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自然気胸に対する1ポート胸腔鏡下手術

e0156318_14441648.jpg  胸腔鏡下手術は、胸腔鏡と手術操作器具を挿入するためのポートを通常3ポート入れます。

Nachira D, et al.
Uniportal vs. triportal video-assisted thoracic surgery in the treatment of primary pneumothorax-a propensity matched bicentric study.
J Thorac Dis. 2018 Nov;10(Suppl 31):S3712-S3719.

背景:
 3ポートを用いた胸腔鏡下手術(VATS)の役割は、原発性自然気胸(PSP)の治療に広く認識されている。この研究の目的は、3ポートのVATSと比較したPSP治療に対する1ポートのVATS(U-VATS)の潜在的なアトバンテージと有効性をアセスメントすることである。

方法:
 2つの大学病院において、104人が3ポート(39人)および1ポート(65人)のVATSをPSP治療に対して受けた。前向きに収集された術後アウトカムのデータを後ろ向きにレビューし、1:1の傾向スコアマッチング解析によって2つのVATSアプローチを比較した。

結果:
 術後に主要な有害事象はみられなかった。3ポートのVATSと比較すると、U-VATSは再発リスク(両群ともにゼロ)、術後合併症(p=1.000)、手術時間(66.04±16.92分 vs. 74.57±21.38分, P=0.141)という観点からは同様の効果だった。しかしながら、U-VATSのほうが、追加アクセスの必要性[0 vs. 7 (30.4%), P=0.004]、胸腔ドレーン留置期間(4.39±1.41日 vs. 6.32±0.94日, P<<0.001)、術後入院期間(4.78±1.31日 vs. 6.61±1.67日, P<<0.001), 24時間時点での疼痛VAS(3.45±1.41 vs. 6.44±2.45, P<0.001)、胸腔ドレーン抜去後の疼痛を訴えた患者数[1人(4.3%) vs. 16人(69.6%), P<0.001]、胸腔ドレーン抜去後の疼痛VAS (0.11±0.47 vs. 2.74±2.25, P<0.001)、術後疼痛期間(2.50±1.20日 vs. 14.82±37.41日, P<0.001)、陳地位補助薬内服期間(0.75±1.06日 vs. 7.53±3.96日, P=0.001)、慢性感覚異常(レベルスケール0~2: 0 vs. 0.52±0.66, P<0.001)、慢性神経痛(0 vs. 0.43±0.59, P<0.001)、美容面での懸念(レベルスケール0~3: 2.91±0.28 vs. 2.00±0.77, P<0.001)という観点では良好だった。

結論:
 PSPに対する3ポートのVATSと同様にU-VATSは良好で安全におこなえ、術後疼痛、感覚異常、入院期間、美容面での懸念の軽減という効果から、より低侵襲と言えるかもしれない。





by otowelt | 2018-12-27 00:48 | 呼吸器その他

日本人のCOPD患者に対する吸入ステロイドは肺炎を増加させないかもしれない

e0156318_135223100.jpg GOLDガイドラインはICSを二の次に使うような方向性に改訂されたばかりですが、後ろ向きではあるものの興味深いエビデンスです。

Hirano R, et al.
Inhaled corticosteroids might not increase the risk of pneumonia in patients with chronic obstructive pulmonary disease in Japan.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018 Oct 23;13:3503-3509.


背景:
 COPD患者に対する吸入ステロイド(ICS)の使用はCOPD増悪の頻度を低くする。近年、COPD患者におけるICSの合併症として肺炎が報告された。しかしながら、日本でのICSと肺炎の関連に関する報告は少ない。さらに、ICSのタイプにおける情報はほとんどない。

患者および方法:
 これらを明らかにするため、われわれは日本人COPD患者における肺炎の発症について調べた。われわれは、自施設で2009年1月から2013年8月までのCOPD患者における肺炎発症を後ろ向きに調べた。罹患と死亡、ICS使用、年齢、性別、COPD分類が調べられた。ICS投与を受けたCOPD患者グループと、ICS投与を受けていないCOPD患者グループがそれぞれ比較された。

結果:
 COPD患者639人(7.98%)のうち51人の患者が肺炎を発症した。ICS治療を受けたCOPD患者252人のうち13人(5.16%)が肺炎を発症し、ICS治療を受けていないCOPD患者387人のうち38人(9.82%)が肺炎を発症した。ICS治療を受けたCOPD患者の死亡率は7.7%であり、ICS治療を受けていないCOPD患者の死亡率は10.5%だった(p=0.767)。フルチカゾン/サルメテロール使用は、ブデソニド/ホルモテロール使用よりも肺炎のリスクが高い傾向にあった。ICS使用は、日本人COPD患者において肺炎リスクや肺炎による死亡リスクを上昇させなかった。
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(文献より引用:肺炎の発症)

結論:
 日本人COPD患者に対するICSは肺炎リスクを上昇させないかもしれない。肺炎に関しては、日本人COPD患者へのICSは安全使用できる可能性がある。人種によって肺疾患の差があることから、それぞれの国で適切な治療を適用すべきである。




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by otowelt | 2018-12-25 00:00 | 気管支喘息・COPD

チオトロピウムは喘息患者のカプサイシン咳感受性を緩和

e0156318_1637713.jpg チオトロピウムがTRAPV1の脱分極を抑制するという話を聞いて、読ませていただいた論文です。

Fukumitsu K, et al.
Tiotropium Attenuates Refractory Cough and Capsaicin Cough Reflex Sensitivity in Patients with Asthma.
J Allergy Clin Immunol Pract. 2018 Sep - Oct;6(5):1613-1620.e2.


背景:
 喘息の咳嗽は、しばしば吸入ステロイド(ICS)や吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)のような標準治療に抵抗性である。チオトロピウムは急性ウイルス性咳嗽の咳嗽反射感受性を調節するが、喘息の咳嗽に対する効果は不明である。

目的:
 ICS/LABA抵抗性の喘息患者においてチオトロピウムが咳嗽および咳嗽反射感受性を改善するかどうか評価すること。

方法:
 ICS/LABAを使用しているにも関わらず慢性咳嗽を呈している喘息の17人の連続患者(13人が女性:平均年齢43.4±19.0歳、平均ICS用量651±189μg/日[フルチカゾン相当量])が、肺機能およびカプサイシン咳嗽反射感受性(閾値C2およびC5)に対する影響を調べるためにチオトロピウム(5μg/日)を4~8週間追加的に治療された。咳嗽重症度、咳嗽特異的QOL、喘息コントロールがVASを用いて評価された。また、Leicester咳嗽質問票(日本版)(J-LCQ)、喘息コントロールテスト(ACT)も評価された。咳嗽VASスコアが15mm以上改善した患者は、チオトロピウムのレスポンダーと考えた。

結果:
 チオトロピウムは咳嗽VAS、J-LCQ、ACTスコアを有意に改善させたが、1秒量は改善させなかった。VASスコアの変化はカプサイシンC2(r = -0.58; P = 0.03)、C5(r = -0.58; P = 0.03)、ACTスコア(r = -0.62; P =0.02)と相関していたが、1秒量とは相関していなかった。11人のレスポンダーに限ると、チオトロピウムはカプサイシン咳嗽反射感受性をサブグループ内で有意に改善させ(C2: P = 0.01, C5: P =0.02)、ノンレスポンダーとの比較でも改善させた(C2: P = 0.004 、C5: P = 0.02)。

結論:
 チオトロピウムは、ICS/LABA抵抗性の喘息の咳嗽に対して、気管支拡張効果ではなく咳嗽反射感受性を調節することで軽減するかもしれない。





by otowelt | 2018-12-24 00:09 | 気管支喘息・COPD

TONES 3試験:閉塞性睡眠時無呼吸に有望な経口薬剤solriamfetol

e0156318_117241.png OSAに対する有望な内服錠剤があれば、臨床医も患者さんも助かりますね。同時期に、6週間の短期有効性が示された研究も発表されています(Chest. 2018 Nov 21. pii: S0012-3692(18)32732-6.)。

Schweitzer PK, et al.
Solriamfetol for Excessive Sleepiness in Obstructive Sleep Apnea (TONES 3): A Randomized Controlled Trial.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Dec 6. doi: 10.1164/rccm.201806-1100OC.


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸の初期治療によっても、アドヒランスがあるにもかかわらず過度な眠気が遷延することがある。さらに、睡眠時無呼吸の治療そのものも、アドフランスの観点からは十分な効果があるとは言えない。こうした集団に対して、現在使用できる薬剤治療オプションは限られている。

目的:
 閉塞性睡眠時無呼吸の被験者における過度な眠気に対する現行・既往治療に対して、覚醒促進効果がある選択的ドパミン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬solriamfetol(JZP-110)の効果と安全性を評価すること。

方法:
 二重盲検ランダム化プラセボ対照並行群間試験で、solriamfetol37.5mg、75mg、150mg、300mgとプラセボを比較した。

結果:
 476人の被験者のうち、459人が事前に規定した効果解析に組み込まれた。複合プライマリエンドポイント(覚醒維持テストの睡眠潜時およびエプワース睡眠スケールスコア)は、すべてのsolriamfetol用量で効果をもたらした(p<0.05)。1週時点で用量依存性の効果が確認され、試験期間中それが維持された。37.5mgを除く用量で、全般改善度(Patient Global Impression of Change)の改善を報告した患者頻度が高かった(キーセカンダリエンドポイント、p<0.05)。有害事象はプラセボ群の47.9%にみられ、solriamfetol治療群の67.9%にみられ、5人が重篤な有害事象を呈した(プラセボのうち2人[1.7%]、solriamfetol群のうち3人[0.8]%)が、いずれも試験薬に関連したとは考えられなかった。もっともよくみられたsolriamfetolの有害事象は、頭痛(10.1%)、悪心(7.9%)、食欲低下(7.6%)、不安(7.0%)、鼻咽頭炎(5.1%)だった。

結論:
 solriamfetolは、閉塞性睡眠時無呼吸で過度な眠気がある被験者に対して、有意に覚醒を改善し眠気を減少させた。ほとんどの有害事象は軽度あるいは中等度だった。





by otowelt | 2018-12-21 00:45 | 呼吸器その他

Mycobacteroides abscessus complex感染症のerm(41) sequevarと臨床的特徴

e0156318_10555091.png C28 sequevarの存在は、Mycobacteroides abscessusの中でもクラリスロマイシンの有効性と関連しています。この遺伝子型は10~20%ほど存在すると考えられていますが、本研究では8.8%でした。市中病院でT28かC28か調べることは困難です。

Morimoto K, et al.
Clinico-microbiological analysis of 121 patients with pulmonary Mycobacteroides abscessus complex disease in Japan - An NTM-JRC study with RIT.
Respir Med. 2018 Dec;145:14-20.


背景:
 日本のようなMycobacteroides abscessus complex (MABC) 感染症の頻度が低い地域において、MABCの臨床的側面と微生物学的エビデンスを評価するための包括的解析はこれまで行われなかった。

目的:
 この研究は、MABCの臨床病理学的特性、すなわち臨床に関連したerm(41) sequevar、フェノタイプ(コロニー形態およびMIC)、ジェノタイプを明らかにすることを目的としている。

方法:
 2004年から2014年までの間、日本において合計121人のMABC患者(68人:M. abscessus subsp. abscessus、53人:M. abscessus subsp. massiliense)がこの後ろ向き臨床生物学的研究に組み込まれた。

結果:
 約30%のMABC患者が過去に非結核性抗酸菌(NTM)症の既往を有していた。さらに、患者の24.8%はMABCと診断された後もそのほかのNTM感染を合併していた。M. abscessusグループの患者の10%未満がerm(41)にT28C(C28)を有していた。M. massiliense のほうがM. abscessusよりも高い菌陰性化だった(それぞれ72.4%、34.8%, p = 0.002)一方で、再発についてはM. massiliense のほうが比較的多かったが統計学的に有意ではなかった(31.0% vs 21.7%、p=0.37)。追跡期間中の死亡は、M. abscessusで15人(22.1%)、M. massiliense で2人(3.8%)だった。
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(文献より引用)

 M. abscessusの患者において、治療反応性が良好だった患者は、治療抵抗性だった患者と比べて3日目のクラリスロマイシンのMICが有意に低かった(MIC中央値; 0.75 μg/ml vs 2.0 μg/ml, p = 0.03)。

 コロニー形態は、M. abscessusがrough:47.8%、smooth:28.4%、mixed:20.9%で、M. massiliense がrough:42.3%、smooth:28.8%、mixed:19.2%だった。臨床表現型とVNTRジェノタイプの間に有意な相関性はなかった。
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(文献より引用)

結論:
 MABC感染症において、他のNTMの既往や共存が比較的よくみられるため、これらの知見を注意深く臨床行動に適用すべきである。M. abscessusの早期クラリスロマイシン耐性とerm(41)機能の評価は、治療戦略を改善させるために重要である。





by otowelt | 2018-12-20 00:27 | 抗酸菌感染症

メプチンスイングヘラーケース発売

私の喘息の書籍で紹介させていただいた、吸入薬ケースに新ラインナップ、メプチンスイングヘラーケースが登場しました!

URL:吸入薬ケース(株式会社 JACAJACA)

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「お客様からのご要望から生まれた吸入薬ケース。喘息治療の専門医:倉原 優先生からも「バッグの中を半狂乱で探すというのは、喘息発作の患者さんで何人か経験しているようです。患者さんにとって直ぐに取り出せない、落とすかもしれ
ないのは恐怖でしかなく、そういった意味でもケースの必要性を実証できてるのでは思います。バッグにぶら下げるタイプのデザインは素晴らしいの一言で感銘を受けた」と、執筆された専門誌でもご紹介頂き、「ファッションの分野でもその日の気分でケースを変えるような” オシャレぜんそく ”が広がると面白いですね」とお言葉を頂きました。少しでもお役に立てるよう、私どもは今後も心を込めてお作りします。」

・商品名:メプチンスイングヘラーケース
・対応薬:メプチンスイングヘラー 10μg
・価格 :3,240円(税込)
・サイズ:約7.3cm×約6.1cm×約2.8cm(メプチンスイングヘラーに装着した状態)






by otowelt | 2018-12-19 00:24 | 気管支喘息・COPD

空洞性病変の存在と2ヶ月後の塗抹陽性の組み合わせは肺結核再発のリスク

e0156318_1302985.jpg 既知の知見ですが、結核病学会ではあまり「2ヶ月後の菌陽性」というのは重要視されなくなるかもしれません(塗抹と培養の違いはありますが)。個人的にはリスク高そうなら長めに飲もうか、というスタンスでよいと思っています。

Romanowski K, et al.
Predicting tuberculosis relapse in patients treated with the standard 6-month regimen: an individual patient data meta-analysis.
Thorax. 2018 Nov 12. pii: thoraxjnl-2017-211120. doi: 10.1136/thoraxjnl-2017-211120.


背景:
 結核(TB)の再燃は、結核患者および同プログラムにとって世界的に大きな足枷となっている。われわれは、WHOの標準6ヶ月レジメンで治療された患者のTB再発に関連した臨床的および微生物学的を同定し、再発アウトカムを予測する各々の因子の精度を評価することを目的とした。

方法:
 標準治療を受けた患者における治療アウトカムを報告したランダム化比較試験を同定するため、システマティックレビューをおこなった。筆者にコンタクトをとり、患者レベルデータ(IPD)を共有してもらうようはたらきかけた。ランダム切片ロジスティック回帰モデルおよびROC曲線を用いて1段階IPDメタアナリシスをおこない、関連する因子の予測パフォーマンスを評価した。

結果:
 IPDデータは12研究のうち3研究から得られた。1189人の治療を完遂した肺TBのうち、67人(5.6%)が再発した。多重予測解析において、ベースラインに空洞性病変があり2ヶ月時点で塗抹陽性の場合、再発のオッズ比は上昇し(オッズ比2.3、95%信頼区間1.3-4.2)、再発リスクは10%となった。多重予測モデルの曲線下面積を比較したとき、低リスクおよび高リスクの鑑別能は大きくなく、年齢、性別、HIVステータスを考慮した参照モデルと同等だった。

結論:
 予測能は悪かったが、とりわけ医療リソースが限られた状況においては、空洞性病変の存在と2ヶ月時点での塗抹陽性ステータスの組み合わせは、再発リスクにある個人を同定する上で現在最も有用なマーカーかもしれない。これらの因子の組み合わせが、実臨床において別治療を要することを裏付けるかどうかを検証するために、さらなる研究が必要である。





by otowelt | 2018-12-18 00:43 | 抗酸菌感染症

日本の肺NTM症の疫学

e0156318_10555091.png APSRでNTMの疫学について、結構話題になったと伺いました。ICD-10と処方履歴から抽出した肺NTM症であるため、微生物学的な定義とどのくらいマッチしているかは判断が難しいです(おそらく本研究のほうが過小になるはずですが)。

Izumi K, et al.
Epidemiology of Adults and Children Treated for Nontuberculous Mycobacterial Pulmonary Disease in Japan.
Ann Am Thorac Soc. 2018 Oct 19. doi: 10.1513/AnnalsATS.201806-366OC.


背景:
 肺非結核性抗酸菌症(NTM-PD)の疫学的ステータスは、日本を含む主要国でもまだ不透明である。

目的:
 日本国内における発症と罹患を算出し、患者特性や地理的差異を記述すること。

方法:
 この横断研究において、われわれは2009年から2014年までの日本国内データベースからNTM-PDに対するレセプトデータを抽出し解析した。NTM-PD患者は、少なくとも1回NTM-PDに関連したICD-10コード対象と抗菌薬併用処方のレセプトにより同定した。われわれは、2011年のNTM-PDの発症数と罹患数を、性別、年齢グループ、地理地域、合併症評価に応じて算出した。

結果:
 2011年のNTM-PDの発症と罹患はそれぞれ11,304人(10万人年あたり8.6人、95%信頼区間8.5-8.8人)、37,063人(10万人年あたり29.0人、95%信頼区間28.7-29.3人)だった。発症例の平均年齢は69.3±12.3歳で、69.6%が女性だった。50歳を超える年齢層では男女ともに発症率が急峻に増加し、80歳を超える年齢層を除くと全年齢層で女性優位だった。男性患者は高齢での発症率が高いという特徴があり、年齢とともに合併症も急激に増えた。もっともよくみられた合併症は女性では気管支拡張症で、男性ではCOPDだった。日本の最南の島である沖縄を除いて、南西地域のほとんどで高い発症率が観察された。

結論:
 本研究では、治療歴に基づいてNTM-PD症例を保守的に定義しているにもかかわらず、世界的に高い発症率と罹患率を有することが明らかになった。合併症を伴う長期罹病により、高い罹患率となったのだろう。高齢者と女性で特に高いNTM-PDリスクがみられたが、合併症のある高齢男性ではより注意が必要である。地理的差異をもたらす因子を調べるため、さらなる研究が必要である。





by otowelt | 2018-12-17 00:47 | 抗酸菌感染症

クリスマスBMJ2018:パラシュート装着・非装着で飛行機からジャンプするランダム化比較試験

e0156318_938222.png 世界で初めての研究だそうです。スベっている感は否めない。

Robert W Yeh, et al.
Parachute use to prevent death and major trauma when jumping from aircraft: randomized controlled trial
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k5094


目的:
 航空機からジャンプしたとき、パラシュートの装着が死亡や主要外傷を予防することができるか調べた。
 
デザイン:
 ランダム化比較試験。

セッティング:
 2017年9月から2018年8月までのプライベートあるいは民間航空機。

参加者:
 18歳以上の92人の航空機乗客が参加スクリーニングを受けた。23人が同意し、ランダム化された。

介入:
 航空機(飛行機あるいはヘリコプター)からジャンプし、パラシュートあるいは空っぽのバッグを背負ってもらう(非盲検)。

主要アウトカム:
 着陸直後に地面に衝突したときに観察された、死亡あるいは主要外傷(外傷重症度スコア15点以上と定義)の複合アウトカム。

結果:
 パラシュートは死亡あるいは主要外傷を減らさなかった(パラシュート群:0% vs コントロール群:0%; P>0.9)。複数のサブグループ解析でも同様の結果だった。スクリーニングされた個人で本研究に登録されていない人と比べると、参加者は低い位置からジャンプしており(登録者平均0.6m vs 非登録者平均9146m、P<0.001)、また飛行速度も低かった(登録者平均0 km/h v 非登録者平均800 km/h; P<0.001)。
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(文献より引用:作る意味のないTable)

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(文献より引用:低すぎるやろ!)

結論:
 この初めてのランダム化比較試験において、飛行機からジャンプする際、パラシュートは死亡あるいは主要外傷を減らさなかった。しかしながら、この研究では地上の小さな固定式航空機にしか被験者は参加しておらず、高度からのジャンプについては慎重に解釈する必要がある。





by otowelt | 2018-12-14 11:41 | その他

クリスマスBMJ2018:クリスマスと夏季休暇の心筋梗塞リスクは高い

e0156318_938222.png クリスマスイブの夜にみられるリスク上昇については、言葉を濁しているようです。

Moman A Mohammad, et al.
Christmas, national holidays, sport events, and time factors as triggers of acute myocardial infarction: SWEDEHEART observational study 1998-2013
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4811


目的:
 心筋梗塞のトリガーとして、概日リズムの側面、祝日、および主要なスポーツイベントを調査すること。

デザイン:
 国内CCUレジストリであるSWEDEHEARTを用いた後ろ向き観察研究。

セッティング:
 スウェーデン。

参加者:
 1998年~2013年のSWEDEHEARTコホートで報告された心筋梗塞283014例。全例で症状発現日が記録され、88%は分単位でデータが得られた。

介入:
 クリスマス/新年、イースター、夏期休暇における心筋梗塞の発症を同定した。同様に、FIFAワールドカップ、UEFAヨーロッパ選手権、冬季・夏季オリンピックにおける発症も同定した。休日の前後2週間をコントロール期間とし、スポーツイベントに関してはトーナメントの1年前・1年後の同じ日をコントロール期間とした。日内および週内リズムの解析は日曜日の24時におこない、これをその他の日時と比較する対照とした。カウント回帰モデルを用いて心筋梗塞の罹患率比を算出した。

主要アウトカム:
 日ごとの心筋梗塞の発症。

結果:
 クリスマスと夏季休暇は心筋梗塞の高いリスクと関連していた(クリスマス:罹患率比1.15、95%信頼区間1.12-1.19, P<0.001, 夏季休暇:罹患率比1.12、95%信頼区間1.07-1.18, P<0.001)。最も高いリスクと関連していたのはクリスマスイブだった(罹患率比1.37, 95%信頼区間1.29-1.46, P<0.001)。クリスマスイブの1日をみてみると、早朝や午後2時頃のリスクは高くなかったが、午後7時以降に急速に高くなり、午後10時頃にリスクのピークがみられた。イースターやスポーツイベントにおいてリスク上昇は観察されなかった。心筋梗塞には週内および日内変動が観察され、早朝と月曜日のリスクが高かった。結果は、75歳以上の患者、糖尿病や冠状動脈疾患の病歴を有する患者において顕著だった。
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(文献より引用:罹患率比)

結論:
 分単位で心筋梗塞の症状発現を記録した16年の同入院をカバーする国内のリアルワールド研究において、クリスマスと夏季休暇は心筋梗塞の高いリスクと関連していた。特に高齢者や疾患を持つ患者で顕著であり、脆弱な個人における外的トリガーの役割を持つことがわかった。





by otowelt | 2018-12-13 16:38 | その他