クリスマスBMJ2018:アメリカの男性医師はゴルフにご執心?

e0156318_938222.png ちなみに私は腰椎椎間板ヘルニアもちなのでゴルフをやったこともやるつもりもありません。

Gal Koplewitz, et al.
Golf habits among physicians and surgeons: observational cohort study
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4859


目的:
 医師の間でのゴルフの活動パターン(普段からゴルフをしている、専門家間におけるゴルフプラクティスの違い、最良のゴルファーだった専門家、男女医師におけるゴルフプラクティスの差)を調べること。

デザイン:
 観察研究。

セッティング:
 アメリカの包括医師データベースと、アメリカゴルフ協会のアマチュアゴルファーデータベースをリンクさせた。

被験者:
 2018年8月1日時点でのアメリカゴルフ協会データベースにおける、積極的にラウンドした41692人のアメリカ人医師。

アウトカム:
 ゴルフプレイをする医師の頻度、ゴルフのパフォーマンス(ゴルフハンディキャップインデックスを用いた)、ゴルフの頻度(過去6ヶ月でのプレイ数)。

結果:
 1029088人の医師のうち、41962人(4.1%)が積極的にアメリカゴルフ協会の「アマチュアゴルファーデータベースでゴルフスコアを記録していた。男性は医師ゴルファーの89.5%にのぼった。男性医師のうち、5.5%(37309人/683297人)がゴルフをおこない、女性医師の1.3%(4383人/345489人)よりも多かった。専門分野によってゴルフの頻度に差がみられた。もっともよくゴルフをしているのは整形外科(8.8%)、泌尿器科(8.1%)、形成外科(7.5%)、耳鼻咽喉科(7.1%)で、頻度が低かったのは内科および感染症科(<3.0%)だった。胸部外科、血管外科、整形外科の医師は、内分泌科医、皮膚科医、腫瘍科医の専門家よりも約15%優れたゴルフのパフォーマンスを発揮するベストゴルファーだった。
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(文献より引用)

結論:
 特に外科領域において、アメリカの男性医師の間ではゴルフは定着している。ゴルフと患者アウトカム、ケアコスト、医師の幸福との関連性は不明である。





# by otowelt | 2018-12-11 12:20 | その他

PredART試験:ステロイドは結核のIRISを防げるか?

e0156318_1302985.jpg 個人的には初期悪化に対してはステロイドを使ってもよいと思っています。長い期間でもないですし・・・。

Meintjes G, et al.
Prednisone for the Prevention of Paradoxical Tuberculosis-Associated IRIS.
N Engl J Med. 2018 Nov 15;379(20):1915-1925.

背景:
 結核を有するHIV感染患者の抗レトロウイルス治療の早期開始は、CD4陽性細胞数が少ない患者では死亡率を減らすが、結核関連免疫再構築炎症症候群(IRIS)のリスクを増加させる。

方法:
 われわれはランダム化二重盲検プラセボ対照試験によって、予防的プレドニゾンがリスクの高い患者において安全に結核関連IRIを減らすことができるかどうか調べた。ART開始から30日以内に結核治療がおこなわれたHIV感染者を組み入れた(過去にARTを受けていないものとする)。また、CD4陽性細胞数が100/μL以下のものを対象とした。患者はプレドニゾン(40mg/日を14日間、その後20mg/日を14日間)あるいはプラセボ(同様の錠剤レジメン)を投与される群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは、ART開始から12週間以内の結核関連IRISとした。
 IRISの診断はINSHIコンセンサス症例定義(Lancet Infect Dis. 2008 Aug; 8(8): 516–523.)に基づいて同定した。
 リファンピシン耐性結核、コントロール不良糖尿病、直近1週間以内のステロイド使用、肝機能障害例などは除外された。

結果:
 240人が登録された。年齢中央値は36歳(IQR30-42歳)、60%が男性、73%が微生物学的に結核と診断され、CD4陽性細胞数中央値は49/μL(IQR24-86)だった。HIV type1 RNAウイルス量は5.5log10コピー/mL(IQR5.2-5.9)だった。120人ずつがそれぞれの群に割り付けられたが、18人は追跡不能となった。
 INSHI基準を満たした結核関連IRISは、プレドニゾン群の39人(32.5%)、プラセボ群の56人(46.7%)にだった(相対リスク0.70、95%信頼区間0.51-0.96、p=0.03)。IRIS持続期間は両群同等だった(49日 vs 35日)。結核関連IRISの治療のために、プレドニゾン群の16人(13.3%)、プラセボ群の34人(28.3%)にオープンラベルのステロイドが用いられた(相対リスク0.47、95%信頼区間0.27-0.81)。84日における累積IRIS罹患率はプラセボ群よりプレドニゾン群のほうが低かった(ハザード比0.61、95%信頼区間0.41-0.92)。
 プレドニゾン群の5人、プラセボ群の4人が死亡した(p=1.00)。重症感染症(AIDS含)はプレドニゾン群の11人、プラセボ群の18人にみられた(p=0.23)。Kaposi肉腫がプラセボ群の1例にみられた。

結論:
 ART開始後初期4週間のプレドニゾンは、HIV感染者における結核関連IRISの頻度をプラセボと比較して低下させる。



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# by otowelt | 2018-12-11 00:59 | 抗酸菌感染症

本の紹介:The GENECIALIST Manifesto ジェネシャリスト宣言

 献本ありがとうございます。日本医学界新聞で毎回楽しみにしていた連載が、満を持して書籍化されました。加筆されており、より奥深い味わいに仕上がっています。若手医師にとっては、おそらく自分と向き合える一冊になるでしょう。おすすめです。

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発売日:2018年11月29日
単行本 : 228ページ
価格 : 2,000円 (税別)
出版社 : 中外医学社
著者: 岩田 健太郎 先生

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 私は大人数で議論するときに、「A or B」という二元論を前提に話が進んでいくのが好きではありません。さらに、ヘテロジーニアスに見るべきことがホモジーニアスに議論されていると、興ざめすらしてしまいます。こういう構造に対して、真正面から議論したり噛み砕いて執筆したりできる岩田先生のことを尊敬しています。

 この本の導入部と随所に、二元論について述べられています。とはいえ、私が書いたようにミクロな視点での二元論ではなく、もう少し広い意味での二元論について。臨床医学と基礎医学。男と女。大学病院と市中病院。家庭医と専門医。ジェネとシャリ。ジェネシャリスト論に入る前にも、そしてその議論の途中においても、二元論の脆弱な部分を指摘しておられます。
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 ジェネシャリストの三角形というのが登場するのですが、実はその何ページか前に「こういう三角形でね」という説明が登場しているので、自分なりにこうかな?と描いていました。オッ、まぁまぁいい線!

 本の最後のほうに書かれていますが、この三角形は人によって違いますし、またセッティング(状況)によっても異なります。また、成長とともにこの三角形は大きくなるかもしれないし、トレードオフのようにシュリンクするところもある。

 私はどちらかといえばシャリ寄りにいると自覚していますが、ジェネの未熟さがとても恋しくなるときがあり、総合診療の本を何週間も読みふけることがあります。それでどうにかして、シャリながらもジェネな部分を持とうと足掻いているのかもしれません。多くの若手医師は、その三角形をどうにかそれらしい形にしようともがいている。

 この本が面白いところは、とても自己回顧的であるところです。今までの医師人生に基づいて、今後の医師人生をどう考えるかという起爆剤になります。

 それにしても、いろいろなタイプの書籍を執筆できるし、絵も上手だし、ワインのエキスパートだし、いろいろな言語に精通しているし、ファイナンシャルプランナーだし、オシャレでカッコイイし・・・。岩田先生こそが、もはや医学の垣根を超えたジェネシャリストなんじゃないのかと思わずにいられません。




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# by otowelt | 2018-12-08 00:38 | その他

集中治療室における間質性肺疾患の死亡リスク

e0156318_10574046.jpg ヘテロなデータなので参考程度です。

Huapaya JA, et al.
Risk factors for mortality and mortality rates in interstitial lung disease patients in the intensive care unit.
Eur Respir Rev. 2018 Nov 21;27(150).


背景:
 集中治療室(ICU)における間質性肺疾患(ILD)のアウトカムデータは、集団の異質性のため限られた価値しかない。この研究の目的は、死亡のリスク因子とICUにおけるILDの死亡率を調べることである。

方法:
 われわれは5データベースを用いてシステマティックレビューをおこなった。50研究が同定され、34研究が組み込まれた。17研究はさまざまなILDの疫学的背景(混合ILD群)で、17研究は特発性肺線維症(IPF群)によるものだった。混合ILD群では、APACHEスコアが上昇し、低酸素血症および人工呼吸器の装着は死亡のリスク因子だった。ステロイド使用は死亡率を上昇させなかった。加齢に関するエビデンスは、結論が出なかった。IPFでは、人工呼吸器の装着と低酸素血症以外の全ての因子で結論が出なかった。院内死亡率は混合ILD群で15研究が有用で(2001~2009年:62%、2010~2017年:48%)、IPF群で15研究が有用だった(1993~2004年:79%、2005~2017年:65%)。1年時点での追跡死亡率は53~100%だった。

結論:
 ILDの疫学的背景にかかわらず、人工呼吸器の装着は死亡率上昇に関連していた。混合ILD群では、低酸素血症とAPACHEスコアの上昇が死亡率上昇と関連していた。ILDの中ではIPFの死亡率がもっとも高かったが、1993年以降は死亡率が減少していた。院内生存率は改善しているが、総死亡率はいまだに高い。






# by otowelt | 2018-12-07 00:33 | びまん性肺疾患

慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するトレプロスチニル

e0156318_9102283.jpg 出るべくして出たエビデンスですね。

Roela Sadushi-Kolici, et al.
Subcutaneous treprostinil for the treatment of severe non-operable chronic thromboembolic pulmonary hypertension (CTREPH): a double-blind, phase 3, randomised controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30367-9


背景:
 プロスタサイクリンアナログであるトレプロスチニルは、肺動脈性肺高血圧症の治療に有効である。しかしながら、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するトレプロスチニルに関する情報は不足している。この研究の目的は、この状況におけるトレプロスチニル皮下注射の効果と安全性を調べることである。

方法:
 この24週間ランダム化二重盲検比較試験において、われわれはオーストリア、チェコ共和国、ドイツ、ポーランドの6専門施設からCTEPH患者を登録し、非外科手術群、肺動脈血栓内膜摘除術後に肺高血圧症が遷延あるいは再発する群に割り付けられた。WHO機能分類IIIあるいはIVで6分間歩行距離が150~400mの患者がランダムに1:1の割合で、トレプロスチニル高用量皮下注射(12週時の標的用量30ng/kg/分)あるいは同低用量皮下注射(12週時の標的用量3ng/kg/分)を投与する群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは24週時点でのベースラインからの6分間歩行距離の変化とした。試験薬を1回でも投与された群は、ITT効果解析および有害事象アセスメントに基づくITT安全性解析に組み込まれた。

結果:
 2009年3月9日から2016年6月9日までに、105人の患者が登録され、53人(50%)が高用量トレプロスチニル群、52人(50%)が低用量トレプロスチニル群に割り付けられた。24週時点で、高用量群の6分間歩行距離は周辺平均で44.98m改善し(95%信頼区間27.52~62.45m)、低用量群で4.29m改善した(95%信頼区間-13.34~21.92m)(治療有効性40.69m、95%信頼区間15.86~65.53m、p=0.0016)。低用量群52人のうち10人(19%)に12の重篤な有害事象が報告され、高用量群53人のうち9人(17%)に16の重篤な有害事象が報告された。両群でもっともよくみられた有害事象は、注射部位疼痛および注射部位反応だった。

結論:
 重症CTEPH患者におけるトレプロスチニル皮下注射は安全で、運動耐容能を改善させた。トレプロスチニル皮下注射は、WHO機能分類IIIあるいはIVの患者や、他の治療や併用治療に忍容性のない患者に対する非経口治療オプションとして支持される。

資金提供
 SciPharm Sàrl





# by otowelt | 2018-12-06 00:47 | 呼吸器その他