<   2019年 02月 ( 22 )   > この月の画像一覧

ネーザルハイフロー治療の成否を予測する指標:ROX

ネーザルハイフロー治療の成否を予測する指標:ROX_e0156318_932349.png 呼吸器内科において、とても実臨床的な指標ですね。カットオフ値は感度重視・特異度重視の2パターン頭に入れておく感じでよいと思います。4.88以上あれば安心で、3を切ってくるとかなり厳しいですね。

Roca O, et al.
An Index Combining Respiratory Rate and Oxygenation to Predict Outcome of Nasal High Flow Therapy.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Dec 21. doi: 10.1164/rccm.201803-0589OC.


背景:
 急性低酸素性呼吸不全(AHRF)の患者におけるハイフロー鼻カニューレ(HFNC)治療における重要なことは、挿管を遅らせないことである。

目的:
 HFNCのアウトカム(挿管の適否)を同定するための、ROX([SpO2/FiO2]/呼吸回数[/分])の診断精度を調べること。
ネーザルハイフロー治療の成否を予測する指標:ROX_e0156318_9404899.png
方法:
 これは、2年におよぶ、HFNCで治療された肺炎患者を含む他施設共同前向き観察コホート研究である。ROXとHFNCアウトカムの関連をCox比例ハザードモデルを用いて同定した。HFNC治療の失敗・成功を予測する最も特異的なROX指数カットオフ値が調べられた。

結果:
 検証コホートにおいてHFNCで治療された191人のうち、68人(35.6%)が気管挿管を要した。解析した各時間におけるROX指数の予測精度は、ROC曲線下面積で装着2時間0.679、6時間0.703、12時間0.759だった。ROX≧4.88をカットオフ値とした場合、HFNC開始後2時間(ハザード比0.434、95%信頼区間0.264-0.715、p=0.001)、6時間(ハザード比0.304、95%信頼区間0.182-0.509、p<0.001)、12時間(ハザード比0.291、95%信頼区間0.161-0.524、p<0.001)のいずれにおいても気管挿管のリスクが低かった。これは潜在的交絡因子で補正しても同等の結果だった。
ネーザルハイフロー治療の成否を予測する指標:ROX_e0156318_9483634.png
(文献より引用改変)
ネーザルハイフロー治療の成否を予測する指標:ROX_e0156318_953647.png
(文献より引用)
ネーザルハイフロー治療の成否を予測する指標:ROX_e0156318_9575426.png
(文献より引用)

※参考:FLORALIコホート(ROXカットオフ値4.88以上)
ネーザルハイフロー治療の成否を予測する指標:ROX_e0156318_955286.png
(文献より引用)

 HFNC開始から2時間後のROXが<2.85、6時間後のROXが<3.47、12時間後のROXが<3.85の場合、HFNC治療は失敗しやすいことが予測された。HFNC治療が失敗した患者は12時間にわたってROX指数の上昇が軟調だった。トレーニングコホートでも一貫した結果が得られた。

結論:
 ARFの肺炎患者でHFNCの治療をうける際、ROXは気管挿管リスクの低い患者を同定する上で、簡便かつ通用な精度の高い指標である。





by otowelt | 2019-02-02 00:06 | 集中治療

肺移植前のピルフェニドン治療の有用性

肺移植前のピルフェニドン治療の有用性_e0156318_10514140.png ここまでくると、オフェブの効果も知りたいところですね。周術期には内服できませんが・・・。

Tanaka S, et al.
Lung transplant candidates with idiopathic pulmonary fibrosis and long-term pirfenidone therapy: Treatment feasibility influences waitlist survival.
Respir Investig. 2018 Dec 29. pii: S2212-5345(18)30182-5.


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は慢性経過で進行する例外的に予後不良な肺疾患である。肺移植が最終的な治療選択肢の手段と考えられているが、待機リスト中の厳しい死亡率は依然としてIPF患者の救済を妨げている。ピルフェニドンはIPF治療として考案されたものであり、広く使用されている。この研究は、ピルフェニドンが日本の肺移植待機リスト中の患者アウトカムに影響を与えるかどうか評価することである。

方法: 
 この後ろ向き単施設コホート研究には、1999年7月から2016年8月までにわれわれの施設で肺移植候補として登録された25人の連続IPF患者が組み入れられた。移植前ピルフェニドン治療歴のある患者(ピルフェニドン群)が、同治療歴のない患者(非ピルフェニドン群)と比較された。

結果:
 6人(24%)の患者が移植前治療としてピルフェニドンを45.2ヶ月(範囲18.6-66.8ヶ月)投与された。治療期間の間、ピルフェニドン群は非ピルフェニドン群と比較して努力性肺活量の減少率の有意な抑制を達成し(-6.2% vs -0.3%、p=0.004)、lung allocation scoreも低かった(31 vs. 41, p = 0.013)。
肺移植前のピルフェニドン治療の有用性_e0156318_15252936.png
(文献より引用)

 ピルフェニドン群は登録後3年で他の適応症と同程度の100%の待機リスト生存率を示し、患者の66%が臓器利用可能時にまだ生存していた。ピルフェニドン群の患者は、術後に誰もピルフェニドン関連外科的合併症を起こさなかった。
肺移植前のピルフェニドン治療の有用性_e0156318_15305845.png
(文献より引用)

結論:
 IPF患者は、肺移植登録後の長期ピルフェニドン治療によって他の肺移植適応患者と同程度にマネジメントできた。抗線維化治療の忍容性は、待機リスト生存の予測因子となりうる。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

Dr.倉原の 呼吸にまつわる数字のはなし ナース・研修医のための
価格:2160円(税込、送料無料) (2019/1/10時点)



by otowelt | 2019-02-01 00:01 | びまん性肺疾患