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近畿中央胸部疾患センターから近畿中央呼吸器センターへ

 独立行政法人 国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター(所在地:大阪府堺市、院長:林 清二)は、2018年9月1日(土)に、病院名称を「近畿中央呼吸器センター」に変更いたします。また名称変更に伴い、かねてより建設中でした新病棟が完成しましたので、2018年9月15日(土)より稼働することになりました。
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【名称変更の経緯】
 当センターは国内でも数少ない呼吸器疾患に特化した高度専門施設ですが、その旨をよりわかりやすく伝えるために、病院名称を「近畿中央呼吸器センター」に変更することといたしました。以前より地域住民の方々に親しまれてきた「近畿中央」という名称は、全国的、世界的にもネームバリューとなっているため残しつつ、これまでの歴史を引継ぎながら、今まで利用されていた患者様、また新たに利用される患者様にも受け入れられる名称にいたしました。


【新病棟について】
 建設中でした新病棟が竣工いたしましたので、2018年9月15日(土)より稼働いたします。


■新病棟概要
フロア数:地上7階建て
病床数 :311床
     一般病棟  …250床
     結核病棟  …40床
     緩和ケア病棟…21床(全個室)


【緩和ケア病棟を開設】
 当センターでは肺がん、縦隔腫瘍、悪性胸膜中皮腫などの胸部悪性疾患(がん)を対象に診療を行っていますが、新病棟内にて緩和ケアを専門とする病棟を新設いたします。呼吸器疾患分野の高度専門医療施設としての診療経験を生かし、患者様・ご家族の“からだ”や“こころ”のつらさを和らげ、自分らしさを大切にして過ごせるようチームで支えてまいります。
 緩和ケア病棟は、がんの進行に伴うからだの苦痛や気持ちのつらさがあり、手術、抗がん剤治療などの積極的治療が困難であったり、希望されない方を対象とした入院施設になります。病床数は21床(有料個室…10床、無料個室…11床)で、まずは当院で治療を受けられている患者さんを対象としますが、胸部悪性疾患と診断され、他院で治療を受けられている地域の患者様にも対象を徐々に広げていく予定です。
 患者様・ご家族の希望にそうよう、地域のかかりつけ医や訪問看護師、ケアマネージャーと連携し、病状が落ち着いている場合は、退院して自宅療養していただくことも可能です。


■緩和ケア病棟概要
配置フロア:新病棟7階
設備   :リフト浴設備あり
備考   :季節の行事や音楽を楽しんだり、面会の方とくつろぐことができるデイルームあり


【近畿中央胸部疾患センターについて】
 旧国立療養所として堺市の現在地に移転して60年を迎える当センターは、国立病院機構 政策医療ネットワークの呼吸器疾患分野の高度専門医療施設として位置づけられています。肺がん、結核、難治性呼吸器疾患等の診療において中心的な役割をもち、併設されている臨床研究センターでは、難治性稀少肺疾患、抗酸菌症研究、肺がん研究などで高い評価を受けています。
 当センターは肺腫瘍の内科・外科診療、抗酸菌症を含む呼吸器感染症、呼吸不全に対する集中治療、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎、じん肺、稀少肺疾患、呼吸器疾患に合併した循環器疾患など、呼吸器のあらゆる領域に対応可能な人員と器材を備えています。
 現況では、入院患者すべてが呼吸器疾患患者(合併症を含む)であり、毎年の初診患者受付数は4,500名を超え、新入院患者数も5,672名(平成29年度実績)に達しています。
 特に、放射線診断機器や内視鏡機器の充実、および専門医師スタッフが放射線科医師・病理医を含めて充実しているため、呼吸器疾患診療の基本である正確かつ迅速な診断が、稀な疾患を含めて自施設内で完結できる病院です。


■施設概要
名称  : 独立行政法人 国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター
      ※2018年9月1日に近畿中央呼吸器センターへ名称変更
代表者 : 院長 林 清二
所在地 : 〒591-8555 大阪府堺市北区長曽根町1180番地
アクセス: JR阪和線堺市駅下車、徒歩15分
      地下鉄御堂筋線新金岡駅下車、バスで12分
      南海電鉄高野線・JR阪和線三国ケ丘駅下車、バスで6分
URL   : http://www.hosp.go.jp/~kch/
環境  : 大阪市に隣接する堺市(人口83.2万人(平成30年6月1日現在))の北部に位置し、金岡団地・泉北ニュータウンを有する地域にあります。堺市金岡公園・大阪管区警察学校・堺市立長尾中学校等の公園文教施設に囲まれ、東方には金剛生駒連山を望み、西方約4Kmには堺・泉北臨海工業地帯が広がっています。また、南方1Kmには世界一と言われる前方後円墳の仁徳天皇陵があります。



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by otowelt | 2018-08-31 00:04 | その他

血液悪性腫瘍患者のPCP予測スコア

e0156318_16562622.png じわりじわりと悪くなるすりガラス陰影がPCPらしいと言えますね。

Azoulay E, et al.
A Multivariable Prediction Model for Pneumocystis jirovecii Pneumonia in Hematology Patients with Acute Respiratory Failure.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Jul 11. doi: 10.1164/rccm.201712-2452OC. [Epub ahead of print]


背景:
 ニューモシスチス肺炎(PCP)の罹患率は増えている。治療までの期間が長いことが死亡につながる。

目的:
 PCPの多変量リスク予測モデルを構築すること。

方法:
 前向きの多施設共同研究である。血液悪性腫瘍で呼吸不全を有しているICU患者を登録し、PCPの同定につながる因子を調べた。リスク予測モデルは、前向き多施設コホートとは独立して評価された。ROC曲線下面積(AUC)による判別能、Hosmer-Lemeshow検定による適合度を調べた。

スコア:
年齢
 50歳未満
 50~70歳
 70歳超

 0点
-1.5点
-2.5点
リンパ増殖性疾患がある+2.0点
PCPの予防をしていない+1.0点
呼吸器症状出現からICU入室までの日数
 3日未満
 3日超

 0点
+3.0点
ICU入室時ショック-1.5点
胸部レントゲン画像で非肺胞性陰影+2.5点
胸水がある-2.0点


結果:
 1330人の患者のうち、解析群(derivation cohort 群)1092人中134人(12.3%)、検証群(validation cohort 群)238人中15人(6.3%)がPCPと診断された。モデルには年齢、リンパ増殖性疾患、PCP予防、呼吸器症状の期間、ショックの有無、胸部レントゲン写真パターン、胸水の有無が組み込まれた。スコア中央値は解析群で3.5(IQR 1.5-5.0)、検証群で1.0(IQR0-2.0)だった。もっとも診断精度が高いスコア閾値は3点であり、これを上回るものはPCP診断において感度86.7%、特異度67.7%、陽性的中率は23.0%、陰性的中率は97.9%だった(PCP有病率10%想定)。スコアはHosmer-Lemeshow検定においてgood fitであり、判別能も良好だった(解析群平均AUC0.80[95%信頼区間0.74-0.84]、検証群平均AUC0.83[95%信頼区間0.72-0.93])。

結論:
 血液悪性腫瘍患者の呼吸不全におけるPCPスコアは入室時に計算されるべきである。





by otowelt | 2018-08-30 00:57 | 感染症全般

システマティックレビュー:自然気胸の再発率は32.1%

e0156318_14441648.jpg 言われてみれば、確かにほとんどまとめた文献はありませんでしたね。

Steven Walker, et al.
Recurrence rates in primary spontaneous pneumothorax: a systematic review and meta-analysis
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.00864-2018


背景:
 原発性自然気胸(PSP)の再発率は、文献によって大きく差があり、再発に影響を与える因子についてはデータが不足している。このシステマティックレビューの目的は、PSPの再発率とリスク因子を同定することである。

方法:
 PSPの再発について報告した研究のシステマティックレビューをおこなった。電子データベースから、英語文献のランダム化比較試験と観察研究を抽出した。PSP患者は、保存的マネジメント、穿刺脱気、胸腔ドレナージを行われた成人とした。アウトカムは気胸再発とした。2人の独立した研究者によって研究を抽出した。

結果:
 3607の研究が同定され、29が組み込まれた(13548人)。1年および全期間での再発率はそれぞれ29.0%(95%信頼区間20.9-37.0%)、32.1%(95%信頼区間27.0-37.2%)だった。女性のほうが再発率が高かった(オッズ比3.0、95%信頼区間1.24-7.41)。一方で、禁煙はリスクを低下させた(オッズ比0.26、95%信頼区間0.10-0.63)。ランダム効果メタアナリシスのI2は94%(p<0.0001)で、高い異質性が確認された。

結論:
 このシステマティックレビューでは、PSPの再発率は32%だった。特に初年度の再発が多かった。女性はリスクが高く、これは性別特異的な病理学的背景が影響しているものと思われる。





by otowelt | 2018-08-29 00:30 | 呼吸器その他

EGFR-TKIとニボルマブの併用は間質性肺炎のリスク

e0156318_1164629.jpg ニボルマブ→EGFR-TKIによる続発発症も注意が必要です。

Oshima Y, et al.
EGFR-TKI-Associated Interstitial Pneumonitis in Nivolumab-Treated Patients With Non-Small Cell Lung Cancer.
JAMA Oncol. 2018 Aug 1;4(8):1112-1115.


背景:
 ニボルマブとEGFR-TKIは非小細胞肺癌(NSCLC)に対する標準的治療に位置付けられている。EGFR-TKIの特性や安全性プロファイルはよくわかっているが、免疫チェックポイント阻害剤については他の抗癌剤と併用されるにも関わらずいまだよくわかっていない部分がある。

目的:
 ニボルマブがEGFR-TKI関連間質性肺疾患の頻度を増加させるかどうか調べること。

方法:
 2015年4月~2017年3月までの20516人のNSCLC患者FAERSデータベースを用いた。ニボルマブ治療を受けた患者とそうでない患者のEGFR-TKI関連間質性肺疾患の頻度を比較した。

結果:
 EGFR-TK治療を受けた患者の平均年齢は64.4±15.5歳、EGFR-TKIとニボルマブを併用した患者の平均年齢は68.9±11.8歳だった。男性の比率はそれぞれ40.0%、53.8%だった。
 20516人のNSCLC患者のうち、985人(4.8%、95%信頼区間4.51-5.10)に間質性肺炎が生じた。5777人のEGFR-TKIを受けた患者のうち、265人に間質性肺炎が生じた(4.59%、95%信頼区間4.06-5.16)。EGFR-TKIとニボルマブを併用した患者70人のうち18人に間質性肺炎が生じた(25.7%、95%信頼区間16.0-37.6)。EGFR-TKIとニボルマブの相互作用に対する補正オッズ比は4.31(95%信頼区間2.37-7.86; P < .001)であり、相互作用があると考えられる。ニボルマブ使用の有無で層別化すると、EGFR-TKI関連間質性肺炎のオッズ比はニボルマブ併用時5.09(95%信頼区間2.87-9.03)、非併用時1.22(95%信頼区間1.00-1.47)だった。
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(文献より引用)

結論:
 EGFR-TKIとニボルマブを併用すると、それぞれの単剤治療と比較すると高い頻度で間質性肺炎を発症した。研究には限界があるため、さらなる検討が望まれる。しかしながら、EGFR-TKIとニボルマブを併用する場合は間質性肺炎の発症に注意が必要である。



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by otowelt | 2018-08-28 00:36 | 肺癌・その他腫瘍

ヨーロッパにおけるIPF管理の変遷

e0156318_7331272.jpg Respiratory Researchに批判的な目を持っているわけではありませんが、データ収集にバラつきはあれどもう少し上のジャーナルを目指せたのではないのかと思います。

Guenther A, et al.
The European IPF registry (eurIPFreg): baseline characteristics and survival of patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Research201819:141,https://doi.org/10.1186/s12931-018-0845-5


背景:
 2009年からヨーロッパのIPF患者はeurlIPFregに登録されており、ここから疫学的データやtranslational researchの生体材料が提供されている。

方法:
 レジストリーデータは、患者および主治医のベースライン・追跡時質問票に基づいており、1700のパラメータで構成されている。このレジストリの中期~長期的な目的は、IPFのフェノタイプ、トリガー因子、増悪条件、地域的・環境的特徴、疾患動態、マネジメントについて理解するための情報を提供することである。

結果:
 2009年11月から2016年10月までに合計2090人の患者がレジストリに登録されたが、1083人は間質性肺疾患疑いどまりであった。IPFと確定診断されたのは525人だった。IPF患者の平均年齢は68.1歳であり、進行性の呼吸困難(90.1%)、疲労(69.2%)、乾性咳嗽(53.2%)で受診することが多かった。cracklesは95.5%の患者に聴取され、ばち指は30.8%にみられた。IPF患者のうち、18.64%がIPFおよびびまん性肺疾患の家族歴を有していた。外科的肺生検は2009年に32%実施されていたが、2016年には8%にまで減少しており、これはおそらくクライオバイオプシーの普及による。気管支肺胞洗浄が行われた263人の所見は、好中球分画上昇(14±15.7%)、好酸球分画上(5.4±8.5%)、リンパ球分画正常(9.8±10.7%)、マクロファージ分画減少(71.2±20.1%)だった。
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(文献より引用:IPF患者の診断手技)

 eurlIPFregに登録された時点で、%努力性肺活量は68.4±22.6%であり、%DLCOは42.1±17.8%だった。135人のIPF患者が長期酸素療法を受け、平均流量は鼻カニューレ2L/分だった。135人のうち、18人が4L/分を超える流量だった。肺高血圧症は16.8%にみられた。6分間歩行距離のは平均388±122mだった。
 ステロイド、免疫抑制剤、N-アセチルシステインは2009年以降減少しており、かわりに抗線維化薬が用いられている。これにより生存が改善している(p = 0.001)。抗線維化薬を使用している患者では生存期間中央値は123.1ヶ月、使用していない患者は68.3ヶ月だった。
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(文献より引用:IPFの治療)
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(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
 ヨーロッパのIPF患者のベースライン特性、診断、マネジメントの変化、アウトカムについて報告した。



by otowelt | 2018-08-27 00:37 | びまん性肺疾患

重症喘息を有する日本人女性において肥満は喘息コントロール不良と関連

e0156318_1637713.jpg 言われてみると、確かに日本のデータは見かけません。男性の肥満喘息はあまり診たことがありませんが、女性の肥満喘息はチラホラ見かけます。物理的な影響だけでなく、レプチンが好酸球の炎症局所への遊走を促進したり、アディポサイトカインがステロイド感受性を低下させたり、いろいろな説があるようです。

To M, et al.
Obesity-associated severe asthma in an adult Japanese population.
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.07.003


背景:
 重症喘息は公衆衛生学的に重要な問題として認識されている。肥満は、喘息コントロール不良や喘息重症度悪化のリスク因子である。しかしながら、肥満患者と喘息の関連性を調べたほとんどの研究は欧米諸国のものである。重症喘息を有する肥満の日本人の特徴はほとんど報告されていない。そのため、われわれは日本人集団において肥満関連喘息の臨床的特徴、および肥満と喘息コントロール不良の関連性を調べた。

方法:
 重症喘息の成人患者の後ろ向き観察研究である。患者はBMI25以上の肥満群と25未満の非肥満群の2群に分けられた。この2群を比較検討した。肥満の特徴と代謝性マーカーは男女で差がみられることがわかっているため、男性のみのコホートと女性のみのコホートに分けて解析した。

結果:
 合計492人が登録された。年齢、喫煙歴(pack-years)、日常的なコントローラー使用、スパイロメトリーデータは肥満群・非肥満群で差はみられなかった。女性コホートにおいて、年間の増悪率および頻回な増悪の頻度は、肥満群のほうが非肥満群よりも有意に高かった。多変量ロジスティック回帰分析では、女性コホートにおいて、肥満は頻回な喘息の増悪と独立して関連していた。
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(文献より引用:男女別のプロファイル)

結論:
 われわれの研究において、BMI25以上の肥満は、重症喘息を有する日本人女性の喘息コントロール不良(急性増悪を含む)と独立して関連していた。


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by otowelt | 2018-08-24 00:12 | 気管支喘息・COPD

WRAP-IPF試験:GER合併IPFに対する腹腔鏡下逆流防止術

e0156318_7331272.jpg 今年のATSで発表されたのでご存知の方も多いと思いますが、後ろ向き研究だった知見を前向きに再検討したものです。結果はポジティブとは言えませんが、もっと大規模にやりましょうという結論になっています。

Ganesh Raghu, et al.
Laparoscopic anti-reflux surgery for the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis (WRAP-IPF): a multicentre, randomised, controlled phase 2 trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30301-1


背景:
 胃食道逆流(GER)は、IPFの進行にかかわると考えられている。我々は、腹腔鏡によるGERに対する手術(腹腔鏡下逆流防止術)がIPF進行を抑制するかどうか調べた。

方法:
 このWRAP-IPF試験は、IPFでGERがみられる患者をアメリカ6施設から集めたランダム化比較試験である。われわれは、努力性肺活量が保たれているIPFで24時間pHモニタリングでDeMeesterスコア14.7点以上のGER患者を登録した。%努力性肺活量が50%以下の患者、1秒率65%以下の患者、過去12週間に急性呼吸器系疾患の既往がある患者、BMI35以上の患者、既知の重症肺高血圧症の患者は除外した。ニンテダニブやピルフェニドンの併用は許可した。プライマリエンドポイントは、ITT集団におけるランダム化から48週までの努力性肺活量の変化とした。

結果:
 2014年6月1日から2016年9月30日までに、72人の患者がスクリーニングされた。そのうち58人が外科手術群(29人)、非外科手術群(29人)にランダムに割り付けられた。外科手術群の27人、非外科手術群の20人が48週時に努力性肺活量の測定を受けた。抗線維化薬の使用で補正したITT解析において、48週までの努力性肺活量の変化は外科手術群-0.05L(95%信頼区間-0.15~0.05)、非外科手術群-0.13L(95%信頼区間-0.23~-0.02)だった(p=0.28)。IPF急性増悪、呼吸器疾患による入院、死亡は外科手術群のほうが多かったが統計学的な有意差にはいたらなかった。嚥下障害(28人中8人)、腹部膨満感(28人中4人)が外科手術後の合併症としてみられた。観察期間中、外科手術群で1人、非外科手術群で4人の死亡がみられた。
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(文献より引用:努力性肺活量の変化)

結論:
 IPFでGERがみられる患者の腹腔鏡下逆流防止術は安全で忍容性がある。大規模なランダム化比較試験が望まれる。




by otowelt | 2018-08-23 00:16 | びまん性肺疾患

若年気胸に対するS6a切除の重要性

e0156318_14441648.jpg 積極的にS6aを切除したほうが再発が少ない可能性があります。

Obuchi T, et al.
Pneumothorax in teenagers: reducing recurrence through resection of superior segment of lower lobe.
J Thorac Dis. 2018 Jun;10(6):3507-3511.


背景:
 若年患者における自然気胸は、再発率が高い。われわれは、後ろ向きに再発の原因や効果的な外科手術法を調べ、特に下葉S6aの切除が再発率軽減に有効かどうか調べた。

方法:
 2011年4月~2017年9月に、われわれは20歳以下の片側気胸患者126人(男性105人、女性7人、平均年齢17.2歳)に対し146の外科手術を適用した。肺尖部のブラ切除とS6aの切除をおこなった患者群(S6a群)と、通常の肺尖部ブラ切除を行い吸収性メッシュシート被覆をおこなった患者群(AB群)で再発率を比較した。

結果:
 S6a群とAB群ではS6a部位の再発数に明らかな差がみられた(0例 vs 8例、p=0.025)。しかし、総再発率という観点からみると2群に有意な差は観察されなかった(16.1% vs.18.6%)。初回手術の時点で、S6a検体56のうち55(98.2%)で、無症候性で非破裂ブラがみられた。
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(文献より引用)

結論:
 肺尖部に加えて、S6aも気胸再発の責任部位になることが多い。再発率を減らすため、われわれは初回手術でたとえ肉眼的に嚢胞が明らかでなくともS6a切除を並行することを支持する。





by otowelt | 2018-08-22 00:19 | 呼吸器その他

プライマリケアの喘息患者はアドエア®からレルベア®へスイッチすべき

e0156318_1637713.jpg アドエア®からレルベア®へ。同じGSK製品なので論文にはしやすいと思いますが、吸入デバイスの操作についてはディスカスよりもエリプタのほうが簡単だと思います。

Jacques L, et al.
Effectiveness of fluticasone furoate/vilanterol versus fluticasone propionate/salmeterol on asthma control in the Salford Lung Study.
J Asthma. 2018 Jul 4:1-26.


目的:
 The Asthma Salford Lung Studyによって、イギリスにおけるプライマリケアの1日1回のフルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール(FF/VI)は通常喘息ケア継続と比べて効果的であることが示されている。今回は、フルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール(FP/Salm)の維持療法を継続する場合とFF/VIにスイッチする場合の比較をおこなった。

方法:
 The Asthma Salford Lung Study患者においてACT、AQLQ、WPAI、重度の増悪、サルブタモールレスキューの処方数、有害事象を12ヶ月におよび記録した。

結果:
 試験以前からFP/Salmを継続している1264人について、FF/VI(100[200]/25μg)を新規に開始群する646人と、FP/Salmを継続する群618人にランダムに割り付けた。このうち978人は、ACTベースラインが20未満で、主要有効性解析集団に組み込まれた。
 主要有効性解析集団では、24週目においてACT総スコアが20以上でベースラインから3以上改善した患者の割合は、FP/Salm群の56%(254人)だったのに対し、FF/VI群では71%(323人)と有意に高かった(オッズ比2.03、95%信頼区間1.53-2.68、p<0.001)。また、同様の結果は全集団でも観察された(オッズ比1.94、95%信頼区間1.51-2.50、p<0.001)。

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(ACT:文献より引用)

 52週目では、全集団においてAQLQ総スコアがベースラインから0.5ポイント以上変化した患者の割合は、FF/VI群で56%(325人)、FP/Salm群で46%(258人)と、FF/VI群のほうが有意に高かった(オッズ比1.70、95%信頼区間1.32-2.19、p<0.001)。
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(AQLQ:文献より引用)

 WPAI、年間喘息増悪率、サルブタモール処方数のアウトカムにおいても、FP/Salm群に比べてFF/VI群のほうが良好な結果だった。
 肺炎がそれぞれ6人に観察された。死亡が4人にみられたが、吸入薬との因果関係は否定された。

結論:
 プライマリケアにおいて、FF/VIによる治療を開始することはFP/Salmを継続するよりも良好なアウトカムをもたらす。


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by otowelt | 2018-08-21 00:20 | 気管支喘息・COPD

プロカルトニン低値の非重症COPD増悪に対する継続的抗菌薬は再入院アウトカムを改善させない

e0156318_1633480.jpg COPD増悪例に対して、個人的にはあまりプロカルシトニンを測定していません。

Bremmer DN, et al.
Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease with a Low Procalcitonin: Impact of Antibiotic Therapy.
Clin Infect Dis. 2018 Jul 2. doi: 10.1093/cid/ciy552. [Epub ahead of print]


背景:
 COPD急性増悪(AECOPD)で入院した患者は、しばしば抗菌薬を処方される。プロカルシトニンはAECOPDに対する抗菌薬を開始するかどうかの指標となり、通常ケアと遜色ないアウトカムを維持しながら抗菌薬使用料を減らすことができることが示されている。われわれは、AECOPD患者でプロカルシトニン低値の場合、抗菌薬がアウトカムを改善するかどうか調べた。

方法:
 われわれは後ろ向きにプロカルシトニンのピーク値が0.25µg/mL未満であったAECOPD患者を評価した。患者は抗菌薬曝露(24時間以下 vs 24時間超)に基づいて評価された。また、アジスロマイシンの投与期間についても24時間以下と24時間超に分けて調べた。プライマリアウトカムは、30日以内の再入院とした。セカンダリアウトカムには、在院日数、COPD関連30日再入院が含まれた。

結果:
 161人の患者が24時間以下、195人の患者が24時間を超えて抗菌薬を使用されていた。24時間以下の群は、在院日数が少なかった(2.8日 vs. 3.7日; P=0.01)。30日再入院率(15.5% vs. 17.4%; P=0.63)あるいはCOPD関連30日再入院率(11.2% vs. 12.3%; P=0.74)に有意差はなかった。加えて、アジスロマイシンを24時間以下投与された群は、在院日数が少なかった(3.0日 vs. 3.8日; P=0.01)。この群についても、30日再入院率(16.2% vs. 17.1%; P=0.82)やCOPD関連30日再入院率(11.9% vs.11.6%; P=0.94)に有意差はなかった。

結論:
 非重症AECOPD入院患者でプロカルシトニン値が低い場合、24時間を超えて抗菌薬を用いてもアウトカムは変わらなかった。





by otowelt | 2018-08-20 00:12 | 気管支喘息・COPD