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メタアナリシス:小児の自然気胸マネジメント

メタアナリシス:小児の自然気胸マネジメント_e0156318_22312912.png 小児の自然気胸に対して、外科的マネジメントを早期から考慮すべきかどうかという悩ましい問題に一石を投じるメタアナリシスです。

Miscia ME, et al.
Management of Spontaneous Pneumothorax in Children: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Eur J Pediatr Surg. 2020 Jan 3. doi: 10.1055/s-0039-3402522.


背景:
 原発性自然気胸のマネジメントは主に成人のエビデンスに基づいている。小児のマネジメントにはまだ議論の余地がある。われわれは、以下について調べた。

保存的マネジメント(例:酸素投与のみで経過観察する)、穿刺吸引/胸腔ドレーン挿入、外科的マネジメントの間の入院期間の違い
非外科手術と外科手術を比較した再発リスクの違い
ブラの存在による再発リスク


方法:
 3人の独立した研究者が、小児における原発性自然気胸のマネジメントに関する全研究を検索した。症例報告、エキスパートオピニオン、グレー文献は除外された。PRISMAガイドラインにのっとってメタナアリシスが実施された。

結果:
 3089のアブストラクトがスクリーニングされ、95文献のフルテキストが解析され、23文献が定量的解析に組み込まれ、16文献がメタアナリシスされた(患者数1633人)。
 入院期間は、保存的マネジメントと外科的マネジメントで同等だった(6.2 ± 0.8日 vs 5.9 ± 1.4日; 有意差なし)。原発性自然気胸の再発は、非外科的マネジメントを適用された小児で有意に高かった(32% vs 18%; p = 0.002)。穿刺吸引/胸腔ドレーン挿入を受けた患者では、保存的マネジメントを受けた患者よりわずかに再発率が高かった(34% vs 27%; p = 0.05)。再発リスクは、ブラの道程の有無とは関連していなかった。

結論:
 小児の原発性自然気胸の標準マネジメントに関するエビデンスが不足していたが、この研究により、外科手術を初期治療マネジメントに適用することが良好なアウトカムをもたらすことが示された。




by otowelt | 2020-01-25 00:14 | 呼吸器その他

COPD急性増悪に対するPEP治療デバイス(Acapella Choice)は入院期間を短縮させる

COPD急性増悪に対するPEP治療デバイス(Acapella Choice)は入院期間を短縮させる_e0156318_16173294.png COPD急性増悪に対するAcapella choiceの臨床試験です。AcapellaについてはYouTubeにたくさん動画が転がっています。

・YouTube:Acapella | An introduction to Physiology and Vibratory PEP Therapy

Milan S, et al.
Positive Expiratory Pressure Therapy With And Without Oscillation And Hospital Length Of Stay For Acute Exacerbation Of Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Nov 20;14:2553-2561.


背景:
 COPD急性増悪の薬物マネジメントはよく確立されている。われわれの研究は、 振動メカニズム(OM)を併用あるいは併用していないPEP(positive expiratory pressure)治療デバイスを通常ケアの加えることで、COPD急性増悪患者の在院日数を減少できるかどうか調べることを目的とした。

方法:
 2研究が実施され、今回報告された。試験1:COPD急性増悪と喀痰で入院した患者を、PEP治療 vs 振動PEP(OPEP)治療を前向きに比較した(OPEP治療:Acapella Choice, Smiths Medical, Minneapolis)。試験2:年齢、性別、入院季節で2:1にマッチさせた群を比較対照とした後ろ向きコホート研究で、PEP±OMと通常ケアを比較した。

結果:
 前向き試験(試験1:91人)では、入院期間中央値はOPEP群3.2日(95%信頼区間3.0-4.3)、PEP群4.8日(95%信頼区間3.9-6.1)だった(p=0.16)。試験1に登録された前向き試験データと後向きコホートを比較した補正モデルでは(試験2:182人)、入院期間中央値は4.2日(95%信頼区間3.8-5.1)vs 5.2日(95%信頼区間4.4-6.0)だった(p=0.04)。
COPD急性増悪に対するPEP治療デバイス(Acapella Choice)は入院期間を短縮させる_e0156318_1692323.png
(Kaplan-Meier曲線:文献より引用)

結論:
 通常ケアにPEPデバイスを用いたケアにより、COPD急性増悪の入院期間を減らすことができるかもしれない。PEP治療にOMコンポーネントを加えることで、さらに入院期間を減らすことができるが、包括的多施設共同ランダム化比較試験が必要である。


by otowelt | 2020-01-23 00:53 | 気管支喘息・COPD

自然気胸における胸腔内圧測定

自然気胸における胸腔内圧測定_e0156318_2382080.png 胸腔内圧が気胸マネジメントに有用なら、結構これから楽しみな材料になりそうです。胸腔内圧が非侵襲的に測定できれば言うことないのですが。

Kaneda H, et al.
Measurement of intrapleural pressure in patients with spontaneous pneumothorax: a pilot study.
BMC Pulm Med. 2019 Dec 30;19(1):267.


背景:
 気胸の初期マネジメントにはいまだ議論の余地があり、これは初期マネジメントに際してエアリークを評価する良い方法がないためと推測した。われわれは、胸部ドレナージを必要としないエアリークに対処すべく、気胸の胸腔内圧を測定するシステムを開発した。この臨床研究の目的は、当該システムの精度を調べ、エアリークをマネジメントする上での臨床的影響を判断することである。

方法:
 自然気胸に対して穿刺吸引が必要である患者が研究に登録された。胸腔内圧は、安静呼吸時に測定され、患者が咳をしているときの記録は除外された。 
 胸腔内圧は、患者が側臥位になった状態で、気胸側を上にして測定された。胸腔は16G針で穿刺され、圧力計に接続された(DHM-01-4kP, 75 × 135 × 35 mm, 212 g, Kobata Gauge Mfg. Co., Ltd., Osaka, Japan, http://www.kobata.co.jp)。測定中30秒間にわたって針は術者に保持された。この間、呼吸数は10~15サイクルとなる。
自然気胸における胸腔内圧測定_e0156318_2315114.png
(圧力計接続システム:文献より引用)

結果:
 11人の患者(8人男性、3人女性)が2016年12月~2017年7月に登録された。気胸の度合いに応じて、胸腔内圧の変化パターンは大きく異なった。遷延性エアリークがある患者の吸気終末・呼気終末の平均胸腔内陰圧は、遷延性エアリークがない患者と比較して有意に低かった(1.66cmH2O vs -3.67cmH2O, p=0.020)。吸気終末・呼気終末の陰圧が記録された数は、遷延性エアリークがある患者のほうが遷延性エアリークのない患者と比較して有意に少なかった(1 vs 6, p = 0.0060)。

結論:
 この研究では、気胸患者の胸腔内圧を正常に測定し可視化できることを実証した。圧力値が遷延性エアリークの予測因子になるかどうかは、将来的に確認する必要がある。




by otowelt | 2020-01-22 00:30 | 呼吸器その他

メタアナリシス:CTガイド下生検後気胸のリスク因子

メタアナリシス:CTガイド下生検後気胸のリスク因子_e0156318_22272440.png CTガイド下生検のエビデンスが蓄積されてきましたね。BioSentry™を用いること、生検後に生検側を下にすることが重要です。

・参考記事:CTガイド下生検のあと、生検側を下にすると気胸が減る
・参考記事:CTガイド下生検後の気胸を減らす方法
・参考記事:CTガイド下針生検後の気胸のリスク因子
・参考記事:経皮的肺生検後の気胸を抑制するデバイス:BioSentry™

Huo YR, et al.
Pneumothorax rates in CT-Guided lung biopsies: A comprehensive systematic review and Meta-Analysis of risk factors.
Br J Radiol. 2019 Dec 20:20190866. doi: 10.1259/bjr.20190866.


目的:
 このシステマティックレビューとメタアナリシスでは、CTガイド下肺生検後の気胸のリスク因子について調べた。

方法:
 CTガイド下生検開始から2019年9月までに、9つのデータベースが同定された。

結果:
 36論文23104人の患者が解析に組み込まれた。全体の気胸発症頻度は25.9%で、胸腔ドレーン挿入頻度は6.9%だった。腹臥位あるいは仰臥位と比べて生検側を下にする側臥位にすることで気胸リスクは有意に減少した(オッズ比3.15)。反面、腹臥位あるいは仰臥位と比べて生検側を上にした仰臥位では気胸リスクが増加した。その他のリスク因子として、穿刺部位を下方にするより上方にした処置(オッズ比4.79)、18G超の大口径ガイド針(18G以下と比較)(オッズ比1.55)、葉間貫通(オッズ比3.75)、ブラ貫通(オッズ比6.13)、複数の胸膜穿刺(オッズ比2.43)、複数の非同軸組織採取(オッズ比1.99)、気腫肺(オッズ比3.33)、4cm未満の病変(オッズ比2.09)、胸膜直下にない病変(オッズ比1.73)、3cm以上の深部病変(オッズ比2.38)があった。

結論:
 このメタアナリシスは、CTガイド下肺生検を計画・実行する際、とりわけ患者の体位を変換させることで気胸発生率を減らすことができることを示した。


by otowelt | 2020-01-21 00:07 | 呼吸器その他

メタアナリシス:世界の結核治療成功率

メタアナリシス:世界の結核治療成功率_e0156318_231239.png 研究デザインがごちゃまぜの解析ですが、アメリカの治療成功率がかなり低いですね。

Chaves Torres NM, et al.
Factors predictive of the success of tuberculosis treatment: A systematic review with meta-analysis.
PLoS One. 2019 Dec 27;14(12):e0226507.


目的:
 結核治療の世界的な結果のプール推定値を算出し、TB治療成功の予測因子を分析すること。

方法:
 肺結核の治療結果および結果に影響する因子について報告した、2014年から2019年までに出版された研究を用いた。ランダム効果モデルを用いて、オッズ比と95%信頼区間を算出した。

結果:
 合計151研究が基準を満たした。95が後ろ向きコホート研究、28が横断研究、25が前向きコホート研究、3が症例対照研究だった。成人の研究が91、小児の研究が7だった。また、HIV共感染患者を扱った研究は15で、多剤耐性結核/超多剤耐性結核の研究は15だった。
 成人における薬剤感受性結核の治療成功率は80.1%(95%信頼区間78.4-81.7%)だった。高い異質性(I2=99.8%)が観察されたが、出版バイアスはみられなかった。
 アメリカの治療成功率が最も低く、75.9%だった(95%信頼区間73.8-77.9%)。オセアニアが最も高く、83.9%(95%信頼区間75.2-91.0%)だった。
メタアナリシス:世界の結核治療成功率_e0156318_2310221.png
(世界の結核治療成功率:文献より引用)

 小児では、治療成功率は84.8%(95%信頼区間77.7-90.7%)だった。HIV共感染患者の治療成功率は71.0%(95%信頼区間63.7-77.8%)で、多剤耐性結核では58.4%(95%信頼区間51.4-64.6%)、超多剤耐性結核では27.1%(95%信頼区間12.7-44.5%)だった。
 治療開始2ヶ月後の喀痰抗酸菌塗抹検査が陰性の場合、治療成功率は約3倍高かった(オッズ比2.7、95%信頼区間1.5-4.8)。また、65歳未満の若年(オッズ比2.0、95%信頼区間1.7-2.4)、非飲酒者(オッズ比2.0、95%信頼区間1.6-2.4)、HIV陰性患者(オッズ比1.9、95%信頼区間1.6-2.5)も治療成功率が高かった。

結論:
 世界的に結核の治療成功率は良好だったが、それでもなお85%を下回っている。年齢、性別、アルコール消費量、喫煙、治療開始2ヶ月目の喀痰陰性化、HIV感染症は結核の治療成功に影響を与える。
 

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by otowelt | 2020-01-20 00:28 | 抗酸菌感染症

COPDにおけるICS/LABAはどれが最良か?

COPDにおけるICS/LABAはどれが最良か?_e0156318_17471513.png シムビコート®、Fostair®がアドエア®よりもCOPDに適しているというエビデンスになりそうです。ジェネリックが登場したので、個人的にはシムビコート®はブデホル®にスイッチしています。

Ting-Yu Chang, et al.
Comparative Safety and Effectiveness of Inhaled Corticosteroids and Long-Acting β2 Agonist Combinations in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.12.006


背景:
 COPD患者では、吸入ステロイド(ICS)の薬剤間の肺炎リスク差は、特にベクロメタゾン含有の場合、議論の余地がある。この研究は、COPD患者におけるICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)併用のリスクとベネフィットのプロファイルを比較することである。

方法:
 2009年~2015年において台湾の国民健康保険請求データを使用した後ろ向きコホート研究を実施し、新規にICS/LABAを使用したCOPD患者を含めた。傾向スコアマッチとCox回帰モデルを用いて、異なるICS/LABA使用による重症肺炎と急性増悪のハザード比を推定した。

結果:
 42393人のICS/LABA新規使用者が同定され、フルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール(FLU/SAL)DPIが7182人、ブデソニド/ホルモテロール(BUD/FOR) DPIが9587人だった。BUD/FOR DPIおよびベクロメタゾン/ホルモテロール(BEC/FOR)の定用量噴霧(MDI)は、FLU/SALのDPI・MDIと比較して、重症肺炎(BUD/FOR ハザード比0.83 [95%信頼区間0.70-0.98], BEC/FOR ハザード比0.69 [95%信頼区間0.58-0.81]) 、重症増悪(BUD/FOR ハザード比0.88 [95%信頼区間0.78-0.99], BEC/FOR ハザード比0.90 [95%信頼区間0.84-0.96])のリスクが低かった。平均一日ICS用量で補正すると、BUD/FOR DPI使用者は重症肺炎のリスクが依然として低かった(18%)が、BEC/FOR MDI使用者では有意ではなかった。この結果は、事前に指定されたサブグループのほとんどにおいて、すべての感度分析で一貫していた。
COPDにおけるICS/LABAはどれが最良か?_e0156318_1863130.png
(重症肺炎と重症急性増悪のリスク:文献より改変引用)

 FLU/SAL MDIの1日平均用量が500μgを超える高用量群では、重症肺炎のリスクが低用量群よりも66%高かった(補正ハザード比1.66、95%信頼区間1.03-2.70)。BEC/FORの1日平均用量が200-400μgの中用量群では、重症亜飛円のリスクが低用量群よりも38%高かった(補正ハザード比1.38、95%信頼区間1.08-1.81)。

結論:
 この研究は、COPD患者におけるICS/LABAの組み合わせの安全性・有効性の結果に関する既存のエビデンスを補強するものであり、臨床的治療の決定に適用できるかもしれない。




by otowelt | 2020-01-17 00:24 | 気管支喘息・COPD

COSYCONET試験:安定期COPDにおける高感度トロポニンIは死亡リスク因子

COSYCONET試験:安定期COPDにおける高感度トロポニンIは死亡リスク因子_e0156318_13312058.png かなり気合の入った多施設共同研究ですね。

Waschki B, et al.
High-sensitivity troponin I and all-cause mortality in patients with stable COPD: An analysis of the COSYCONET study
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.01314-2019


背景:
 COPDは世界的に主要な死因であり、かなりの人が心血管疾患で死亡している。高感度トロポニンI(hs-TnI)は、死亡リスクが高いCOPD患者の特定に役立つ可能性がある。安定期COPDの集団において、関連する心血管リスク因子および一般的な心血管疾患を考慮したうえで、現行のCOPD評価より精度が高く総死亡率を予測するためにhs-TnIが有用かどうかを調べた。。

方法:
 多施設共同研究COSYCONET試験では、全病期の安定期COPD患者2085人において、呼吸器系・心血管系マーカーとともにhs-TnIが測定された。プライマリアウトカムは追跡3年間の総死亡とした。

結果:
 hs-TnIは2020人(96.9%)の患者で検出可能であった。hs-TnI濃度中央値は3.8 ng/L (IQR, 2.5‒6.6 ng/L)であり、1.8%の患者が99パーセンタイルである27ng/Lを上回っていた。気流閉塞、呼吸困難グレード、運動耐容能、重症増悪歴、従来報告されている心血管系リスク因子であるeGFR・ABI・NT-proBNP・心血管系疾患の既往で補正したCox回帰分析では、hs-TnIは総死亡の有意な予測因子であった(連続変数:log hs-TnIに対するハザード比1.28 [95%信頼区間1.01‒1.62]、カットオフ値6 ng/L (ハザード比1.63 [95%信頼区間1.10‒2.42])。

結論:
 安定期COPD患者において、hs-TnIはこれまで確立されていたCOPD死亡予測因子を超える強い死亡予測能を有することが分かった。また、さまざまな心血管系リスク因子とは独立して認められる知見であった。




by otowelt | 2020-01-16 00:30 | 気管支喘息・COPD

IMPACT試験の日本人サブグループ解析

IMPACT試験の日本人サブグループ解析_e0156318_1051535.jpg IMPACT試験の日本人サブグループ解析の結果です。いろいろ迷いましたが、記事にします。
 元のIMPACT試験の記事はこちら。

IMPACT試験:COPDにおけるトリプル吸入療法は中等症あるいは重症COPD増悪を抑制

Kato M, et al.
The IMPACT Study - Single Inhaler Triple Therapy (FF/UMEC/VI) Versus FF/VI And UMEC/VI In Patients With COPD: Efficacy And Safety In A Japanese Population.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Dec 6;14:2849-2861.


目的:
 有症状COPDおよび増悪歴のある患者に対して、単一吸入デバイスによるフルチカゾンフランカルボン酸/ウメクリジニウム/ビランテロール(FF/UMEC/VI)のトリプル吸入療法は、FF/VIあるいはUMEC/VIのダブル吸入療法と比較して、中等症/重症の増悪率を減らし肺機能と健康ステータスを改善させることがIMPACT試験で示された。この有効性と安全性を登録日本人患者で解析した。

患者および方法:
 IMPACT試験は、52週間の1日1回FF100μg+UMEC62.5μg+VI25μgのトリプル吸入療法を受けた群と、FF/VIあるいはUMEC/VIのダブル吸入療法を受けた群を比較した、ランダム化二重盲検比較試験である。患者は40歳以上の有症状COPD患者で、過去1年に1回以上の中等症/重症増悪を経験しているものとした。プライマリアウトカムは、治療中の中等症/重症のCOPD増悪年間発生率とした。そのほか、初回中等症/重症増悪までの期間、ベースラインから52週目までの1秒量、気管支拡張後1秒量、SGRQスコア、CATスコアの変化量をエンドポイントに組み入れた。安全性も解析された。

結果:
 日本人サブグループは、IMPACT ITT集団の4%(10355人中378人)だった。日本人サブグループにおいて、FF/UMEC/VIは中等症/重症の年間増悪発生率をFF/VIより15%(95%信頼区間-20~40)、UMEC/VIより36%(95%信頼区間6~57)減少させた。FF/UMEC/VIは、中等症/重症増悪リスク(初回までの期間)、肺機能、健康ステータスについてもダブル吸入療法より改善させた。これらの結果は、IMPACT ITT集団と同様のものであった。新たな安全性懸念はみられなかった。肺炎発症頻度はFF/UMEC/VIとFF/VIのほうがUMEC/VIよりも高かった。

結論:
 これらの結果は、有症状COPDで過去1年に増悪歴のある日本人患者に対してFF/UMEC/VIはFF/VIあるいはUMEC/VIの併用療法よりも医学的利益があることを示している。





by otowelt | 2020-01-14 00:08 | 気管支喘息・COPD

北海道COPDコホート研究:血清α-1アンチトリプシン濃度が高いCOPD患者は予後不良

北海道COPDコホート研究:血清α-1アンチトリプシン濃度が高いCOPD患者は予後不良_e0156318_23473448.png もしやと思って測定するα-1アンチトリプシン。高値の場合、COPDの予後が不良かもしれません。

Takei N, et al.
Serum Alpha-1 Antitrypsin Levels and the Clinical Course of Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Dec 10;14:2885-2893.


目的:
 α-1アンチトリプシン欠損はCOPD発症に関連しているが、血清α-1アンチトリプシンレベルの増加は炎症に反応して起こる。COPDの臨床経過におけるα-1アンチトリプシンレベルの影響は不明だった。10年間の前向きコホート研究のデータに基づいて、血清α-1アンチトリプシンレベルとCOPD患者の臨床経過の関連を調査した。

患者および方法:
 われわれは、北海道COPDコホート研究に登録され、α-1アンチトリプシン欠損の基準に合致しなかった278人のCOPD患者を解析した。 278人のうち、GOLD 1期が26%、GOLD 2期が45%、GOLD 3期が24%、GOLD 4期が5%だった。
 ベースラインでの血清α-1アンチトリプシンレベルの四分位数に基づき、被験者を3つのグループに分けた:低値群 (<116 mg/dL, n = 66); 中値群(116~141 mg/dL, n = 145); 高値群(>141 mg/dL, n = 67)。1秒量の年間変化およびCOPD増悪イベントが初期5年間モニターされ、死亡率が10年間追跡された。

結果:
 ベースラインにおいて、高値群はBMIが低く、胸部CTの気腫スコアが高く、拡散能が低く、血清の急性相タンパクレベルが高く、好中球数が多かった。縦断的解析では、高値群は、1秒量の年間減少が急速で10年死亡率が高かったが、血清α-1アンチトリプシンレベルと初回増悪までの期間に関連はみられなかった。
北海道COPDコホート研究:血清α-1アンチトリプシン濃度が高いCOPD患者は予後不良_e0156318_2343084.png
(Kaplan-Meier曲線:文献より引用)

結論:
 COPD患者における血清α-1アンチトリプシンレベルの高さは、全身性炎症ステータスの悪化と10年死亡率の高さと関連していた。




by otowelt | 2020-01-13 00:24 | 気管支喘息・COPD

抗ARS抗体症候群における間質性肺疾患の再発予測因子

抗ARS抗体症候群における間質性肺疾患の再発予測因子_e0156318_15151144.png 公立陶生病院からの報告です。実臨床で抱く印象と同様だと思います。CHPの論文に続いて、すごいですね。

Takei R, et al.
Predictive factors for the recurrence of anti-aminoacyl-tRNA synthetase antibody-associated interstitial lung disease.
Respir Investig. 2019 Dec 5. pii: S2212-5345(19)30128-5.


背景:
 抗ARS抗体症候群は、アミノアシルtRNA合成酵素に対する抗体を有し、間質性肺疾患(ILD)をしばしば繰り返す。ステロイドとカルシニューリン阻害剤(CNI)による寛解導入の効果とILD再発の予測因子の間の関連を調べた。

方法:
 われわれは、後ろ向きに2006年~2017年にステロイドとCNIで治療された抗ARS抗体症候群-ILDの症例を抽出し、ロジスティック回帰分析を用いて再発の予測因子を評価した。

結果:
 研究には57人が登録され、54人(94.7%)が寛解導入療法による改善がみられた(改善までの中央期間:3ヶ月[IQR 1-4])。維持治療中に32人にILD再発が確認された。再発までの中央期間は27ヶ月だった。ILD再発例・非再発例のあいだにベースラインの患者特性の差はなかった。
 ILD再発群において、呼吸機能とSGRQスコアの経時的悪化がみられた。disease behaviorとともに血清KL-6も変化した。ベースラインの血清KL-6が500U/mL未満だったのは33人(62.2%)で1000U/mL未満だったのは48人(90.5%)。ILD再発群では、KL-6は中央値で1045U/mL(IQR 637-1653)に上昇したが、非再発群では最終観察のKL-6中央値は562U/mL(IQR 342-759)だった。
 多変量解析によると、寛解からの血清KL-6上昇(オッズ比3.21、95%信頼区間1.17-8.86、p=0.02)、CNI中断(オッズ比8.09、95%信頼区間1.39-47.09、p=0.02)は再発の独立リスク因子であった。ROC分析では、血清KL-6の妥当な上昇カットオフ値は2.0倍だった。寛解からの血清KL-6上昇が2倍を超える場合の陽性的中率は90.0%、CNI中断の陽性的中率は88.9%だった。CNI治療期間と再発には関連はなかった。
抗ARS抗体症候群における間質性肺疾患の再発予測因子_e0156318_15454072.png
(単変量・多変量解析:文献より引用)

結論:
 抗ARS抗体症候群のILD再発は、長期的な悪化に影響する。血清KL-6は、disease behaviorと再発予測に有用なバイオマーカーである。また、CNIの継続が重要であることが支持される。


by otowelt | 2020-01-12 00:00 | びまん性肺疾患