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胸膜癒着術

※2019年1月31日改訂

●はじめに
 胸膜癒着術は、気胸や悪性胸水に適用されます。ただし、そのエビデンスは多くありません。この処置は、胸膜を癒着させ胸腔を閉鎖すれば気胸の再発を予防できるのではという発想のもと、1930年代に初めて用いられました1)。その頃からすでに、現在使われているタルクや自己血を胸腔内に注入していました。

 悪性胸水によく使用されるピシバニール®(Streptococcus pyogenes A3:OK432)は1980年代から使用され始めました。自然気胸の5年再発率を16%減少することができたという報告があります(25% vs 41%)2)。タルクによる胸膜癒着術では、自然気胸がほとんど再発しないという知見が広まり、欧米では自然気胸に対する胸膜癒着術はタルクが主流です。しかし、日本では2019年現在タルクは悪性胸水にしか保険適用されません。

 胸膜癒着術の全例が成功するわけではありません。肺の拡張が得られないようなケースではそもそも意味がありません。壁側胸膜と臓側胸膜の2つの胸膜が離れた状態では、それらがくっつく“糊”を入れても空振りに終わるからです。また胸膜播種が重度で粘液産生性の場合、何度やっても癒着できないケースもあります。その他、胸膜癒着術が成功しにくい要因があります3)。例えば胸水中pHが7.28以下のような場合、失敗する確率は上がります。他にも胸水中LDHが高いケース(600 U/L以上)、胸水糖が低下しているケース(60~70mg/dL以下)は胸膜癒着術失敗のリスク因子とされています。


●癒着剤
 癒着剤として何を胸腔内に注入するかですが、大きく分けると2種類あります。

起炎症性癒着剤タルク(ユニタルク®)、テトラサイクリン系抗菌薬、ピシバニール®(OK432)、抗癌剤、ポビドンヨード、(50%ブドウ糖液)
それ自体に接着作用がある癒着剤自己血、50%ブドウ糖液、フィブリン糊


(1)タルク(ユニタルク®)・・・悪性胸水と気胸に使用されているが日本では悪性胸水にしか保険適用がない
 2013年12月、悪性胸水の治療薬であるユニタルク®胸膜腔内注入用懸濁剤4gが発売されました。タルクは、滑石という鉱石を微粉砕した無機粉末です。癌性胸膜炎による悪性胸水に対して、胸膜癒着剤の第一選択とされています。メタアナリシスでは、タルクは最も胸膜癒着術の成績がよい癒着剤とされており、最低でも78%の成功率が維持できるというすぐれものです4)。胸膜が肥厚して癒着効果が得られにくい悪性胸膜中皮腫においても高い胸水コントロール率を誇ります5)

 ユニタルク®は1回4gを生食50mLとともに胸腔内に注入します。10gを超える使用では急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの重篤な副作用も報告されています。日本における後ろ向き検討6)では、ARDSを発症した患者は発症しなかった患者よりも高齢者が多く(年齢中央値80歳 vs 66歳、p=0.02)、胸部CTで既存の間質影がみられる頻度が高かった(4人中2人 vs 23人中1人、p<0.05)とされています。

 ユニタルクは生理食塩水で懸濁してから使用します。放っておくと沈殿してしまうため、溶液内にタルクをまんべんなく行き渡らせて注入するよう心がけましょう。

   
(2)ピシバニール®(OK432)…癌性胸膜炎に使用されている、時に気胸に使用されている
 もともと抗癌剤というカテゴリーに入る薬剤で、注射用製剤で0.2・0.5・1・5KE/バイアルがあります。1KEはStreptococcus pyogenes (A群3型)Su株ペニシリン処理凍結乾燥粉末2.8mg乾燥菌体として0.1mgに相当し、KEとはドイツ語で「Klinische einheit(臨床単位)」のことを指します。ベンジルペニシリンカリウムを含有していますので、ペニシリンアレルギー患者には禁忌です。また、心臓疾患、腎臓疾患患者には慎重投与となっています。1回あたり5~10KEを胸腔内に注入します。白金製剤の胸腔内投与は激烈な症状が出ることがあり、安全性やエビデンスが蓄積されているピシバニール®の方がまだ安心できます。

 シスプラチン単独、ピシバニール®単独、両者を併用する3群において、180日後の再発率が64.7%、52.9%、13.3%だったという報告7)があり、併用療法の有用性も指摘されています(ただしこの場合ドレーン留置期間は8.4日、5.5日、12.9日)。

 日本で行われたJCOG9515試験8)で、4週間の間の胸水無増悪生存率は、ピシバニール®(OK432)で75.8%、ブレオマイシン68.6%、シスプラチン+エトポシド70.6%で有意差はなかったものの()、ピシバニール®が良好な成績であったことから日本ではピシバニール®を含むメニューがよく使用されます。
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. 胸水無増悪生存(文献8)より引用)

 ピシバニール®は強い炎症を惹起できるので、気胸に用いられることもあります。間質性肺炎合併気胸に対するピシバニール®は、39人中4人がIP悪化をおこし2人が死亡するリスクはありますが、総じて有効性は高いため、難治性の気胸では選択肢として考慮してもよいかもしれません9)


(3)自己血・・・主に気胸に使用されている
 悪性胸水に対する自己血による胸膜癒着術の有効性も報告されていますが(テトラサイクリンとの比較10))、日本では主に気胸に対して用います。

 特にエアリークが止まりにくい難治性気胸に対して有効です。自己血による胸膜癒着術の原理は簡単で、傷口がふさがらない肺に“かさぶた”をつくって治療するというものです。自己血のよいところは、注入しても副作用がほぼ起こらないことです。自身の血液を採取して、それを胸腔内に注入するため安全です。間質性肺炎に対してもリスクなく使用できます11)

 10の後ろ向き研究を解析した報告12)によれば、遷延性気胸に対する自己血による胸膜癒着術の成功率は92.7%です。呼吸器内科で経験する難治性気胸に絞るともう少し成功率は低いと思いますが、気胸の胸膜癒着術の第一選択にしてもよいでしょう。

 25人の遷延性気胸における注入血液量を比べた報告13)がありますが、0mL、50mL、100mLで、エアリークが止まるまでの日数が6.3±3.7日、2.3±0.6日、1.5±0.6日でした。有意に100mL群でエアリークが止まるまでの日数が短かったとされています。そのため、100mL程度の注入が望ましいと考えられています。


(4)ブレオマイシン・・・悪性胸水に使用されている
 言わずと知れた抗癌剤です。1mg/kg、多いときで50~60mg/kgを注入します。日本では抗癌剤による胸膜癒着術としてはシスプラチンも使われることがありますが、骨髄抑制や腎障害などの副作用が50~80%見られ、他の抗癌剤に比べて強い傾向にあります。ピシバニール®の項にも記載しましたが、統計学的には4週間の胸水無増悪生存率は、ピシバニール®やシスプラチン+エトポシドと同等の成績です8)


(5)テトラサイクリン系抗菌薬・・・悪性胸水、気胸に使用されている
 海外の文献ではタルクに劣る報告がいくつかあるため、アメリカではあまり使用されません。日本ではまだ胸膜癒着剤の主役になっている施設もあります。ドキシサイクリン500mg、ミノサイクリン300mg程度を生食に溶解して注入する方法が主流です。とても胸膜痛が強く出る薬剤ですので、事前に1%キシロカインを注入しておくなどの対策が必要です。

 自然気胸に対しては、胸腔ドレナージ単独よりもミノサイクリンによる胸膜癒着術を併用したほうが再発抑制効果は高かったという報告があります(1年後の再発率:ミノサイクリン群29.2%、胸腔ドレナージ単独群49.1%、p=0.003)14)。とはいえ、合併症の観点から考えると、自己血より先んじてテトラサイクリンを用いることはなさそうです。


(6)フィブリン糊・・・悪性胸水、気胸に使用されている
 A液=フィブリノゲンをアプロチニンで溶解、B液=トロンビンを塩化カルシウムで溶解、この2種類を直前に混和して注入します。フィブリン生成過程を利用して組織の接着・閉鎖を行います。アプロチニンは牛肺を原料とするのでアレルギーに注意しなければなりません。最近はあまり臨床では目にしませんが、自己血による胸膜癒着術で成功しなかった気胸に効果があったという報告もあります15)


(7)50%ブドウ糖液・・・気胸に使用されている
 近年、国内では気胸に対する50%ブドウ糖液の胸腔内注入がトレンドです16)-18)。私は自己血をファーストラインで用いていましたが、2018年現在は自己血あるいは50%ブドウ糖のいずれかを選択しています。気胸の術中に50%ブドウ糖を50mL散布することで、術後の気胸再発を予防できるという報告19)もあります。

 ピシバニール®やテトラサイクリンよりも合併症が少ないため、特に間質性肺疾患の患者さんでは使いやすいです。ただ、副作用は少ないのは間違いありませんが、注入後の胸膜痛が多いように感じます。安価でありレセプトで悩むこともそうなさそうですから、気胸の術中にルーチンで50%ブドウ糖液を注入してもよさそうです。

 50%ブドウ糖は悪性胸水に対しても有効です。ただし、胸水中の糖が高いと胸膜癒着術が失敗しやすいようです20)。一般的には胸水糖が低すぎる胸水例で胸膜癒着術の成功率が低いと言われていますが、50%ブドウ糖の場合は胸水糖が高すぎることが失敗のリスクとされています。

 注入量については古典的には200mLがベストですが、多すぎると胸膜痛が強く出てしまうので、もしかすると100mLくらいでもよいかもしれません。血糖が一時的に上昇するので、糖尿病の患者さんでは高血糖に注意してください。


(8)その他
 その他、ポビドンヨードによる癌性胸膜炎や気胸の再発予防の報告もあります。タルクに遜色ないという結果も報告されており、今後期待されています。ブレオマイシンのような起炎症性の胸膜癒着剤と比較するとビドンヨードの胸膜癒着効果は同等に高いと報告されていますが21)、自己血や50%ブドウ糖と肩を並べる存在になるのかどうかは分かりません。また、その他の胸膜癒着剤として、テトラサイクリン系以外の抗菌薬であるエリスロマイシンが有望視されています22)



●実際の手順
 実際の手順についてです。使用する胸腔ドレーンは必ずしも20Fr以上の太径胸腔ドレーンを使用する必要はありません。疼痛の観点からも細径(10~14Fr程度)でよいとされています(23)。ただ、私は16Fr以上の胸腔ドレーンを使うことが多いです。ダブルルーメンでないとテクニカルに胸膜癒着しにくいため、院内に採用されている胸腔ドレーンを事前に調べておきましょう。
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. 胸膜癒着術における細径胸腔ドレーンと太径胸腔ドレーンの治療効果23)(文献より引用)

 ちなみに、施術は肺の拡張が完全に得られていることが前提条件です。悪性胸水については排液量が150mL/日くらいを下回れば、問題なく癒着術ができます。


1.全身ステロイドは事前にできるだけ減らしておくことが推奨されています24)

2.薬剤を胸腔に注入する前に1%キシロカインを20mL程胸腔内注入したり、解熱鎮痛薬を事前に内服してもらったりしてから治療を行います。これらによって胸膜痛を軽減することができます。NSAIDsを使用すると胸膜癒着剤の効果が減るという都市伝説がありましたが、現在はこの考えは否定されています25)

3.薬剤を入れた後、悪性胸水の場合は胸腔ドレーンをクランプします。気胸の場合はエアリークが続いているのでクランプの必要はありませんが、接続管は患者さんの体から40~60cm高い位置を経由させて、空気のみが排出されるよう工夫してください。癒着剤が垂れ流しだともったいないです。
 ・自己血50~100mL(採血係と胸腔注入係の2人が必要)
 ・50%ブドウ糖液200mL
 ・ピシバニール®5~10KE+生理食塩水50~100mL
 ・ユニタルク®4g+生理食塩水50mL (注入後生理食塩水50mLを追加)
 ・ミノマイシン®100~300mg+生理食塩水100mL


4.肺尖部分を中心に癒着剤が胸腔に広がるように体位変換することが重要とされています(例:仰臥位10~20分・右側臥位10~20分・左側臥位10~20分・腹臥位10~20分・坐位10~20分など)
 ※ただし、体位変換そのものや変換時間のエビデンスは現時点ではありません26)
 ※胸腔ドレーン側を下にすると当然痛いので、その体位はスキップします。


5.臓側胸膜と壁側胸膜を癒着する必要があるので、陰圧(たとえば-15~20cmH2Oなど)で持続吸引するのが望ましいという意見が多いです。
 ※陰圧のエビデンスは現時点ではほとんどありません。
 ※個人的には、ドレーンが閉塞しないように適宜ごく少量の生理食塩水や空気を注入して適宜開通を確認することもあります。胸膜癒着術では胸腔ドレーン閉塞が一番問題になります。


6.悪性胸水の場合、1日150mL以下の胸水排液で胸腔ドレーンを抜去しても問題ありません。それ以上の胸水排液が24時間以上続く場合は、再度胸膜癒着術を考慮します。3回目以降の胸膜癒着術にはエビデンスがありません。気胸の場合、エアリークが消失していたら、胸腔ドレーンが閉塞した気胸の傷口がふさがっているかのどちらかです。バイタルサインに問題がなければ翌日の胸部レントゲン写真で肺が全拡張しているかどうか確認します。
 ※肺が虚脱してエアリークがない場合、ドレーン閉塞が考えられます。翌日にこれを発見するのは嫌なので、上述したように陰圧をかけている間にドレーンが開通しているかどうか少量の生理食塩水や空気を注入して確認します(ただし推奨される医療行為ではない)。



●副作用
 胸膜癒着術の副作用としてよくみられるのは、発熱、疼痛です。特に発熱と疼痛は自己血以外ではほぼ必発です。重篤な副作用として呼吸不全、SIRS、膿胸などがありますが、呼吸器内科医としておさえておかなければならないのは、タルクによるARDSです。高齢者や間質性肺疾患のある患者さんではリスクが高いので要注意です6)

 SpO2が低下した場合、まれなARDSなどの合併症を疑うよりも、まず胸腔ドレーンの閉塞を疑ってください。とくに自己血の場合、胸腔ドレーン閉塞と気胸治癒の判断が難しいことがあるため、翌日の胸部レントゲン撮影は必須です。


(参考文献)
1) Bethune N. Pleural poudrage: new technique for the deliberate production of pleural adhesion as preliminary to lobectomy. J Thorac Surg 1935; 4:251.
2) Gyorik S et al. Long-term follow-up of thoracoscopic talc pleurodesis for primary spontaneous pneumothorax. Eur Respir J. 2007 Apr;29(4):757-60.
3) Heffner JE et al. Pleural fluid pH as a predictor of pleurodesis failure: analysis of primary data. Chest 2000 Jan;117(1):87-95.
4) Tan C, et al. The evidence on the effectiveness of management for malignant pleural effusion: a systematic review. Eur J Cardiothorac Surg. 2006;29(5):829.
5) Rena O, et al. Persistent lung expansion after pleural talc poudrage in non-surgically resected malignant pleural mesothelioma. Ann Thorac Surg. 2015; 99(4): 1177-83.
6) Shinno Y, et al. Old age and underlying interstitial abnormalities are risk factors for development of ARDS after pleurodesis using limited amount of large particle size talc. Respirology. 2018 Jan;23(1):55-59.
7) Ishida A, et al. Intrapleural cisplatin and OK432 therapy for malignant pleural effusion caused by non-small cell lung cancer. Respirology. 2006 Jan;11(1):90-7.
8) Yoshida K, et al. Randomized phase II trial of three intrapleural therapy regimens for the management of malignant pleural effusion in previously untreated non-small cell lung cancer: JCOG 9515. Lung Cancer. 2007 Dec;58(3):362-8.
9) Ogawa K, et al. OK-432 pleurodesis for the treatment of pneumothorax in patients with interstitial pneumonia. Respir Investig. 2018 Jun 11. pii: S2212-5345(18)30095-9.
10) Keeratichananont W, et al.Efficacy and safety profile of autologous blood versus tetracycline pleurodesis for malignant pleural effusion. Ther Adv Respir Dis. 2015 Apr;9(2):42-8.
11) Aihara K, et al. Efficacy of Blood-Patch Pleurodesis for Secondary Spontaneous Pneumothorax in Interstitial Lung Disease. Intern Med 50: 1157-1162, 2011.
12) Chambers A, et al. Is blood pleurodesis effective for determining the cessation of persistent air leak? Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2010 Oct;11(4):468-72.
13) Andreetti C, et al. Pleurodesis with an autologous blood patch to prevent persistent air leaks after lobectomy. J Thorac Cardiovasc Surg 2007 Mar;133(3):759-62.
14) Chen JS, et al. Simple aspiration and drainage and intrapleural minocycline pleurodesis versus simple aspiration and drainage for the initial treatment of primary spontaneous pneumothorax: an open-label, parallel-group, prospective, randomised, controlled trial. Lancet. 2013 Apr 13;381(9874):1277-82.
15) Iyama S, et al. Successful treatment by fibrin glue sealant for pneumothorax with chronic GVHD resistant to autologous blood patch pleurodesis. Intern Med. 2012;51(15):2011-4.
16) Tsukioka T, et a. Pleurodesis with a 50% Glucose Solution in Patients with Spontaneous Pneumothorax in Whom an Operation is Contraindicated. Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2013;19(5):358-63.
17) Tsukioka T, et al. Intraoperative mechanical and chemical pleurodesis with 50 % glucose solution for secondary spontaneous pneumothorax in patients with pulmonary emphysema. Surg Today. 2013 Aug;43(8):889-93.
18) Fujino K, et al. Novel approach to pleurodesis with 50 % glucose for air leakage after lung resection or pneumothorax. Surg Today. 2016 May;46(5):599-602.
19) Tsuboshima K, et al. Pleural Coating by 50% Glucose Solution Reduces Postoperative Recurrence of Spontaneous Pneumothorax. Ann Thorac Surg. 2018 Jul;106(1):184-191.
20) Pantazopoulos I, et al. Pleural fluid glucose: A predictor of unsuccessful pleurodesis in a preselected cohort of patients with malignant pleural effusion. J BUON. 2014 Oct-Dec;19(4):1018-23.
21) Bagheri R, et al. The effect of iodopovidone versus bleomycin in chemical pleurodesis. Asian Cardiovasc Thorac Ann. 2018 Jun;26(5):382-386.
22) Zhai CC, et al. Erythromycin poudrage versus erythromycin slurry in the treatment of refractory spontaneous pneumothorax. J Thorac Dis. 2018 Feb;10(2):757-765.
23) Thethi I, et al. Effect of chest tube size on pleurodesis efficacy in malignant pleural effusion: a meta-analysis of randomized controlled trials. J Thorac Dis. 2018 Jan;10(1):355-362.
24) Kennedy L et al. Pleurodesis using talc slurry. Chest 1994 Aug;106(2):342-6.
25) Rahman NM, et al. Effect of Opioids vs NSAIDs and Larger vs Smaller Chest Tube Size on Pain Control and Pleurodesis Efficacy Among Patients With Malignant Pleural Effusion: The TIME1 Randomized Clinical Trial. JAMA. 2015 Dec 22-29;314(24):2641-53.
26) Dryzer SR, et al. A comparison of rotation and nonrotation in tetracycline pleurodesis. Chest. 1993 Dec;104(6):1763-6.



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by otowelt | 2019-01-31 00:15 | レクチャー

COPD患者に対するインフルエンザワクチンはインフルエンザ関連入院を減らす

e0156318_13203796.png 予想された結果ですが、COPD患者ではエビデンスはそこまで多くないらしいです。死亡率が高いのが目につきますね。

Mulpuru S, et al.
Effectiveness of Influenza Vaccination on Hospitalizations and Risk Factors for Severe Outcomes in Hospitalized Patients With COPD.
Chest. 2019 Jan;155(1):69-78.


背景:
 COPD患者におけるインフルエンザ関連入院を減らすうえで、インフルエンザワクチンの有効性はあまり記述されておらず、インフルエンザワクチン接種の推奨は二の次になっている。

方法:
 2011年から2015年に呼吸器系あるいはCOPD増悪で入院したCOPD患者を含んだ国内前向き多施設共同コホート研究のデータが解析された。全患者はインフルエンザPCRの鼻咽頭スワブスクリーニングをおこなわれた。プライマリアウトカムはインフルエンザ関連入院とした。インフルエンザ陽性例と陰性コントロール患者を設定し、test-negativeデザイン(症例対照研究)による多変量ロジスティック回帰を用いて、インフルエンザ関連入院を予防するワクチンの効果を検証した。

結果:
 4755人のCOPD入院患者のうち、PCRベースでインフルエンザが陽性となったのは1833人(38.5%)だった。ワクチンステータスがある4198人(88.3%)が解析された。インフルエンザ感染症がない入院患者と比較して、インフルエンザ患者は高齢が多く(75歳超がそれぞれ50.8% vs 47.6%)、喫煙者が多く(34.4% vs 27.2%)、長期療養施設入所者が多く(9.2% vs 7.0%)、インフルエンザワクチン接種を受けていない頻度が高かった(58.9% vs 70.6%)。
 補正後の解析において、インフルエンザ関連入院は、ワクチン接種者のほうがワクチン非接種者よりも37.5%(95%信頼区間27.3-46.2)少なかった。インフルエンザ陽性患者(1833人[38.5%])は粗死亡率(9.7% vs 7.9%; P = 0.047)、重症疾患(17.2% vs 12.1%; P < .001)が陰性患者よりも高かった。
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(文献より引用)

 インフルエンザ陽性患者の死亡リスク因子には、75歳を超える年齢(オッズ比3.7 [95%信頼区間0.4-30.3]), 心疾患合併(オッズ比2.0 [95%信頼区間1.3-3.2]), 長期ケア施設入所中 (オッズ比2.6 [95%信頼区間1.5-4.5]), 在宅酸素療法中(オッズ比2.9 [95%信頼区間1.6-5.1])が挙げられた。
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(文献よ引用)

結論:
 COPD患者においてインフルエンザワクチン接種はインフルエンザ関連入院を有意に減らす。COPD患者の予防接種推奨と抗ウイルス薬を早期に開始するための政策は、インフルエンザ関連の入院と重症疾患を減らし、脆弱な集団の医療費を軽減できるかもしれない。





by otowelt | 2019-01-31 00:03 | 気管支喘息・COPD

メタアナリシス:安定期COPDの臨床アウトカムを予測する因子

e0156318_1633480.jpg こういう長期的観点の評価って大事ですよね。

Fermont JM, et al.
Biomarkers and clinical outcomes in COPD: a systematic review and meta-analysis.
Thorax. 2019 Jan 7. pii: thoraxjnl-2018-211855.


背景:
 COPDを評価するための従来の方法では、全身性の問題、特に筋骨格系の脱力および心血管疾患を捉えることができない可能性がある。これらを特定し、臨床転帰(すなわち死亡率、増悪およびCOPD入院)との関連を評価することは、臨床的に重要になっている。

目的:
 6分間歩行距離(6MWD)、心拍数、フィブリノーゲン、CRP、白血球数、インターロイキン-6および8(IL-6, IL-8)、TNF-α、大腿四頭筋最大随意収縮、鼻吸息圧、簡易身体能力バッテリー、脈波伝達速度、頸動脈内膜-中膜厚および増大指数、臨床アウトカムが安定期COPD患者を調べる。

方法:
 われわれはシステマティックに電子データベースから61研究を抽出し(2018年8月)、統合し、ハザード比を推定するため、MOOSE (Meta-analysis Of Observational Studies in Epidemiology)およびPRISMAに準拠してメタアナリシスをおこなった。

結果:
 6MWDの短縮、心拍数増加、フィブリノゲン増加、CRP増加、白血球数増加は、死亡の高いリスクと関連していた。プールされたハザード比は、6MWDが50m長くなるごとに0.80(95%信頼区間0.73 to 0.89)、心拍数が10/分速くなるごとに1.10 (95%信頼区間1.02 to 1.18)、フィブリノゲンが2倍に上昇するごとに3.13 (95%信頼区間2.14 to 4.57)、CRPが2倍に上昇するごとに1.17 (95%信頼区間1.06 to 1.28)、白血球数が2倍に上昇するごとに2.07 (95%信頼区間1.29 to 3.31)となった。6MWDの短縮とフィブリノゲンおよびCRPの上昇はCOPD増悪と関連しており、6MWDの短縮と心拍数、CRP、IL-6の上昇はCOPD入院と関連していた。筋骨格系測定に関する研究は少なかった。
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(文献より引用:死亡についてのfolest plot)

結論:
 本研究によれば、6MWD、心拍数、CRP、フィブリノゲン、白血球数は安定期COPD患者の臨床アウトカムと関連している。筋骨格系の測定値に関する研究がこの先必要になるだろう。




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by otowelt | 2019-01-30 00:18 | 気管支喘息・COPD

多剤耐性肺結核に対するデラマニド上乗せの効果と安全性

e0156318_13203583.jpg プラセボ群の治癒が多すぎたようです。

Florianvon Groote-Bidlingmaier, et al.
Efficacy and safety of delamanid in combination with an optimised background regimen for treatment of multidrug-resistant tuberculosis: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, parallel group phase 3 trial.
Lancet Respiratory Medicine, https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30426-0


背景:
 デラマニドは、最近承認された多剤耐性結核の治療薬2つのうちの1つである。われわれは、初期治療6ヶ月におけるデラマニドの効果と安全性を評価した。

方法:
 これは7ヶ国(エストニア、ラトビア、リトアニア、モルドバ、ペルー、フィリピン、南アフリカ共和国)の17施設で実施された、ランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験である。われわれは18歳~69歳の肺多剤耐性結核患者で、WHOおよび国内ガイドラインに基づいて選択された適切なバックグラウンドレジメンに、経口デラマニド(100mg1日2回)2ヶ月→200mg1日1回4ヶ月あるいはプラセボ群に登録した。患者は、2:1の割合でランダム化され、排菌陰性化遅延のリスクカテゴリーによって層別化された。プライマリアウトカムは、6ヶ月のあいだのMGIT喀痰培養陰性化までの期間および2群間の同期間における喀痰培養陰性化期間の分布差とした(修正ITT集団で解析)。

結果:
 2011年9月2日から2013年11月27日までの間に714人の患者をスクリーニングし、そのうち511人がランダム化された(341人がデラマニド+適切なバックグラウンドレジメン[デラマニド群]、170人がプラセボ+適切なバックグラウンドレジメン[プラセボ群])。年齢中央値はそれぞれ32歳、31歳だった。7割以上が男性だった。327人が培養陽性多剤耐性結核であり、これらが有効性解析に組み入れられた(226人がデラマニド群、101人がプラセボ群)。喀痰培養陰性化までの期間は両群で有意差はなかった(51日 vs 57日、ハザード比1.17、95%信頼区間0.91-1.51)。患者511人のうち501人(98.0%)が治療による有害事象を経験した。136人(26.6%)が重篤な有害事象をきたしたが、その頻度はデラマニド群とプラセボ群で同等だった(26.1% vs 27.6%)。死亡についても有意差はなかった(4.4% vs 3.5%)。QT延長はデラマニド群5.3%、プラセボ群2.9%だった。
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(文献より引用)

結論:
 プライマリ解析では、6ヶ月の間での喀痰培養陰性化について、デラマニド群とプラセボ群で有意差はなかった。デラマニドは忍容性があり安全性プロファイルに懸念は少ない。





by otowelt | 2019-01-29 00:21 | 抗酸菌感染症

アルコール消費は結核発症のリスク因子

e0156318_1302985.jpg エタノールは週100gまで大丈夫という報告がありましたが(Lancet. 2018 Apr 14;391(10129):1513-1523.)、結核治療中のアルコール消費はゴカンベンいただきたいところです。

Simou E, et al.
Alcohol consumption and risk of tuberculosis: a systematic review and meta-analysis
IJTLD, DOI: https://doi.org/10.5588/ijtld.18.0092

目的:
 アルコール消費と結核のリスクの関連についてシステマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなうこと。

方法:
 Medline, EMBASE, Web of Scienceを用いて2005年から2018年4月までの観察研究を調べた。登録された研究の参考文献リストについてもスクリーニングされた。

結果:
 49研究が登録された。アルコール消費が少ないまたは全くない集団と比較すると、アルコール消費が多いまたはその他いずれの消費量において相対オッズ比は上昇した(1.90、95%信頼区間1.63–2.23)。相当なレベルでの異質性が確認された(I2= 82%)。しかしながら、出版バイアスは観察されなかった(P = 0.54)。アルコールをまったく飲まない群を対照群に設定した研究に限った感度解析では、わずかに低いながらもリスク上昇はやはり観察された(オッズ比1.60, 95%信頼区間1.39–1.84)。サブグループ解析では、研究デザイン、研究の質、地域、出版年、交絡因子の補正のいずれにおいて有意な差はみられなかった。ハザード比を報告した4研究を追加したプール解析では、追跡期間中のアルコール消費に関連した結核のリスク上昇は約3倍だった(ハザード比2.81, 95%信頼区間2.12–3.74)。暴露反応解析では、1日あたり10~20gのアルコール摂取が増えるごとに、結核のリスクは12%上昇した。
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(文献より引用:用量反応関係)

結論:
 アルコール消費は、結核発症の重要なリスク因子である。





by otowelt | 2019-01-28 00:40 | 抗酸菌感染症

メタアナリシス:ICS/LABAと比較したトリプル吸入療法の効果

e0156318_1633480.jpg IMPACT試験、KRONOS試験、TRILOGY試験など名だたるランダム化比較試験が組み込まれたメタアナリシスです。全部よく知られた臨床試験なので、メタアナリシスの結果は予想通りになっています。

Calzetta L, et al.
Adding a LAMA to ICS/LABA therapy: a meta-analysis of triple therapy in COPD
Chest, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.12.016


背景:
 吸入ステロイド(ICS)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)の併用はCOPDでよく用いられている。そこで、われわれはCOPDにおけるICS/LABA併用に長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を加える効果についてメタアナリシスを実施した。

方法:
 COPDにおけるICS/LABA/LAMAの効果を調べたランダム化比較試験(RCT)を異なるデータベースを用いて検索同定した。プライマリエンドポイントは、トラフ1秒量(FEV1)、COPD急性増悪(AECOPD)リスク、心血管系の重篤な有害事象(SAE)リスクに設定し、トリプル吸入療法の影響をICS/LABA併用と比較した。エビデンスの質をアセスメントするためGRADEシステムを用いた。

結果:
 13RCT、15519人のCOPD患者がメタアナリシスに組み込まれた(ICS/LABA/LAMA併用:53.1%、ICS/LABA併用46.9%)。ICS/LABA併用と比較すると、ICS/LABA/LAMA併用はトラフFEV1を改善し(平均差104.86mL、95%信頼区間86.74-122.99、エビデンス高度)、AECOPDに対する予防効果が大きかった(相対リスク0.78、95%信頼区間0.71-0.85、エビデンス高度)。IMPACT試験、KRONOS試験、TRILOGY試験にしぼった解析では、トラフFEV1に対する効果は平均差82.11mL(95%信頼区間66.00-98.23mL)だった。
 ICS/LABAと比較して、トリプル吸入療法を患者約4人に用いれば1人に100mL以上のFEV1上乗せがみられ(NNT=3.97、95%信頼区間3.25–5.13)、約26人に用いれば1人の年間1回のAECOPDを予防する効果がみられた(NNT=26.07、95%信頼区間16.79–152.70)。また、ICS/LABA/LAMA併用はSGRQスコアやTDIを改善する傾向にあったが統計学的な有意差はなかった。
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(文献より引用:トラフFEV1

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(文献より引用:重要なRCTにしぼったトラフFEV1

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(文献より引用:AECOPD)

 ICS/LABAにLAMAを加えても心血管系のSAEリスクは修飾されなかった(エビデンス中等度)。

結論:
 ICS/LABAを用いているCOPD患者にトリプル吸入療法を用いる臨床的ベネフィットは大きい。心血管系SAEのリスクを増加させることなくICS/LABAをトリプル吸入療法にステップアップすることができる。



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by otowelt | 2019-01-27 00:42 | 気管支喘息・COPD

本の紹介:医学生・若手医師のための 誰も教えてくれなかったおカネの話

 出版社より献本いただきました。日経メディカルオンラオンやm3.comで連載を持っている、勤務医兼個人投資家Dr. Kの著書です。前作は株式投資の本でしたが、今回は医学生・若手医師に向けたマネーリテラシー全般です。こういう類の本は、ウサンクサイ不動産投資や開業医の節税対策に傾倒することが多いですが、「医学生・若手医師」とハッキリ対象をしぼっています。難しい専門用語もそこまで飛び出しません。

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発売日:2019年1月25日
単行本 : 230ページ
価格 : 2,700円 (税別)
出版社 : 金芳堂
著者: Dr. K

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 自分の年収がどのくらいになるのか、源泉徴収票ってどう読めばいいのか、大学の医局に入るべきかどうか・・・、という勤務医ならではの切り口で書かれているため、わかりやすい仕上がりです。

 細かいところでは、年間に支払う学会費や渡航費、医師賠償責任保険の適否についてまで触れられており、マネーリテラシーを高めたいと思っている若手医師はぜひとも読んでおきたい一冊でしょう。

 日本人はとかくお金に関する話を敬遠しがちですが、清貧のまま生涯を終えるのか、若いころからマネーと向き合って幸せな老後を送るのか、今すぐにでも判断すべきかもしれませんね。


以下、目次です。

①収入編
1.将来、年収はどのくらいになるのか?
2.給与明細書と源泉徴収票を読めるようになろう
3.常勤か非常勤か常に意識せよ
4.お金 vs 医師のやりがい
5.勤務医 vs 開業医
6.大学の医局に入るべきか?
7.副業を持つべし
②支出編
1.奨学金について
2.医師は金遣いが荒い人種である
3.なぜか苦しい医師の家計
4.クレジットカードを作るべし
5.電子マネーは使うべきだが仮想通貨は論外
6.子どもの学費はバカにできない
7.学会に支払う費用と交通費に気を配るべし
8.マイホーム vs 賃貸
9.飲み会はほどほどに
③節税編
1.節税を知らずして収入を語るべからず
2.国民全員がやるべき「ふるさと納税」
3.老後の備えが控除対象になる個人型確定拠出年金(iDeCo)
④資産運用編
1.貯蓄とリスク
2.資産運用のためにまずなすべきこと
3.理解できない金融商品には手を出さない
4.株式投資のメリットとデメリット
⑤保険編
1.医師賠償責任保険に入るべきか
2.医療保険に入るべきか
3.生命保険に入るべきか
⑥その他編
1.患者からの謝礼金は確定申告する必要があるか?
2.“億り人”ドクター
3.他人からの儲け話は信じない
4.あなたの選ぶ診療科は本当にそれでよいか
コラム
1. 医局を辞めた友人
2. 若いころは貯蓄なんて必要ない
3. ポイントサイトで還元を受けよう
4. セルフメディケーション税制
5. リスクを納得すること
6. 破産した外科医
7. 訴訟問題になりかけたこと
8. 患者が差し出した札束







by otowelt | 2019-01-25 00:58 | その他

IPFの咳嗽に対するPPIの有効性

e0156318_1543237.jpg うーん、Pros/Consが交互に出てくる印象です。IPF関連死亡については減少させるというメタアナリシスもありますが(Chest. 2018 Jun;153(6):1405-1415.)、総死亡について影響はないと結論づけられています。咳嗽が減るというエビデンスが追加されるのなら、ルーチンで使ってもよいと思います。IPFの咳嗽は本当にしんどいです。

Dutta P, et al.
Randomised, double-blind, placebo-controlled pilot trial of omeprazole in idiopathic pulmonary fibrosis.
Thorax. 2019 Jan 4. pii: thoraxjnl-2018-212102.


背景:
 特発性肺線維症(IPF)において咳嗽はよくみられる症状であり、胃酸逆流によって増悪するかもしれない。胃酸分泌を抑制することは、咳嗽を潜在的に減少しうる。この研究は、安全性評価と咳嗽定量化のための、IPF咳嗽に対するオメプラゾールの大規模多施設研究の実現可能性をはかることを目的とした。

方法:
 IPF患者におけるプロトンポンプ阻害剤(PPI)であるオメプラゾール(20mg1日2回3ヶ月)の効果をみた単施設二重盲検ランダム化プラセボ対照パイロット研究である。プライマリ臨床アウトカムは咳嗽の頻度とした。

結果:
 45人の被験者がランダム化され(23人がオメプラゾール群、22人がプラセボ群)、40人(各群20人)が治療前後の咳嗽モニタリングを受けた。280人の患者がこれらの被験者数を達成するためにスクリーニングされたが、制酸剤を中止することに対する障壁が組み入れできなかった唯一にして最大の理由だった。1ヶ月あたり平均1.5被験者を組み入れた。治療終了時の、ベースライン特性で補正した幾何学的平均咳嗽頻度は、プラセボ群と比較してオメプラゾール群で39.1%少なかった(95%信頼区間66.0%低-9.3%低)。オメプラゾールの忍容性は良好で、有害イベントプロファイルは両群同等だったが、オメプラゾールに関連してわずかながら下気道感染症の超過と1秒量および努力性肺活量の減少がみられた。
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(文献より引用:咳嗽頻度)

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(文献より引用:有害事象)

結論:
 IPFの咳嗽に対するPPIの大規模ランダム化比較試験は実現可能で妥当性があるが、ランダム化に対する障壁に対処し、呼吸器感染症および肺機能の変化に関連した安全性評価を組み込むべきであろう。





by otowelt | 2019-01-24 00:05 | びまん性肺疾患

IPFのYouTube動画の質は低い

e0156318_1543237.jpg IPFとYouTubeに関する珍しい報告です。

Goobie GC, et al.
YouTube Videos as a Source of Misinformation on Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Ann Am Thorac Soc. 2019 Jan 4. doi: 10.1513/AnnalsATS.201809-644OC.

背景:
 患者は健康情報の利用のためのプラットフォームとしてYouTubeを頻繁に使用す。特発性肺線維症(IPF)に罹患している介護者および患者は、この健康情報を使っている可能性が高い。ただし、IPFにおけるYouTube動画の内容と質は明らかでない。

目的:
 IPFにおけるYouTube動画の視聴案内、質、コンテンツを特定し、提供された情報と現行ガイドラインを比較することを目的とした。

方法:
 「idiopathic pulmonary fibrosis」の用語でYouTube動画を検索し、最初の200動画につき検証した。IPFに関する情報を含む患者向けの動画が対象とした。各動画は、臨床診療ガイドラインで説明されているIPFの特徴や治療法、ならびに非推奨の治療法に関連するコンテンツについて評価された。動画の質は、HONcodeスコアリング、validated DISCERN instrumentを用いて評価された。各動画について、ビデオソースと視聴案内の詳細が記録された。

結果:
 102の動画基準を満たした。疾患の全トピックをアセスメントした動画はなく、診療ガイドラインでの潜在的コンテンツ項目数の17%に対応していた。コンテンツスコアは、財団や医療団体、ニュース/メディア組織、独立系医療専門家によって制作された動画のほうが、業界制作動画よりも高かった。

結論:
 患者向けのIPFのYouTube動画は不完全で不正確である。





by otowelt | 2019-01-23 00:53 | びまん性肺疾患

不要な生検を減らすためにもMDDに膠原病の専門家を加えるべき

e0156318_1543237.jpg まったくもって賛成です。

Levi Y, et al.
Rheumatological Assessment Is Important for Interstitial Lung Disease Diagnosis.
J Rheumatol. 2018 Nov;45(11):1509-1514.


目的:
 間質性肺疾患(ILD)はさまざまな肺実質障害をきたす。現在、呼吸器内科医、放射線科医、病理医を含むILDの多面的チーム(MDT)は、ILD診断におけるゴールドスタンダードである。近年、自己免疫的特徴を有する結合組織病(CTD)-ILDのサブタイプが定義され、リウマチ評価の重要性が増している。われわれは、ルーチンにリウマチ評価をするために、MDTにリウマチ専門医を追加する効果を調べた。

方法:
 新規診断されたILD患者を2つの並行盲検アームで評価した。全患者はMDT(例:既往歴、身体所見、血液検査、肺機能検査、必要なら生検)およびリウマチ専門医(既往歴、身体所見、血液・血清学的検査)で評価された。
 
結果:
 60人が評価された(平均年齢67.3±12歳、55%が男性、28%が喫煙者)。リウマチ評価によって、特発性肺線維症の21%がCTDと再分類された。さらに、自己免疫的特徴を有するCTD-ILDの患者数は、77%まで上昇した。これらには、ANCA関連血管炎、抗ARS抗体症候群、IgG4関連ILDが含まれた。後ろ向きに検討すると、リウマチ評価によって7人の生検と1人の外科的肺生検が不要であることが分かった。

結論:
 ルーチンにリウマチ評価を加えることで、診断の正確性が増し、不要な侵襲的検査を削減できた。





by otowelt | 2019-01-22 00:02 | びまん性肺疾患