DACCORD試験:リアルワールドにおけるトリプル吸入療法

e0156318_1633480.jpg どうなんでしょう。リアルワールドにおける解釈と、大規模臨床試験における輝かしいデータの差異。

Buhl R, et al.
Dual bronchodilation vs triple therapy in the "real-life" COPD DACCORD study.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018 Aug 24;13:2557-2568.


背景:
 COPDにおいて、長時間作用性β2刺激薬に長時間作用性抗コリン薬を併用したダブル気管支拡張療法と、それに吸入ステロイドを加えたトリプル吸入療法の2療法を“リアルワールド”で評価した観察研究はない。

材料および方法:
 DACCORD試験は、COPDに対する維持治療の開始あるいは維持治療の変更について、治療クラス間・クラス内で追跡した非介入観察研究である。研究の非介入性により、治療開始や治療変更はDACCORD試験登録前の主治医の裁量にゆだねられざるを得ない。われわれは、2つの患者群(ダブル吸入療法 vs トリプル吸入療法)において疾患進行を比較するため、マッチドペア分析をおこなった(各群1046人)。

結果:
 1年にわたり、患者背景および疾患特性によって2群のサブグループにマッチされたが、トリプル吸入療法よりもダブル吸入療法を受けている患者のほうが増悪は少なかった(15.5% vs 26.6%、p<0.001)。また、ベースラインから1年後のCATスコア改善の平均は、ダブル吸入療法を受けている患者のほうが良好だった(平均±標準偏差:-2.9±5.8 vs -1.4±5.5、P<0.001)。前治療による層別化解析では、登録後もトリプル吸入療法を継続している患者群のうち、すでにトリプル吸入療法を受けていたサブグループが最も高い増悪率だった。単剤治療からダブル吸入療法への変更は、CATスコア改善にもっとも寄与した。

結論:
 この“リアルワールド”のCOPDコホートでは、登録前6ヶ月以内にはほとんどの患者が増悪を経験しておらず、増悪や健康ステータスという観点からは、トリプル吸入療法はダブル吸入療法と比べてアウトカムを改善しなかったようである。われわれの解析は、前治療が潜在的に臨床試験結果に影響を与えることを示しており、比較試験でさえもその解釈の際には注意を払うべきである。





# by otowelt | 2018-10-11 00:57 | 気管支喘息・COPD

悪性胸水に対する胸膜癒着術の効果予測に24時間後胸壁エコーが有用

e0156318_10101326.jpg これ私もやったことあるんですが、24時間後ではちょっと精度厳しいです。

John P. Corcoran, et al.
Thoracic Ultrasound as an Early Predictor of Pleurodesis Success in Malignant Pleural Effusion
CHESt, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.08.1031


背景:
 悪性胸水の貯留や症状再発を予防するための確実な治療には、胸腔ドレナージや胸膜癒着術のような処置が必要になる。胸壁エコーは、他の臨床的場面でも胸膜癒着を同定することができ、ゆえに悪性胸水における胸膜癒着の成功を予測することができるかもしれない。

方法:
 2015年5月から2017年4月までに、悪性胸水に対して12Frの胸腔ドレーンを挿入された18歳以上の患者を登録した前向き観察コホートパイロット研究である。
 18人の患者が胸腔ドレナージを適用され、そのうち1か月目の評価が可能だった15人が解析の対象となった。タルク注入による胸膜癒着術を受けた患者に対して、直後、24時間後に胸壁エコーをおこなった(9領域で評価、2点×9=18点が最高)。2人の独立した医師が臨床ステータスを盲検化され、胸壁エコーにおける癒着を評価した。

結果:
 胸膜癒着術が成功したのは11人、不成功だったのは4人だった。不成功だった患者はタルク注入後の癒着スコアが低かった(差6.27点、95%信頼区間3.94-8.59)。
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(文献より引用:癒着スコア)

結論:
 胸壁エコーによって胸膜癒着術の癒着効果判定を予測することができる。





# by otowelt | 2018-10-10 01:18 | 肺癌・その他腫瘍

CPAP療法開始時のマスクインターフェイスについて

e0156318_12131855.png マスクの合う・合わないに着目した珍しい研究です。


Ken Junyang Goh, et al.
Choosing the right mask for your Asian patient with sleep apnoea: A randomized, crossover trial of CPAP interfaces
Respirology, https://doi.org/10.1111/resp.13396


背景および目的:
 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)治療は、CPAP療法のアドヒアランスが主要な鍵となる。マスクの忍容性は、アドヒアランスの重要な規定因子であるが、マスクインターフェイスの選択をガイドするエビデンスは不足している。

方法:
 われわれは、鼻マスク、鼻ピロー(nasal pillow)、口鼻マスクによるCPAP療法のアドヒアランスと効果をアセスメントするため、中等症から重症のOSAに対するCPAP療法においてマスクインターフェイスのランダム化クロスオーバー試験を実施した。口鼻マスクのアドヒアランスとの関連性を解析するために、患者背景、鼻閉塞症状評価(NOSE)スコア、頭部顔面測定も調べた。

結果:
 85人の患者が研究に組み込まれた(平均±標準偏差:46±12歳、平均BMI±標準偏差:29.9±5.6kg/m2、平均無呼吸低呼吸指数[AHI]±標準偏差53.6 ± 24.0イベント/時間)。鼻マスクのアドヒアランス(平均夜間使用時間:3.96 ± 2.26時間/晩) は、口鼻マスク(同:3.26 ± 2.18時間/晩、P<0.001)、鼻ピロー(同:3.48 ± 2.20時間/晩, P = 0.007)よりも良好だった。残存AHIは口鼻マスク(7.2±5.2)のほうが鼻マスク(4.0 ± 4.2, P < 0.001)、鼻ピロー(4.1 ± 3.3, P < 0.001)よりも高かった。
 22人(25.9%)の患者は、口鼻マスクがもっとも良好なアドヒアランスだった(残りの63人との比較:4.22 ± 2.14 vs 2.93 ± 2.12時間/晩, P = 0.016)。これらの患者は、NOSEスコアが低く(15点 ([範囲0–35点] vs 40点[範囲10–55点], P = 0.024)、下顎‐下唇点/両眼幅比が大きかった(31 ± 3% vs 28 ± 4%, P = 0.019)。
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(文献より引用)

結論:
 鼻マスクはCPAP療法の初期として好ましいインターフェイスである。鼻閉が少ない患者や、下顎-下唇の距離が顔面中央の幅と比べて大きい患者では、CPAPアドヒアランスは口鼻マスクのほうが良好かもしれない。






# by otowelt | 2018-10-09 13:19 | 呼吸器その他

COPD増悪時におけるCATスコアの有用性

e0156318_1633480.jpg 当然といえば当然の結果ですが、あまり安定期に使う指標をホイホイ急性期に使いたくないという気持ちもあります。

Zhou A, et al.
The role of CAT in evaluating the response to treatment of patients with AECOPD.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018Sep11;13:2849-2858.


背景:
 COPDアセスメントテスト(CAT)質問票は、短時間で完遂できる患者用の質問票であり、安定期COPDの健康ステータスの解析に用いられている。しかしながら、COPD急性増悪(AECOPD)の治療反応性を評価する良好なツールかどうかはあまり検討されていない。

方法:
 入院時、入院7日目において、患者はアセスメントされた。身体的項目データは入院時に採られた。CATと肺機能検査は上記2ポイントに2回測定された。入院7日目の2回目の評価時に、5ポイントのリッカート尺度によって5群に患者が分類された。すなわち、「かなり改善」「わずかに改善」「不変」「わずかに悪化」「かなり悪化」。レスポンダーは「かなり改善」あるいは「わずかに改善」と報告した患者、ノンレスポンダーは「不変」「わずかに悪化」「かなり悪化」と報告した患者とした。

結果:
 合計225人が登録された。入院時の平均CATスコアは24.82±7.41点で、入院7日目では17.41±7.35点だった。81.33%がレスポンダーで、CATスコアは9.37±5.24点改善した(ノンレスポンダーは-1.36±4.35点)。CATスコアの変化と、1秒量および%1秒量の改善、入院期間には中等度の相関がみられた。CATスコアの変化と健康ステータスには強い相関がみられた。CATスコアの3.5点の改善が、レスポンダーとノンレスポンダーを識別するカットオフ値としてもっとも高いAUCだった。

結論:
 AECOPD患者の健康ステータスをアセスメントする上で、増悪中のCATスコアは 有用な情報を与えてくれる。CATスコア3.5点の改善は、レスポンダーとノンレスポンダーを識別する最良のカットオフ値であり、AECOPD患者の健康ステータスをモニターする上で臨床医にも使いやすいだろう。






# by otowelt | 2018-10-05 00:31 | 気管支喘息・COPD

早期発症の小児喘息は肥満のリスク

e0156318_135030100.jpg ブルージャーナルでも指摘されている知見です(Am J Respir Crit Care Med. 2017 May 1;195(9):1181-1188. )。

・参考:小児喘息は肥満リスクを上昇させる

Contreras ZA, et al.
Does early-onset asthma increase childhood obesity risk? A pooled analysis of 16 European cohorts.
Eur Respir J. 2018 Sep 12. pii: 1800504. doi: 10.1183/13993003.00504-2018. [Epub ahead of print]


背景:
 小児喘息と肥満の共存は、過去数十年にわたって肥満が喘息のリスク因子かどうかという議論に拍車をかけてきた。しかしながら、喘息が肥満発症におよぼす影響はほとんど分かっていない。われわれは、早期発症の喘息およびその関連フェノタイプが、小児肥満の発症のリスクに関連しているかどうかを調べた。

方法:
 この研究には1990~2008年にデンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン、イギリスで出生した21,130人の小児が含まれた。われわれは、3~4歳の非肥満の小児を8歳になるまでのあいだ、肥満が発症するかどうか追跡した。主治医の診断による喘息、喘鳴、アレルギー性鼻炎は 出生から3~4歳までのあいだアセスメントされた。

結果:
 主治医の診断によって喘息と診断された小児は、喘息のない小児と比べて肥満発症のリスクが高かった(補正ハザード比1.66、95%信頼区間1.18-2.33)。活動性のある喘息を持っている小児(直近12ヶ月以内の喘鳴および主治医によって喘息と診断された小児)は、喘鳴や喘息のない小児と比べて肥満発症のリスクが高かった(補正ハザード比1.98、95%信頼区間1.31-3.00)。遷延性の喘鳴は、喘鳴のない小児と比べて肥満発症リスクの高さと関連していた(ハザード比1.51、95%信頼区間1.08-2.09)。

結論:
 早期発症の喘息および喘鳴は、小児期後半において肥満発症のリスク増加に影響するかもしれない。





# by otowelt | 2018-10-04 00:17 | 気管支喘息・COPD