チオトロピウムは喘息患者のカプサイシン咳感受性を緩和

e0156318_1637713.jpg チオトロピウムがTRAPV1の脱分極を抑制するという話を聞いて、読ませていただいた論文です。

Fukumitsu K, et al.
Tiotropium Attenuates Refractory Cough and Capsaicin Cough Reflex Sensitivity in Patients with Asthma.
J Allergy Clin Immunol Pract. 2018 Sep - Oct;6(5):1613-1620.e2.


背景:
 喘息の咳嗽は、しばしば吸入ステロイド(ICS)や吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)のような標準治療に抵抗性である。チオトロピウムは急性ウイルス性咳嗽の咳嗽反射感受性を調節するが、喘息の咳嗽に対する効果は不明である。

目的:
 ICS/LABA抵抗性の喘息患者においてチオトロピウムが咳嗽および咳嗽反射感受性を改善するかどうか評価すること。

方法:
 ICS/LABAを使用しているにも関わらず慢性咳嗽を呈している喘息の17人の連続患者(13人が女性:平均年齢43.4±19.0歳、平均ICS用量651±189μg/日[フルチカゾン相当量])が、肺機能およびカプサイシン咳嗽反射感受性(閾値C2およびC5)に対する影響を調べるためにチオトロピウム(5μg/日)を4~8週間追加的に治療された。咳嗽重症度、咳嗽特異的QOL、喘息コントロールがVASを用いて評価された。また、Leicester咳嗽質問票(日本版)(J-LCQ)、喘息コントロールテスト(ACT)も評価された。咳嗽VASスコアが15mm以上改善した患者は、チオトロピウムのレスポンダーと考えた。

結果:
 チオトロピウムは咳嗽VAS、J-LCQ、ACTスコアを有意に改善させたが、1秒量は改善させなかった。VASスコアの変化はカプサイシンC2(r = -0.58; P = 0.03)、C5(r = -0.58; P = 0.03)、ACTスコア(r = -0.62; P =0.02)と相関していたが、1秒量とは相関していなかった。11人のレスポンダーに限ると、チオトロピウムはカプサイシン咳嗽反射感受性をサブグループ内で有意に改善させ(C2: P = 0.01, C5: P =0.02)、ノンレスポンダーとの比較でも改善させた(C2: P = 0.004 、C5: P = 0.02)。

結論:
 チオトロピウムは、ICS/LABA抵抗性の喘息の咳嗽に対して、気管支拡張効果ではなく咳嗽反射感受性を調節することで軽減するかもしれない。





# by otowelt | 2018-12-24 00:09 | 気管支喘息・COPD

TONES 3試験:閉塞性睡眠時無呼吸に有望な経口薬剤solriamfetol

e0156318_117241.png OSAに対する有望な内服錠剤があれば、臨床医も患者さんも助かりますね。同時期に、6週間の短期有効性が示された研究も発表されています(Chest. 2018 Nov 21. pii: S0012-3692(18)32732-6.)。

Schweitzer PK, et al.
Solriamfetol for Excessive Sleepiness in Obstructive Sleep Apnea (TONES 3): A Randomized Controlled Trial.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Dec 6. doi: 10.1164/rccm.201806-1100OC.


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸の初期治療によっても、アドヒランスがあるにもかかわらず過度な眠気が遷延することがある。さらに、睡眠時無呼吸の治療そのものも、アドフランスの観点からは十分な効果があるとは言えない。こうした集団に対して、現在使用できる薬剤治療オプションは限られている。

目的:
 閉塞性睡眠時無呼吸の被験者における過度な眠気に対する現行・既往治療に対して、覚醒促進効果がある選択的ドパミン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬solriamfetol(JZP-110)の効果と安全性を評価すること。

方法:
 二重盲検ランダム化プラセボ対照並行群間試験で、solriamfetol37.5mg、75mg、150mg、300mgとプラセボを比較した。

結果:
 476人の被験者のうち、459人が事前に規定した効果解析に組み込まれた。複合プライマリエンドポイント(覚醒維持テストの睡眠潜時およびエプワース睡眠スケールスコア)は、すべてのsolriamfetol用量で効果をもたらした(p<0.05)。1週時点で用量依存性の効果が確認され、試験期間中それが維持された。37.5mgを除く用量で、全般改善度(Patient Global Impression of Change)の改善を報告した患者頻度が高かった(キーセカンダリエンドポイント、p<0.05)。有害事象はプラセボ群の47.9%にみられ、solriamfetol治療群の67.9%にみられ、5人が重篤な有害事象を呈した(プラセボのうち2人[1.7%]、solriamfetol群のうち3人[0.8]%)が、いずれも試験薬に関連したとは考えられなかった。もっともよくみられたsolriamfetolの有害事象は、頭痛(10.1%)、悪心(7.9%)、食欲低下(7.6%)、不安(7.0%)、鼻咽頭炎(5.1%)だった。

結論:
 solriamfetolは、閉塞性睡眠時無呼吸で過度な眠気がある被験者に対して、有意に覚醒を改善し眠気を減少させた。ほとんどの有害事象は軽度あるいは中等度だった。





# by otowelt | 2018-12-21 00:45 | 呼吸器その他

Mycobacteroides abscessus complex感染症のerm(41) sequevarと臨床的特徴

e0156318_10555091.png C28 sequevarの存在は、Mycobacteroides abscessusの中でもクラリスロマイシンの有効性と関連しています。この遺伝子型は10~20%ほど存在すると考えられていますが、本研究では8.8%でした。市中病院でT28かC28か調べることは困難です。

Morimoto K, et al.
Clinico-microbiological analysis of 121 patients with pulmonary Mycobacteroides abscessus complex disease in Japan - An NTM-JRC study with RIT.
Respir Med. 2018 Dec;145:14-20.


背景:
 日本のようなMycobacteroides abscessus complex (MABC) 感染症の頻度が低い地域において、MABCの臨床的側面と微生物学的エビデンスを評価するための包括的解析はこれまで行われなかった。

目的:
 この研究は、MABCの臨床病理学的特性、すなわち臨床に関連したerm(41) sequevar、フェノタイプ(コロニー形態およびMIC)、ジェノタイプを明らかにすることを目的としている。

方法:
 2004年から2014年までの間、日本において合計121人のMABC患者(68人:M. abscessus subsp. abscessus、53人:M. abscessus subsp. massiliense)がこの後ろ向き臨床生物学的研究に組み込まれた。

結果:
 約30%のMABC患者が過去に非結核性抗酸菌(NTM)症の既往を有していた。さらに、患者の24.8%はMABCと診断された後もそのほかのNTM感染を合併していた。M. abscessusグループの患者の10%未満がerm(41)にT28C(C28)を有していた。M. massiliense のほうがM. abscessusよりも高い菌陰性化だった(それぞれ72.4%、34.8%, p = 0.002)一方で、再発についてはM. massiliense のほうが比較的多かったが統計学的に有意ではなかった(31.0% vs 21.7%、p=0.37)。追跡期間中の死亡は、M. abscessusで15人(22.1%)、M. massiliense で2人(3.8%)だった。
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(文献より引用)

 M. abscessusの患者において、治療反応性が良好だった患者は、治療抵抗性だった患者と比べて3日目のクラリスロマイシンのMICが有意に低かった(MIC中央値; 0.75 μg/ml vs 2.0 μg/ml, p = 0.03)。

 コロニー形態は、M. abscessusがrough:47.8%、smooth:28.4%、mixed:20.9%で、M. massiliense がrough:42.3%、smooth:28.8%、mixed:19.2%だった。臨床表現型とVNTRジェノタイプの間に有意な相関性はなかった。
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(文献より引用)

結論:
 MABC感染症において、他のNTMの既往や共存が比較的よくみられるため、これらの知見を注意深く臨床行動に適用すべきである。M. abscessusの早期クラリスロマイシン耐性とerm(41)機能の評価は、治療戦略を改善させるために重要である。





# by otowelt | 2018-12-20 00:27 | 抗酸菌感染症

メプチンスイングヘラーケース発売

私の喘息の書籍で紹介させていただいた、吸入薬ケースに新ラインナップ、メプチンスイングヘラーケースが登場しました!

URL:吸入薬ケース(株式会社 JACAJACA)

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「お客様からのご要望から生まれた吸入薬ケース。喘息治療の専門医:倉原 優先生からも「バッグの中を半狂乱で探すというのは、喘息発作の患者さんで何人か経験しているようです。患者さんにとって直ぐに取り出せない、落とすかもしれ
ないのは恐怖でしかなく、そういった意味でもケースの必要性を実証できてるのでは思います。バッグにぶら下げるタイプのデザインは素晴らしいの一言で感銘を受けた」と、執筆された専門誌でもご紹介頂き、「ファッションの分野でもその日の気分でケースを変えるような” オシャレぜんそく ”が広がると面白いですね」とお言葉を頂きました。少しでもお役に立てるよう、私どもは今後も心を込めてお作りします。」

・商品名:メプチンスイングヘラーケース
・対応薬:メプチンスイングヘラー 10μg
・価格 :3,240円(税込)
・サイズ:約7.3cm×約6.1cm×約2.8cm(メプチンスイングヘラーに装着した状態)






# by otowelt | 2018-12-19 00:24 | 気管支喘息・COPD

空洞性病変の存在と2ヶ月後の塗抹陽性の組み合わせは肺結核再発のリスク

e0156318_1302985.jpg 既知の知見ですが、結核病学会ではあまり「2ヶ月後の菌陽性」というのは重要視されなくなるかもしれません(塗抹と培養の違いはありますが)。個人的にはリスク高そうなら長めに飲もうか、というスタンスでよいと思っています。

Romanowski K, et al.
Predicting tuberculosis relapse in patients treated with the standard 6-month regimen: an individual patient data meta-analysis.
Thorax. 2018 Nov 12. pii: thoraxjnl-2017-211120. doi: 10.1136/thoraxjnl-2017-211120.


背景:
 結核(TB)の再燃は、結核患者および同プログラムにとって世界的に大きな足枷となっている。われわれは、WHOの標準6ヶ月レジメンで治療された患者のTB再発に関連した臨床的および微生物学的を同定し、再発アウトカムを予測する各々の因子の精度を評価することを目的とした。

方法:
 標準治療を受けた患者における治療アウトカムを報告したランダム化比較試験を同定するため、システマティックレビューをおこなった。筆者にコンタクトをとり、患者レベルデータ(IPD)を共有してもらうようはたらきかけた。ランダム切片ロジスティック回帰モデルおよびROC曲線を用いて1段階IPDメタアナリシスをおこない、関連する因子の予測パフォーマンスを評価した。

結果:
 IPDデータは12研究のうち3研究から得られた。1189人の治療を完遂した肺TBのうち、67人(5.6%)が再発した。多重予測解析において、ベースラインに空洞性病変があり2ヶ月時点で塗抹陽性の場合、再発のオッズ比は上昇し(オッズ比2.3、95%信頼区間1.3-4.2)、再発リスクは10%となった。多重予測モデルの曲線下面積を比較したとき、低リスクおよび高リスクの鑑別能は大きくなく、年齢、性別、HIVステータスを考慮した参照モデルと同等だった。

結論:
 予測能は悪かったが、とりわけ医療リソースが限られた状況においては、空洞性病変の存在と2ヶ月時点での塗抹陽性ステータスの組み合わせは、再発リスクにある個人を同定する上で現在最も有用なマーカーかもしれない。これらの因子の組み合わせが、実臨床において別治療を要することを裏付けるかどうかを検証するために、さらなる研究が必要である。





# by otowelt | 2018-12-18 00:43 | 抗酸菌感染症