本の紹介:プライマリ・ケア医のための糖尿病診療入門

 私たち呼吸器専門医にとって、糖尿病は薬が多くてわかりにくい。敬遠している人も多いと思います。ステロイドが入っている患者さんの糖尿病管理を専門家にお願いすることもしばしばです。
 
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発売日:2018年10月26日
単行本 : 232ページ
価格 : 3,800円 (税抜)
出版社 : 日経BP社
著者: 岩岡秀明 先生

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 紹介させていただくのは、糖尿病の世界では名の知られた岩岡先生の書籍です。この本、珍しいことに対談で結構なページが割かれているんです。コラム扱いのポジションですが、全体の3~4分の1くらいは対談という印象です。私は、たとえば医学書院の医学界新聞がよくやっているような対談企画が好きです。医療従事者同士が話しているのを見聞きすると、記憶に残りやすいんですよね。説得力やリアリティがある。対談に参加されているのは藤沼康樹先生、南郷栄秀先生、徳田安春先生、高瀬義昌先生というビッグネームです。
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 われわれ門外漢にとって最も重要な章は第4章の「糖尿病治療薬を知る」です。メトホルミンが第一選択にであることは知られていますが、最近処方が増えてきたSGLT2阻害薬などの新しい薬剤の注意点などが書かれています。プライマリ・ケア医向けの糖尿病の書籍はこれまで岩岡先生がたくさん書かれてきましたが、最新の知識をここでアップデートしておくとよいでしょう。また、第10章の「レセプト査定される処方」は、保険医必読です。これは岩岡先生がよくFacebookで「こういう処方は査定されるんです」という啓蒙をされているので、オリジナリティがありますね。自分の専門分野でも、どういう処方が査定されやすいのか知らない人が多いですし。DPP-4阻害薬の併用や多剤併用といったピットホールが具体例を挙げて記載されています。
 
 タイトル通り、プライマリ・ケア医向けの難易度で、章ごとに対談が散りばめられているので、スラスラと読み進めることができると思います。



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# by otowelt | 2018-10-27 00:33 | 内科一般

間質性肺疾患に対するベンゾジアゼピンおよびオピオイドの影響

e0156318_1543237.jpg 意外にも安全のようですが、ベンゾジアゼピンはどの状況でももはや推奨されなくなりつつある流れですね。

Bajwah S, et al.
Safety of benzodiazepines and opioids in interstitial lung disease: A national prospective study
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.01278-2018


背景:
 安全性の懸念から、ベンゾジアゼピン(BDZ)やオピオイドを間質性肺疾患(ILD)に対して処方しにくい。そこでわれわれは、BDZやオピオイドが、入院や死亡のリスクに関連しているかどうか調べた。

方法:
 われわれは、2005年~2014年に、スウェーデンにおける長期酸素療法を要する線維性ILD患者を対象とした、集団ベース縦断的コホート研究を実施した。BDZやオピオイドが入院率や死亡率に与える影響を、潜在的な交絡因子で補正した後Fine-GrayおよびCox回帰を用いて解析された。

結果:
 1603人の患者が登録された(61%が女性)。BDZは196人(12%)で使用され、オピオイドは254人(15%)で使用されていた。BDZと入院の増加には関連性はなかった。高用量BDZは低用量BDZと比較して、死亡率の上昇に関連していた(部分分布ハザード比1.46、95%信頼区間1.08-1.98 vs 部分分布ハザード比1.13、95%信頼区間0.92-1.38)。オピオイド使用と入院の増加には関連性はなかった。低用量(モルヒネ換算で<30mg/日)(部分分布ハザード比1.18、95%信頼区間0.96-1.45)でも高用量(モルヒネ換算で>30mg/日)(部分分布ハザード比1.11、95%信頼区間0.89-1.39)でも死亡率の上昇とは関連していなかった。

結論:
 ILDに対するBDZとオピオイドの使用と有害性の関連性を調べた初めての研究によれば、呼吸障害のある重度の患者にオピオイドと低用量BDZを使用できることが支持される。





# by otowelt | 2018-10-26 00:47 | びまん性肺疾患

システマティックレビュー・メタアナリシス:COPDへのトリプル吸入療法とダブル・シングル吸入療法の比較

e0156318_1633480.jpg IMPACT試験には喘息既往例が含まれており、これが結果に影響を与えた可能性があるとCazzolaらは述べています。この臨床試験では気道可逆性のある患者さんが18%も含まれています。

Cazzola M, et al.
Triple therapy versus single and dual long-acting bronchodilator therapy in chronic obstructive pulmonary disease: a systematic review and meta-analysis
European Respiratory Journal Jan 2018, 1801586; DOI: 10.1183/13993003.01586-2018


方法:
 われわれはCOPD患者において、吸入ステロイド(ICS)、吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)、吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA)によるトリプル吸入療法がLABA/LAMA併用あるいはそれぞれの長時間作用性気管支拡張薬単剤との比較における影響を比較するためメタアナリシスをおこなった。

結果:
 16751人のCOPD患者が14研究から同定された。
 ICS/LABA/LAMA併用は、LABA/LAMA併用と比較して中等症~重症のCOPD増悪のリスクを減少させ(相対リスク0.70、95%信頼区間0.53-0.94)、トラフ1秒量を改善させた(平均差:+37.94mL、95%信頼区間18.83-53.89mL)。長時間作用性気管支拡張薬単剤との比較でも同様にCOPD増悪リスクを現象させ(相対リスク0.62、95 %信頼区間0.48-0.80)、トラフ1秒量を改善させた(平均差:+68.82mL、95%信頼区間56.95-82.48mL)。LABA/LAMA併用と比較したトリプル吸入療法のCOPD増悪リスクに対する保護的な効果は、好酸球数≧300/µLの患者で大きかった(相対リスク0.57、95%信頼区間0.48-0.68)。
 1回のCOPD増悪を予防するために、LABA/LAMA併用と比較するとおおよそ38人の患者が1年のICS/LABA/LAMA併用治療を受ける必要があり(患者ベースNNT[nunmer needed to treat]38.17)、長時間作用性気管支拡張薬単剤と比較したときのNNTはおおよそ21だった。好酸球数≧300/µLの患者における患者ベースNNTは8.58だった。
 肺炎のリスクはICS/LABA/LAMA併用では差はみられず、NNH(number needed to harm)はおおよそ195だったが、トリプル吸入療法にフルチカゾンフランカルボン酸エステルを含んだ研究を考慮するとおおよそ34にまで減少した。予想外の結果であったが、女性患者のほうが肺炎のリスクは高かった。

結論:
 このメタアナリシスでは、長時間作用性気管支拡張薬単剤あるいはLABA/LAMA併用を用いている患者で、いまだに増悪を経験して好酸球数≧300/µLであるならば、ICS/LABA/LAMA併用の恩恵を受けるかもしれない。





# by otowelt | 2018-10-25 00:43 | 気管支喘息・COPD

慢性呼吸器疾患の在宅見守り機器

e0156318_14441648.jpg 取り組みが素晴らしいです。

藤本圭作ら.
感圧センサシートを用いた慢性呼吸器疾患対応在宅見守り機器開発の試み
日呼吸誌, 7(5): 288-296, 2018

 
背景・方法:
 既存の感圧センサシート(スリープアイ®)を改良して,在床・離床,呼吸数,呼吸パターン,体動,SpO2,脈拍数がモニターできる機器を開発し,高齢慢性呼吸器疾患患者の在宅見守りシステムとしての有用性を検討した.

結果:
 呼吸数は既存の機器と良好な相関が得られ,無呼吸・低呼吸および低換気イベント,低酸素状態,体動を捉えることが可能であり,また1週間の連続計測から,夜間の中途離床,日中の在床時間を把握することができた.

結論:
 我々が開発した在宅見守りシステムは高齢慢性呼吸器疾患患者の在宅管理に有用と考えられた.





# by otowelt | 2018-10-24 00:47 | 呼吸器その他

第4世代QFTと既存IGRAの比較

e0156318_1302985.jpg 日本から、QFTの「判定保留」がなくなります。

福島喜代康ら.
活動性肺結核における新規QuantiFERON® TBゴールドプラスと既存IGRAsの比較検討
Kekkaku Vol. 93, No. 10 : 517-523, 2018


目的:
 活動性肺結核における新規QFT-Plus の有用性をQFT-3G,T-SPOT と直接比較検討した。

対象・方法:
 対象は活動性肺結核患者77 例(平均年齢79.9 歳)(A群)。80 歳未満(B群),80 歳以上(C群),末梢血CD4 値200/μL未満(D 群),CD4 値200/μL以上(E 群)の計5 群での感度を比較した。

結果:
 A 群:QFT-Plus(93.5%),QFT-3G(90.9%)はT-SPOT(74.0%)に比し有意(各々p=0.001,p=0.006)に高かった。C 群:QFT-Plus(93.0%)とQFT-3G(89.5%)はT-SPOT(71.9%)より有意(各々p=0.003,p=0.018)に高かった。E 群:QFT-Plus とQFT-3Gは同じ感度98.1% でT-SPOT(77.8%)より有意(各p=0.001)に高かった。[TB2 値-TB1 値]は正方向にシフトしていた。

考察・結語:
 IGRAの感度はCD4 値が大きく影響し加齢とともにCD4 値も有意に減少し各IGRAの感度も低下した。QFT-Plusは高リスク群を含む全ての活動性肺結核の診断補助に有用である。





# by otowelt | 2018-10-23 00:41 | 抗酸菌感染症