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IMpower133試験 :ED-SCLCに対する化学療法+アテゾリズマブは全生存期間を延長

e0156318_11251862.png SCLCの世界にも免疫チェックポイント阻害剤が入ってきました。

Leora Horn, et al.
First-Line Atezolizumab plus Chemotherapy in Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer
NEJM, September 25, 2018, DOI: 10.1056/NEJMoa1809064


背景:
 PD-L1シグナルを阻害し腫瘍特異的T細胞免疫を活性化させることは、進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)の治療に効果的であることが示されている。細胞障害性抗癌剤に免疫チェックポイント阻害剤を併用することでシナジー効果がみられ効果が改善するかもしれない。

方法:
 われわれは、治療歴のないED-SCLCの患者に対して、カルボプラチンとエトポシドの併用療法にアテゾリズマブを上乗せ併用する二重盲検プラセボ対照第3相試験をおこなった。患者はランダムに1:1の割合で、カルボプラチンとエトポシドの併用にアテゾリズマブを上乗せする群あるいはプラセボを上乗せする群に割り付けられた。初期4サイクル(1サイクル21日)(導入期)、およびその後許容できない毒性やRECIST判定による病勢進行がみられるまで(維持期)、いずれかの群に割り付けられた。ITT集団において、研究者によって2エンドポイント:無増悪生存期間(PFS)・全生存期間(OS)が解析された。

結果:
 201人がアテゾリズマブ群、202人がプラセボ群にランダムに割り付けられた。追跡期間中央値は13.9ヶ月で、アテゾリズマブ群のOS中央値は12.3ヶ月、プラセボ群のOS中央値は10.3ヶ月だった(死亡に対するハザード比0.70; 95%信頼区間0.54-0.91; P=0.007)。PFS中央値はそれぞれ5.2ヶ月、4.3ヶ月だった(病勢進行あるいは死亡に対するハザード比0.77; 95%信頼区間0.62-0.96; P=0.02)。カルボプラチンとエトポシドの併用にアテゾリズマブを上乗せする治療の安全性プロファイルは、過去に報告されていた個々の製材のそれと合致しており、新たなものは観察されなかった。

結論:
 ED-SCLCに対する一次治療として、化学療法にアテゾリズマブを上乗せすることでOSおよびPFSが、化学療法単独と比べて有意に延長した。





by otowelt | 2018-09-30 00:22 | 肺癌・その他腫瘍

ALTA-1L試験:ALK阻害剤ナイーブALK陽性NSCLCに対するブリガチニブ

e0156318_10535567.png イレッサに対するタグリッソのような位置づけになりそうです。

D. Ross Camidge, et al.
Brigatinib versus Crizotinib in ALK-Positive Non–Small-Cell Lung Cancer
NEJM September 26, 2018, DOI: 10.1056/NEJMoa1800474


背景:
 ブリガチニブは、クリゾチニブに耐性となったALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対して堅固な効果がみられるALK阻害剤である。過去にALK阻害剤を用いていない進行ALK陽性NSCLC患者において、クリゾチニブと比較したブリガチニブの効果は不明である。

方法:
 オープンラベル第3相試験において、われわれは過去にALK阻害剤を用いていない進行ALK陽性NSCLC患者を、1:1の割合でブリガチニブ180mg1日1回(7日間の導入期間では 90mgを1日1回)あるいはクリゾチニブ250mg1日2回のいずれかの群に割り付けた。プライマリエンドポイントは盲検化された独立評価委員会によって評価した無増悪生存(PFS)とした。セカンダリエンドポイントは、客観的奏効率(ORR)および頭蓋内奏効率とした。初回の中間解析は、想定されている198件の病勢進行あるいは死亡のイベントが50%発生した時に計画された。

結果:
 合計275人がランダム化された。137人がブリガチニブ群、138人がクリゾチニブ群に割り付けられた。初回の中間解析(99イベント発生)において、追跡期間中央値はブリガチニブ群11.0ヶ月、クリゾチニブ群9.3ヶ月だった。PFS率はブリガチニブ群のほうがクリゾチニブ群よりも高かった(推定12ヶ月PFS率:67% [95%信頼区間56-75] vs. 43% [95%信頼区間32-53]; 病勢進行あるいは死亡のハザード比0.49 [95%信頼区間0.33-0.74]; P<0.001)。ORRはブリガチニブ群71%(95%信頼区間62-78)、クリゾチニブ群60%(95%信頼区間51-68)だった。測定病変を有する頭蓋内ORRは、ブリガチニブ群78%(95%信頼区間52-94)、クリゾチニブ群29%(95%信頼区間11-52)だった。新たな安全性の懸念はなかった。

結論:
 過去にALK阻害剤を用いていない進行ALK陽性NSCLC患者では、クリゾチニブを投与された患者よりもブリガチニブを投与された患者のほうがPFSは有意に延長した。





by otowelt | 2018-09-29 00:22 | 肺癌・その他腫瘍

KEYNOTE-407試験:扁平上皮NSCLCに対するプラチナ製剤併用療法+ペムブロリズマブ

e0156318_9555458.jpg これでNSCLC全体での恩恵があることが分かりました。

Luis Paz-Ares, et al.
Pembrolizumab plus Chemotherapy for Squamous Non–Small-Cell Lung Cancer
NEJM, September 25, 2018, DOI: 10.1056/NEJMoa1810865


背景:
 転移性扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)の標準的1次治療は、プラチナ製剤併用療法あるいはペムブロリズマブ(PD-L1発現が腫瘍細胞の50%以上にみられる場合)である。より最近では、ペムブロリズマブと化学療法の併用が非扁平上皮NSCLC患者において全生存期間(OS)を有意に延長することが示されている。

方法:
 この二重盲検第3相試験において、われわれは559人の未治療転移性扁平上皮NSCLC患者を、1:1の割合でペムブロリズマブ200mgあるいは生理食塩水のプラセボを35サイクルまで投与する群に割り付けた。なお、全患者はカルボプラチンにパクリタキセルあるいはnab-パクリタキセルを併用した化学療法を初期4サイクル投与されている。プライマリエンドポイントはOSおよび無増悪生存期間(PFS)とした。

結果:
 追跡期間中央値7.8ヶ月ののち、OS中央値はペムブロリズマブ併用群で15.9ヶ月(95%信頼区13.2-未到達)、プラセボ併用群で11.3ヶ月(95%信頼区間9.5-14.8)だった(死亡に対するハザード比0.64; 95%信頼区間0.49-0.85; P<0.001)。OSの恩恵はPD-L1発現にかかわらず観察された。PFS中央値はペムブロリズマブ併用群で6.4ヶ月(95%信頼区間6.2-8.3)、プラセボ併用群で4.8ヶ月(95%信頼区間4.3-5.7)だった(病勢進行あるいは死亡に対するハザード比0.56; 95%信頼区間0.45-0.70; P<0.001)。グレード3以上の有害事象は、ペムブロリズマブ併用群の69.8%、プラセボ併用群の68.2%にみられた。有害事象による治療中断は、ペムブロリズマブ併用群のほうがプラセボ併用群よりも多かった(13.3% vs. 6.4%)。

結論:
 治療歴のない転移性扁平上皮NSCLC患者において、カルボプラチンにパクリタキセルあるいはnab-パクリタキセルを併用した化学療法にペムブロリズマブを加えることで、有意にOSおよびPFSが延長した。


by otowelt | 2018-09-28 17:51 | 肺癌・その他腫瘍

TELOS試験:シムビコートのpMDI製剤の有効性

e0156318_1637713.jpg シムビコートのpMDI、TELOS試験です。

Ferguson GT, et al.
Budesonide/formoterol MDI with co-suspension delivery technology in COPD: the TELOS study.
Eur Respir J. 2018 Sep 16;52(3). pii: 1801334. doi: 10.1183/13993003.01334-2018.


背景:
 TELOS試験は、過去に増悪の既往がない中等症~超重症COPD患者におけるブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物のエアロゾルMDI製剤(BFF MDI)、それぞれの単剤MDI、ブデソニド/ホルモテロール(BF)のDPIを比較した第3相二重盲検並行群間試験である。

方法:
 患者はランダムにBFF MDI(320/10 µg)群(664人), BFF MDI(160/10 µg)群 (649人), FF MDI (10 µg)群 (648人), BD MDI (320 µg) 群(209人)、BF DPI (400/12 µg) (219人)に割り付けられた。プライマリエンドポイントは、朝の吸入前トラフ1秒量および1秒量AUC0-4hとした。中等症/重症COPD増悪の初回発症までの期間と発症率が解析された。

結果:
 BFF MDI(320/10μg)群は、FF MDI(LSM 39mL、p=0.0018)と比較して吸入前トラフ1秒量を上昇させた。また、BFF MDI(320/10μg、160/10μg)はBD MDIと比較して24週時の1秒量AUC0-4hを改善させた(LSM 173mL, 157mL、p<0.0001)。プライマリエンドポイントについては、BFF MDI(320/10 μg)はBF DPIに非劣性だった。
 BFF MDI(320/10μg)およびBFF MDI(160/10μg)は中等症/重症COPD増悪までの発症期間をFF MDIより延長させた。治療忍容性は良好で、肺炎は0.5-1.4%の頻度でみられた。BFF MDIは単剤MDIと比べて肺機能を改善させ、FF MDIと比較して増悪を減少させた。

結論:
 BFF MDIは単剤治療と比べて肺機能を改善し、FF MDIと比べて増悪の頻度を減少させた。


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by otowelt | 2018-09-28 00:44 | 気管支喘息・COPD

CONVERT試験:治療抵抗性肺MAC症に対するアミカシン吸入の有効性

e0156318_10555091.png 肺MAC症のマイルストーンとなる研究です。

Griffith DE, et al.
Amikacin Liposome Inhalation Suspension for Treatment-Refractory Lung Disease Caused by Mycobacterium avium Complex (CONVERT): A Prospective, Open-Label, Randomized Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Sep 14. doi: 10.1164/rccm.201807-1318OC


背景:
 MACに感染した治療抵抗性非結核性抗酸菌症の患者における治療オプションの改善が望まれている。

目的:
 通常のガイドラインに基づいた治療(GBT)にアミカシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS)を加えた場合の、効果と安全性を評価すること。

方法:
 アミカシン感受性肺MAC症で6ヶ月以上のGBTで培養陽性が持続している成人NTM症患者を登録し、2:1にALIS+GBTあるいはGBT単独のいずれかにランダムに割り付けた。1日1回590mgのALISがネブライザー吸入で投与された。プライマリエンドポイントは、培養陰性化(6ヶ月目までの喀痰中MAC培養3回連続陰性化)とした。

結果:
 登録されたのは、224人のALIS+GBT群、112人のGBT単独群で、平均年齢は64.7歳、69.3%が女性だった。62.5%の患者が気管支拡張症、14.3%の患者がCOPD、11.9%がその両方を持っていた。224人のALIS+GBT群のうち、65人(29.0%)が喀痰陰性化を達成し、GBT単独群の112人中10人(8.9%)が喀痰陰性化を達成した(オッズ比4.22、95%信頼区間2.08-8.57、p<0.001)。呼吸器系の副作用(嗄声、咳嗽、呼吸困難)はALIS+GBT群の87.4%にみられ、GBT単独群50.0%よりも多かった。重篤な治療関連有害事象は、ALIS+GBT群の20.2%、GBT単独群の17.9%にみられた。

結論:
 治療抵抗性肺MAC症に対するGBTに、ALISを上乗せすることで6ヶ月目までの喀痰陰性化率は改善した。





by otowelt | 2018-09-27 00:08 | 抗酸菌感染症

ステロイドを使用しているとPD-1阻害剤・PD-L1阻害剤の効果が落ちる

e0156318_16553451.png PD-1阻害剤およびPD-L1阻害剤は、治療前に抗腫瘍CD8陽性T細胞が腫瘍に浸潤していないと効果が発揮できません。ステロイドによってこのT細胞のはたらきが抑制される可能性があります。

Kathryn C. Arbour, et al.
Impact of Baseline Steroids on Efficacy of Programmed Cell Death-1 and Programmed Death-Ligand 1 Blockade in Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer
Journal of Clinical Oncology, DOI: 10.1200/JCO.2018.79.0006


目的:
 PD-(L)1阻害剤による治療は、今や肺癌の標準治療に位置付けられている。ステロイドの免疫抑制作用は、PD-(L)1阻害作用を減弱させるかもしれない。免疫関連副作用にステロイドを治療薬として使用しても、抗癌剤の効果には影響しないように考えられているが、治療開始時にベースラインでステロイドを使用している場合の影響は不明である。PD-(L)1阻害剤の臨床試験では、ベースラインでステロイドを使用している患者は除外されているため、われわれはリアルワールドで治療開始時にステロイドを使用している患者データを検討することとした。

方法:
 われわれは、2施設(Memorial Sloan Kettering Cancer Center、Gustave Roussy Cancer Center)において、進行非小細胞肺癌患者でPD-(L)1阻害剤を単剤で開始した患者を抽出した。PD-(L)1阻害剤開始時にステロイドが使用されていたかどうか同定するため、診療記録と処方記録を評価した。Cox比例ハザード回帰モデルとロジスティック回帰分析を用いて多変量解析をおこなった。

結果:
 PD-(L)1阻害剤で治療された640人のうち90人(14%)が、治療開始時ベースラインでプレドニゾロン換算10mg/日以上のステロイド投与を受けていた。よくみられたステロイドの適応は、呼吸困難(33%)、疲労(21%)、脳転移(19%)だった。
e0156318_1652482.png
(文献より引用)

 Memorial Sloan Kettering Cancer Center 455人、Gustave Roussy Cancer Center 185人の独立したコホートのいずれにおいても、ベースラインのステロイドは全奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を減少させた。喫煙歴、PS、脳転移既往で補正した多変量解析においても、ベースラインのステロイド使用はPFS(ハザード比1.3; P = .03)、OS (ハザード比1.7; P <.001)の減少と関連していた。
e0156318_1652475.png
(文献より引用)

結論:
 PD-(L)1阻害剤開始時点でプレドニゾロン換算10mg/日以上のステロイドを使用している場合、抗癌剤の効果が不良だった。非小細胞肺癌患者がPD-(L)1阻害剤治療を受ける場合、慎重にステロイドを使用すべきである。



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by otowelt | 2018-09-26 00:30 | 肺癌・その他腫瘍

possible/inconsistent with UIPパターンの一部はUIPパターンへ移行する

e0156318_10574046.jpg NSIPパターンからUIPパターンへ移行するかどうか、というのは専門家の間でも意見が分かれています。日本では、どちらかというと後に出てきたUIPパターンは蜂巣肺ではなく、細気管支拡張の集簇ではないかと考える放射線科医が多いです。
 果たしてpossible UIPとinconsistent with UIPはどうでしょうか。

De Giacomi F, et al.
Evolution of diagnostic UIP computed tomography patterns in idiopathic pulmonary fibrosis: Disease spectrum and implications for survival.
Respir Med. 2018 Sep;142:53-59


背景:
 特発性肺線維症(IPF)における、現在の胸部CTパターンは、臨床的フェノタイプや同様の放射線学的所見の経時的進展を反映しているかどうかはよく分かっていない。われわれは、IPF患者の胸部CTでpossibleあるいはinconsistentのUIPパターンを呈したものを登録し、それがconsistentに経時的に変化するかどうか、またそれが生存に与える影響を調べた。

方法:
 2005年1月1日~2013年12月31日までにわれわれの施設でIPF患者を登録した。連続的なCT画像が2人の放射線医によって評価された。ベースラインおよび中途の臨床データを集めた。

結果:
 91人の患者(平均年齢67.4歳、59%が男性)がpossibeおよびinconsistentのUIPパターンを呈しており、それぞれ58人(64%)、33人(36%)だった。
 29人(32%)が中央値57ヶ月(IQR 33-78ヶ月)でconsistentへ移行した。肺機能の減少は経時的にどのパターンでも有意にみられたが、そのパターン間では差は観察されなかった。consistentへの移行は、診断からの生存期間の悪化とは関連していなかった。

結論:
 長期間観察すると、一部のIPF患者はpossibleあるいはinconsistentからconsistentへ移行する。それにもかかわらず、死亡に関しては全パターン有意な差はみられなかった。





by otowelt | 2018-09-25 00:55 | びまん性肺疾患

IPFにおけるCPFEの定義は気腫のひろがりを10%以上に

e0156318_16573847.png CPFEの定義についての提案です。

Hee‐Young Yoon, et al.
Effects of emphysema on physiological and prognostic characteristics of lung function in idiopathic pulmonary fibrosis
Respirology, First published: 23 August 2018,https://doi.org/10.1111/resp.13387


背景および目的:
 CPFE(combined pulmonary fibrosis and emphysema)は、肺容量を保持するものの肺機能が減少していくことで特徴づけられる。しかしながら、気腫性病変の広がりが特発性肺線維症(IPF)の呼吸生理学や予後的特徴にどの程度影響を与えるのかは分かっていない。われわれは、IPF患者においてCPFEがあると定義する際用いられる、気腫のひろがりについて解析した。

方法:
 209人のIPF患者において、胸部高分解能CT(HRCT)において気腫のひろがりをテクスチャ解析による自動定量システムを用いて観察した。肺機能パラメータの年間減少率と予後予測に対する気腫のひろがりが与える影響を解析した。

結果:
 気腫が5%以上みられたのは53人(25%)、10%以上みられたのは23人(11%)、15%以上みられたのは12人(6%)だった。気腫のひろがりが5%以上みられた患者は、男性、既喫煙者の頻度が高かった。これらの患者は肺容量が保持時されており、努力性肺活量の減少率は気腫がほとんどみられない患者よりも緩やかであった。努力性肺活量減少率は、気腫がほとんどみられない患者(ハザード比0.933, P < 0.001)、気腫が5%以上にみられる患者(ハザード比0.906, P < 0.001)において有意な死亡リスク因子だった。しかしながら、拡散能(DLCO)は気腫が10%以上にみられた患者(ハザード比0.972, P = 0.040)、15%以上にみられた患者(ハザード比0.942, P = 0.023)において最も予後予測にすぐれた因子だった。気腫のひろがりのカットオフ値を10%に設定すると、IPF患者において努力性肺活量減少率がもっとも有意差がついた。

結論:
 IPF患者では、気腫のひろがりが10%以上あると、努力性肺活量の年間減少率や予後に影響を与える。これをCPFEの定義として用いることが可能である。



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by otowelt | 2018-09-21 00:08 | びまん性肺疾患

電子たばこは紙巻きたばこよりもCOPDの客観的・主観的アウトカムを改善する

e0156318_1633480.jpg ここで言う「電子たばこ」は、加熱式たばことは異なります。前向きにアセスメントしても、使用したのは後ろ向きコホートです。
 「通常のたばこを吸うよりはマシだ」という私見について、今のところ変えていません。日本は保守的すぎるがゆえに、電子たばこの議論は永遠に「非推奨」になる可能性が高そうです。

Polosa R, et al.
Health effects in COPD smokers who switch to electronic cigarettes: a retrospective-prospective 3-year follow-up
IJCOPD, Published 22 August 2018 Volume 2018:13Pages 2533—2542


背景:
 COPD患者における電子たばこの使用の健康的な影響は広く議論されている。

目的:
 電子たばこを用いて通常の喫煙(紙巻きたばこ)をやめたあるいは減量したCOPD患者コホートにおける、呼吸器パラメータの長期的な前向きアセスメントを提示する。

方法:
 われわれは、過去に後ろ向きに登録したCOPD患者のうち電子たばこユーザーに対して、COPD増悪、スパイロメトリーデータ、主観的アセスメント(CATスコア)、身体活動性(6分間歩行距離)、通常の喫煙(紙巻きたばこ)の使用状況を前向きに再評価した。電子たばこに切り替えるまでのベースライン評価項目を、それから12ヶ月後、24ヶ月後、36ヶ月後の外来で追跡した。年齢および性別でマッチさせた電子たばこを使用していないCOPD患者をコントロール群に割り当てた。

結果:
 44人の患者(男性37人、女性7人)から完全なデータが得られた。電子たばこ群のベースラインと比較すると、その後の紙巻きたばこの使用は有意に減少した(1日平均21.9±4.5本→36ヶ月後1.5±2.4本)。肺機能には差はみられなかったが、COPD増悪率、CATスコア、6分間歩行距離は3年間を通じて電子たばこ群で有意に低かった(p<0.01)。この所見は、電子たばこと紙巻きたばこの両方を使っている(デュアルユーザー)COPD患者でも観察された。
e0156318_8515852.jpg
(文献より引用:COPD増悪)

結論:
 本研究では、電子たばこの使用は客観的および主観的COPDアウトカムを改善させるかもしれない。また、長期のその利益を受けるかもしれない。電子たばこは、COPD患者において紙巻きたばこで受ける有害性を良好に反転させる可能性がある。





by otowelt | 2018-09-20 00:30 | 気管支喘息・COPD

IPFに対するリゾホスファチジン酸受容体1アンタゴニストは努力性肺活量減少率を緩和

e0156318_10574046.jpg 肝障害がネックになりそうですね。努力性肺活量に対するインパクトは26週間で90mLとやや期待ができますが。
 ただ、1日2回投与群の登録患者さんのばらつきが大きそうで、患者特性で肺機能の中央は同水準にありますが、低肺機能の方がおおく1日2回投与群に組み入れられている印象です。

Scott M. Palmer, et al.
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase 2 Trial of BMS-986020, a Lysophosphatidic Acid Receptor Antagonist for the Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.08.1058


背景:
特発性肺線維症(IPF)は、不可逆的な肺機能の減少をきたす。リゾホスファチジン酸受容体1(LPA1)経路は、IPFの疫学に関与している。IPF患者に対して、高親和性LPA1アンタゴニストBMS-986020の安全性と有効性をプラセボと比較する第2相試験を解析した。

方法:
 IM136003試験は第2相他施設共同並行群間プラセボ対象ランダム化比較試験である。IPFの成人(%努力性肺活量:45-90%、%DLCO:30-80%)が登録され、ランダムにプラセボあるいはBMS-986020(1日1回あるいは1日2回)に26週間割り付けられた。プライマリエンドポイントは、ベースラインから26週目までの努力性肺活量の変化率とした。

結果:
 143人がランダム化され、108人が26週間の用量相を完遂した。35人が完遂できずに治療を中断した。ベースラインの患者特性は両群ともに同等だった(プラセボ群47人、600mg1日1回群48人、600mg1日2回群48人)。BMS-986020を1日2回投与された患者は、プラセボよりも有意に努力性肺活量の減少率が低かった(−0.042 L [95%信頼区間−0.106 ~ −0.022] vs (−0.134 L [95%信頼区間−0.201 ~ −0.068]; P=.049)。用量に関連した肝酵素の上昇がBMS-986020の2群両方にみられた。非盲検化になったあとにBMS-096020群で胆嚢炎が3例みられたために、本試験は早期中止となった。
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(文献より引用:努力性肺活量)

結論:
 BMS-986020 600mg1日2回26週間の治療はプラセボと比較して努力性肺活量の減少率を有意に緩和させた。BMS-986020は2用量群のいずれにおいても肝酵素の上昇と関連していた。





by otowelt | 2018-09-19 00:36 | びまん性肺疾患