線維性間質性肺炎におけるIPAFの存在は予後良好を予測

e0156318_16214955.jpg 実臨床にマッチした印象です。何をもってidiopathicというのかが哲学的に問われる部分だとは思いますが。

Yoshimura K, et al.
Distinctive characteristics and prognostic significance of interstitial pneumonia with autoimmune features in patients with chronic fibrosing interstitial pneumonia.
Respir Med. 2018 Apr;137:167-175.


背景:
 間質性肺疾患はheterogeneousであり、慢性線維性間質性肺炎(CFIP)にはしばしば臨床的、血清学的、形態的特徴が膠原病に似るが診断にいたらないものがある。近年、IPAFの概念が提唱されている。しかしながら、累積急性増悪率を含め、IPAFの概念に予後予測の役割がどの程度あるのかは分かっていない。この研究の目的は、IPAFの臨床的特徴と予後予測の重要性を明らかにすることである。

方法:
 後ろ向きにCFIP患者194人(163人がIPF,31人がNSIP)を調べ、その臨床的特徴とIPAF診断の予後信頼性を調べた。

結果:
 CFIP患者の16%(IPFの8%、NSIPの61%)がIPAFの基準を満たした。IPAFの年齢層は、有意に若かった。また、女性の占める割合は高く、非喫煙者に多かった。形態的ドメインがIPAF患者にもっともよくみられ(97%)、血清学的ドメイン(72%)、臨床的ドメイン(53%)と続いた。IPAFのあるCFIP患者は、IPAFがない場合と比べて全生存期間および急性増悪に関して良好なアウトカムであった(p<0.001、p=0.029)。サブグループ解析では、IPAFのあるNSIP患者はIPAFがない場合と比べて生存期間が有意に長かった(P = 0.031)。また、IPAFのあるIPF患者はIPAFがない場合と比べて全生存期間が長い傾向にあった(P = 0.092)。しかしながら、急性増悪に関してはIPFもNSIPの両群ともにIPAFの有無で差はみられなかった。IPAF基準を満たすことは、全生存期間(ハザード比0.127、95%信頼区間0.017-0.952、p=0.045)および急性増悪の頻度(ハザード比0.225、95%信頼区間0.054-0.937、p=0.040)の独立予測因子であった。

結論:
 IPAFの診断は、CFIP患者において良好な予後を予測し、急性増悪のリスクの低減を予測する因子になるかもしれない。


# by otowelt | 2018-04-16 00:36 | びまん性肺疾患

原発性Sjögren症候群患者の肺病変のリスク因子に関する後ろ向き検討

e0156318_17272630.jpg 九州からの報告です。
 
Kakugawa T, et al.
Lymphocytic focus score is positively related to airway and interstitial lung diseases in primary Sjögren's syndrome.
Respir Med. 2018 Apr;137:95-102.


背景:
 胸部HRCTは、肺の微細な形態学的変化の特徴をみるのに有用だが、Sjögren症候群患者の胸部HRCTで肺病変が同定されるリスク因子については研究がない。

目的:
 この研究の目的は、胸部HRCTで同定された原発性Sjögren症候群患者の肺病変のリスク因子を調べることである。

方法:
 後ろ向きに原発性Sjögren症候群患者登録し、胸部HRCTで同定された肺病変のリスク因子を調べた。胸部HRCTが撮影された合計101人の原発性Sjögren症候群を登録した。

結果:
 多変量解析では、高齢(オッズ比1.064、95%信頼区間1.026-1.102)、口渇(オッズ比8.795、95%信頼区間2.317-33.378)、口唇腺生検 focus score4点以上(オッズ比3.261、95%信頼区間1.100-9.675)は、気道疾患のリスク因子だった。また、高齢(オッズ比1.078、95%信頼区間1.032-1.127)、男性(オッズ比12.178、95%信頼区間1.121-132.307)、口唇腺生検 focus score4点以上(オッズ比3.954、95%信頼区間1.423-10.987)は間質性肺疾患のリスク因子だった。HTLV-1抗体は、気道疾患患者において有意に多く観察された。

結論:
 この研究では、口唇腺生検 focus scoreおよび口渇は、原発性Sjögren症候群患者の肺病変と関連していた。口渇とfocus scoreは、原発性Sjögren症候群患者の肺においてリンパ球増殖活性を反映しているのかもしれない。


# by otowelt | 2018-04-13 00:36 | びまん性肺疾患

DYNAGITO試験:スピオルト®とスピリーバ®のCOPD増悪の比較

e0156318_1633480.jpg TOviTO試験の一部であるDYNAGITO試験の結果がLancet Respiratory Medicineに掲載されました。
 想定する集団は、GOLD重症度分類のBとDが半々くらいです。%1秒量は44%あたりなのでIII期の“コントロールしにくい層”をイメージします。40%の患者さんが吸入ステロイド薬を使われているので、結構増悪頻度が多かったのでしょうね。
 アウトカムイベントはスピオルト®群45.1%、スピリーバ®群44.3%でまず差はないと言ってよいと思うので、論文の結論の書き方には賛成です。ベーリンガーインゲルハイムのプレスリリースはかなりポジティブな記載のようですが。

Peter M A Calverley, et al.
Tiotropium and olodaterol in the prevention of chronic obstructive pulmonary disease exacerbations (DYNAGITO): a double-blind, randomised, parallel-group, active-controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30102-4


背景:
 長時間作用性気管支拡張薬は、COPD増悪の頻度を減らす目的で推奨されている。しかし、長時間作用性抗コリン薬チオトロピウムと長時間作用性β刺激薬オロダテロールの併用が、チオトロピウム単独と比較して増悪率を減少させるかどうかは分かっていない。

方法:
 52週間の二重盲検ランダム化並行群間試験で、増悪歴のあるCOPD患者が1:1にチオトロピウム/オロダテロール 5/5μgあるいはチオトロピウム5μg1日1回の吸入に割り付けられた。吸入ステロイド薬を処方されている患者は、同薬を継続した。治療内容は患者、研究者にマスクされた上で解析された。プライマリエンドポイントは中等症および重症COPD増悪とした。すべてのランダム化された患者が解析対象となった(プロトコル違反は除外対象)。

結果:
 51ヶ国818施設から9009人の患者がスクリーニングされた。7880人の患者を2015年1月22日~2016年3月7日まで登録した(平均年齢66.4±8.5歳、5626人[71%]が男性、平均%1秒量は44.5±27.7%)。日本からも461人が登録された。合計3939人が合剤群、3941人がチオトロピウム群に割り付けられた。
 中等症および重症の増悪は、合剤群の方が低かったが(率比0.93, 99%信頼区間0.85–1.02; p=0.0498、95%信頼区間0.87–1.00)、1%有意水準は満たさなかった。全身性ステロイドを要する中等症および重症の増悪の発現率は20%低下した(p=0.0068)。また、全身性ステロイドと抗菌薬の併用治療を要する増悪の発現率は9%低下した(p=0.0447)。
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(文献より引用)

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(文献より引用)

 有害事象を報告した患者は両群同等だった。

結論:
 チオトロピウムとオロダテロールの併用は、チオトロピウム単独と比べて想定よりも増悪率を減らさなかった。


# by otowelt | 2018-04-12 00:00 | 気管支喘息・COPD

メタアナリシス:喘息に対するLAMA上乗せの効果

e0156318_1637713.jpg LAMA上乗せのイメージとして、プラセボと比較した「困った発作」の予防効果は、NNT30~50くらいの位置付けです。私の目がおかしいのでしょうか、本文中の絶対リスク差の数値がおかしい気がします。

Sobieraj DM, et al.
Association of Inhaled Corticosteroids and Long-Acting Muscarinic Antagonists With Asthma Control in Patients With Uncontrolled, Persistent Asthma: A Systematic Review and Meta-analysis.
JAMA. 2018 Mar 19. doi: 10.1001/jama.2018.2757. [Epub ahead of print]


背景:
 長時間作用性抗コリン薬(LAMA)は、遷延性喘息患者のマネジメントにおいて吸入ステロイド薬(ICS)に補助的な位置付けで使用されている。

目的:
 コントロール不良の遷延性喘息患者に対してICSおよびICS+LABAに対してLAMAあるいはプラセボを上乗せする効果を、システマティックレビューおよびメタアナリシスによって調べた。

データベース:
 MEDLINE, EMBASE, Cochraneデータベース、clinical trial registriesから抽出。

試験:
 2人のレビュアーによって、ICSおよびICS+LABAに対するLAMAあるいはプラセボの上乗せ効果を検証したランダム化比較試験あるいは観察研究。

データ抽出:
 ランダム効果モデルによるメタアナリアシスをおこない、リスク比、リスク差、平均差を算出した。引用文献のスクリーニング、データ抽象化、リスク評価、エビデンスの強さの評価は、2人の独立したレビュアーによって行われた。

アウトカム:
 喘息発作

結果:
 1326の研究が同定され、そのうち15のランダム化比較試験(患者数7122人)が解析に組み込まれた。ほとんどの試験が、ICS+LAMA vs ICS+プラセボ、またはICS+LAMA vs ICS+LABAを比較したものだった。
 プラセボと比較して、LAMAのICSに対する上乗せ効果は全身性ステロイドを要する喘息発作リスクを有意に軽減した(リスク比0.67 [95%信頼区間0.48 to 0.92])。
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(文献より引用)

 ICS+LABAと比較すると、LAMA上乗せは発作リスクの有意な改善とは関連していなかった(リスク比0.87 [95%信頼区間 0.53 to 1.42])。トリプル吸入療法は、ICS+LABAと比較して発作リスクの改善とは有意に関連していなかった(リスク比0.84 [95%信頼区間0.57 to 1.22])。

結論:
 このシステマティックレビューおよびメタアナリシスによれば、プラセボと比較するとLAMAをICSに上乗せで用いることは喘息発作のリスク軽減につながったが、LABAと比べて医学的利益はなかった。また、ICS+LABAからトリプル吸入療法にしても、喘息発作のリスク軽減には寄与しなかった。


# by otowelt | 2018-04-11 00:07 | 気管支喘息・COPD

システマティックレビュー:IPFに対するGER治療の有効性

e0156318_7331272.jpg 現時点で、妥当なランダム化比較試験が1つもないようです。

Lee Fidle, et al.
Treatment of Gastroesophageal Reflux in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis: a Systematic Review and Meta-Analysis
CHEST https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.03.008


背景:
 胃食道逆流(GER)は、IPF患者でよくみられる現象であり、IPFの進行と増悪に関与することが示されてきた。GERに対する治療が、IPF患者のアウトカムを改善するかはまだよく分かっていない。この研究の目的は、IPFに対するGER治療の効果と安全性を調べることである。

方法:
 電子データベースを用いて、2017年9月までの文献を抽出しシステマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。言語規定はもうけず、薬物治療あるいは非薬物治療を検証したランダム化比較試験および観察研究を登録した。プライマリアウトカムはIPF関連死亡と総死亡である。

結果:
 13の観察研究が同定され、8研究がメタアナリシスに組み込まれた。GERに対する薬物治療は、IPF関連死亡リスクを減少させた(非補正ハザード比0.60, 95%信頼区間0.38-0.97, p=0.04, I2 = 0%, 3研究, N=2033; 補正ハザード比0.45, 95%信頼区間0.24-0.84, p=0.01, I2 = 0%, 3研究, N=2033)。しかし、総死亡リスクには有意な影響を与えなかった(非補正ハザード比0.73, 95%信頼区間0.45-1.2, p=0.22, I2 = 46%, 3研究, N=1316; 補正ハザード比0.76, 95%信頼区間0.31-1.84, p=0.54, I2 = 89%, 4研究, N=1585)。これらアウトカムのエビデンスの質は低かった。
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(文献より引用:IPF関連死亡)

結論:
 低いエビデンスの質の研究のメタアナリシスでは、GERに対する薬物治療はIF関連死亡リスクを減少させたが、総死亡リスクは減少させなかった。ランダム化比較試験が必要である。


# by otowelt | 2018-04-10 00:41 | びまん性肺疾患