アルブミン尿の存在はCOPDに対して悪影響

e0156318_1633480.jpg 上皮傷害が起因していると議論されていますが、果たして。

Elizabeth C Oelsner
Albuminuria, Lung Function Decline, and Risk of Incident COPD: The NHLBI Pooled Cohorts Study
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Sep 28. doi: 10.1164/rccm.201803-0402OC


背景:
 COPDや喘息を含む慢性下気道疾患(CLRD)は、総死亡の第4位である。これまでの研究で、上皮傷害のバイオマーカーであるアルブミン尿は、COPD患者において増加することが示されている。

目的:
 アルブミン尿が肺機能の減少やCRLDの発生と関連しているかどうか調べること。

方法:
 アメリカにおける6つの集団ベースコホートが統合されプール解析された。臨床的な肺疾患に罹患している被験者は除外された。アルブミン尿(尿中アルブミン/クレアチニン比)はスポット尿検体で計測された。肺機能はスパイロメトリーを用いて測定された。CLRDに関連した入院および死亡の発生は、裁量や管理基準によって分類された。混合および比例ハザードモデルを用いて、年齢、身長、体重、性別、人種、教育、出生年、コホート、喫煙ステータス、喫煙歴(pack-years)、腎機能、高血圧、糖尿病、投薬で補正した個々の関連性を調べた。

結果:
 10961人の被験者は肺機能が保たれており、アルブミン尿測定時の平均年齢は60歳で、51%が非喫煙者、アルブミン尿中央値は5.6mg/g、平均1秒量減少は31.5mL/年だった。ln(自然対数)アルブミン尿が1標準偏差上昇するごとに、1秒量の減少は2.81%増加(95%信頼区間0.86-4.76%、p=0.0047)、1秒率の減少が11.02%増加(95%信頼区間4.43-17.62%、p=0.0011)、スパイロメトリーで定義された中等症から重症のCOPDの発症ハザードが15%上昇した(95%信頼区間2-31%、p=0.0021)。lnアルブミン尿が1標準偏差上昇するごとに、イベント発生を追跡された14213人の被験者の間で、COPD関連入院/死亡のハザードが26%上昇した(95%信頼区間18-34%、p<0.0001)。喘息イベントは有意に関連していなかった。現在の喫煙、糖尿病、高血圧、心血管性疾患がない被験者において、補正後も関連性が観察された。

結論:
 アメリカの集団ベースコホートにおいて、アルブミン尿は、より大きな肺機能の減少、スパイロメトリーで定義されたCOPD、COPD関連イベントの発生と関連していた。





# by otowelt | 2018-10-18 00:00 | 気管支喘息・COPD

気管支鏡中のレミマゾラムによる鎮静

e0156318_9511053.jpg レミマゾラムが今後の主流になると予測されています。それにしても、プラセボ群を設定した勇気もすごいですが、実際に鎮静できるってスゴイですね(笑)。

Nicholas J. Pastisx, et al.
Safety and Efficacy of Remimazolam Compared to Placebo and Midazolam for Moderate Sedation during Bronchoscopy
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.09.015


背景:
 軟性気管支鏡の複雑性は増している一方、中等度の鎮静に対する標準的オプションはこの数十年変化していない。安全性を維持する一方で中等度の鎮静を改良する必要がある。レミマゾラムは、現在の鎮静戦略の欠点を補ってきた。

方法:
 アメリカの30施設において、前向き二重盲検ランダム化他施設共同並行群間試験が実施された。軟性気管支鏡を実施する際のレミマゾラムの効果と安全性について、プラセボおよびオープンラベルのミダゾラムと比較した。

結果:
 レミマゾラム群の鎮静成功率は80.6%で、プラセボ群は4.8%(p<0.0001)、ミダゾラム群は32.9%だった。気管支鏡はプラセボ群(17.2±4.15分)やミダゾラム群(16.3±8.60分)と比較して、レミマゾラム群ではすぐに開始できた(平均6.4±5.82分)。気管支鏡後の完全覚醒は、プラセボ群(中央値13.6分、95%信頼区間8.1-24.0分)、ミダゾラム群(中央値12.0分、95%信頼区間5.0-15.0分)と比較して、レミマゾラム群では有意に短かった(中央値6.0分、95%信頼区間5.2-7.1分)。レミマゾラム群に登録された患者は、神経精神学的機能の回復がプラセボやミダゾラムよりも優れていた。安全性が全3群で比較されたが、レミマゾラム群の5.6%、プラセボ群の6.8%が早急な治療を要する副作用イベントを起こした。

結論:
 呼吸器科医の管理のもと投与されたレミマゾラムは、軟性気管支鏡における中等度の鎮静に有効かつ安全である。探索的解析ではあるが、ミダゾラムと比較して効果発現まで短時間で神経精神学的回復もすみやかであった。



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# by otowelt | 2018-10-17 00:24 | 気管支鏡

ROBERT試験:COPDに対するロフルミラストは気道粘膜の好酸球遊走を抑制する

e0156318_9531936.png 思ったより下痢が少ないんですね。1年くらいの観察で、下痢のNNHは確か15くらいだった気がします。

Rabe KF, et al.
Anti-inflammatory effects of roflumilast in chronic obstructive pulmonary disease (ROBERT): a 16-week, randomised, placebo-controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30331-X


背景:
 選択的ホスホジエステラーゼ4阻害剤であるロフルミラストの臨床的効果はよく確立されているが、薬剤の有効性のもととなる抗炎症性機序についてはほとんど分かっていない。ROBERT試験の目的は、中等症から重症のCOPDおよび慢性気管支炎患者における気管支粘膜の炎症からロフルミラストの抗炎症作用をアセスメントすることである。

背景:
 ROBERT試験は、5ヶ国18施設で行われたランダム化プラセボ対照二重盲検試験である。登録患者は、慢性湿性咳嗽を2回にわたって過去1年3ヶ月以上訴えているCOPDを有する40~80歳である。患者は気管支拡張後の予測1秒量が30~80%で、気管支拡張後の予測1秒率が70%以下であることとした。患者は、コンピュータ化された中央ランダム化システムによってロフルミラスト500μg1日1回群あるいはプラセボ群に1:1の割合で16週間ランダム化割り付けされる前に6週間の挿入期間(run-in period)を経た。両群ともに気管支拡張治療(吸入ステロイドは許可されなかった)に加えられる形とした。ランダム化は、長時間作用性β刺激薬の併用の有無で層別化された。被験者と研究者はともに割り付けについて盲検化された。ロフルミラストおよびプラセボは同一の黄色い三角形の錠剤として配布された。気道炎症は、気管支生検検体および誘発喀痰検体における炎症細胞の定量でアセスメントした。プライマリエンドポイントは、ITT集団におけるランダム化から16週間までの気管支生検の粘膜下のCD8炎症性細胞数の変化とした。セカンダリエンドポイントとして、好酸球を含むそのほかの炎症性マーカーの細胞数の変化もみた。

結果:
 2012年1月4日から2016年2月11日まで、158人の患者がランダムに割り付けられた。79人がロフルミラスト群、79人がプラセボ群に割り付けられた。16週時点で、気管支粘膜下のCD8細胞数の変化は、ロフルミラスト群とプラセボ群で有意な差はなかった(治療比率1.03 [95%信頼区間0.82–1.30]; p=0.79)。しかしながら、プラセボ群と比較すると、ロフルミラスト群では16週時点での気管支生検検体の好酸球の有意な減少と関連していた(治療比0.53 [95%信頼区間0.34–0.82]; p=0.0046)。誘発喀痰においても、プラセボ群と比較してロフルミラスト群で好酸球細胞数の絶対値(p=0.0042)および分画(p=0.0086)の有意な減少が観察されたが、末梢血好酸球数には影響を与えなかった。そのほか、気管支粘膜の炎症細胞で有意なロフルミラストの効果を示したものはなかった。もっともよくみられた(すなわち、5%を超える患者)中等症の有害事象は、COPDの悪化(ロフルミラスト群3人[4%] vs プラセボ群7人[9%])、咳嗽(ロフルミラスト群6人[8%] vs プラセボ群4人[5%])、下痢(ロフルミラスト群4人[5%] vs プラセボ群3人[4%])、鼻咽頭炎(ロフルミラスト群3人[4%] vs プラセボ群5人[6%])だった。COPDの悪化を含む重度の有害事象イベントは、ロフルミラスト群4人(5%)、プラセボ群2人(3%)にみられた。本研究において死亡例はなかった。重篤な有害事象はロフルミラスト群の8人(10%)、プラセボ群の5人(6%)にみられた。

結論:
 ロフルミラストの16週間治療は、プラセボと比較した気管支粘膜下のCD8細胞数に影響を与えなかった。しかしながら、気管支生検検体や誘発喀痰において好酸球数の有意な減少がみられ、COPDにおけるロフルミラストは、肺の好酸球に対する影響を介して効果を与えている仮説が示唆される。





# by otowelt | 2018-10-16 00:54 | 気管支喘息・COPD

本の紹介:シュロスバーグの臨床感染症学

 呼吸器科ではたくさん感染症を診るのですが(どこの科でもそうですが)、聖書マンデルで調べるとなかなか骨が折れます。そこで紹介したいのがこのシュロスバーグ。原著はたくさんの執筆者がいますが、翻訳はわずか15人で仕上げておられます。すごい翻訳力ですね。
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発売日:2018年9月28日
単行本 : 1,248ページ
価格 : 20,000円 (税別)
出版社 : メディカルサイエンスインターナショナル
著者: David Schlossberg先生
監訳 : 岩田健太郎先生

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する

 さすがに通読してレビューすることが難しい厚さだったので、めぼしいところを読ませていただいた感想を。

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 前半600ページあまりは臓器ごとの感染症について細かく記載されており、後半は微生物ごとにまとめられている構成です。
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 シュロスバーグという名前は、2年前に同社から翻訳版が出ている『結核と非結核性抗酸菌症』で知りました。抗酸菌感染症をここまで細かくまとめた書籍を見たことがなかったので、私はすでにファンになっていました。ちなみに本書の非結核性抗酸菌のところはやはりグリフィス先生が書かれており、近年のトピックであるM. massilienseのことにも触れられていました。この章はわずか8ページだったのですが、余白を余すことなくビッシリ記載されています。詳しく知りたい人は、ぜひ『結核と非結核性抗酸菌症』も買いましょう。

 市中肺炎は、非定型肺炎と合わせてざっくり13ページにまとめられています。国内外でよく使われる抗菌薬に違うところがあるかもしれませんが、「筆者の推奨」とことわりを入れて書かれてある点は好感が持てます。

 呼吸器内科でよく遭遇する感染症だけでもこれほどスマートにまとめられているのに、全部で1,200ページ以上あるなんて、ワクワクしませんか?上に書いたように、マンデルほどガッツリ調べたいわけじゃないけど、サラっと辞書的に参照したいとき、この本をまず手に取るとよいでしょう。





# by otowelt | 2018-10-13 00:24 | その他

血清KL-6の推移は間質性肺疾患の疾患進行と関連

e0156318_9151917.jpg こういうシンプルな研究って意外に少ないですよね。

Jiang Y, et al.
Sequential changes of serum KL-6 predict the progression of interstitial lung disease.
J Thorac Dis. 2018 Aug;10(8):4705-4714.


背景:
 間質性肺疾患(ILD)はさまざまな臨床経過や予後不良の転帰をたどる緩徐に進行する致死的線維性肺疾患である。臨床医および患者は、至極効率的で精度の高いILDの予測因子があれば、利益が得られるはずである。この研究の目的は、血液バイオマーカーがILD進行を予測することができるかどうか評価することであった。

方法:
 この研究には、Guangzhou Institute of Respiratory HealthにおいてILDがあると診断された85人の患者が参加した。その中には特発性肺線維症(IPF)患者が20人含まれていた。平均追跡期間は12ヶ月であり、全患者はこの施設に4回あるいは5回受診して検査された。ベースライン、1ヶ月後、2ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後の血清検体が採取され、KL-6濃度が調べられた。ILDの進行を反映しているかどうかみるため、ロジスティック回帰モデルを用いてこのバイオマーカー濃度の動的変動が検証された。

結果:
 ILD患者におけるベースラインのKL-6は、健常コントロールよりも有意に上昇していた。血清KL-6レベルは、疾患進行がみられた患者で有意に上昇していた(1,985.2±1,497.8 vs. 1,387.6±1,313.1 µg/mL; P<0.001)。ロジスティック回帰において、KL-6の連続的変化は、次回の追跡時のILD進行の有意な予測因子であった(オッズ比2.569; 95%信頼区間2.260-2.880; P=0.001)。また、KL-6の連続的変化はIPF患者においても疾患進行の有意な予測因子であった(オッズ比3.611; 95%信頼区間1.048-12.442; P<0.01)。ベースラインの濃度は、ILDやIPFの予測因子とはならなかった。単変量Cox分析では、他の因子に加えてKL-6は有意に生存とも関連していた(相対リスク1.901; 95%信頼区間1.294-2.793; P<0.001)。

結論:
 重度の呼吸機能障害がない場合と比べると、重度の呼吸機能障害があるILD患者の血清KL-6は上昇していた。予後不良および死亡にいたる頻度は、バイオマーカーの濃度上昇と関連していた。バイオマーカーの連続的測定は、臨床マネジメントにおいて疾患モニタリングや評価に価値があるかもしれない。





# by otowelt | 2018-10-12 00:12 | びまん性肺疾患