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本の紹介:日常診療で臨床疑問に出会ったとき何をすべきかがわかる本

 う、う、うおおおお!オレが一番欲しかった情報がめっちゃ載ってるじゃねぇかぁぁぁ!!!

 すいません、取り乱してしまいました。あまりの衝撃に言葉遣いが。

 献本ありがとうございます。私がかねてから尊敬している片岡先生からの珠玉の作品が登場しました。私と同じ呼吸器内科医でいらっしゃいますが、たぶん私の10倍くらい賢いんだろうなといつも羨望の視線を北の方角に送っております(小生は大阪府南部)。兵庫県立尼崎総合医療センターの研修医が羨ましいです。

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発売日:2019年3月29日
単行本 : 182ページ
価格 : 2,800円 (税別)
出版社 : 中外医学社
著者: 片岡 裕貴 先生

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 この本は、京都大学福原俊一教授が帯にも書かれているように、"日常臨床で湧き上がる疑問を解決するための必須技術である「発見的検索法」を体系化した名著である"、まさにその通りの内容です。私は毎日PubMedを触っているのですが、臨床で遭遇した疑問を解決するときは、結構アナログな検索をやっているので効率が悪い。

 「困っている医師は多いので、"論文の検索の仕方や読み方"を教えてくれる医学書があったらいいんですけどね~。え?私ですか?ムリムリ!」

 といろいろな編集者さんに言ってきたくらい難しいテーマなのですが、本にまとめあげた片岡先生、マジハンパないです。
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 このテーマで本を書くと、普通疫学に偏ってしまうじゃないですか。片岡先生のすごいところは、臨床研究と現場のちゃんと両サイドをおさえているところなのです。臨床医が大学院で疫学を学んで再度臨床に戻られているワケですが、たとえるなら戦士が魔法使いに転職してもう一度戦士になったような、メラゾーマやイオナズンが使える戦士なんですよ

※私はドラクエ3で知識が止まっているため、魔法戦士やバトルマスターなどという職業はややこしくなるからここでは触れない。

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 「Rayyan」。名前は知っていたのですが、使い方がよくわからずに放置していました。ほんと、私のためにこの本を書いてくれたんじゃないかっていうくらい、親切な一冊に仕上がっています。

 臨床疑問にぶつかったとき、PubMedで「common cold, treatment」とか入力して「なんだよ使い方わかんねぇよ」とボヤいている研修医から、私みたいな論文とにかくたくさん読みたいマンの指導医まで、全員読んでおきたいベギラゴンな一冊です。



by otowelt | 2019-03-30 00:41 | その他

肺kansasii症に対するマクロライド含有レジメンの有効性

e0156318_21415744.jpg 10年くらい後ろ向きにみると、もっと症例集まる病院がたくさんあると思うのですが、誰かやらないんですかね(他力本願)。当院ではカンサシ症に対してはイソニアジド+リファンピシン+エタンブトールを培養陰性から1年継続するレジメンを採用しています。
 なんか自然治癒する例もありそうなんですけど、今の時代、さすがにプラセボ群は設定できないですよね。

Moon SM, et al.
Treatment with a macrolide-containing regimen for Mycobacterium kansasii pulmonary disease.
Respir Med. 2019 Mar;148:37-42.


背景
 Mycobacterium kansasiiは、肺非結核性抗酸菌症に関連した主要な病原菌である。肺M. kansasii症に対する治療として、イソニアジド、リファンピシン、エタンブトールの毎日の内服が推奨されている。イソニアジドの代替としてマクロライド含有レジメンが近年推奨されているが、それを支持するデータは限られている。われわれは、肺M. kansasii症患者においてマクロライド含有レジメン(マクロライド群)とイソニアジド含有レジメン(イソニアジド群)を比較した。

方法:
 2002年1月から2016年12月までに合計49人の患者が同定された。イソニアジド群(24人)およびマクロライド群(25人)が比較された。

結果:
 ベースラインの患者特性は両群同等だった。良好な転帰については、イソニアジド群(19人、79%)、マクロライド群(22人、88%)ともに有意差はなかった(p=0.463)。総治療期間(中央値17.9ヶ月 vs 15.4ヶ月、p=0.712)および菌陰性化までの期間(中央値2.0ヶ月 vs 1.2ヶ月、p=0.838)は両群同等だった。
 非空洞性肺M. kansasii症患者5人において、週3回の間欠的なマクロライド含有レジメンで12ヶ月未満の治療で菌陰性化が達成された。イソニアジド群で1人のみが肺M. kansasii症を再発した。

結論:
 肺M. kansasii症の治療においてマクロライド含有レジメンはイソニアジド含有レジメンと同等の効果である。加えて、マクロライド含有間欠的レジメンも、非空洞性肺M. kansasii症に対して代替治療オプションになりうる。


by otowelt | 2019-03-29 00:25 | 抗酸菌感染症

STREAM試験:リファンピシン耐性結核に対する短期レジメン

e0156318_1302985.jpg 日本ではモキシフロキサシンではなくレボフロキサシンが使用されますが、耐性結核に対する治療が短期化されるためには、いろいろハードルがあります。

Andrew J. Nunn, et al.
A Trial of a Shorter Regimen for Rifampin-Resistant Tuberculosis
NEJM, March 13, 2019, DOI: 10.1056/NEJMoa1811867


背景:
 バングラデシュにおけるコホート研究では、多剤耐性結核患者において2011年WHOが推奨したレジメンよりも短い期間で既存薬の投与により良好な治癒率を示すことができた。

方法:
 われわれは、フルオロキノロンとアミノグリコシドに感受性のあるリファンピシン耐性結核患者における第3相非劣性試験を実施した。患者はランダムに2:1の割合で、高用量モキシフロキサシンを含む短期レジメン(9~11ヶ月)あるいは2011年WHOガイドラインに準拠した長期レジメン(20ヶ月)に割り付けられた。プライマリ効果アウトカムは、132週時点における良好なステータスとされ、132週時点での培養および試験期間中の培養でMycobacterium tuberculosisが陰性で、不良なアウトカム(割り付けレジメンに含まれない2剤以上による治療の開始、許容期間を超える治療の延長、死亡、直近の2つの検体のうち1つで培養陽性、76週以降の受診がない)がないことと定義された。群間差の95%信頼区間の上限値が10%以下の場合、非劣性と判定した。

※高用量モキシフロキサシン、クロファジミン、エタンブトール、ピラジナミドを40週間。これにカナマイシン、イソニアジド、エチオナミドを初期16週間加える。
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( Supplementary Appendixより引用)

結果:
 ランダム化された424人のうち、383人が修正ITT集団に組み入れられた。良好なステータスは、長期レジメン群の79.8%、短期レジメン群の78.8%にみられ、HIV感染で補正した群間差は1.0(95%信頼区間-7.5~9.5)であり、非劣性が示された(非劣性:p=0.02)。また、per-protocol集団においても、短期レジメン群の長期レジメン群に対する非劣性が観察された(補正群間差:-0.7%、95%信頼区間-10.5~9.1、非劣性:p=0.02)。グレード3以上の有害事象は長期レジメン群の45.4%、短期レジメン群の48.2%にみられた。短期レジメン群で、QT間隔または補正QT間隔(Fridericia法)の500msecまでの延長が多く認められたため(11.0% vs.6.4%、p=0.14)、厳重なモニタリングとともに、一部の患者では薬剤調整が実施された。短期レジメン群の8.5%が死亡し、長期レジメン群の6.4%が死亡した。フルオロキノロンあるいはアミノグリコシドに対する耐性獲得はそれぞれ3.3%、2.3%に起こった。

結論:
 フルオロキノロンとアミノグリコシドに感受性のあるリファンピシン耐性結核の患者では、短期レジメンは長期レジメンにプライマリ効果アウトカムが非劣性であり、安全性の観点では同等だった。

by otowelt | 2019-03-28 00:06 | 抗酸菌感染症

トリプル吸入製剤テリルジーが承認

 グラクソスミスクライン社よりプレスリリースが出ております。

「日本におけるCOPD患者に対する初めての 単一吸入器による1日1回投与の3成分配合治療薬 テリルジー100エリプタの承認を取得」

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 テリルジーは、吸入ステロイド薬(ICS)であるFF、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)であるUMEC、および長時間作用性β2刺激薬(LABA)であるVIの3成分を、GSKのドライパウダー吸入器であるエリプタを使用して1日1回吸入投与で届ける配合剤です。承認用量は、100/62.5/25 μg(FF/UMEC/VI)です。

 英語名はTrelegyなので「トレレジー」になると思っていたのですが、フィリップスの人工呼吸器の名称にトリロジーが使用されていたり、Chiesiのトリプル吸入療法の臨床試験名がTRILOGYだったりと、いろいろあってこの名前に落ち着いたそうです。



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by otowelt | 2019-03-27 07:53 | 気管支喘息・COPD

睡眠時間が短いと心房細動になりやすい

e0156318_12511756.png 個人的には、これは初耳でした。

Genuardi MV, et al.
Association of short sleep duration and atrial fibrillation.
Chest. 2019 Feb 27. pii: S0012-3692(19)30196-5.


背景:
 短い睡眠は心房細動のリスク因子かもしれない。しかしながら、過去の研究では客観的睡眠評価が不足しており、サンプルサイズが小さく限定的であった。われわれは、客観的な睡眠時間と心房細動の関連性の同定をこころみた。

方法:
 1999年~2015年に、31079人の患者が診断的ポリソムノグラフィを大規模病院ネットワーク内の複数施設で受け、電子診療録として記録された。心房細動の有病率はポリソムノグラフィ中に実施した持続的心電図によって同定された。心房細動は診断コードおよび12誘導心電図によって同定された。ロジスティック回帰およびCox比例ハザードモデルを用いて、年齢、性別、BMI、高血圧、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、心不全、睡眠時無呼吸の重症度で補正し、睡眠時間と心房細動の有病率・罹患率の関連を調べた。

結果:
 ポリソムノグラフィ検査を受けた30061人(平均年齢51.0歳±14.5歳、51.6%が女性)のうち、心房細動症例が404人同定された。補正すると、睡眠時間が1時間減るごとに、心房細動の有病率が1.17倍増加した(95%信頼区間1.11-1.30)。
 中央値4.6年の追跡において、ベースラインに心房細動がない27589人のうち、1820人が心房細動を罹患した。補正すると、睡眠時間が1時間減るごとに、心房細動の罹患率が1.09倍増加した(95%信頼区間1.05-1.13)。
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(文献より引用:睡眠時間ごとの心房細動罹患)

結論:
 短い睡眠は、心房細動の有病率・罹患率の上昇に独立して関連していた。長い睡眠が心房細動のリスクを減らすかどうかを調べるため、さらなる研究が必要である。




by otowelt | 2019-03-27 00:11 | 内科一般

気管支鏡による気胸は、左上葉に多い

e0156318_9511053.jpg これは貴重な報告ですね。なるほど、左上葉には注意です。

Herout V, et al.
Transbronchial biopsy from the upper pulmonary lobes is associated with increased risk of pneumothorax - a retrospective study.
BMC Pulm Med. 2019 Mar 1;19(1):56.


背景:
 気胸(PTX)は、経気管支生検(TBB)でもっともよくみられる合併症の1つである。過去の研究では、上葉のTBBはPTX発症リスク上昇と関連しているかもしれないとされている。この研究の目的は、異なる肺葉でのTBB後のPTXリスクを比較することである。

方法:
 2015年1月1日から2017年12月31日までの全気管支鏡記録(チェコ共和国、ブルノ大学病院、呼吸器部門)が後ろ向きに解析された。3542の気管支鏡記録のうち、796人がTBBをおこなわれており、さらなる解析をこころみた。基礎の患者背景記録、TBB処置関連因子、喫煙歴、放射線学的特性が解析された。さらに、PTXを発症した患者、PTX発症時期、PTXの症状、異常陰影の分布、入院期間についても解析された。

結果:
 PTXを発症した患者は有意にBMIが低く、4検体を超える検体採取をおこなっていた(いずれもp < 0.05)。左上葉からTBBをおこなうと、有意にPTX発症リスクが上昇した(オッズ比2.27; 95%信頼区間1.18-4.35; p = 0.02)。反して、右下葉からTBBをおこなうと、PTX発症リスクは有意に低かった(オッズ比0.47; 95%信頼区間0.22-0.98; p = 0.04)。ロジスティック回帰分析では、BMI(オッズ比1.08; 95%信頼区間1.02-1.16; p = 0.01)、左上葉からの検体採取(オッズ比2.15; 95%信頼区間1.13-4.11; p = 0.02)、4検体を超える採取(オッズ比1.91; 95%信頼区間1.04-3.49; p = 0.04)がPTX発症に有意に関連していた。

結論:
 左上葉からのTBBは処置後の気胸リスク上昇と有意に関連していた。右下葉はもっとも安全にTBBができると思われる。びまん性に陰影がある患者では、処置後PTXリスクを減らすためにTBBは右下葉からおこなうべきであろう。



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by otowelt | 2019-03-26 00:54 | 気管支鏡

出版のお知らせ:ポケット呼吸器診療2019

 毎年アップデート出版している「ポケット呼吸器診療2019」が2019年3月30日に発売されます。前回の2018年版から少しだけボリュームが増えました。2018版と同様に変更があった部分は青いアミをかけて、一目で分かるように工夫をこらしています。価格は、今回もギリギリ税込1,000円台を維持しました。
 ジカディアが添付文書を改訂しているのですが、残念ながら間に合わず、本書では750mg/日の記載になっております。ご注意ください。

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発売日:2019年3月30日
単行本 : 241ページ
価格 : 1,944円 (税込)
出版社 : シーニュ
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科)
監修 : 林 清二 (国立病院機構近畿中央呼吸器センター院長)

e0156318_13141310.jpgAmazonから予約/購入する 
e0156318_13141310.jpg出版社から購入する 

<2018年版→2019年版の主な変更点>
・2018-2019 Trend Viewを巻頭に記載
・wheezesの分類にモノフォニック・ポリフォニックを追加
・呼吸音の周波数を追加
・ばち指の各疾患の頻度を変更
・抗血栓薬中止時の血栓症リスクの評価を追加
・縦隔リンパ節腫大の頻度を追加
・画像所見:蜂巣肺に追記
・AEF(airspace enlargement with fibrosis)を追加
・画像所見:NSIPパターンに追記
・画像所見:subpleural curvilinear shadowに追記
・画像所見:UIPパターンに追記
・肺エコー:B-lineに追記
・肺エコーによる心不全の診断を追加
・滲出性胸水診断の補助を追加
・胸膜癒着術におけるピシバニールのエビデンスを追加
・胸膜癒着術手順を変更
・肺炎球菌ワクチン接種に対する現行の公費助成見通しを記載
・リボテスト レジオネラについて追加
・百日咳診断フローチャートを変更
・肺炎随伴性胸水のLight の分類変更
・β─D グルカンについてファンギテック・MK-IIの違いを記載
・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に対するゾレア®について記載
・ボリコナゾール・イトラコナゾールの薬価表を作成
・ニューモシスチス肺炎に対するステロイドについて追記
・バリキサ®について追記
・第4 世代QFT(QuantiFERON® TB ゴールド プラス[QFT®-Plus])への変更および判定基準について記載
・潜在性結核感染症の治療エビデンスにリファンピシン(4ヶ月)を追加
・抗酸菌感染症にかかわることがある代表的な生物学的製剤について記載
・髄液ADAの感度・特異度を記載
・結核標準治療の変更(2018基準)を反映
・多剤耐性結核の治療について追記
・結核性髄膜炎の治療に追記
・結核の再発率について言及
・リファンピシンとの相互作用、チカグレロル、マシテンタン、エプクルーサ®などを追加
・アブセッサス症がMycobacterium からMycobacteroides に変わった旨、記載
・フォーチュイタム症がMycobacterium からMycolicibacterium に変わった旨、記載
・吸入薬にブデホル®吸入粉末剤を追加
・喘息に対するトリプル吸入療法のエビデンスを追記
・FeNOカットオフ値を追記
・「喘息予防・管理ガイドライン」変更のため、喘息の治療ステップを変更
・ICS 経鼻呼出について記載
・経口ロイコトリエン受容体拮抗薬について追加
・生物学的製剤にデュピクセント®を追加、4剤比較表を掲載
・難治性喘息のフローチャートを引用
・気管支サーモプラスティの費用について表を作成
・環境再生保全機構の吸入薬使用法ついての動画をQRコードで掲載
・喘息増悪のクラスターについて記載
・喘息に対するマグネシウム静注の使用注意点を記載
・「COPD診断と治療のためのガイドライン」変更のため、COPDの管理についての図を変更
・GOLD2019ガイドライン改訂のため、治療についてのフローチャートを掲載
・Agustiらの、COPDに対するICS上乗せ基準表追加
・COPDに対するアジスロマイシンのエビデンス追加
・COPD増悪の定義にGOLD2019のものを追加
・COPD増悪時のICU入院適応の表を改定
・吸入薬による嗄声と口腔内カンジダについて記載
・気管支拡張薬に対する吸入薬と血痰の関連について記載
・特発性間質性肺炎の自己負担軽減に関して追記
・クライオバイオプシーについて追記
・ATS/ERS/JRS/ALATガイドライン変更のためIPFの診断基準を掲載
・IPFに対する制酸剤のエビデンス追加
・日本人向け修正GAPモデルを追加
・胸部HRCTおよび病理学的なUIPパターンを改訂
・PPFE(pleuroparenchymal fibroelastosis)、AEF(airspace enlargement with fibrosis)について記載
・膠原病関連間質性肺疾患にAFOP(acute fibrinous and organizing pneumonia)を追加
・抗MDA5 抗体陽性例に対するトリプル治療について記載
・抗MDA5 抗体陽性例の間質性肺炎の予後不良因子を追加
・肺癌患者における間質性肺炎の術後急性増悪を予測したリスクスコアを掲載
・IgG4の偽陽性について追記
・「肺癌診療ガイドライン」の変更により肺癌の章を大幅に変更。イミフィンジ®、ビジンプロ®、ローブレナ®、オーソライズドジェネリック・ゲフィチニブまで対応
・発熱性好中球減少症の項目を作成
・悪性胸膜中皮腫に対するオプジーボ®について記載
・胸腺腫・胸腺癌の化学療法レジメンを記載
・脳浮腫のステロイドレジメンを変更
・骨転移の項目を作成
・肺結節影のフォローアップの図の改訂
・ANCAの偽陽性について追記
・ANCA 関連血管炎の治療フローチャートを一部変更
・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に対するヌーカラ®について追加
・「サルコイドーシス診療の手引き」改訂のため肺サルコイドーシスの治療⼿順を変更
・特発性急性好酸球性肺炎、慢性好酸球性肺炎の疫学を追記
・特発性急性好酸球性肺炎、慢性好酸球性肺炎の診断基準を一部変更
・過敏性肺炎の原因抗原に一部追加
・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症のhigh attenuation mucusについて追加
・「じん肺の申請におけるハードル」について記載
・じん肺における続発性気管支炎の診断について記載
・慢性咳嗽の診断フローチャートを掲載
・遷延性咳嗽・慢性咳嗽の頻度を日本/欧米/韓国・中国で27文献まとめた表を掲載
・咳喘息の診断基準と重症度を変更
・好酸球性副鼻腔炎の項目を作成
・ネーザルハイフローの成否を予測する計算式ROXについて記載
・人工呼吸器離脱自発呼吸トライアルの表を掲載
・「急性・慢性心不全診療ガイドライン」改訂によりクリニカルシナリオなどの図を変更
・在宅酸素療法に携帯型濃縮器装置を追加
・自然気胸の治療フローチャートを掲載
・睡眠時無呼吸症候群のCPAP圧について追記
・肺高血圧症の診断に際してニース会議2018のことを記載


 このマニュアルは「できるだけコンパクトかつ有用な安い書籍」を目標にしていますが、限りなく最新の文献に基づいた疾患情報を提供できるよう心がけています。実臨床で使用することを最優先に、不要な贅肉を極限までこそぎ落としているつもりです。

 呼吸器を診療する医師のポケットに長く入れていただけるよう、これからも努力致しますので、よろしくお願い申し上げます。「こういった内容の方がよい」「こういった項目を入れて欲しい」などの叱咤激励もお待ちしております。

 最後に、シーニュの藤本浩喜様、監修を引き受けていただいた当院院長の林清二先生に心より感謝申し上げます。


by otowelt | 2019-03-23 00:02 | その他

空洞を残した肺結核治癒痕は続発性肺アスペルギルス症のリスク

e0156318_1443174.png HIV感染率の高い集団(登録者の50%)を想定しているので、解釈には注意が必要です。

Page I, et al.
Chronic pulmonary aspergillosis commonly complicates treated pulmonary tuberculosis with residual cavitation
Eur Respir J 2019; in press (https://doi.org/10.1183/13993003.01184-2018).


背景:
 慢性肺アスペルギルス症(CPA)は、陳旧性肺結核に合併し、高い5年死亡率を有する。われわれはこの集団におけるCPAの有病率を調べた。

方法:
 肺結核を治療された398人のウガンダ人に対して、臨床的アセスメント、胸部レントゲン写真、アスペルギルス特異IgG抗体を調べた。285人が2年後に胸部CTを含む検査で再評価され、73人がCPAを疑われた。CPAは、アスペルギルス特異IgG抗体が陽性で、CPAの放射線学的特徴を有し、慢性咳嗽や血痰などがある患者で、活動性結核の再発がない場合に診断された。

本研究におけるアスペルギルス診断基準項目:
 ①咳嗽あるいは血痰が1ヶ月以上続く
 ②アスペルギルス特異IgG抗体陽性
 ③GeneXpertで結核菌が陰性
 ④胸部CTで空洞近傍の線維化あるいは真菌球がみられる、あるいは連続した胸部レントゲン写真で空洞が進行(新規空洞あるいは既存空洞が悪化)

結果:
 著者が定義したCPAは、再評価で14人(9.5%)にみられた(95%信頼区間2.8-7.9%)。CPAは胸部レントゲン写真で空洞がみられた患者に有意に観察された(26% vs 0.8%、p<0.001)が、おそらくHIV感染合併患者にはCPAは少なかった(3% vs. 6.7%, p=0.177)。新規のCPA年間発生率は、胸部レントゲン写真で空洞がみられた患者で6.5%、そうでない患者で0.2%だった(p<0.001)。
 胸部レントゲン写真で空洞がなく、胸膜肥厚がみられる場合、CPAの陰性適中率は100%だった(感度100%、特異度78.2%)。アスペルギルス特異IgG抗体上昇、慢性咳嗽あるいは血痰、胸部レントゲン写真における空洞の組み合わせは、CPA診断に対して感度85.7%、特異度99.6%(陽性適中率92.3%、陰性適中率99.3%)だった。

結論:
 胸部レントゲン写真で空洞を残した肺結核治癒にはCPAが高頻度に合併する。胸部レントゲン写真のみでもCPAの除外が可能である。血清学的検査の追加は、妥当な精度でCPAを診断することができる。





by otowelt | 2019-03-22 00:53 | 抗酸菌感染症

EBUS-TBNA検体に抗酸菌検査を行うべきか?

e0156318_1302985.jpg EBUS-TBNAのフラッシュ検体に抗酸菌検査を行うべきかどうかの参考になりますが、私が参考になったのは膨大なデータにおける縦隔リンパ節の腫大部位の内訳です。実臨床でも#7か#4RをTBNAすることが多いですよね。

Ko R, et al.
Clinical usefulness of routine AFB culture and MTB PCR of EBUS‐TBNA needle rinse fluid
Respirology, First published: 07 February 2019


背景および目的:
 われわれは、縦隔リンパ節診断のための超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)の針内すすぎ液における抗酸菌(AFB)培養および結核菌(MTB)PCRの有用性を評価した。

方法:
 EBUS-TBNA針内すすぎ液は、AFB培養やMTB PCRにルーチンに用いられている。患者は、処置前診断に応じて分類された(グループA:肺癌の組織学的診断あるいは疑い診断、グループB:肺外悪性腫瘍、グループC:他の良性疾患)。

結果:
 4672人のうち、104人(2.2%)が結核性リンパ節炎と診断され、グループA(3863人)の1.0%、グループB(478人)の4.6%、グループC(331人)の12.7%だった。

グループAグループBグループC
平均年齢65.6±9.8歳61.2±13.0歳52.5±15.6歳
男性72.8%60.3%52.3%
結核性リンパ節炎の診断40人(1.0%)22人(4.6%)42人(12.7%)
活動性肺結核の合併62人(1.6%)13人(2.7%)39人(11.8%)

 組織病理学的に結核性リンパ節炎と診断されたのは、グループAの0.2%、グループBの1.0%、グループCの4.5%だった。組織病理にAFB培養を加えると、結核性リンパ節炎はグループAの1.0%、グループBの4.4%、グループCの10.3%に診断された(それぞれp<0.001, p=0.001, p=0.005)。組織病理にMTB PCRを加えると、結核性リンパ節炎はグループAの0.4%、グループBの1.9%、グループCの8.8%に診断された(グループC、p=0.029)。
 なお、縦隔リンパ節の特性として、全11043リンパ節のうち腫大頻度の内訳は#7(28.1%)≒#4R(27.3%)>#4L(16.9%)>#11R(8.0%)>#11L(5.5%)だった。グループCのリンパ節径が有意に大きかった。

結論:
 結核の中蔓延国において、処置前診断にかかわらず、EBUS-TBNAを行われた全患者の同処置針内すすぎ液のAFB培養をルーチンでおこなうことは、結核性リンパ節炎の診断率を向上させるのに有用である。





by otowelt | 2019-03-21 00:45 | 気管支鏡

長期酸素療法のアドヒアランスに影響する因子

e0156318_10273519.png 個人的には、どれだけ患者さんと話ができるかにかかっていると信じています。

Moy ML, et al.
Characteristics at the time of oxygen initiation associated with its adherence: Findings from the COPD Long-term Oxygen Treatment Trial.
Respir Med. 2019 Feb 13. pii: S0954-6111(19)30040-X.

背景:
 COPDにおける長期酸素療法(LTOT)のアドヒアランスに関連した特性は不透明である。

目的:
 アドヒアランスに関連した酸素開始時期の患者特性を調べた。

方法:
 LTOT試験に組み入れられた359人のCOPD患者の二次解析を実施した。被験者は、研究登録時のベースラインの酸素飽和度低下パターンに基づいて、持続的(214人)あるいは間欠的(145人)酸素投与を行われた。初回酸素処方の時点で、被験者は準備意識、自信、そして酸素を用いる重要性について0〜10の尺度で評価した(0 =全然だめ、10 =大丈夫)。追跡期間中、自己申告によって1日あたりの平均酸素使用時間(アドヒアランス)を患者は報告した。アドヒアランスは、短期間(0〜30日)、中期間(9〜12ヶ月)、長期間(13ヶ月目から最後の追跡調査まで)の間隔で平均化した。多変量ロジスティック回帰モデルによって、それぞれの間隔期間における高アドヒアランス(持続群で1日16時間以上、間欠群で1日8時間以上)に関連した特性をさぐった。

結果:
 被験者の準備意識、自信、酸素を用いる重要性は、短期および中期的なアドヒアランスと関連していた。ベースラインで準備意識が高いと、短期的なアドヒアランスは高いオッズ比を示した(持続群:オッズ比1.21、95%信頼区間1.05-1.40、間欠群:オッズ比1.94、95%信頼区間1.45-2.59)。両群において、中期的な高いアドヒアランスは、長期的な高いアドヒアランスと関連していた(持続群:オッズ比12.49、95%信頼区間4.90-31.79、間欠群:オッズ比38.08、95%信頼区間6.96-208.20)。

結論:
 LTOT開始の準備意識、自信、使用の重要性、早期の高いアドヒアランスは、長期酸素治療アドヒアランスと有意に関連していた。



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by otowelt | 2019-03-20 00:08 | 気管支喘息・COPD