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HOmeVentレジストリ:COPD患者における高炭酸ガス血症の頻度

e0156318_1633480.jpg だいたい全体の2割程度ということですね。個人的にはもうちょっと少ないと思っています。

Dreher M, et al.
Prevalence Of Chronic Hypercapnia In Severe Chronic Obstructive Pulmonary Disease: Data From The HOmeVent Registry.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Oct 18;14:2377-2384.


背景:
 非侵襲性換気(NIV)は、慢性II型呼吸不全のCOPD患者の生存とQOLを改善させることが示されている。しかしながら、慢性高炭酸ガス血症を有するCOPD患者の頻度はよくわかっておらず、どのような患者に多いかも不透明である。HOmeVentレジストリは、外来COPD患者において慢性高炭酸ガス血症の頻度を調べ、それを予測する因子を評価するために開始された。

方法:
 HOmeVentは、GOLD stage 3あるいは4のCOPD患者を含む多施設共同前向き観察研究である。ルーチンの外来業務から適格患者を登録した。血液ガス分析、肺機能検査、QOLアセスメントがおこなわれた。
 急性増悪例は除外された。

結果:
 ドイツの10の外来クリニックから231人のCOPD患者が登録された(GOLD stage 3が135人[58%]、GOLD stage 4が96人[42%])。21%が在宅酸素療法を受けていた。
 全体で58人(25%)がPaCO2≧45mmHgだった。そのうち、20人(9%)がPaCO2≧50mmHgだった。GOLD stage 4のほうがstage 3よりも高炭酸ガス血症を有する頻度が高かった。BMI高値、努力性肺活量低値、重炭酸値高値は、高炭酸ガス血症をよく予測した。NIVを受けている患者は、全体の6%で、高炭酸ガス血症のある患者の22%だった。PaCO2レベルはQOLに影響を与えなかった。
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(高炭酸ガス血症の予測因子:文献より引用)

結論:
 GOLD stage 3および4のCOPD患者において、高炭酸ガス血症の頻度を知ることで、長期在宅NIV治療が適用されるべき症例を同定できるかもしれない。




by otowelt | 2019-11-22 00:57 | 気管支喘息・COPD

本の紹介:ブラッシュアップ敗血症

 有名な先生なので、もちろん名前は存じ上げていましたが、献本いただけるとは思いもせず!ありがとうございます。

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発売日:2019年10月3日
単行本 : 216ページ
価格 : 3,520円 (税込)
出版社 : 中外医学社
著者 : 近藤 豊先生

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する
 
 改めて近藤先生の経歴を見てみると、ーーこう書くと失礼かもしれませんがーー、敗血症の申し子のような先生だなと思いました。救急の現場とアカデミアの両方をとことん追究し、現在にいたります。
 敗血症は、理論的な部分が難しく、ガイドラインもなかなかハードルが高いです。よくぞ、ここまで噛み砕いて書かれたなと感動しました。

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 ときおり出てくるリサーチクエスチョンに自ら答える形で、現在わかっているエビデンスを丁寧に解説されています。そして、文中に何度か登場する言葉ですが、敗血症診療の「まだわかっていない」「正解がない」部分を踏まえた上で、筆者なりの考え方が書かれています。

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 新しい敗血症治療についても触れられており、救急・ICUをローテートする研修医と臨床バリバリの中堅医師に満足できる仕上がりになっています。読み物としての完成度は極めて高いと思います。

 後半のAIのくだり、面白かったです。AIが登場すると、おそらく画像診断などデータベース化されている業種は加速度的に淘汰がすすむと思いますが、救急だけでなく、私のいる急性期呼吸器領域ではこれからどうなっていくでしょうか。

 まえがきに書かれている言葉が心に染みます。「筆者は救急医として働いている間は挑戦することを止めない」。うーん、私は現在何に挑戦できているだろうか。


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by otowelt | 2019-11-20 00:47 | その他

メタアナリシス:胸膜クライオバイオプイシーの診断精度

e0156318_16292292.jpg 肺野のTBLBと違って、胸腔鏡でごっそり取れやすいので、敢えてクライオにしなくても・・・という結論です。びまん性肺疾患の分野では1検体あたりの大きさが問われますが、胸膜疾患ではそこまで配慮しなくてもよさそうです。

Shafiq M, et al.
Pleural Cryobiopsy - A Systematic Review and Meta-Analysis.
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.09.023


背景:
 外科的あるいは内科的胸腔鏡下胸膜生検は、現在の胸膜生検のゴールドスタンダードであり、高い診断率を誇るが完璧とは言えない。クライオバイオプシーは、組織検体量が多く、深達度が深く観察でき、組織の挫滅アーティファクトが減少できる。しかしながら、その診断能は不透明であり、安全面についても懸念が残る。われわれは、システマティックレビューとメタアナリシスをおこなった。

方法:
 われわれは、胸膜生検のパフォーマンスを評価した研究をMEDLINE, EMBASE, Google Scholarから抽出し、QUADAS-2を用いて質を評価した。逆分散重み付けにより、診断能のメタアナリアシスをおこなった。検体の特徴や処置に関連した合併症についてもレビューした。

結果:
 7つの観察研究から586の胸膜生検が登録された(クライオバイオプシー311検体、胸腔鏡下鉗子生検275検体)。1つ以外のすべての研究が、semi-rigid胸腔鏡を用いていた。メタナアナリシスでは、クライオバイオプシーの診断能は96.5%、胸腔鏡下鉗子生検では93.1%だった(オッズ比1.61 、95%信頼区間0.71–3.66、I2=16%)。中等症から重症の出血例はクライオバイオプシ―群で観察されなかった。funnel plotでは出版バイアスは有意でなかった。
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(診断精度:文献より引用)

結論:
 均一な観察研究データに基づいた解析では、胸膜クライオバイオプシーは安全だが、胸腔鏡下鉗子生検と比較して診断能を上昇させるものではない。適切な検出力による多施設共同ランダム化比較試験が望まれる。







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by otowelt | 2019-11-19 00:16 | 呼吸器その他

IPFにおける肺結核の臨床的特徴

e0156318_9552565.jpg 当院でも時に経験しますが、なかなか発見が難しいです。個人的には10~20例ほど経験したことがあり、ステロイドが継続的に入っているケースが多かったです。

Lee YH, et al.
Clinical and radiological features of pulmonary tuberculosis in patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2019.08.001


背景:
 特発性肺線維症(IPF)患者における肺結核の放射線学的および臨床的特徴に関するデータは限られている。そのため、この研究ではIPF患者における肺結核の臨床的・放射線学的特徴を調べることを目的とした。

方法:
 韓国の慶北大学校病院において、IPF患者、非IPF患者の両集団で肺結核の臨床的・放射線学的因子を後ろ向きに比較した(2001年1月から2017年9月にIPFと診断された症例)。胸部CT所見について、IPF+結核患者と非IPF+肺非結核性抗酸菌症患者の2群で比較した。

結果:
 609人のIPF患者のうち、28人(4.6%)が肺結核と診断された。IPFの肺結核患者では、偶発的に放射線学的異常を指摘されるという経緯が最も多く、IPF診断時に半数が同定された。そのほかは、IPFの経過中に肺結核を発症することが多かった。IPF診断から肺結核発症までの期間中央値は1.5ヶ月だった。IPF診断後に肺結核と診断された13人のうち、6人(46.1%)がステロイドあるいは免疫抑制剤治療中に肺結核を発症した。
 IPFの肺結核の治療成功率は、非IPFの肺結核より有意に低かった。結核菌の薬剤感受性には、IPF-非IPF間で差はなかった。
 胸部CT写真は、IPFの肺結核患者では、非IPFの肺結核患者よりも、既存の結核病巣の再活性化の頻度が低かった。IPFの肺結核患者では、小葉中心性結節が少なく、コンソリデーション主体の陰影が多かった。IPFの肺結核患者とIPFの肺非結核性抗酸菌症患者では、画像所見は同様だった。コンソリデーションは、蜂巣肺にオーバーラップして存在することが多かった。
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(IPFの肺結核患者と非IPFの肺結核患者の画像所見の違い:文献より引用)

結論:
 IPF患者における肺結核は、偶発的に胸部画像異常を指摘されて発見されることが多い。画像所見は通常とは異なり、アウトカムも不良である。





by otowelt | 2019-11-18 00:52 | 抗酸菌感染症

ラーメン店舗数が多い都道府県では脳卒中死亡率が高い

e0156318_15564137.png SNSで少し話題になっていたので読んでみました。
 ラーメンの種類や系統までの解析はしていないので、何ラーメンが危ないのかという議論は難しいかもしれません。

Matsuzono K, et al.
Ramen restaurant prevalence is associated with stroke mortality in Japan: an ecological study
Nutr J 18, 53 (2019) doi:10.1186/s12937-019-0482-y


背景:
 脳卒中と栄養の関係が近年調査されてきた。しかし、日本における食事と脳卒中の関係は明らかにされていない。われわれは、ラーメンの消費と脳卒中の死亡率に関連があると仮説を立てた。それを検証すべく、日本の都道府県におけるラーメン店の数と脳卒中死亡率との関連を調査した。

方法:
 ピアソンの相関係数を用いて、4種類のレストラン(ラーメン、ファストフード、フレンチまたはイタリアン、うどんまたはそば)のそれぞれの店舗数と、各都道府県の年齢・性別を調整した脳卒中死亡率との関連を評価した。また、コントロールとして、急性心筋梗塞と各レストランとの相関関係も調査した。日本で発表された2017年の国民保険データの動向から、各都道府県の年齢・性別を調整した脳卒中死亡率と急性心筋梗塞死亡率を取得した。各都道府県の各レストラン店舗数に関するデータは、NTTのデータベースから取得した。

結果:
 その他のタイプのレストランでは有意差はなかったが、ラーメン店に関しては男女ともに地域脳卒中死亡率と有意に相関していた(r> 0.5)。東北地方と九州南部の脳卒中死亡率が高かった。近畿地方では脳卒中死亡率が低かった。また、ラーメン店舗数と心筋梗塞の死亡率の間には関連はなかった。
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(各都道府県の脳卒中とラーメン店舗)

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(文献より引用)

結論:
 日本では、都道府県のラーメン店の数は、脳卒中死亡率と有意な相関がある。


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by otowelt | 2019-11-17 00:22 | 内科一般

EVALI:電子たばこ関連肺傷害のほとんどはTHC含有製品が原因

e0156318_1329388.png これは嗜好品としての電子たばこの報告です。禁煙治療の電子たばこと混在しながらトップジャーナルに論文が掲載されていくので、曇りなき眼で読んでいく必要があります。
 EVALIがTHCと強く関連していることは既知の通りです。
 ちなみに、加熱式たばことは関係ありません。医師ですら混同してバッシングしているのを見かけますが、分けて考えるべきです。もちろん、呼吸器内科医としてはどちらも容認しがたいですが。

・参考記事:呼吸器内科医として知っておきたい加熱式たばこラインナップ(2019.10)

Kalininskiy A, et al.
E-cigarette, or vaping, product use associated lung injury (EVALI): case series and diagnostic approach.
Lancet Respir Med. 2019 Nov 8. pii: S2213-2600(19)30415-1. doi: 10.1016/S2213-2600(19)30415-1.


背景:
 2019年6月から、1000例以上の電子たばこあるいはvapingによる製品使用関連肺傷害(EVALI)がアメリカで報告されている。患者は呼吸困難、咳嗽を呈し、胸部画像検査で両側の肺胞性陰影を伴う低酸素血症を有することが分かった。ほとんどの患者はICUでステロイド治療を要した。全患者はvapingの禁煙、支持ケア、ステロイド治療によって回復し、追跡時には呼吸器症状は消失したままであった。アメリカでは特に若年者の間で電子たばこの使用が急速に増えている。

方法:
 ロチェスター大学医療センター(アメリカ・ニューヨーク州)において、受診30日以内に電子たばこあるいはその他vapingデバイスの使用がある、胸部画像上(CTあるいはX線写真)両側肺胞性陰影がある入院患者を同定した。診療録と患者インタビューから症例の詳細を取得し、症状経緯、身体所見データ、画像所見、検査データ、vapingの喫煙歴、その後の外来追跡時データを含め、過去3ヶ月にわたって調べた。ニューヨーク州保健局と協力して、当院は環境衛生、医学毒物学、感染症、疫学、および慢性疾患予防の専門家からの入力に加えて、州全体の医師のフィードバックに基づく新しい臨床診療アルゴリズムを開発した。

結果:
 2019年6月6日から2019年9月15日までに、当医療センターにおいてEVALI疑いで治療された12症例を報告する。10人(83%)が呼吸困難、発熱、嘔吐を有し、9人(75%)が咳嗽を有していた。11人(92%)がテトラヒドロカンナビノール(THC)含有電子たばこを使用していた。8人(67%)の患者が低酸素性呼吸不全のためICU入室を必要としたが、死者はいなかった。入院期間中央値は7日(IQR7-8日)だった。追跡可能だった6人(50%)は過去のCT所見と肺機能検査に復していた。臨床アルゴリズムは、EVALIの主要徴候と症状があることに加えて、推定診断前に感染症やその他の心肺疾患を除外することが重要としている。
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(胸部CT:胸膜直下がスペアされた全肺野のすりガラス陰影[文献より引用])

結論:
 われわれのコホートではEVALI疑い患者は、致死的な低酸素血症を有しており、67%がICUマネジメントを要した。重篤な症状であるにもかかわらず、過去のEVALIの報告と同様に、ほとんどの患者はvapingの禁煙と必要時全身性ステロイド治療をおこなうことで症状発現後1~2週間以内に病態が改善した。EVALIを疑われた患者のほとんど(92%)はTHC含有製品を使用しており、THCを含んだe-リキッドまたはオイルがEVALIの病因に関する全国的調査の焦点となっている。潜在的な毒性、基礎となる病態生理学的メカニズム、およびEVALIによる入院リスクが高い感受性のある個人を特定するために、さらなる研究が必要である。今回EVALIの評価と管理のための世界初の臨床診療アルゴリズムを提示した。
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(EVALIの臨床診療アルゴリズム[文献より引用])


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by otowelt | 2019-11-16 12:33 | 呼吸器その他

CDIに対する静注メトロニダゾール+経口バンコマイシン

e0156318_9404474.jpg 黒田浩一先生のSNSをみて、この論文を知り、読んでみました。ありがとうございます。私の周辺はまだクロストリジウムのままで、誰もクロストリディオイデスって呼んでいないです。カリニがようやく死語になったくらい。(笑)

Ying Wang, et al.
Dose addition of intravenous metronidazole to oral vancomycin improve outcomes in Clostridioides difficile infection?
Clinical Infectious Diseases, ciz1115, https://doi.org/10.1093/cid/ciz1115


背景:
 ガイドラインでは、劇症型Clostridioides difficile感染症(CDI)に対して、経口バンコマイシンに静注メトロニダゾールを加えることが推奨されている。これは、静注メトロニダゾールと経口バンコマイシンとバンコマイシン単独治療を比較した研究である。非劇症型および劇症型CDIにおける併用療法の使用頻度・有効性をアセスメントした。

方法:
 2010年~2018年に実施された、2施設の後ろ向き研究である。成人の入院患者で下痢便においてC. difficile PCRが陽性となり、経口バンコマイシンを検査前後2日以内に開始された者を対象とした。同時期に静注メトロニダゾールを投与された患者を併用療法群とし、バンコマイシン単独療法群と比較した。プライマリアウトカムは、90日以内の死亡あるいは大腸切除とした。ロジスティック回帰モデルを用いて、CDI重症度とその他CDIアウトカム予測因子を調整した。セカンダリアウトカムとして、CDIの再発を設定した。

結果:
 研究には2114人の患者が含まれた(併用療法群993人、単剤治療群1121人)。このうち、23%がプライマリアウトカムを満たした。併用療法群のほうがバイタルサイン異常や血液検査異常が多かった。加えて、併用療法群のほうが巨大結腸症に陥りやすく、ICUに入室しやすく、劇症型CDIであることが多かった(p<0.01)。併用療法群のほうがプライマリアウトカムを満たした頻度が高かった(28% vs 18%, p<0.01)。
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(文献より引用)

 非重症あるいは重症CDIと比較すると劇症型CDIは死亡リスク上昇と関連していた(χ2 p<.01)。
 SHEA/IDSA疾患重症度およびその他CDIアウトカム予測因子で補正すると、併用療法とプライマリアウトカムの間に関連はなかった(補正オッズ比1.07、95%信頼区間0.79-1.45)。劇症型CDIの症例にしぼっても、この結果は同様だった(補正オッズ比1.17、95%信頼区間0.65-2.10)。また、併用療法とCDI再発の間にも関連はなかった。

結論:
 非劇症型および劇症型CDIに対する静注メトロニダゾールと経口バンコマイシンの併用療法はよくおこなわれているが、バンコマイシン単独と比べてアウトカム改善と関連していなかった。


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by otowelt | 2019-11-15 11:05 | 感染症全般

GRAVITAS試験:胸水を排液するとき、陰圧をかけるか・かけないか

e0156318_10322082.jpg 胸水穿刺(ドレナージ)するときに、ポタポタと重力にまかせて胸水を落としきるか、手動で陰圧をかけながら引っ張るかを比較した貴重な研究です。
 これを立案した人、マジパネェです。これですよ、これ!こういうのが“実臨床的”ってもんです!
 
Lentz RJ, et al.
The Impact of Gravity versus Suction-driven Therapeutic Thoracentesis on Pressure-related Complications: the GRAVITAS Multicenter Randomized Controlled Trial.
Chest. 2019 Nov 8. pii: S0012-3692(19)34190-X. doi: 10.1016/j.chest.2019.10.025.


背景:
 胸腔穿刺は、積極的な吸引あるいは自然な重力によるドレナージによっておこなわれる。われわれは、重力による自然なドレナージが、積極的な陰圧吸引と比べて胸部不快感、再膨張性肺水腫、気胸などの陰圧関連合併症を予防できるかどうかを検証した。

方法:
 これは、500mL以上の胸水貯留が想定される18歳以上の患者を、1:1の割合で、積極的吸引と自然なドレナージのいずれかに割り付けた前向き多施設共同単盲検ランダム化比較試験である。処置前後、処置中、100mmのVASにより胸部不快感を評価した(0mm:大丈夫、100mm:不快)。胸腔穿刺は、完全に排液された場合、または持続的に胸部不快感を訴える場合、難治性の咳嗽があった場合、その他の合併症があった場合には中止された。プライマリアウトカムは、処置後5分の胸部不快感とした。セカンダリアウトカムは、処置後48時間の不快感と呼吸困難とした。
 使用カテーテル: 8F over-needle-style catheter (Safe-T-Centesis, BD, Franklin Lakes, NJ, USA or Arrow-Clarke Pleura-Seal, Teleflex, Morrisville, NC, USA)

結果:
 142人の患者がランダム化され、140人が最終解析に組み込まれた。積極的吸引群の15人 (24%)、自然ドレナージ群の 11人(14%)が悪性胸水だった。全体の約半数が外来ベースで処置がおこなわれた。
 プライマリアウトカムには有意差はなかった(平均VASスコア差5.3mm、95%信頼区間-2.4 ~ 13.0, p=0.17)。セカンダリアウトカムである不快感と呼吸困難にも差はなかった。両群のドレナージ量に差はなかった(積極的吸引群1264 ± 724 mL vs 自然ドレナージ群1165 ± 543 mL, 平均差99 mL, 95%信頼区間-113 to 310, p=0.89)。処置にかかった時間は、自然流出群のほうが長かった(平均差7.4分、95%信頼区間10.2~4.6分、p<0.001)。再膨張性肺水腫などの重篤な合併症は報告されなかったが、積極的吸引群の1人に気胸が起こった(吸引圧とは無縁と思われる)。
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(VAS:文献より引用)

結論:
 胸水を抜く場合、積極的吸引と重力による自然ドレナージのいずれも安全に実施でき、胸部不快感や呼吸困難も同水準だった。ただ、積極的に陰圧をかけて吸引したほうが処置時間は短い。



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by otowelt | 2019-11-14 16:54 | 呼吸器その他

HOT1302試験:間質性肺疾患合併進行NSCLCに対するカルボプラチン+nab-パクリタキセル

e0156318_8124310.jpg 小規模ですが、そもそもエビデンスが少ない領域なので、参考になるデータですね。
 OSのKaplan-Meier曲線の最後は見たくないですが・・・。

Asahina H, et al.
A prospective phase II study of carboplatin and nab-paclitaxel in patients with advanced non-small cell lung cancer and concomitant interstitial lung disease (HOT1302).
Lung Cancer. 2019 Sep 30;138:65-71.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)と間質性肺疾患(ILD)を合併した患者は、ILD急性増悪のリスクから多くの抗癌剤治療が選択肢から外れる。この前向き研究において、ILD合併進行NSCLC患者におけるカルボプラチン+nab-パクリタキセルの効果と安全性を検証した。

患者および方法:
 登録患者は、ILDを合併した未治療進行NSCLCである。患者は、カルボプラチン(AUC6)とnab-パクリタキセル(100mg/m2)の治療を3週ごとに4~6サイクル受けた。プライマリエンドポントは客観的奏効率(ORR)とし、セカンダリエンドポイントに毒性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が含まれた。

結果:
 2014年4月から2017年9月までに、36人の患者が登録された。男性は26人(72.2%)だった。16人(44.4%)は腺癌、15人(41.7%)が扁平上皮癌、5人(13.9%)がその他の非小細胞肺癌だった。病期IVは半数の18人だった。
 抗癌剤投与サイクル中央値は4(範囲1-6)だった。ORRは55.6%(95%信頼区間39.6-70.5)だった。PFS中央値は5.3ヶ月(95%信頼区間3.9-8.2)、OS中央値は15.4ヶ月(95%信頼区間9.4-18.7)だった。扁平上皮癌の患者は非小細胞癌の患者よりもORR(66.7%[95%信頼区間41.7-84.8] vs. 47.6%[95%信頼区間28.3-67.6]、P = 0.254)、PFS中央値(8.2ヶ月[95%信頼区間4.0-10.2] vs. 4.1ヶ月[95%信頼区間3.3-5.4] 、ハザード比0.60 [95%信頼区間0.30-1.20]; P = 0.15)、OS中央値(16.8ヶ月[95%信頼区間9.8-未到達] vs. 11.9ヶ月[95%信頼区間7.3-17.4] 、ハザード比0.56 [95%信頼区間0.24-1.28]; P = 0.17)が良好だった。2人(5.6%)の患者がグレード2以上の肺臓炎を起こし、1人(2.8%)が死亡した。
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(文献より引用:有効性)
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(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
カルボプラチン+nab-パクリタキセルは、ILD合併進行NSCLCの患者に対して良好な効果と忍容性を有する。



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by otowelt | 2019-11-14 00:34 | 肺癌・その他腫瘍

出生早期の抗菌薬曝露は、その後の肺機能に影響を与えるか?

e0156318_9291187.png 抗菌薬と肺の成長に関する議論。これで決着とみてよいのかどうかはわかりませんが、小児に対する抗菌薬はできるだけ選択して使われるべきですね。
 Directed Acyclic Graph(DAG)モデルの図が分かりやすかったので紹介します。

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(Directed Acyclic Graph models:文献より引用)

Santos K, et al.
Early life exposure to oral antibiotics and lung function into early adulthood
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.10.004


背景:
 出生早期の抗菌薬曝露が喘息発症に与える影響については議論が現在進行している一方で、こうした曝露が肺機能を障害する可能性があるかどうかについて、まだ十分に検討はされていない。さらに、どの種類の抗菌薬が大きな影響を与えるのか、また、抗酸化ストレス酵素であるグルタチオン S-トランスフェラーゼ (GST) スーパーファミリーの変異が大きなリスクになるかどうかについても検証した。

方法:
 われわれは、出生から2年の間に抗菌薬を投与されたアレルギー家族歴がある小児を抽出した。スパイロメトリーは児が12~18歳のときにおこない、z-スコアで示した。GST-P、GST-M、GST-T遺伝子多型について調べられた。線形回帰モデルを用いて、潜在的交絡因子を補正し、その関連性を検証した。

結果:
 抗菌薬曝露日数の増加や出生早期の抗菌薬曝露は、1秒量あるいは努力性肺活量のいずれにおいても有意な影響をおよぼさなかった。GST遺伝子多型(M1, P1, T1)が肺機能障害を上昇させるというエビデンスも示されなかった。

結論:
 経口抗菌薬の曝露日数が増えたり、出生早期に曝露されることは、アレルギー家族歴のある小児において肺機能の減少と関連していなかった。小児における抗菌薬の不適切使用は最小限に抑える必要があるが、長期的な肺の健康に対する懸念はその論拠にはならない。




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by otowelt | 2019-11-12 00:51 | 気管支喘息・COPD