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ヘロイン愛用者は呼吸機能が低下しやすい

ヘロイン愛用者は呼吸機能が低下しやすい_e0156318_1501072.png 偏見かもしれませんが、ヘロイン愛用者って追跡できるもんなんですかね。結構シビアなドラッグだと思っています。

Nightingale R, et al.
Screening heroin smokers attending community drug clinics for change in lung function: A cohort study: Lung function decline in inhaled drug users.
Chest. 2019 Nov 21. pii: S0012-3692(19)34224-2. doi: 10.1016/j.chest.2019.11.006.


背景:
 ヘロイン喫煙者は、COPD、気道合併症、入院、死亡の頻度が高い。われわれは、この集団において、症状の自然経過、肺機能の自然経過をアセスメントした。

方法:
 COPDを有するヘロイン喫煙者を18~24ヶ月追跡した。ベースラインと追跡時の呼吸器症状がMRC、CATで評価され、気管支拡張後スパイロメトリーが実施された。パラメトリック、ノンパラメトリック、および線形回帰モデルを使用して、経時的な症状と肺機能の変化を分析した。

結果:
 372人が当初登録されたが、161人が追跡時にアセスメント可能で(平均年齢51±5.3歳、74人[46%]が女性)、106人が気管支拡張後スパイロメトリーを実施できた。全被験者は、ヘロインの現・既喫煙者であり、122人(75.8%)はクラックスモーカーだった。経年的に症状は増加し、MRCは1年あたり0.48上昇(p<0.001)、CATスコアは1年あたり1.60上昇した(p<0.001)。1秒量は1年あたり90±190mL減少した(p<0.001)。この呼吸機能の悪化は、タバコやヘロインの喫煙状況の変化や吸入薬使用とは関係なかった。

結論:
 ヘロイン喫煙は、慢性気道症状に重く影響する。COPDの喫煙者と健康な非喫煙者の間で観察される、通常の加齢による1秒量低下の範囲を超える影響がある。




by otowelt | 2019-12-17 00:37 | 呼吸器その他

メタアナリシス:heterogeneous emphysemaに対するspiration valve system

 heterogeneous emphysemaに対するspiration valve system(図)のメタアナリシスです。
メタアナリシス:heterogeneous emphysemaに対するspiration valve system_e0156318_1418183.png
(spiration valve system)

(参考記事)
LIBERATE研究:heterogeneous emphysemaに対するZephyr®の12ヶ月アウトカム
TRANSFORM試験:heterogeneous emphysemaに対する気管支内バルブ(Zephyr)の多施設共同研究

Majid A, et al.
Respiration. 2019 Nov 22:1-11. doi: 10.1159/000504183.
Efficacy of the Spiration Valve System in Patients with Severe Heterogeneous Emphysema: A Systematic Review and Meta-Analysis.


背景:
 Spiration Valve System (SVS)は、重症heterogeneous emphysemaに対する代替治療法であるが、ランダム化比較試験の効果に基づくデータには不透明な部分がある。

目的:
 重症heterogeneous emphysemaおよび過膨張がある患者におけるSVSの効果と安全性を調べた。

方法:
 われわれは、PubMed, EMBASE, コクランのデータベースを用いた。2019年8月までの検索を対象とした。ランダム化比較試験のみを解析に組み込んだ。バイアスリスクはコクランのバイアスリスクツールを用いた。メタアナリシスでは、1秒量の変化、6分間歩行試験、残気量、mMRC、SGRQスコア、総死亡、気胸リスク、COPD増悪リスクについて評価した。エビデンスの質はGRADEアプローチを用いて評価した。

結果:
 629人の患者を含んだ4つのランダム化比較試験が登録された。SVSは、ベースラインから1秒量0.03L(95%信頼区間-0.07~0.13、I2=100%)、予測1秒量(%)2.03%(95%信頼区間-2.50~6.57, I2= 96%)の変化をもたらしたが、側副換気(CV)がない患者にしぼった研究では1秒量は0.12L(95%信頼区間0.09~0.015、I2=0%)の改善だった。このサブグループでは、SGRQスコアは-12.27点(95%信頼区間-15.84~-8.70、I2=0%)、mMRCは-0.54(95%信頼区間-0.74~-0.33、I2=0%)と良好な変化がみられた。6分間歩行距離の平均変化には利益はもたらさなかった(-4.54m, 95%信頼区間-21.88~31.00、I2=73%)。死亡の相対リスクは2.54(95%信頼区間0.81~7.96、I2=0%)、気胸の相対リスクは3.3(95%信頼区間0.61~18.12、I2=0%)、COPD増悪のリスクは1.68(95%信頼区間1.04~2.70、I2=0%)。

結論:
 CVがない重症heterogeneous emphysemaおよび過膨張がある患者において、SVSは肺機能、QOL、呼吸困難スコアの改善が期待できる代替治療である。




by otowelt | 2019-12-16 00:51 | 気管支喘息・COPD

ブデホル®薬価収載

ブデホル®薬価収載_e0156318_82080.png 喘息診療医には大きなニュースです。ブデホル®という名前はこの1年ずっと耳にしていましたが、ニプロ以外の2社で正式に認可がおりたようですね。


 2019年12月13日付でジェネリックが薬価収載となった薬品は以下の通りです。

■制吐薬「イメンド」(一般名・アプレピタント、小野薬品工業)
■抗HIV薬「エプジコム」(ラミブジン/アバカビル硫酸塩、ヴィーブヘルスケア)
■抗真菌薬「ファンガード」(ミカファンギンナトリウム、アステラス製薬)
■抗サイトメガロウイルス薬「デノシン」(ガンシクロビル、田辺三菱製薬)
■喘息・COPD治療薬「シムビコート」(ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物、アストラゼネカ)
■喘息治療薬「パルミコート吸入液」(ブデソニド、アストラゼネカ)



ブデホル®の添付文書によると、

「通常、成人には、維持療法として1回1吸入(ブデソニドとして160μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として4.5μg)を1日2回吸入投与する。なお、症状に応じて増減するが、維持療法としての1日の最高量は1回4吸入1日2回(合計8吸入:ブデソニドとして1280μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として36μg)までとする。
 維持療法として1回1吸入あるいは2吸入を1日2回投与している患者は、発作発現時に本剤の頓用吸入を追加で行うことができる。本剤を維持療法に加えて頓用吸入する場合は、発作発現時に1吸入する。数分経過しても発作が持続する場合には、さらに追加で1吸入する。必要に応じてこれを繰り返すが、1回の発作発現につき、最大6吸入までとする。
 維持療法と頓用吸入を合計した本剤の1日の最高量は、通常8吸入までとするが、一時的に1日合計12吸入(ブデソニドとして1920μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として54μg)まで増量可能である。


とあり、SMART療法が可能となっています。





by otowelt | 2019-12-13 07:58 | 気管支喘息・COPD

健常人の3人に1人がブラやブレブを持っている

健常人の3人に1人がブラやブレブを持っている_e0156318_1543237.jpg これは驚いた。

de Bakker HM, et al.
Prevalence of pulmonary bullae and blebs in post-mortem computed tomography with potential implications for diving medicine: Prevalence of pulmonary bullae and blebs.
Chest. 2019 Nov 21. pii: S0012-3692(19)34226-6. doi: 10.1016/j.chest.2019.11.008.


背景:
 肺のブラやブレブは、気胸を起こしうる。健康集団におけるこれらの有病率は現在不明である。われわれは、法医学データベースの死後CT(PMCT)を用いて、健康なオランダ人成人集団における肺のブラ/ブレブの有病率を調べた。また、ダイビングの禁忌と見なされることが多いダイビング医学へのこれらの影響を判断した。

方法:
 肺疾患を有さないオランダ人成人集団130人において、法医学のPMCTを用いてブラ/ブレブの存在を解析した。肺は損傷なく拡張し、呼吸器疾患の徴候がない状態を条件とした。通常の初期の死後の変化は許容した。

結果:
 解析は10歳ごとに行われた。

■グループI(21~30歳):26人
 ブレブは4人に、ブラ/ブレブは1人に観察された。

■グループII(31~40歳):28人
 ブレブは9人に、ブラは1人に観察された。

■グループIII(41~50歳):27人
 ブレブは9人に、ブラは1人に、ブラ/ブレブは4人に観察された。

■グループIV(51~50歳):28人
 ブレブは7人に、ブラ/ブレブは2人に観察された。

■グループV(61~70歳):21人
 ブレブは3人に、ブラは1人に、ブラ/ブレブは2人に観察された。

平均すると、ほとんどのブラ/ブレブは10mmより小さく、20mmを超えるものはなかった。
 
結論:
 肺PMCTを再評価すると、基礎に肺疾患がない一般集団の3人に1人(33.8%、95%信頼区間25.7-41.9%)が小さなブラやブレブを有しているという驚くべき結果が判明した。この知見は、ダイビング医学に潜在的な影響を与える可能性がある。


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by otowelt | 2019-12-13 00:29 | 呼吸器その他

COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌発症を減少"させない"

COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌発症を減少\"させない\"_e0156318_1633480.jpg COPD患者さんに対するICSは肺癌を減らすという知見が普及していましたが、否定的な研究結果が出てきました。

参考記事:COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌リスクを減少

 まぁ、どっちみち臨床的実感はなかったのですが・・・。

Suissa S, et al.
Inhaled corticosteroid use and the incidence of lung cancer in COPD.
Eur Respir J. 2019 Nov 19. pii: 1901720. doi: 10.1183/13993003.01720-2019.


背景:
 吸入ステロイド(ICS)は肺癌の潜在的な化学予防効果があるとされている。複数のCOPD患者の観察研究では結果が一致しておらず、ICS使用による肺癌の減少あるいは効果はないという見解に分かれた。一部の研究に影響を与えているであろうバイアスを回避する手法により、この関連性を評価した。

方法:
 ケベック州ヘルスケアデータベースを用いて、2000年~2014年に、長時間作用性気管支拡張薬を新規に用いたCOPD患者コホートを同定し、2015年まで追跡し肺癌の発生をみた。初発症状バイアス(protopathic bias)を回避するために、コホート登録から1年遅らせる手法が用いられた。ICS開始後から1年の潜期を設定した。共変数を補正した時間依存性Cox回帰モデルを用いて、ICS曝露に関連した肺癌のハザード比を推定した。

結果:
 コホートには58177人が組み入れられ、ICS投与を受けたのは63%だった。平均追跡期間5年で肺癌が954人に発症した。非ICS曝露と比較したICS曝露による肺癌の補正ハザード比は0.94(95%信頼区間0.81-1.07)だった。4年を超えるICS曝露を受けていても、ハザード比は不変だった(0.86、95%信頼区間0.70-1.07)。平均ICS用量が多い場合(フルチカゾン相当量で>1000μg)のハザード比は1.50だった(95%信頼区間0.88-2.57)。
COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌発症を減少\"させない\"_e0156318_13433197.png
(文献より引用:ICSと肺癌)

結論:
 COPD患者において、ICSは肺癌の減少とは関連していなかった。観察研究における減少が起こった理由として、時間関連バイアスの影響と、喘息患者を組み入れてしまったことが挙げられる。
ランダム化試験を提案する場合、ある程度注意が必要である。



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by otowelt | 2019-12-12 00:47 | 気管支喘息・COPD

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?_e0156318_1543237.jpg 公立陶生病院の武井玲生仁先生の論文です。Morissetらの診断基準は、2年前の「ポケット呼吸器診療2018」から掲載していますが、そもそもCHPの診断自体にコンセンサスがないので、どうしようもないなぁと思っています。50%とか70%とか、完全に主観ですし・・・。
 CHPの世界は、トートロジーにあふれています。
 そのため、「MDDによるCHP診断」というのがリファレンスとして妥当なのかどうか、議論が必要ではないでしょうか。

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?_e0156318_1652254.jpg
(2017年Morissetらの提唱したCHP診断基準[ポケット呼吸器診療2019より])

Takei R, et al.
Usefulness of new diagnostic criteria for chronic hypersensitivity pneumonitis established on the basis of a Delphi survey: A Japanese cohort study
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2019.10.001


背景:
 慢性過敏性肺炎(CHP)は、さまざまな有機分子に繰り返し曝露されて引き起こされる線維性間質性肺疾患(ILD)である。2017年11月に、ILD専門家による修正Delphiサーベイに基づいてMorissetらにより新たなCHP診断基準が提唱された。しかしながら、この基準がCHPの確診に有用化どうかはまだわかっていない。われわれは、新たに提唱されたこのCHP診断基準を評価した。

方法:
 われわれは2008~2015年に外科的肺生検を受けた日本人の連続患者に、後ろ向きにMorissetのCHP診断基準を適用した。全患者は気管支肺胞洗浄および肺機能検査を受けた。膠原病合併例や急性・亜急性過敏性肺炎例は除外された。

結果:
 251人の患者が登録された。多面的検討(MDD)に基づいてCHPと診断されたのは27人で、特発性肺線維症117人、分類不能型間質性肺炎65人、他疾患42人だった。27人のMDD-CHP患者のうち、14人が50%を超える信頼性でもってCHPと分類され、13人は分類されなかった(感度51.9%、特異度77.7%)。MorissetのCHP診断基準により、7人の患者がCHP診断のための外科的肺生検を回避することができた。50%を超える信頼性でもってCHPと分類されなかった13人のMDD-CHP患者の除外理由は、CHP特徴を有さないinconsistent with UIPパターンであった。
 CHPの特徴を有さないinconsistent with UIPパターンを組み込んだ“修正MorissetのCHP診断基準”を採用すると、感度92.6%、特異度64.7%まで上昇した。
Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?_e0156318_16172439.png
(修正MorissetのCHP診断基準)

結論:
 MDD-CHP患者の半分が、MorissetのCHP診断基準を用いてCHPと診断された。CHPの診断基準を改善させるためにさらなる研究が重要である。


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by otowelt | 2019-12-10 00:44 | びまん性肺疾患

IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用

IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用_e0156318_10574046.jpg 健康コントロールで検出されない、というのがミソかなと思います。
 S100Aはたくさんのアイソフォームがある二量体で、このうちA4は線維芽細胞で高率に発現していることが知られています。

Akiyama N, et al.
Clinical significance of serum S100 calcium-binding protein A4 in idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2019 Oct 9. doi: 10.1111/resp.13707.


背景および目的:
 特発性肺線維症(IPF)、予後不良の進行性の間質性肺疾患である。IPFのアウトカムを予測する血清バイオマーカーは確立されていない。S100カルシウム結合タンパクA4(S100A4)は、線維芽細胞のマーカーと考えられているが、臨床応用についてはまだ不透明である。われわれは、IPF患者におけるS100A4の臨床的信頼性について評価した。

方法:
 95人IPFの連続患者と50人の健康コントロールにおいて、ELISAを用いて血清S100A4値を測定した。両群に年齢・性差はなかった。Kaplan-Meier法およびCoxハザード解析を用いて、免疫組織化学/免疫蛍光染色と疾患進行(肺機能の悪化あるいは死亡と定義)の関連を調べた。

結果:
 血清S100A4値は、健康コントロール患者全員で検出できず、IPF患者では26人(27.3%)に検出された。
IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用_e0156318_9354057.png
(ベースラインの血清S100A4値:文献より引用)

 IPF患者における肺組織の免疫染色では、線維芽細胞巣と線維化領域の周囲にS100A4発現細胞が多数観察された。カットオフ値を22.3ng/mLにすると(感度42.9%、特異度83.3%)、血清S100A4値が高いIPF患者は、低値の患者と比較して有意に予後不良であった(2年累積生存率41.7% vs 77.0%, P < 0.01)。
IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用_e0156318_9392428.png
(Kaplan-Meier曲線:文献より引用)

 多変量解析において、ベースラインの血清S100A4値が10ng/mL増えるごとに疾患進行リスク(オッズ比1.06、p=0.01)と死亡リスク(ハザード比1.18、p=0.03)が上昇した。

結論:
 血清S100A4は、IPFの疾患進行/死亡を良くするかもしれないバイオマーカーである。この知見は、IPFの治療戦略の手助けになるかもしれない。




by otowelt | 2019-12-09 00:27 | びまん性肺疾患

IMpower133試験日本人サブグループ解析

IMpower133試験日本人サブグループ解析_e0156318_11251862.png 小細胞肺癌の歴史を変えたIMpower133試験の日本人サブグループ解析です。

・参考記事:IMpower133試験 :ED-SCLCに対する化学療法+アテゾリズマブは全生存期間を延長

Nishio M, et al.
Subgroup Analysis of Japanese Patients in a Phase III Study of Atezolizumab in Extensive-stage Small-cell Lung Cancer (IMpower133).
Clin Lung Cancer. 2019 Nov;20(6):469-476.e1.


背景:
 アテゾリズマブは進展型小細胞肺(ED-SCLC)患者に対して有効で忍容性のよい薬剤であるが、アジア人と白人では治療効果の差異が存在する。今回、IMpower133試験の日本人サブグループ解析結果を報告する。

患者および方法:
 今回の多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験の主な適格基準は、18歳以上、組織診、細胞診でED-SCLCと確認されている者、RECIST判定が可能、ECOG PS0~1、ED-SCLCに対する投薬歴がない、である。
 患者はカルボプラチン(AUC 5)+エトポシド(100mg/m2)に、アテゾリズマブ1200mg/bodyあるいはプラセボを併用する治療を受けた。プライマリエンドポイントは、ITT集団における全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)である。403人がランダム化され、42人が日本の施設で組み入れられた。

結果:
 日本人サブグループにおけるITT解析では、アテゾリズマブ群(20人)のOS中央値は14.6ヶ月(95%信頼区間11.8-17.8ヶ月)で、プラセボ群(22人)の11.9ヶ月(95%信頼区間8.4-15.8ヶ月)より有意に長かった(ハザード比0.72、95%信頼区間0.31-1.67)。PFS中央値はアテゾリズマブ群4.5ヶ月(95%信頼区間4.2-8.1ヶ月)、プラセボ群4.0ヶ月(95%信頼区間2.9-5.6ヶ月)だった(ハザード比0.47、95%信頼区間0.23-0.96)。アテゾリズマブは全体的に忍容性が良好で、治療関連死はなかった。

結論:
 日本人ED-SCLCに対するカルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ併用療法は有効かつ忍容性良好だった。この結果は、IMpower133試験全体の主要解析結果と一致していた。



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by otowelt | 2019-12-07 00:57 | 肺癌・その他腫瘍

Mycobacteroides abscessusに対するチゲサイクリン

Mycobacteroides abscessusに対するチゲサイクリン_e0156318_2257030.png 本当に効いているのだろうか・・・。

Kwon YS, et al.
Efficacy and safety of tigecycline for Mycobacterium abscessus disease.
Respir Med. 2019 Oct 8;158:89-91.


目的:
 Mycobacteroides abscessusは、抗酸菌感染症の中でももっとも治療困難で、通常の抗菌薬に耐性を示すことが知られている。この研究の目的は、同菌に対するチゲサイクリンの効果と安全性を評価することである。

方法:
 National Jewish Healthにおいて2009年1月から2019年12月までにチゲサイクリンの投与を受けたM. abscessus感染症の患者を抽出した。

結果:
 35人が同定され、肺疾患がもっともよくみられた(29人、82.9%)。チゲサイクリンを投与された患者のうち、17.4%で微生物学的な改善(2回連続喀痰培養陰性)がみられ86.2%で症状の改善がみられ、59.3%で放射線学的な改善がみられた。副作用によるチゲサイクリンの減量ないし中止は、57.1%にみられた(中央値56.5日、IQR10.8-122.3日)。もっともよくみられた副作用は、悪心、嘔吐、下痢といった消化器症状であった。

結論:
 M. abscessusに対するチゲサイクリン含有レジメンは、症状や放射線学的を高い頻度で改善させるが、微生物学的な効果は不良であり、副作用が多かった。選択された患者ではこの抗菌薬を注意深く用いてもよいかもしれない。




by otowelt | 2019-12-06 00:06 | 抗酸菌感染症

無熱性市中肺炎でも血培陽性になりうる

無熱性市中肺炎でも血培陽性になりうる_e0156318_16271270.jpg 直近のATS/IDSAガイドラインでは、重症CAPの場合に血液培養を採取することを推奨しています。

・参考記事:ATS/IDSA成人市中肺炎ガイドライン2019

 発熱があるかどうかより、CURB-65の重要性が強調されています。

Forstner C, et al.
Rate and predictors of bacteremia in afebrile community-acquired pneumonia.
Chest. 2019 Oct 26. pii: S0012-3692(19)34102-9. doi: 10.1016/j.chest.2019.10.006.


背景:
 血液培養は、菌血症を同定するゴールドスタンダードであるが、市中肺炎患者に対する血液培養の有用性についてはさまざまな意見がある。この研究で、CAP患者と無熱性菌血症の頻度を記述し、無熱性患者における血液培養の必要性を予測する臨床的特徴を同定した。

方法:
 菌血症の頻度は、複数国のコホート研究CAPNETSに登録された4349人の市中肺炎患者で調べられた。また、初診時の発熱の有無によって層別化した(有熱性2152人、無熱性2174人、低体温23人)。後ろ向きに、無熱性患者における菌血症の独立予測因子をロジスティック回帰分析を用いて調べた。

結果:
 菌血症を伴う肺炎は、発熱があった2116人のうち190人(8.9%)にみられ、無熱性2149人のうち101人(4.7%)、低体温患者23人のうち1人(4.3%)にみられた。菌血症の頻度は、CURB-65スコア0の患者で3.5%だったが、CURB-65スコア4点では17.1%まで上昇した。無熱性菌血症患者は、28日死亡率がもっとも高かった(9.9%)。尿中肺炎球菌抗原陽性(補正オッズ比4.6、95%信頼区間2.6-8.2)、CRP>200mg/L(補正オッズ比3.1、95%信頼区間1.9-5.2)、BUN≧30mg/dL(補正オッズ比3.1、95%信頼区間1.9-5.3)は、無熱性患者における菌血症の独立予測因子であった。また、治療前抗菌薬の使用(補正オッズ比0.3、95%信頼区間0.1-0.6)は、菌血症ではないことを予測する独立因子だった。

結論:
 菌血症を伴う市中肺炎患者の一定数が無熱性であった。これらの患者は、有熱性の菌血症あるいは菌血症を伴う肺炎と比較して死亡率が高かった。したがって、血液培養の必要性をみる指標として、「発熱」については再考を要する。



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無熱性市中肺炎でも血培陽性になりうる_e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-12-05 00:56 | 感染症全般