組織学的グレード,PL 因子,V 因子,LY 因子,術前CEA値を共変量とした多変量解析において,組織学的グレードは独立した再発予測因子であった.



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by otowelt | 2018-07-26 00:40 | 肺癌・その他腫瘍

IPF治療ガイドライン2018

e0156318_10505999.png 日本ではすでにガイドラインとして刊行されていますが、対外的な論文としてはこちらが正式なものになります。印象として、吸入NACを少し過剰評価しているように感じられます。もちろん有効であることが真実かもしれませんが、厳格な研究のみを抽出すべきではないでしょうか。

Honma S, et al.
Japanese guideline for the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.03.003


クリニカルクエスチョン
1. IPF患者はステロイド単独治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者に対してステロイド単独治療をおこなわないよう強く推奨する。


2. IPF患者はステロイドと免疫抑制剤の併用治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者に対してステロイドと免疫抑制剤の併用治療をおこなわないよう強く推奨する。


 欧米でのエビデンスや、日本で行われた低用量ステロイドとシクロスポリンAの併用療法が無効であったという報告(Respir Investig 2015;53:288–95.)に基づいての推奨です。


3. IPF患者は吸入N-アセチルシステイン単独療法を受けるべきか?
 慢性期にあるほとんどのIPF患者に対して吸入N-アセチルシステイン単独療法をおこなわないことを支持するが、少数の患者では妥当な治療オプションかもしれない。


 NACは「推奨しない」とはなりませんでしたが、これに関しては日本独自の見解のように思います。当ガイドラインでは小規模な臨床試験しか紹介されていません。


4. IPF患者はピルフェニドン治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者はピルフェニドン治療を受けることを支持する。


5. IPF患者はニンテダニブ治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者はニンテダニブ治療を受けることを支持する。


6. IPF患者はピルフェニドンと吸入N-アセチルシステインの併用療法を受けるべきか?
 慢性期にあるほとんどのIPF患者に対してピルフェニドンと吸入N-アセチルシステインの併用療法をおこなわないことを支持するが、少数の患者では妥当な治療オプションかもしれない。 


 これについても単施設後ろ向き研究が根拠となっており、日本独自の見解のようにも見えます。


7. IPF患者はピルフェニドンとニンテダニブの併用療法を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者に対するピルフェニドンとニンテダニブの併用療法は、現時点では推奨の判定を差し控える。


 まだ妥当なエビデンスはありません。忍容性についての検討(Am J Respir Crit Care Med. 2018 Feb 1;197(3):356-363.)は済んでいますので、前向き臨床試験の結果が待たれます。


8. 低酸素血症を有するIPF患者は酸素療法を受けるべきか?
 慢性期にある低酸素血症を有するIPF患者は酸素療法を受けることを推奨する。



9. IPF患者は呼吸リハビリテーションを受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者は呼吸リハビリテーションを受けることを支持する。



10. IPF急性増悪の患者はパルス療法を含むステロイド治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は、パルス療法を含むステロイド治療を受けるべきであることを支持する。


 ご存知の通り、これには妥当な臨床試験はないのが現状です。


11. IPF急性増悪の患者は免疫抑制剤治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は免疫抑制剤治療を受けるべきであることを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。


 有効とする後ろ向き研究(Intern Med 2011;50:189–95.、Eur Respir J 2011;38:1487–9.)がいくつかある程度で、有効なエビデンスはないと考えてよいでしょう。


12. IPF急性増悪の患者は好中球エラスターゼ治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は好中球エラスターゼ治療を受けるべきでないことを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。



13. IPF急性増悪の患者はPMX治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者はPMX治療を受けるべきでないことを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。



14. IPF急性増悪の患者は遺伝子組換えトロンボモジュリン治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は遺伝子組換えトロンボモジュリン治療を受けるべきでないことを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。



15. IPFおよび他の間質性肺炎に合併した肺癌に対して外科的治療は推奨されるか?
 IPFあるいは他の間質性肺炎に合併した肺癌に対する外科的治療を支持する。



16. IPFおよび他の間質性肺炎に合併した肺癌の術後急性増悪に対する予防投薬は推奨されるか?
 IPFあるいは他の間質性肺炎に合併した肺癌の術後急性増悪に対する予防投薬をおこなわないことを推奨する(抗線維化薬を除く)。


 ピルフェニドンについては術後の急性増悪を予防できる可能性がありますが(Ann Thorac Surg. 2016 ;102(6):1905-1910.)、やはりこれもエビデンス不足です。


17. IPFおよび他の間質性肺炎に合併した肺癌に対して化学療法をおこなうことは推奨されるか?
 IPFあるいは他の間質性肺炎に合併した肺癌に対して化学療法をおこなうべきであると支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。






by otowelt | 2018-07-25 00:57 | びまん性肺疾患

ファストフードの消費は喘息のリスク

e0156318_23391854.png 週3回以上ハンバーガーを食べる人はヤバそうですが、組み入れられているのは小児の研究ばかりです。一応。

Wang CS, et al.
Is the consumption of fast foods associated with asthma or other allergic diseases?
Respirology. 2018 Jul 4. doi: 10.1111/resp.13339.


背景:
 ファストフードの消費と喘息あるいはアレルギー性疾患の関連については明らかにされていない。この研究の目的は、ファストフードの消費が喘息あるいはアレルギー性疾患と関連しているかどうか調べることである。

方法:
 データベースは2018年2月まで登録された。ファストフードと喘息あるいはアレルギー性疾患の関連を調べた症例対照研究および横断研究が組み入れられた。補正オッズ比と95%信頼区間が算出された。

結果:
 16研究(横断研究:13、症例対照研究:3)が登録された。ファストフードの消費は、現在の喘息(症例対照研究:補正オッズ比1.58、95%信頼区間1.17-2.13、横断研究:補正オッズ比1.58、95%信頼区間1.10-2.26)、重症喘息(補正オッズ比1.34、95%信頼区間1.23-1.46)、喘息既往(補正オッズ比1.36、95%信頼区間1.06-1.75)、現在のwheeze(補正オッズ比1.21、95%信頼区間1.16-1.27)、wheeze既往(補正オッズ比1.65、95%信頼区間1.07-2.52)、主治医が診断したアレルギー性鼻炎(オッズ比1.43、95%信頼区間1.05-1.95)、重症鼻結膜炎(補正オッズ比1.54、95%信頼区間1.18-2.00)と有意に関連していた。ハンバーガーの消費は現在の喘息(補正オッズ比1.59; 95%信頼区間1.13-2.25), 重症喘息(補正オッズ比1.34; 95%信頼区間1.23-1.46), 喘息既往 (補正オッズ比1.47; 95%信頼区間1.13-1.92), 重症湿疹 (補正オッズ比1.51; 95%信頼区間1.16-1.96), 重症鼻結膜炎(補正オッズ比1.54; 95%信頼区間1.18-2.00)、鼻結膜炎(補正オッズ比1.21; 95%信頼区間1.15-1.27)と関連していた。特に、ハンバーガーを食べている場合や、ファストフードを週3回以上食べている場合、重症喘息やwheezeのリスク上昇と関連していた。

結論:
 ファストフード、とりわけハンバーガーの摂取は、用量反応性に喘息のリスク上昇と関連していた。



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by otowelt | 2018-07-24 00:23 | 気管支喘息・COPD

補完代替医療を受ける癌患者は死亡リスクが高い

e0156318_1013928.png 一時期、日本でも問題になりました。特に外科手術のように生命予後に直結するケースで補完代替医療を選ぶのは、危険だと思っています。

Skyler B. Johnson, et al.
Complementary Medicine, Refusal of Conventional Cancer Therapy, and Survival Among Patients With Curable Cancers
JAMA Oncol. Published online July 19, 2018. doi:10.1001/jamaoncol.2018.2487


背景:
 補完代替医療(CM)を受けていない患者と比較した場合、CMを受けている癌患者におけるCM、標準癌治療(CCT)アドヒアランス、全生存期間の関連性についての情報は不足している。

目的:
 CMの有無ごとにCCTを受けた癌患者の全生存期間を比較すること。また、治療アドヒランスや患者特性を比較すること。

デザイン:
 国立癌データベースによる190万1815人の患者データを用いた後ろ向き観察研究である。癌種は乳癌、前立腺癌、肺癌、直腸結腸癌とし、2004年1月1日~2013年12月31日までの患者を組み入れた。患者は、年齢、臨床病期、Charlson-Deyo合併症スコア、保険種類、人種、診断時年齢、癌種によってマッチングされた。統計解析は2017年11月8日~2018年4月9日まで実施された。

曝露:
 CMは、「非医療従事者によって管理されたその他の癌治療」とされ、外科手術、放射線治療、化学療法、ホルモン療法といった少なくとも1つ以上のCCTに追加的に用いられるものとした。

主要アウトカム:
 全生存期間、治療アドヒアランス、患者特性。

結果:
 190万1815人の癌患者コホート(258人:CM群、190万1557人:コントロール群)となった。マッチング後の主要解析に用いられたのは、CM群258人(女性199人、男性59人、平均年齢56歳[IQR48-64歳])、コントロール群1032人(女性798人、男性234人、平均年齢56歳[IQR48-64歳])である。
 CMを選んだ患者は、CCT開始が遅れたわけではなかったが、外科手術(7.0% [18 of 258] vs 0.1% [1 of 1031]; P < .001)、化学療法(34.1% [88 of 258] vs 3.2% [33 of 1032]; P < .001), 放射線治療(53.0% [106 of 200] vs 2.3% [16 of 711]; P < .001), ホルモン療法(33.7% [87 of 258] vs 2.8% [29 of 1032]; P < .001)に拒否的であった。CM使用は、5年生存率の悪化と関連していた(82.2% [95%信頼区間76.0%-87.0%] vs 86.6% [95%信頼区間 84.0%-88.9%]; P = .001)。また、治療遅れや拒否を組み込まない多変量解析において、CMは独立して死亡リスクを上昇させた(ハザード比2.08; 95%信頼区間 1.50-2.90)。しかしながら、治療遅れや拒否をモデルに組み込むと、有意差は消失した(ハザード比1.39; 95%信頼区間0.83-2.33)。
e0156318_1053684.png
(文献より引用)

結論:
 この研究において、CMを受けている患者は追加的なCCTを拒否しやすく、死亡リスクを上昇させた。CMはCCTを拒否しやすいため、リスク上昇につながったものと考えられる。







by otowelt | 2018-07-23 00:49 | 肺癌・その他腫瘍

血清CCL18はIPFの疾患進行を予測する強力なバイオマーカー

e0156318_1543237.jpg 有名臨床試験の事後解析です。

Margaret Neighbors, et al.
Prognostic and predictive biomarkers for patients with idiopathic pulmonary fibrosis treated with pirfenidone: post-hoc assessment of the CAPACITY and ASCEND trials
Lancet Respiratory Medicine, DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30185-1


背景:
 IPFの進行は個々にばらつきがある。過去の研究では、いくつかのタンパクバイオマーカーの末梢血濃度が予後予測因子となりうることが示されているが、複製コホート間で直接比較されたことはない。

方法:
 われわれはCAPACITY 004および006試験、ASCEND試験において、血清CCL13、CCL17, CCL18, CXCL13, CXCL14, COMP、インターロイキン13、MMP3、MMP7、オステオポンチン、ペリオスチン、YKL40のデータを集積し事後報告をこころみた。登録患者は40~80歳のIPF患者で、ベースラインのバイオマーカー未測定例は除外された。バイオマーカーが臨床アウトカムの予後予測と一致するかどうかをみるために、ベースラインのバイオマーカー濃度と努力性肺活量(%予測値)の絶対変化に相関性があるかどうかを検証した。

結果:
 いくつかのベースラインバイオマーカー(CCL13, CCL18, COMP, CXCL13, CXCL14, ペリオスチン, YKL40)はプラセボ群において疾患進行を予測できたが、CCL18のみが努力性肺活量(%予測値)の絶対変化に相関性がある予後予測バイオマーカーだった。ベースラインバイオマーカー濃度にかかわらず、ピルフェニドン治療は利益をもたらした。

結論:
 血清CCL18は、IPFコホートにおいて最も疾患進行を予測するバイオマーカーである。前向き研究においてこの妥当性を検証する必要があろう。





by otowelt | 2018-07-20 00:17 | びまん性肺疾患

閉塞性睡眠時無呼吸に対するゾピクロンの影響

e0156318_1048204.png 睡眠薬ゼッタイダメ!というのは極論なのかもしれません。

Sophie G. Carter, et al.
Effects of 1-month of zopiclone on OSA severity & symptoms: A randomised controlled trial
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.00149-2018


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に対する睡眠薬の使用は、安全性の懸念から禁忌とされている。近年の研究では、夜間の睡眠薬1剤の使用は、幾人かにおいて低酸素血症を悪化させるが、その他の被験者ではOSA重症度を軽減することが示されている。しかしながら、より長期の臨床試験でのデータは不足している。この研究の目的は、1ヶ月のゾピクロン使用の影響を調べることである。

方法:
 1ヶ月間におよぶランダム化二重盲検並行群間試験である。69人が、覚醒閾値を評価するための喉頭蓋カテーテルを用いた夜間生理学的スクリーニングを受けた。その後、30人(平均AHI22±11)がポリソムノグラフィ(ベースライン)を受け、さらにゾピクロン7.5mg内服あるいはプラセボ内服の条件下で2回(初日、30日目)の検査を受けた。

結果:
 ベースラインから30日目までのAHI変化は、ゾピクロンとプラセボ群で差はみられなかった(−5.9±10.2 vs. −2.4±5.5, p=0.24)。同様に、低酸素血症、翌日の眠気、ドライビングシミュレーターパフォーマンスにも有意差はなかった。

結論:
 1ヶ月のゾピクロン投与は、低酸素血症を起こすことなく、OSA重症度や眠気を悪化させなかった。





by otowelt | 2018-07-19 00:26 | 呼吸器その他