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多剤耐性結核のLTBI治療はどうする?

多剤耐性結核のLTBI治療はどうする?_e0156318_13203583.jpg 
はじめに
 ここ最近、多剤耐性結核の接触者健診事例が増えてきました。その中にIGRA陽性例がちらほらあったので、一度勉強しようと思いました。


多剤耐性結核のLTBI治療
 感受性結核のLTBI治療は、基本的にINH単剤、RFP単剤、HR2剤のいずれかが推奨されていますが、多剤耐性結核のLTBI治療についてはエビデンスが少ないです。
 日本では「初発患者が多剤耐性結核菌の場合には,万が一発病した場合に可能な限り早く治療を開始できるように,3か月ごとの経過観察を行う」と推奨されています。
 WHOの「Latent tuberculosis infection ; Updated and consolidated guidelines for programmatic management」では具体的なレジメンは記載されていないものの、以下のような記載があります。
多剤耐性結核のLTBI治療はどうする?_e0156318_1233205.png

 CDCのガイドラインでは、専門家意見としてPZA、EB、LVFX感受性の場合、免疫抑制のない者については経過観察もしくはPZA+EBまたはPZA+LVFX 6ヶ月以上、HIV陽性等免疫抑制のある者についてはPZA+EBまたはPZA+LVFX 12ヶ月以上の治療を推奨しています。ただ、ガイドラインは2000年から更新されていません。
 先日発刊されたl ATS/CDC/ERS/IDSAの多剤耐性結核のガイドラインでは、条件付き推奨として注意深い観察よりもLTBI治療を推奨しています。フルオロキノロンベースでの6~12ヶ月治療を推奨しています。それを反映したUpToDateでは、フルオロキノロン1剤+感受性薬剤1剤の計2剤の治療レジメンが紹介されています。アベロックス🄬は日本では当然適用できません。
多剤耐性結核のLTBI治療はどうする?_e0156318_12492812.png

参考文献 
 臨床試験が少ないのですが、各ガイドラインが挙げている参考文献を2つ紹介します。

Bamrah S, et al.
Treatment for LTBI in contacts of MDR-TB patients, Federated States of Micronesia, 2009-2012.
Int J Tuberc Lung Dis. 2014 Aug;18(8):912-8.


 多剤耐性結核患者と接触した119人の前向き観察研究。レジメンはフルオロキノロンベースで以下の通り。
多剤耐性結核のLTBI治療はどうする?_e0156318_12394428.png

 104人が上記レジメンの治療を受け、93人(89%)が治療を完遂。治療期間中多剤耐性結核を発病した人はいなかった。しかし、LTBI治療を受けなかった(拒否例・接触源患者不明例)うちの3人が多剤耐性結核を発病した。

Garcia-Prats AJ, et al.
Children exposed to multidrug-resistant tuberculosis at a home-based day care centre: a contact investigation.
Int J Tuberc Lung Dis. 2014 Nov;18(11):1292-8.


 HR+アミカシンに耐性の多剤耐性結核をみた南アフリカの後ろ向き研究。15歳未満の24人が6ヶ月の治療(オフロキサシン+EB+高用量INH)を受けたが、1年時のフォローアップで追跡可能だった21人は誰1人多剤耐性結核を発病していなかった。




by otowelt | 2019-11-30 00:27 | コントラバーシー

喘息に対する経口ステロイドの実態(ドイツ)

喘息に対する経口ステロイドの実態(ドイツ)_e0156318_9473145.png 生物学的製剤はステロイド漸減を手助けしますが、生物学的製剤のほうがコストが高いというのがジレンマがあります。

Christian Taube, et al.
Prevalence of oral corticosteroid use in the German severe asthma population
ERJ Open Research 2019 5: 00092-2019; DOI: 10.1183/23120541.00092-2019


目的:
 重症喘息の有病率、併存疾患、特に重症喘息患者における経口ステロイド(OCS)療法の使用について調査した。

方法:
 2015年の公的健康保険の396万1429人のプールデータを解析した。重症喘息の有病率を調べ、OCSに関連した合併症について高用量ICS/LABA使用患者とOCS使用患者で比較した。

結果:
喘息に対する経口ステロイドの実態(ドイツ)_e0156318_17244214.png
(文献より引用)

 喘息の有病率は7.3%で、そのうち8.7%(全体の0.6%)が高用量ICS/LABAで治療されていた。そのうち、追加的OCSを投与されたのは33.6%で、1日あたり0.9~9.1mgと幅があった。17.3%が180日を超えて処方されていた。
 高用量ICS/LABAを用いている患者の80%以上が少なくとも1つの合併症を有していた。心疾患(67.5%)、代謝性/栄養疾患(51.4%)、精神疾患(36.0%)、筋骨格系/結合組織疾患(20.3%)、眼疾患(20.0%)が多かった。
 長期OCS治療により、かかる医療費の上昇が推定された。OCS治療を受けていない患者では1人あたり4266ユーロ/年であったのに対して、OCS治療を受けてると11253ユーロ/年かかった。

結論:
 高用量ICS/LABAを用いている重症喘息患者では、OCSは頻繁に使用されており、副作用や医療費の増加につながっている。





by otowelt | 2019-11-29 00:57 | 気管支喘息・COPD

Mycobacterium triplex感染症の臨床的特徴

Mycobacterium triplex感染症の臨床的特徴_e0156318_1611888.png このコホートでは16年間で53人であり、極めてまれな菌種のようです。私も診たことはありません。

Gibson J, et al.
The clinical significance of Mycobacterium triplex.
Respir Med. 2019 Nov 4;159:105808. doi: 10.1016/j.rmed.2019.105808.


目的:
 Mycobacterium triplexは遅発育非結核性抗酸菌(NTM)であり、ヒトでまれに検出される。その病原性や自然経過については不明である。この研究の目的は、当該感染症の将来的なマネジメントに役立てるため、オーストラリアのクイーンランドにおいて同定されたM. triplexの臨床的特徴、アウトカム、薬剤感受性を調べた。

方法:
 この後ろ向き研究において、2000年1月1日から2016年12月31日までにオーストラリアのクイーンランドで同定されたM. triplexに感染した全患者を登録した。診療録から臨床情報を得て、その臨床的有意性、自然経過、治療アウトカム、薬剤感受性を調べた。

結果:
 53人(男性21人)がM. triplex培養陽性だった。39人の患者が肺検体、17人(43.6%)がATS基準で肺NTM症と診断された。6人の患者が抗菌薬治療を受け、5人で治療成功した。4人の病変は肺外にあり、外科的マネジメントと抗菌薬により治療された。薬剤感受性試験では、93%の培養陽性例でマクロライド感受性だった。

結論:
 これはM. triplexのもっとも大規模なケースシリーズであり、ヒトへの病原性はまれである。肺外病変は外科的マネジメントで良好に治療できた。M. triplexに対する最適治療については不明であるが、薬剤感受性試験ではマクロライド耐性はまれであり、マクロライドを治療レジメンに加えべきと考える。


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by otowelt | 2019-11-28 00:37 | 抗酸菌感染症

抗精神病薬と肺炎死亡リスク

抗精神病薬と肺炎死亡リスク_e0156318_8463436.png 内服している高齢者は多いですね。特に最近顕著な気がします。

Zachary Boivin, et al.
Association of atypical antipsychotics and mortality for patients hospitalised with pneumonia
ERJ Open Research 2019 5: 00223-2018;


背景:
 非定型抗精神病薬は、精神疾患や認知症のある患者に広く用いられている。肺炎で入院する患者にもよく用いられているが、安全性データは少ない。この研究の目的は、入院前の非定型抗精神病薬使用と肺炎患者の死亡増加との関連性を調べることである。

方法:
 10年間、肺炎で入院した患者を調査する後ろ向きコホート研究を実施した。肺炎で入院した65歳以上の患者を組み入れた。プライマリ解析において、非定型抗精神病薬使用と非使用のあいだの交絡因子を補正するため、傾向スコアマッチを用いた。

結果:
 102897人の患者のうち、5977人が非定型抗精神病薬を用いていた。
 傾向スコアマッチ後、非定型抗精神病薬使用者5513人、非使用者5513人が登録された。登録患者の平均年齢は77.8±7.4歳で、98.3%が男性だった。90日以内にすべての原因による死亡は23717人(23.1%)に発生した。抗精神病薬の内訳は、クエチアピン2212人、リスペリドン2205人、オランザピン1375人が多かった。
 非定型抗精神病薬の使用は、30日死亡(オッズ比1.20, 95%信頼区間1.11–1.31)、90日死亡(オッズ比1.19, 95%信頼区間1.09–1.30)のリスクを上昇させた。
抗精神病薬と肺炎死亡リスク_e0156318_8432084.png
(文献より引用)

結論:
 肺炎で入院した65歳以上の患者において、非定型抗精神病薬の使用は死亡のオッズ比上昇と関連していることを示した。既存の精神疾患または心臓疾患の患者で特に顕著だった。これらの薬剤を使用する患者を注意深く監視し、高齢の成人患者での使用を最小限にするべきである。




by otowelt | 2019-11-27 00:31 | 感染症全般

閉塞性睡眠時無呼吸の重症度と大動脈石灰化の関連

閉塞性睡眠時無呼吸の重症度と大動脈石灰化の関連_e0156318_117241.png 心血管系死亡のリスク因子であることはすでに知られていますが、動脈硬化と関連を示した本研究は貴重です。

Kim S, et al.
Relationship of obstructive sleep apnoea severity and subclinical systemic atherosclerosis.
Eur Respir J. 2019 Oct 31. pii: 1900959. doi: 10.1183/13993003.00959-2019.


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、よくみられる睡眠呼吸障害である。無治療OSAは、アテローム性動脈硬化を進行させ、心血管系による不利益を潜在的に増加させる。

目的:
 この研究は、客観的に評価されたOSA重症度と、CTでカルシム沈着を定量化するなどの方法で非侵襲的に評価されたサブクリニカルな全身性アテローム性動脈硬化との関連を評価することである。

方法:
 韓国ゲノムおよび疫学研究において、2157人の器質的心疾患がない被験者が登録された(平均年齢59.96 ± 6.67歳、48.73%が男性)。自宅でポリソムノグラフィ、病院で胸部CT検査を受けた。被験者はOSAの重症度によって層別化された:非OSA群(AHI<5、1096人)、軽症OSA群(5≦AHI<15、700人)、中等症~重症OSA群(AHI≧15、361人)。胸部大動脈および冠動脈のカルシウム沈着は、Agatstonスコア(J Am Coll Cardiol 1990;15:827-832)によって評価された。

結果:
 心血管系リスク因子で補正すると、中等症~重症OSAの被験者は、非OSA群と比較して、胸部大動脈の石灰化リスクが1.6倍高かった(95%信頼区間1.18-2.15、p=0.002)。一般集団におけるOSA重症度は、サブクリニカルな全身性アテローム性動脈硬化と独立して関連していた。
閉塞性睡眠時無呼吸の重症度と大動脈石灰化の関連_e0156318_14482770.png
(文献より引用)

結論:
 本研究は重症OSAが全身性アテローム性動脈硬化に与える潜在的な重要性を示すものである。





by otowelt | 2019-11-25 00:30 | 呼吸器その他

本の紹介:サパイラ 身体診察のアートとサイエンス(第2版)

医学書院で書かせていただいた書評です。

デジタル時代の今だからこそ身体診察
書評者:倉原 優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科

本の紹介:サパイラ 身体診察のアートとサイエンス(第2版)_e0156318_11403585.png


原著:Jane M. Orient 
監訳:須藤博先生/藤田芳郎先生/徳田安春先生/岩田健太郎先生
ページ:998
発行:2019年10月
定価:13,200円 (本体12,000円+税10%)

本の紹介:サパイラ 身体診察のアートとサイエンス(第2版)_e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する
 

 名著『サパイラ』の原書第5版・翻訳第2版である。身体診察について1000ページも書かれた本など,寡聞にして知らない。

 私は身体診察の教育に力を入れた病院で研修を受けたため,どちらかといえば“アナログ”な医師である。6年前の前版で初めて『サパイラ』に触れたが,この本はこれまで学んだ身体診察技法を昇華させてくれる師となった。今でもときどき読み返すくらいである。

 私はもともとピアノ弾きなので,この本では胸部打診の項目が一番好きだ(pp.435-436)。「最初は強く(ストローク4インチ),2番目はより弱く(ストローク2インチ)」という細かい技法にも感嘆するが,そのあとが大事である。「爪の長い医学生には,短く切るようにアドバイスしたい」。私が好きなのは,こういうところである。打診を考案したのはアウエンブルッガーというオーストリアの医師であるが,彼がサリエリという宮廷音楽家とオペラを書いていたという本書の余談はとても面白い。ちなみに,アウエンブルッガーの2人娘は,その後サリエリにピアノを学び,優れたピアニストとして活躍したらしい。

 打診は打診音を美しく出さなければいけない。そのためには,利き手の指のストロークと初速が大事なのだが,その練習法を複数挙げて書かれてある本書は驚異的である。医学生時代,私は臨床実習前に,飲水前後の自分の腹部を打診して練習したものだが,『サパイラ』には「炭酸飲料」と書かれてある。水じゃなくてコーラにすればよかったのかもしれないと思った。

 この本の特長は,向こうから語りかけてくる書き方にある。身体診察に重きを置くと,どこかで目にした無難な記述になってしまいそうなものだが,この本はまるでどこかの病院のカンファレンス室のホワイトボード前で,また実際の患者のベッドサイドで,レクチャーを受けているような錯覚さえ覚える。「アドバイス」「指導医へ」「自己学習」などのサブ項目の完成度は高く,研修医のレクチャーを一緒に聞いていた指導医が,「君たち中堅医師もこれに注意したまえ」と襟を正されるような記述が随所に登場する。

 4つの代表的診察技法(視診・聴診・打診・触診)の5つ目にポータブル超音波はどうですか1),と言われるほど“デジタル”な時代になってしまった。医師経験が長い人ほどデジタルに足元をすくわれそうになった経験が思い出に苦みを残している。実はそんな時,身体診察に助けられる場面は多いのだ。だからこそ,『サパイラ』である。

●参考文献
1)Narula J, et al. JAMA Cardiol. 2018 Apr 1;3(4):346-350.


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by otowelt | 2019-11-23 00:37 | その他

HOmeVentレジストリ:COPD患者における高炭酸ガス血症の頻度

HOmeVentレジストリ:COPD患者における高炭酸ガス血症の頻度_e0156318_1633480.jpg だいたい全体の2割程度ということですね。個人的にはもうちょっと少ないと思っています。

Dreher M, et al.
Prevalence Of Chronic Hypercapnia In Severe Chronic Obstructive Pulmonary Disease: Data From The HOmeVent Registry.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Oct 18;14:2377-2384.


背景:
 非侵襲性換気(NIV)は、慢性II型呼吸不全のCOPD患者の生存とQOLを改善させることが示されている。しかしながら、慢性高炭酸ガス血症を有するCOPD患者の頻度はよくわかっておらず、どのような患者に多いかも不透明である。HOmeVentレジストリは、外来COPD患者において慢性高炭酸ガス血症の頻度を調べ、それを予測する因子を評価するために開始された。

方法:
 HOmeVentは、GOLD stage 3あるいは4のCOPD患者を含む多施設共同前向き観察研究である。ルーチンの外来業務から適格患者を登録した。血液ガス分析、肺機能検査、QOLアセスメントがおこなわれた。
 急性増悪例は除外された。

結果:
 ドイツの10の外来クリニックから231人のCOPD患者が登録された(GOLD stage 3が135人[58%]、GOLD stage 4が96人[42%])。21%が在宅酸素療法を受けていた。
 全体で58人(25%)がPaCO2≧45mmHgだった。そのうち、20人(9%)がPaCO2≧50mmHgだった。GOLD stage 4のほうがstage 3よりも高炭酸ガス血症を有する頻度が高かった。BMI高値、努力性肺活量低値、重炭酸値高値は、高炭酸ガス血症をよく予測した。NIVを受けている患者は、全体の6%で、高炭酸ガス血症のある患者の22%だった。PaCO2レベルはQOLに影響を与えなかった。
HOmeVentレジストリ:COPD患者における高炭酸ガス血症の頻度_e0156318_2325189.png
(高炭酸ガス血症の予測因子:文献より引用)

結論:
 GOLD stage 3および4のCOPD患者において、高炭酸ガス血症の頻度を知ることで、長期在宅NIV治療が適用されるべき症例を同定できるかもしれない。




by otowelt | 2019-11-22 00:57 | 気管支喘息・COPD

本の紹介:ブラッシュアップ敗血症

 有名な先生なので、もちろん名前は存じ上げていましたが、献本いただけるとは思いもせず!ありがとうございます。

本の紹介:ブラッシュアップ敗血症_e0156318_12511132.png

発売日:2019年10月3日
単行本 : 216ページ
価格 : 3,520円 (税込)
出版社 : 中外医学社
著者 : 近藤 豊先生

本の紹介:ブラッシュアップ敗血症_e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する
 
 改めて近藤先生の経歴を見てみると、ーーこう書くと失礼かもしれませんがーー、敗血症の申し子のような先生だなと思いました。救急の現場とアカデミアの両方をとことん追究し、現在にいたります。
 敗血症は、理論的な部分が難しく、ガイドラインもなかなかハードルが高いです。よくぞ、ここまで噛み砕いて書かれたなと感動しました。

本の紹介:ブラッシュアップ敗血症_e0156318_12594917.jpg
 ときおり出てくるリサーチクエスチョンに自ら答える形で、現在わかっているエビデンスを丁寧に解説されています。そして、文中に何度か登場する言葉ですが、敗血症診療の「まだわかっていない」「正解がない」部分を踏まえた上で、筆者なりの考え方が書かれています。

本の紹介:ブラッシュアップ敗血症_e0156318_130067.jpg
 新しい敗血症治療についても触れられており、救急・ICUをローテートする研修医と臨床バリバリの中堅医師に満足できる仕上がりになっています。読み物としての完成度は極めて高いと思います。

 後半のAIのくだり、面白かったです。AIが登場すると、おそらく画像診断などデータベース化されている業種は加速度的に淘汰がすすむと思いますが、救急だけでなく、私のいる急性期呼吸器領域ではこれからどうなっていくでしょうか。

 まえがきに書かれている言葉が心に染みます。「筆者は救急医として働いている間は挑戦することを止めない」。うーん、私は現在何に挑戦できているだろうか。


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by otowelt | 2019-11-20 00:47 | その他

メタアナリシス:胸膜クライオバイオプイシーの診断精度

メタアナリシス:胸膜クライオバイオプイシーの診断精度_e0156318_16292292.jpg 肺野のTBLBと違って、胸腔鏡でごっそり取れやすいので、敢えてクライオにしなくても・・・という結論です。びまん性肺疾患の分野では1検体あたりの大きさが問われますが、胸膜疾患ではそこまで配慮しなくてもよさそうです。

Shafiq M, et al.
Pleural Cryobiopsy - A Systematic Review and Meta-Analysis.
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.09.023


背景:
 外科的あるいは内科的胸腔鏡下胸膜生検は、現在の胸膜生検のゴールドスタンダードであり、高い診断率を誇るが完璧とは言えない。クライオバイオプシーは、組織検体量が多く、深達度が深く観察でき、組織の挫滅アーティファクトが減少できる。しかしながら、その診断能は不透明であり、安全面についても懸念が残る。われわれは、システマティックレビューとメタアナリシスをおこなった。

方法:
 われわれは、胸膜生検のパフォーマンスを評価した研究をMEDLINE, EMBASE, Google Scholarから抽出し、QUADAS-2を用いて質を評価した。逆分散重み付けにより、診断能のメタアナリアシスをおこなった。検体の特徴や処置に関連した合併症についてもレビューした。

結果:
 7つの観察研究から586の胸膜生検が登録された(クライオバイオプシー311検体、胸腔鏡下鉗子生検275検体)。1つ以外のすべての研究が、semi-rigid胸腔鏡を用いていた。メタナアナリシスでは、クライオバイオプシーの診断能は96.5%、胸腔鏡下鉗子生検では93.1%だった(オッズ比1.61 、95%信頼区間0.71–3.66、I2=16%)。中等症から重症の出血例はクライオバイオプシ―群で観察されなかった。funnel plotでは出版バイアスは有意でなかった。
メタアナリシス:胸膜クライオバイオプイシーの診断精度_e0156318_16234196.png
(診断精度:文献より引用)

結論:
 均一な観察研究データに基づいた解析では、胸膜クライオバイオプシーは安全だが、胸腔鏡下鉗子生検と比較して診断能を上昇させるものではない。適切な検出力による多施設共同ランダム化比較試験が望まれる。







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by otowelt | 2019-11-19 00:16 | 呼吸器その他

IPFにおける肺結核の臨床的特徴

IPFにおける肺結核の臨床的特徴_e0156318_9552565.jpg 当院でも時に経験しますが、なかなか発見が難しいです。個人的には10~20例ほど経験したことがあり、ステロイドが継続的に入っているケースが多かったです。

Lee YH, et al.
Clinical and radiological features of pulmonary tuberculosis in patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2019.08.001


背景:
 特発性肺線維症(IPF)患者における肺結核の放射線学的および臨床的特徴に関するデータは限られている。そのため、この研究ではIPF患者における肺結核の臨床的・放射線学的特徴を調べることを目的とした。

方法:
 韓国の慶北大学校病院において、IPF患者、非IPF患者の両集団で肺結核の臨床的・放射線学的因子を後ろ向きに比較した(2001年1月から2017年9月にIPFと診断された症例)。胸部CT所見について、IPF+結核患者と非IPF+肺非結核性抗酸菌症患者の2群で比較した。

結果:
 609人のIPF患者のうち、28人(4.6%)が肺結核と診断された。IPFの肺結核患者では、偶発的に放射線学的異常を指摘されるという経緯が最も多く、IPF診断時に半数が同定された。そのほかは、IPFの経過中に肺結核を発症することが多かった。IPF診断から肺結核発症までの期間中央値は1.5ヶ月だった。IPF診断後に肺結核と診断された13人のうち、6人(46.1%)がステロイドあるいは免疫抑制剤治療中に肺結核を発症した。
 IPFの肺結核の治療成功率は、非IPFの肺結核より有意に低かった。結核菌の薬剤感受性には、IPF-非IPF間で差はなかった。
 胸部CT写真は、IPFの肺結核患者では、非IPFの肺結核患者よりも、既存の結核病巣の再活性化の頻度が低かった。IPFの肺結核患者では、小葉中心性結節が少なく、コンソリデーション主体の陰影が多かった。IPFの肺結核患者とIPFの肺非結核性抗酸菌症患者では、画像所見は同様だった。コンソリデーションは、蜂巣肺にオーバーラップして存在することが多かった。
IPFにおける肺結核の臨床的特徴_e0156318_1363695.png
(IPFの肺結核患者と非IPFの肺結核患者の画像所見の違い:文献より引用)

結論:
 IPF患者における肺結核は、偶発的に胸部画像異常を指摘されて発見されることが多い。画像所見は通常とは異なり、アウトカムも不良である。





by otowelt | 2019-11-18 00:52 | 抗酸菌感染症