<   2018年 08月 ( 23 )   > この月の画像一覧

オプジーボ、悪性胸膜中皮腫に承認

 今月の二部会で悪性胸膜中皮腫に対するオプジーボが承認されました。8月末から使用可能となる見込みです。


▽オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、同点滴静注240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫及び悪性黒色腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品・剤形追加に係る医薬品。いずれも希少疾病用医薬品。再審査期間は悪性胸膜中皮腫が10年、悪性黒色腫が残余期間(2024年7月3日)。

by otowelt | 2018-08-18 00:06 | 肺癌・その他腫瘍

肺癌と診断された患者ではCOPDが多いものの見過ごされがちである

肺癌と診断された患者ではCOPDが多いものの見過ごされがちである_e0156318_10535567.png COPDサイドから見た研究は多いですが、肺癌から見た研究はそう多くありません。

Mouronte-Roibás C, et al.
Chronic Obstructive Pulmonary Disease in Lung Cancer Patients: Prevalence, Underdiagnosis, and Clinical Characterization
Respiration 2018;95:414–421, https://doi.org/10.1159/000487243


背景:
 COPDにおける肺癌は、死亡リスクを上昇させる。肺癌患者ではCOPDの有無によって臨床的・機能的なアウトカムが異なる可能性がある。

目的:
 この研究の目的は、肺癌患者におけるCOPDの頻度と過小診断を調べることである。

方法:
 われわれは2014年1月から2016年8月に肺癌と診断された症例を多施設で抽出した。疫学的、臨床的、放射線学的、機能的、組織学的な違いを調べた。

結果:
 肺癌と診断された602人を登録した。男性は77.9%で、年齢中央値は67±15歳だった。肺癌患者のうちCOPDの頻度は51.5%で、71.6%が過小診断されていた。肺癌+COPD患者は、肺癌単独と比べると高齢で男性の頻度が高かった。また、喫煙歴が多く、扁平上皮癌の組織型が多く、拡散能が低く、Charlsonインデックススコアが高かった。肺癌単独の生存期間中央値は、肺癌+COPD患者よりも37%長かった(22ヶ月 vs 16ヶ月)が、統計学的な有意差はなかった。

結論:
 肺癌患者において、COPDは頻度が高く、過小診断されがちである。肺癌+COPDの患者は扁平上皮癌の組織型が多く、合併症が多く、拡散能が低かった。





by otowelt | 2018-08-17 00:27 | 肺癌・その他腫瘍

膿胸に対する胸腔ドレナージ/線維素溶解療法

 胸腔ドレナージは、「胸腔ドレーンは太ければ太いほどよい」みたいな慣習がありましたが、現在は細径でも太径でも臨床アウトカムに差がないことがわかっており1)、疼痛が少ないので細径の方がよいと考える人が増えてきました。ただ、たとえ小規模な研究でそう結論づけられても、粘稠度の高い膿がドレーン先端でフィブリンとともに固まってしまう事態は誰しも経験があるでしょう。そのため、極端に細い8Frのアスピレーションキットで治療する勇気は私にはなく、12~14Fr以上の径を選んでしまいます。昔は20Fr以上の胸腔ドレーンを積極的に選んでいたものですが・・・

※気胸の場合、COPDや肺の構造改変がある患者さんでは太めの胸腔ドレーンを入れた方がよいとという意見もあります。細径の場合に局所的なベルヌーイの定理(のようなもの)がはたらくからではないかと考えられています。

 イギリス呼吸器学会のガイドライン2)を読むと、定期的に生食をプッシュしてドレーンの閉塞を解除すれば、細径ドレーンでも管理できると考えられます。そのため、細径でもドレーン閉塞に注意しながらであれば管理は可能です。

 さて、膿胸に対する胸腔ドレナージの際、「線維素溶解療法」を適用するかどうかが1つの分かれ道になります。これは、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼなどを胸腔ドレーンから注入する治療法です。線維素溶解療法の目的は、フィブリン隔壁を溶解することでドレナージ効率を高めることです。日本ではもっぱらウロキナーゼが用いられていますが、基本的には保険適用されないので注意が必要です。私が研修医になった頃は、線維素溶解療法に関する大規模臨床試験3)やメタアナリシス4)がよく報告されており、いずれにおいても死亡・外科手術の必要性といったアウトカムを有意に改善する効果はありませんでした()。ただ、結構きわどい結果のものが多く、あといくつかの比較試験が集まれば「効果あり」と判定されなくもない位置付けでした。
膿胸に対する胸腔ドレナージ/線維素溶解療法_e0156318_10125331.png

膿胸に対する胸腔ドレナージ/線維素溶解療法_e0156318_1013172.png
. 胸腔内感染症に対する線維素溶解療法の5研究のメタアナリシス4)(文献より引用)

 その後、天下のコクランレビュー5)やCHEST誌のメタアナリシス6)で新しいデータを含めた解析がおこなわれました。死亡リスクを低下させる効果があるとは言えないものの、外科手術を回避しやすいことが分かりました()。また、「外科手術がよいか非外科手術がよいか」という別のテーマでコクランレビュー7)が報告されており、ここでは両治療の死亡リスクに差はないと書かれています。つまり、線維素溶解療法には死亡リスクを低減する効果はありませんが、侵襲性の高い外科手術を回避する効果はあると言えます。
膿胸に対する胸腔ドレナージ/線維素溶解療法_e0156318_10145380.png
膿胸に対する胸腔ドレナージ/線維素溶解療法_e0156318_1015570.png

. 胸腔内感染症に対する線維素溶解療法の7研究のメタアナリシス7)(文献より引用)

 ちなみにウロキナーゼは1回12万単位を生食100mLとともに注入し、2~3時間クランプしたあとに開放する処置を1日1回3日間行うことが一般的です。

 海外では、DNaseの投与がさかんのようです。DNaseはデオキシリボヌクレアーゼのことで、DNAおよびDNA-タンパク複合体に作用して、膿性滲出物の粘稠度を下げることができます。日本ではプルモザイム®という嚢胞性線維症に対するDNase吸入薬がありますが、胸腔内への注入用につくられておらず、日本ではDNaseを注入することは難しいでしょう。胸腔内感染に対する、t-PA+DNaseの胸腔内投与によって ドレナージ効果が改善し、手術コンサルテーションの
頻度が減り、入院期間が短縮します(8)。多くの臨床試験では1日2回3日間というt-PA+DNaseレジメンが適用されています。
膿胸に対する胸腔ドレナージ/線維素溶解療法_e0156318_10162360.png

. t-PA+DNaseの効果8)(文献より引用)

 線維素溶解療法の際、胸部CT写真で2mm以上の胸膜肥厚があると、失敗するリスクが高いとされています9)。とはいえ、膿胸で胸膜肥厚2mm以上というのはよくみられる所見なので、失敗しやすくても「やるっきゃない」と思わずにいられません。

 線維素溶解療法を適用するか否かは別として、エキスパートオピニオンレベルでは膿胸腔の洗浄も非常に有効とされていますが、洗浄処置は昔と比べて減った印象です。どうでしょう、みなさんの施設では膿胸に対して洗浄を行っていますか?


(参考文献)
1) Rahman NM, et al. The relationship between chest tube size and clinical outcome in pleural infection. Chest. 2010 Mar;137(3):536-43.
<胸膜感染が疑われる患者(おそらく膿胸の症例以外も組み入れられている)に対するストレプトキナーゼ注入の研究において、胸腔ドレーンのサイズ(10Fr未満、10~14Fr、20Fr以上)と3ヶ月後の臨床アウトカムの関連を調べた研究。径の太細にかかわらず、臨床アウトカムは同等でした。>
2) Davies CW, et al. BTS guidelines for the management of pleural infection. Thorax. 2003 May;58 Suppl 2:ii18-28.
<イギリスの胸腔感染症に関するガイドライン。6時間ごとに生食でドレーン閉塞を解除するテクニックが紹介されています。>
3) Maskell NA, et al. Controlled trial of intrapleural streptokinase for pleural infection. N Engl J Med. 2005 Mar 3;352(9):865-74.U.K.
<ストレプトキナーゼ25万単位1日2回3日間の胸腔内注入療法の効果を検証したランダム化比較試験。死亡率や外科手術の必要性といったアウトカムに差はみられませんでした。>
4) Tokuda Y, et al. Intrapleural fibrinolytic agents for empyema and complicated parapneumonic effusions: a meta-analysis. Chest. 2006 Mar;129(3):783-90.
<5研究を集めた線維素溶解療法のメタアナリシス。有意ではないものの、線維素溶解療法が死亡と外科手術必要性を減らす可能性があるという含みが書かれています。リスク比0.55、95%信頼区間0.28~1.07。>
5) Cameron R, et al. Intra-pleural fibrinolytic therapy versus conservative management in the treatment of adult parapneumonic effusions and empyema. Cochrane Database Syst Rev. 2008 Apr 16;(2):CD002312.
<7研究を集めたの線維素溶解療法のメタアナリシス。死亡リスクを軽減する効果はないが、外科手術を回避する効果があると考察されている[これらのアウトカムに関しては6研究の解析に基づく]。>
6) Janda S, et al. Intrapleural fibrinolytic therapy for treatment of adult parapneumonic effusions and empyemas: a systematic review and meta-analysis. Chest. 2012 Aug;142(2):401-411.
<上記コクランレビューとは一部異なる7研究を集めた線維素溶解療法のメタアナリシス。外科手術の必要性を回避する効果が報告されています。>
7) Redden MD, et al. Surgical versus non-surgical management for pleural empyema. Cochrane Database Syst Rev. 2017 Mar 17;3:CD010651.
<膿胸の治療において、外科手術と非外科手術に死亡アウトカムの差がないことを示したコクランレビューです。>
8) Rahman NM, et al. Intrapleural use of tissue plasminogen activator and DNase in pleural infection. N Engl J Med. 2011 Aug 11;365(6):518-26.
<DNaseとt-PAの併用によって胸腔感染症の臨床アウトカムを改善したという大規模臨床試験です。>
9) Abu-Daff S, et al. Intrapleural fibrinolytic therapy (IPFT) in loculated pleural effusions--analysis of predictors for failure of therapy and bleeding: a cohort study. BMJ Open. 2013 Jan 31;3(2). pii: e001887.
<t-PAあるいはストレプトキナーゼによる線維素溶解療法の成功しにくい因子を調べた報告。胸部CTにおいて胸膜肥厚が2mmを超えると失敗しやすいことが示されました[オッズ比3.1、95%信頼区間1.46-6.57、p=0.0031]>





by otowelt | 2018-08-15 00:10 | レクチャー

EBUS-TBNA時のネーザルハイフローは低酸素血症の予防に有効

EBUS-TBNA時のネーザルハイフローは低酸素血症の予防に有効_e0156318_9511053.jpg これって、ネーザルハイフロー使用の加算はとれるんでしょうか?

Takakuwa O, et al.
Prevention of hypoxemia during endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration: Usefulness of high-flow nasal cannula
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.06.004


背景:
 処置前に呼吸器系の障害がない患者でも、EBUS-TBNA時の低酸素血症は、しばしば起こる問題である。この研究の目的は、EBUS-TBNA時の低酸素血症を予防するためにハイフロー鼻カニューレ(HFNC)の有効性を評価することである。

方法:
 本研究は前向きパイロット研究である。登録患者は、EBUS-TBNAでミダゾラム鎮静を行われた者とした。主な除外基準は、酸素化に障害がある80歳を超えた高齢者、室内気でSpO2が95%未満の患者とした。プライマリアウトカムは、処置中の酸素化レベルとした。PcCO2および合併症がセカンダリアウトカムとして評価された。HFNCは、FiO230%でSpO2を90%以上に維持できるよう投与された。EBUS-TBNA時の最低SpO2を通常鼻カニューレを用いた処置(ヒストリカルコントロール)と後ろ向きに比較された。

結果:
 12人の患者がHFNCを受けた。平均最低SpO2は93%だった。処置開始から早期に平均SpO2は減少する傾向にあったが、処置中を通してSpO290%以上を維持することができた(図)。
EBUS-TBNA時のネーザルハイフローは低酸素血症の予防に有効_e0156318_16593956.png
(文献より引用)

 平均PcCO2は39mmHgだった(範囲30~46mmHg)。主要な合併症は観察されなかった。通常鼻カニューレでEBUS-TBNAを受けた患者では、平均最低SpO2は88%で、HFNCの症例よりも有意に低かった(p = 0.005)。

結論:
 EBUS-TBNA時の低酸素血症を予防するうえで、HFNCは効果的かつ安全なデバイスである。



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by otowelt | 2018-08-14 00:34 | 気管支鏡

気管支サーモプラスティにかかる費用

気管支サーモプラスティにかかる費用_e0156318_9283725.png 気管支サーモプラスティは3週間の間隔をあけて合計3回、入院して実施する必要があります。合計3回の入院で約130万円の医療費がかかります。麻酔費用や入院費用もあわせると、3割負担の場合、50万円近くになります。

 1ヶ月に2回、翌月に1回といった感じで2ヶ月で計3回治療を受けるのがベストな選択です。収入が多い人の場合でも、高額療養費を使うことで上限は40万円くらいにおさまるはずです。もっとも適用例が多い18~69歳の患者における高額療養費制度を使った場合の自己負担額をに掲載します。

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by otowelt | 2018-08-12 09:29 | レクチャー

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の急性期治療の比較:プレドニゾロン vs ボリコナゾール

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の急性期治療の比較:プレドニゾロン vs ボリコナゾール_e0156318_16301050.jpg Agarwal教授、ブイフェンド®も調べていた!リサーチレターでのアクセプトでした。

参考記事:アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の急性期治療の比較:プレドニゾロン vs イトラコナゾール

Ritesh Agarwal, et al.
A randomized trial of voriconazole and prednisolone monotherapy in acute-stage ABPA complicating asthma
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.01159-2018


背景:
 われわれは単施設非盲検下ランダム化比較試験を2014年1月から2015年7月に実施し、ABPAに対するボリコナゾールと全身性ステロイドを比較した。

方法:
 連続したABPA患者を登録し、喘息あり、アスペルギルス抗原に対する即時型皮膚反応陽性、血清IgE>1000IU/mL、A. fumigatus特異IgE>0.35kUA/Lのすべてを満たし、なおかつ血清A. fumigatus抗原に対する沈降抗体陽性、固定あるいは移動する肺の陰影、末梢血好酸球数>1000/μL、CTにおける気管支拡張症の存在、のうちいずれか2つを満たすものを組み入れた。全身性ステロイドやアゾール投与歴がある患者、オマリズマブ治療歴がある患者などは除外された。
 患者は1:1にボリコナゾールあるいは全身性ステロイドにランダムに割り付けられた。

・全身性ステロイド:経口プレドニゾロン0.5mg/kg/dayを4週間、0.25mg/kg/dayを4週間、0.125mg/kg/dayを4週間、その後5mg/2週間で漸減し合計4ヶ月

・ボリコナゾール:経口ボリコナゾール200mg1日2回食間を4ヶ月


 治療に際して、吸入ステロイド、吸入長時間作用性β2刺激薬(ホルモテロール)、モンテルカストは許可された。

 治療反応性は、血清IgEが25%以上減少し、少なくとも胸部画像検査で50%以上の改善がみられた状態での咳嗽および呼吸困難の改善(ベースラインから75%以上)と定義された。

結果:
 50人の患者が25人ずつランダム化された。ベースラインの患者拝啓は両群同等だった。患者は平均77±32ヶ月フォローされた。治療開始6週後および3ヶ月後の治療反応率は両群同等でほぼ全員が治療効果ありと判断された(プレドニゾロン群25人全員 vs ボリコナゾール群24人[96%], p=0.31)。
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の急性期治療の比較:プレドニゾロン vs ボリコナゾール_e0156318_12122018.png
(文献より引用)

 ボリコナゾールのトラフ値は1mg/L超が19人、0.5~1mg/Lが3人、0.5mg/L未満が3人だった。増悪を起こした患者数も両群同等だった(治療開始12ヶ月時:プレドニゾロン群2人[8%] vs ボリコナゾール群3人[12%]、治療開始24ヶ月時:プレドニゾロン群3人[12%] vs ボリコナゾール群5人[20%])。有害事象についても群間差はなかった。ボリコナゾール群の8人(32%)で肝機能の一時的な乱れがあった。ボリコナゾール群の3人で視覚障害、光線過敏症がみられた。6週間後の血清IgE値および肺機能の変化は両群同等だった。6週間後のSGRQスコアの減少についても群ともに良好だった。初回増悪までの平均日数も両群に差はなかった(プレドニゾロン群339日 vs ボリコナゾール群248日)。

結論:
 急性期ABPAに対してボリコナゾールは全身性ステロイドと同等の効果がある。





by otowelt | 2018-08-10 00:36 | 感染症全般

緑膿菌保菌はCOPD患者の頻回な増悪と関連

緑膿菌保菌はCOPD患者の頻回な増悪と関連_e0156318_1633480.jpg 実臨床とマッチする報告です。

Rodrigo-Troyano A, et al.
Pseudomonas aeruginosa in Chronic Obstructive Pulmonary Disease Patients with Frequent Hospitalized Exacerbations: A Prospective Multicentre Study.
Respiration. 2018 Jul 24:1-8.

拝啓:
 緑膿菌は、COPDの重賞増悪と関連している病原微生物である。しかしながら、頻回な入院を要する増悪に対する役割についてはよくわかっていない。

目的:
 われわれは頻回な入院を要する増悪を経験するCOPD患者において、緑膿菌がその頻度、リスク因子、菌感受性パターンに影響を与えるかどうか調べた。

方法:
 他施設共同前向き観察研究において頻回な入院を要する増悪を経験したCOPD患者を登録した。喀痰緑膿菌の有無によって2群に分類された。患者は12ヶ月フォローアップされた。

結果:
 われわれは207人の頻回な増悪経験を有するCOPD患者を登録した。そのうち119人(57%)がで適切な喀痰培養検査が可能だった。そのうち、緑膿菌を有していたのは21人(18%)であった。緑膿菌保菌のリスク因子は、登録前全身性ステロイドの使用(オッズ比3.3、95%信頼区間1.2-9.7、p = 0.01)、過去の緑膿菌保菌(オッズ比4.36, 95%信頼区間1.4-13.4, p < 0.01)だった。緑膿菌保菌患者は3回以上の再入院リスクが高かった(オッズ比4.1, 95%信頼区間1.3-12.8, p = 0.01)。14人(67%)の患者において、緑膿菌は少なくとも1以上の抗菌薬に耐性を示していた。70%の患者で緑膿菌は長らく保菌されていた。

結論:
 COPD患者の1年の追跡において緑膿菌の保菌は3回以上の再入院リスクと関連しており、適切な抗菌薬を使用しても保菌が続いた。




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by otowelt | 2018-08-09 00:35 | 気管支喘息・COPD

喘息とマグネシウムの関連性

喘息とマグネシウムの関連性_e0156318_10523354.png・喘息とマグネシウムの関連性
 体内では、総マグネシウムのうち、約70~80%がイオン化マグネシウムとして存在すると言われており、その生理活性はイオン化マグネシウムが持つとされています。さて、喘息とマグネシウムの関連について、よく知られているのは喘息発作の治療薬としてのマグネシウムです。

 喘息に対するマグネシウムの作用機序は、イオン化マグネシウムが細胞外でイオン化カルシウムのアンタゴニストとして作用し、イオン化カルシウムによる平滑筋収縮作用を抑制することが主です1),2)。これにより気管支平滑筋が弛緩されやすい状態になり、喘息発作を軽減させます。in vivoでは軽微な影響ではあるものの、抗炎症作用を持つことが知られています。喘息発作の治療薬として短時間作用性β2刺激薬が用いられますが、マグネシウムはこの受容体の親和性を亢進する作用も併せ持ちます。そのほか、頻脈を抑制するはたらきがあり、に示したように複数の作用によって喘息発作を緩和する方向にはたらきます。

喘息とマグネシウムの関連性_e0156318_2312624.png

図. 喘息とマグネシウムの関連

・喘息に対するマグネシウムの有効性
 今から30年近く前の研究で、喘息診療医の間ではよく知られたランダム化比較試験3)があります。喘息発作の患者をプラセボ生理食塩水静注群と1.2gの硫酸マグネシウム静注群に割り付け、ピークフロー値や入院アウトカムの改善がみられるかどうか検証したものです。結果、マグネシウム投与群で有意なアウトカムの改善がみられました。一方、ネブライザー吸入のマグネシウム、静注マグネシウム、プラセボの効果を比較した近年の研究4)では、投与経路にかかわらずマグネシウムは入院アウトカムや呼吸困難のスケールに有意な効果をもたらしませんでした。

 その後、ネブライザー吸入と静注に分けてコクランが別々にレビューをしています。質の低い研究が多いものの、ネブライザーマグネシウムの投与はわずかながら肺機能や喘息発作による入院を改善させたことを報告しています。しかしエビデンスとしては弱く、その他の喘息発作治療に比べると極めて弱い効果であることが明記されています5)。静注に関しては、成人喘息に対するマグネシウム投与は入院の頻度を減らすとされています6)。100人の喘息発作にマグネシウムを静注することで、約7人の入院を減らすことができるようですが、個人的にはそこまでの発作軽減力はないように感じています。

 当然ながら、死亡率を低下させるほどの効果はありませんので7)、重症喘息治療に対する奥の手として用いたとしてもやはりパワー不足というのが実のところではないでしょうか。

関連記事:マグネシウムは気管支喘息発作に本当に効果があるのか?


(参考文献)
1) Gourgoulianis KI, Chatziparasidis G, Chatziefthimiou A, et al. Magnesium as a relaxing factor of airway smooth muscles. J Aerosol Med. 14:301-307, 2001.
2) Sinert R, Spektor M, Gorlin A, et al.Ionized magnesium levels and the ratio of ionized calcium to magnesium in asthma patients before and after treatment with magnesium. Scand J Clin Lab Invest. 65:659-670, 2005.
3) Skobeloff EM, Spivey WH, McNamara RM, et al. Intravenous magnesium sulfate for the treatment of acute asthma in the emergency department.JAMA. 262:1210-1203, 1989.
4) Goodacre S, Cohen J, Bradburn M ,et al. Intravenous or nebulised magnesium sulphate versus standard therapy for severe acute asthma (3Mg trial): a double-blind, randomised controlled trial. Lancet Respir Med. 1:293-300, 2013.
5) Knightly R, Milan SJ, Hughes R, et al :Inhaled magnesium sulfate in the treatment of acute asthma. Cochrane Database Syst Rev. 11:CD003898, 2017.
6) Kew KM, Kirtchuk L, Michell CI, et al. Intravenous magnesium sulfate for treating adults with acute asthma in the emergency department. Cochrane Database Syst Rev. 28;CD010909, 2014.
7) Hirashima J, et al. Effect of intravenous magnesium sulfate on mortality in patients with severe acute asthma. Respirology. 21(4):668-73, 2016.







by otowelt | 2018-08-08 00:10 | レクチャー

CHESTガイドライン:間質性肺炎による咳嗽治療

CHESTガイドライン:間質性肺炎による咳嗽治療_e0156318_11335545.jpg わかりにくいですが、unexplained coughのことも、難治性咳嗽と翻訳しています。「説明できない咳嗽」という訳があまり好きになれず・・・。また、opiateはここではオピオイドと訳しています。

Surinder S. Birring, et al.
Treatment of Interstitial Lung Disease associated cough: CHEST guideline and expert panel report
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.06.038


背景:
 間質性肺疾患(ILD)における慢性咳嗽は、QOLに大きな影響を与える。ILDによる咳嗽に対する効果的な治療アプローチが望まれている。

疑問:
 ILDにおける咳嗽に対して臨床的に効果的な治療のエビデンスは存在するか?:18歳を超える8週間超の慢性咳嗽患者の研究が組み入れられ、質が評価された。システマティックレビューに基づいて、CHESTガイドライン推奨をおこなった。

結果:
 IPF患者、サルコイドーシス患者、強皮症関連ILD患者の8研究と2ケースシリーズ(患者10人超)が対象となった。研究の質は、8研究すべてにおいて高かった。サルコイドーシス患者に対する吸入ステロイド薬は支持されなかった。シクロホスファミドとミコフェノール酸についても強皮症関連ILDの咳嗽治療には支持されなかった。IPFに対するサリドマイドは、CHESTパネルの投票で推奨に到達しなかった。ILDにおける難治性咳嗽の治療オプションが不足しており、ガバペンチンや言語病療法的マネジメントなどの選択を提示している難治性咳嗽(unexplained cough)ガイドラインを推奨されたい。オピオイドは難治性咳嗽に対する患者に代替治療として支持されてもよいだろう。

結論:
 ILDの慢性咳嗽マネジメントについてはエビデンスが限られている。

推奨サマリー:
1.ILDで咳嗽に悩まされている患者に対して、基礎にあるILDが進行していないか、あるいは免疫抑制治療が悪影響(副作用、肺障害など)を及ぼしていないかを評価し、さらなる検索ならびに急性・亜急性・慢性咳嗽のガイドラインに基づいて治療をこころみるべきである。

2.IPF患者に対して、慢性咳嗽があり胃食道逆流が否定的ならば、プロトンポンプ阻害剤を使うべきでないと支持する。

3.肺サルコイドーシスの患者に対して、慢性咳嗽に対して吸入ステロイド薬をルーチンに処方すべきでないと支持する。

4.難治性咳嗽のILD患者に対して、CHEST難治性咳嗽(unexplained cough)ガイドライン基づく治療であるガバペンチンや言語療法、臨床試験への登録を推奨する。

5.ILDによる慢性咳嗽の患者に対して、代替治療が失敗し咳嗽がQOLに悪影響を与えるとき、症状コントロールのために緩和ケアとしてオピオイドを用い、1週間目に再評価をおこない、処方を継続する前に1ヶ月ごとにも再評価すべきである。









by otowelt | 2018-08-07 00:46 | びまん性肺疾患

IPF患者の結節に対するFDG-PET/CT検査は悪性の診断に有用

IPF患者の結節に対するFDG-PET/CT検査は悪性の診断に有用_e0156318_7331272.jpg 日本では基本的に癌の診断がついてからPETを行うべきとされていますが、実際は・・・ゴニョゴニョ。

Lee SH, et al.
Is 18F-FDG PET/CT useful for the differential diagnosis of solitary pulmonary nodules in patients with idiopathic pulmonary fibrosis?
Ann Nucl Med. 2018 Jul 4. doi: 10.1007/s12149-018-1273-9.


目的:
 IPFは、肺癌の合併頻度の上昇と関連しているが、IPF患者はしばしば肺機能が低下しており、気胸合併の懸念から侵襲的検査が受けにくいという現状がある。そのため、肺内の結節に対してFDG-PETなどの非侵襲的な検査が有用かもしれない。しかしながら、IPFにおけるFDG-PETの有用性のデータは不足している。われわれは、FDG-PETがIPF患者の肺内の結節に対して鑑別診断に有用かどうか検証した。

方法:
 われわれの病院のIPFコホートから、8-30mmの結節(平均18.5±5.7mm)を有しFDG-PETを受けた患者を後ろ向きに55人(男性54人、女性1人、平均年齢67.8±7.6歳)登録した。病理学的にその後診断を受けたのは52人で、経過のみで診断されたのは3人である。

結果:
 最終診断で、41人(75%)の結節が悪性だった(21人が扁平上皮癌、9人が腺癌、5人が小細胞癌、4人が混合型、1人がLCNEC、1人が肉腫)。残りの14人(25%)は良性だった。PET/CTによる悪性診断は、感度98%、特異度86%、陽性的中率95%、陰性的中率92%だった。SUVmaxのカットオフ値を2.0に設定すると、感度95%、特異度93%、陽性的中率98%、陰性的中率87%だった。

結論:
 FDG-PET/CT検査は、IPF患者においても結節が悪性か否かを判断する検査として有用である。




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by otowelt | 2018-08-06 00:40 | びまん性肺疾患