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TWICS試験:吸入ステロイドを使用しているCOPD患者に対する低用量テオフィリンはCOPD増悪を減らさない

e0156318_1633480.jpg 日本ではキサンチン誘導体はまだ「効果がある」という風潮ですが、海外では逆風です。

Devereux G, et al.
Effect of Theophylline as Adjunct to Inhaled Corticosteroids on Exacerbations in Patients With COPD. A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2018;320(15):1548-1559.


背景:
 COPDは世界的に主要な健康問題であり、テオフィリンが広く用いられている。臨床前研究では、テオフィリンの血清濃度が低いこと(1-5mg/L)が、COPDにおけるステロイドの抗炎症作用を高めることが示されている。

目的:
 COPDにおける吸入ステロイドに低用量テオフィリンを加えることの効果を検証する。


デザイン、状況、被験者:
 このTWICS研究は、2014年2月6日から2016年8月31日までCOPD患者を登録した実践的二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験である。最終追跡は2017年8月31日である。被験者は、過去1年で少なくとも2回の増悪(抗菌薬、経口ステロイド、あるいはその両方)を経験し、吸入ステロイドを用いている、1秒率(1秒量/努力性肺活量)が0.7未満の患者である。この研究には、121のイギリスの一次・二次医療施設から1578人の被験者が登録された。
 
介入:
 被験者は、血清濃度が1-5mg/L(理想体重および喫煙ステータスで定義)になるよう低用量テオフィリン(200mg1日1回あるいは1日2回)を受ける群(791人)あるいはプラセボ群(787人)にランダムに割り付けられた。

主要アウトカム:
 1年の治療期間中、抗菌薬、経口ステロイド、あるいはその両方を要した、患者報告による中等症あるいは重症増悪の数。

結果:
 解析された1567人の被験者のうち、平均(標準偏差)年齢は68.4(8.4)歳で、54%(843人)が男性だった。プライマリアウトカムは1536人(98%)でデータ評価が有効だった(テオフィリン群772人、プラセボ群764人)。合計3430の増悪があった:テオフィリン群1727人(平均2.24[95%信頼区間2.10~2.38]増悪/年)、プラセボ群1703人(平均2.23[95%信頼区間2.09~2.37]増悪/年);非補正平均差0.01 (95%信頼区間−0.19~0.21)、補正罹患率比0.99 (95%信頼区間0.91~1.08)。テオフィリン群およびプラセボ群における重篤な有害事象イベントには、循環器系2.4% vs 3.4%、消化器系2.7% vs 1.3%、悪心(10.9% vs 7.9%)および頭痛(9.0% vs 7.9%)などの副反応が含まれた。

結論と関連性:
 増悪のリスクが高い吸入ステロイド治療を受けている成人COPD患者では、低用量テオフィリンを加えることは、プラセボと比較して1年間のCOPD増悪の数を減らさなかった。この知見は、COPD増悪を予防するために吸入ステロイドに低用量テオフィリンを補助的に用いることを支持しない。





by otowelt | 2018-10-31 00:33 | 気管支喘息・COPD

救急部における肺エコーの有用性

e0156318_1224232.jpg 実臨床ではレントゲンをすぐに撮れるのであれば肺エコーにこだわる必要はありませんが、クリニックレベルではB-lineについては知っておくべきです。

Staub LJ, et al.
Lung Ultrasound for the Emergency Diagnosis of Pneumonia, Acute Heart Failure, and Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease/Asthma in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis.
J Emerg Med. 2018 Oct 9. pii: S0736-4679(18)30925-9.


背景:
 肺エコーは、呼吸器症状を訴える成人の致死的な疾患の診断を早めることができる。

目的:
 救急部における成人の肺炎、急性心不全、COPD/喘息の増悪の診断に対する肺エコーの診断精度をシステマティックレビューすること。

方法:
 PubMed、Embase、Scopus、Web of Science、LILACSを用いて前向きに診断精度を調べた研究を検索した。肺エコーの総合的な診断精度を調べるため、Rutter-Gatsonis階層サマリーROC法が用いられ、異なるエコー所見の精度を調べるため、Reitsmaによる二変量モデルが用いられた。このレビューは過去にPROSPEROに登録されている。

結果:
 25研究が組み込まれた。14が肺炎、14が急性心不全、4がCOPD/喘息の増悪を評価したものであった。ROC曲線下面積は肺炎における肺エコー診断において0.948、急性心不全において0.914、COPD/喘息増悪において0.906だった。肺炎が疑われた患者では、コンソリデーションは感度82%(95%信頼区間74-88%)、特異度94%(95%信頼区間85-98%)だった。急性に呼吸困難を訴えた患者では、修正びまん性間質症候群の所見は、急性心不全に対して感度90%(95%信頼区間87-93%)、特異度93%(95%信頼区間91-95%)で、B-プロファイルは呼吸不全を呈した患者に対して感度93%(95%信頼区間72-98%)、特異度92%(95%信頼区間91-95%)だった。急性に呼吸困難を訴え呼吸不全に陥った例では、PLAPSのないA-プロファイルは感度78%(95%信頼区間67-86%)、特異度94%(95%信頼区間89-97%)だった。

結論:
 肺エコーは救急における肺炎、急性心不全、COPD/喘息の増悪の診断に精度の高いツールである。





by otowelt | 2018-10-30 00:30 | 呼吸器その他

本の紹介:プライマリ・ケア医のための糖尿病診療入門

 私たち呼吸器専門医にとって、糖尿病は薬が多くてわかりにくい。敬遠している人も多いと思います。ステロイドが入っている患者さんの糖尿病管理を専門家にお願いすることもしばしばです。
 
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発売日:2018年10月26日
単行本 : 232ページ
価格 : 3,800円 (税抜)
出版社 : 日経BP社
著者: 岩岡秀明 先生

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する

 紹介させていただくのは、糖尿病の世界では名の知られた岩岡先生の書籍です。この本、珍しいことに対談で結構なページが割かれているんです。コラム扱いのポジションですが、全体の3~4分の1くらいは対談という印象です。私は、たとえば医学書院の医学界新聞がよくやっているような対談企画が好きです。医療従事者同士が話しているのを見聞きすると、記憶に残りやすいんですよね。説得力やリアリティがある。対談に参加されているのは藤沼康樹先生、南郷栄秀先生、徳田安春先生、高瀬義昌先生というビッグネームです。
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 われわれ門外漢にとって最も重要な章は第4章の「糖尿病治療薬を知る」です。メトホルミンが第一選択にであることは知られていますが、最近処方が増えてきたSGLT2阻害薬などの新しい薬剤の注意点などが書かれています。プライマリ・ケア医向けの糖尿病の書籍はこれまで岩岡先生がたくさん書かれてきましたが、最新の知識をここでアップデートしておくとよいでしょう。また、第10章の「レセプト査定される処方」は、保険医必読です。これは岩岡先生がよくFacebookで「こういう処方は査定されるんです」という啓蒙をされているので、オリジナリティがありますね。自分の専門分野でも、どういう処方が査定されやすいのか知らない人が多いですし。DPP-4阻害薬の併用や多剤併用といったピットホールが具体例を挙げて記載されています。
 
 タイトル通り、プライマリ・ケア医向けの難易度で、章ごとに対談が散りばめられているので、スラスラと読み進めることができると思います。



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by otowelt | 2018-10-27 00:33 | 内科一般

間質性肺疾患に対するベンゾジアゼピンおよびオピオイドの影響

e0156318_1543237.jpg 意外にも安全のようですが、ベンゾジアゼピンはどの状況でももはや推奨されなくなりつつある流れですね。

Bajwah S, et al.
Safety of benzodiazepines and opioids in interstitial lung disease: A national prospective study
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.01278-2018


背景:
 安全性の懸念から、ベンゾジアゼピン(BDZ)やオピオイドを間質性肺疾患(ILD)に対して処方しにくい。そこでわれわれは、BDZやオピオイドが、入院や死亡のリスクに関連しているかどうか調べた。

方法:
 われわれは、2005年~2014年に、スウェーデンにおける長期酸素療法を要する線維性ILD患者を対象とした、集団ベース縦断的コホート研究を実施した。BDZやオピオイドが入院率や死亡率に与える影響を、潜在的な交絡因子で補正した後Fine-GrayおよびCox回帰を用いて解析された。

結果:
 1603人の患者が登録された(61%が女性)。BDZは196人(12%)で使用され、オピオイドは254人(15%)で使用されていた。BDZと入院の増加には関連性はなかった。高用量BDZは低用量BDZと比較して、死亡率の上昇に関連していた(部分分布ハザード比1.46、95%信頼区間1.08-1.98 vs 部分分布ハザード比1.13、95%信頼区間0.92-1.38)。オピオイド使用と入院の増加には関連性はなかった。低用量(モルヒネ換算で<30mg/日)(部分分布ハザード比1.18、95%信頼区間0.96-1.45)でも高用量(モルヒネ換算で>30mg/日)(部分分布ハザード比1.11、95%信頼区間0.89-1.39)でも死亡率の上昇とは関連していなかった。

結論:
 ILDに対するBDZとオピオイドの使用と有害性の関連性を調べた初めての研究によれば、呼吸障害のある重度の患者にオピオイドと低用量BDZを使用できることが支持される。





by otowelt | 2018-10-26 00:47 | びまん性肺疾患

システマティックレビュー・メタアナリシス:COPDへのトリプル吸入療法とダブル・シングル吸入療法の比較

e0156318_1633480.jpg IMPACT試験には喘息既往例が含まれており、これが結果に影響を与えた可能性があるとCazzolaらは述べています。この臨床試験では気道可逆性のある患者さんが18%も含まれています。

Cazzola M, et al.
Triple therapy versus single and dual long-acting bronchodilator therapy in chronic obstructive pulmonary disease: a systematic review and meta-analysis
European Respiratory Journal Jan 2018, 1801586; DOI: 10.1183/13993003.01586-2018


方法:
 われわれはCOPD患者において、吸入ステロイド(ICS)、吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)、吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA)によるトリプル吸入療法がLABA/LAMA併用あるいはそれぞれの長時間作用性気管支拡張薬単剤との比較における影響を比較するためメタアナリシスをおこなった。

結果:
 16751人のCOPD患者が14研究から同定された。
 ICS/LABA/LAMA併用は、LABA/LAMA併用と比較して中等症~重症のCOPD増悪のリスクを減少させ(相対リスク0.70、95%信頼区間0.53-0.94)、トラフ1秒量を改善させた(平均差:+37.94mL、95%信頼区間18.83-53.89mL)。長時間作用性気管支拡張薬単剤との比較でも同様にCOPD増悪リスクを現象させ(相対リスク0.62、95 %信頼区間0.48-0.80)、トラフ1秒量を改善させた(平均差:+68.82mL、95%信頼区間56.95-82.48mL)。LABA/LAMA併用と比較したトリプル吸入療法のCOPD増悪リスクに対する保護的な効果は、好酸球数≧300/µLの患者で大きかった(相対リスク0.57、95%信頼区間0.48-0.68)。
 1回のCOPD増悪を予防するために、LABA/LAMA併用と比較するとおおよそ38人の患者が1年のICS/LABA/LAMA併用治療を受ける必要があり(患者ベースNNT[nunmer needed to treat]38.17)、長時間作用性気管支拡張薬単剤と比較したときのNNTはおおよそ21だった。好酸球数≧300/µLの患者における患者ベースNNTは8.58だった。
 肺炎のリスクはICS/LABA/LAMA併用では差はみられず、NNH(number needed to harm)はおおよそ195だったが、トリプル吸入療法にフルチカゾンフランカルボン酸エステルを含んだ研究を考慮するとおおよそ34にまで減少した。予想外の結果であったが、女性患者のほうが肺炎のリスクは高かった。

結論:
 このメタアナリシスでは、長時間作用性気管支拡張薬単剤あるいはLABA/LAMA併用を用いている患者で、いまだに増悪を経験して好酸球数≧300/µLであるならば、ICS/LABA/LAMA併用の恩恵を受けるかもしれない。





by otowelt | 2018-10-25 00:43 | 気管支喘息・COPD

慢性呼吸器疾患の在宅見守り機器

e0156318_14441648.jpg 取り組みが素晴らしいです。

藤本圭作ら.
感圧センサシートを用いた慢性呼吸器疾患対応在宅見守り機器開発の試み
日呼吸誌, 7(5): 288-296, 2018

 
背景・方法:
 既存の感圧センサシート(スリープアイ®)を改良して,在床・離床,呼吸数,呼吸パターン,体動,SpO2,脈拍数がモニターできる機器を開発し,高齢慢性呼吸器疾患患者の在宅見守りシステムとしての有用性を検討した.

結果:
 呼吸数は既存の機器と良好な相関が得られ,無呼吸・低呼吸および低換気イベント,低酸素状態,体動を捉えることが可能であり,また1週間の連続計測から,夜間の中途離床,日中の在床時間を把握することができた.

結論:
 我々が開発した在宅見守りシステムは高齢慢性呼吸器疾患患者の在宅管理に有用と考えられた.





by otowelt | 2018-10-24 00:47 | 呼吸器その他

第4世代QFTと既存IGRAの比較

e0156318_1302985.jpg 日本から、QFTの「判定保留」がなくなります。

福島喜代康ら.
活動性肺結核における新規QuantiFERON® TBゴールドプラスと既存IGRAsの比較検討
Kekkaku Vol. 93, No. 10 : 517-523, 2018


目的:
 活動性肺結核における新規QFT-Plus の有用性をQFT-3G,T-SPOT と直接比較検討した。

対象・方法:
 対象は活動性肺結核患者77 例(平均年齢79.9 歳)(A群)。80 歳未満(B群),80 歳以上(C群),末梢血CD4 値200/μL未満(D 群),CD4 値200/μL以上(E 群)の計5 群での感度を比較した。

結果:
 A 群:QFT-Plus(93.5%),QFT-3G(90.9%)はT-SPOT(74.0%)に比し有意(各々p=0.001,p=0.006)に高かった。C 群:QFT-Plus(93.0%)とQFT-3G(89.5%)はT-SPOT(71.9%)より有意(各々p=0.003,p=0.018)に高かった。E 群:QFT-Plus とQFT-3Gは同じ感度98.1% でT-SPOT(77.8%)より有意(各p=0.001)に高かった。[TB2 値-TB1 値]は正方向にシフトしていた。

考察・結語:
 IGRAの感度はCD4 値が大きく影響し加齢とともにCD4 値も有意に減少し各IGRAの感度も低下した。QFT-Plusは高リスク群を含む全ての活動性肺結核の診断補助に有用である。





by otowelt | 2018-10-23 00:41 | 抗酸菌感染症

肺Langerhans細胞組織球症における気胸の特徴

e0156318_8515525.png 2004年のCHESTの報告では、気胸の頻度は16%と報告されています(Chest. 2004 Mar;125(3):1028-32.)。

Radzikowska E,et al.
Pneumothorax in Patients with Pulmonary Langerhans Cell Histiocytosis.
Lung. 2018 Sep 5. doi: 10.1007/s00408-018-0155-1. [Epub ahead of print]


背景:
 気胸は肺Langerhans細胞組織球症(PLCH)においてしばしばみられるが、一部の患者は診断までに長期を要する。

目的:
 この研究は、PLCHにおける気胸の頻度をアセスメントし、迅速な診断のための胸部CTの役割を解析することである。

患者および方法:
 90人のPLCH患者が2000年から2015年の間に登録された。29人(32%)が初期所見として気胸を呈していた。この群では、18人(62%)の患者が1ヶ月以内にPLCHと診断された一方、11人(38%)の患者では診断の遅延が生じた(4~120ヶ月)。

結果:
 PLCHで初期所見として気胸を呈していた患者は、若年(平均年齢27.7±7.92歳 vs 39.9±13.21歳、p=0.0001)、男性(69% vs 43%、p=0.028)が多く、喫煙歴が少なく(平均喫煙歴8.4±6.85pack-years vs 19±17.16、p=0.003)、平均努力性肺活量(%予測値:77.96±19.62 vs 89.47±21.86%、p=0.015)、1秒量(%予測値:68.6 ± 19.93 vs. 79.4 ± 21.48%、p=0.03)が気胸を呈していない患者より低かった。再発性気胸は、診断遅延がみられた群でより頻繁にみられた(82% vs 39%、p=0.02)。胸部CTは診断が迅速におこなえた患者全員で実施されていたが、診断の遅延がみられた患者では誰も受けていなかった。

結論:
 PLCHの初期所見として気胸を呈した患者は、気胸を呈していない患者と比べて、若年や男性に多く、呼吸機能障害が大きかった。胸部CTはこの疾患を正しく診断するのに有用である。





by otowelt | 2018-10-22 00:55 | びまん性肺疾患

レジオネラ肺炎にステロイドは有効か?

e0156318_10322082.jpg 感染症に対するステロイドは、介入方法やエンドポイントの設定で議論がまちまちです。

徳安宏和ら.
レジオネラ肺炎に対する急性期ステロイド使用効果の検討
日呼吸誌, 7(5): 281-287, 2018


背景・方法:
 市中発症レジオネラ肺炎治療における急性期ステロイド使用の有効性について,過去の症例報告を後方視的に検討した.医学中央雑誌で,2000年1月より2016年12月の期間で検索した市中発症レジオネラ肺炎の症例報告で,肺炎重症度と転帰と在院日数の確認が可能であった81例を対象とした.

結果:
 死亡群と生存群の比較でステロイド使用率に差はなく,在院日数長期群は短期群に比べてステロイド使用が多く,ロジスティック回帰分析によって在院日数に関連する因子としてステロイド使用とCRP高値が規定された.

結論:
 レジオネラ肺炎治療に急性期ステロイド使用は有効ではなかった.



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by otowelt | 2018-10-19 00:43 | 感染症全般

アルブミン尿の存在はCOPDに対して悪影響

e0156318_1633480.jpg 上皮傷害が起因していると議論されていますが、果たして。

Elizabeth C Oelsner
Albuminuria, Lung Function Decline, and Risk of Incident COPD: The NHLBI Pooled Cohorts Study
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Sep 28. doi: 10.1164/rccm.201803-0402OC


背景:
 COPDや喘息を含む慢性下気道疾患(CLRD)は、総死亡の第4位である。これまでの研究で、上皮傷害のバイオマーカーであるアルブミン尿は、COPD患者において増加することが示されている。

目的:
 アルブミン尿が肺機能の減少やCRLDの発生と関連しているかどうか調べること。

方法:
 アメリカにおける6つの集団ベースコホートが統合されプール解析された。臨床的な肺疾患に罹患している被験者は除外された。アルブミン尿(尿中アルブミン/クレアチニン比)はスポット尿検体で計測された。肺機能はスパイロメトリーを用いて測定された。CLRDに関連した入院および死亡の発生は、裁量や管理基準によって分類された。混合および比例ハザードモデルを用いて、年齢、身長、体重、性別、人種、教育、出生年、コホート、喫煙ステータス、喫煙歴(pack-years)、腎機能、高血圧、糖尿病、投薬で補正した個々の関連性を調べた。

結果:
 10961人の被験者は肺機能が保たれており、アルブミン尿測定時の平均年齢は60歳で、51%が非喫煙者、アルブミン尿中央値は5.6mg/g、平均1秒量減少は31.5mL/年だった。ln(自然対数)アルブミン尿が1標準偏差上昇するごとに、1秒量の減少は2.81%増加(95%信頼区間0.86-4.76%、p=0.0047)、1秒率の減少が11.02%増加(95%信頼区間4.43-17.62%、p=0.0011)、スパイロメトリーで定義された中等症から重症のCOPDの発症ハザードが15%上昇した(95%信頼区間2-31%、p=0.0021)。lnアルブミン尿が1標準偏差上昇するごとに、イベント発生を追跡された14213人の被験者の間で、COPD関連入院/死亡のハザードが26%上昇した(95%信頼区間18-34%、p<0.0001)。喘息イベントは有意に関連していなかった。現在の喫煙、糖尿病、高血圧、心血管性疾患がない被験者において、補正後も関連性が観察された。

結論:
 アメリカの集団ベースコホートにおいて、アルブミン尿は、より大きな肺機能の減少、スパイロメトリーで定義されたCOPD、COPD関連イベントの発生と関連していた。





by otowelt | 2018-10-18 00:00 | 気管支喘息・COPD