非小細胞肺癌に対する抗癌剤治療開始30日以内の死亡リスク

e0156318_8124310.jpg 起死回生にかけて、という症例もあろうかとは思いますが。

Gibson AJW, et al.
Factors associated with early mortality in non-small cell lung cancer patients following systemic anti-cancer therapy: A 10 year population-based study.
Lung Cancer. 2019 Aug;134:141-146.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)患者の臨床的因子、背景因子、治療関連因子が、全身性抗癌療法(SACT)を受けた後の30日間の死亡リスクにどのように影響するかを調査し、治療決定の包括的レビューと、リアルワールドでの経験を集積した。

方法:
 2005年から2014年までにSACTを受けたNSCLC患者をレビューし、背景因子、臨床データ、病理学的データ、治療データ、転帰データを含んだGlans-Look Lung Cancer Databaseに記録した。SACT後30日の死亡率が算出され、最後の14日でのレジメン変更があったかどうかみ記録した。単変量および多変量ロジスティック回帰を用いて、背景、腫瘍、治療関連因子が死亡リスクと相関するかどうか調べた。

結果:
 2005年から2014年までに、1044人の患者が1コース以上のSACTを受けた。233人(22.3%)がSACTを受けて30日以内に死亡した。32人(13.7%)は、死亡前に新しいSACTレジメンを受けていた。30日死亡リスクと死亡前のレジメンの変更の関連性は、男性(オッズ比1.48、95%信頼区間1.12-1.95、p=0.005)、診断時進行期癌(オッズ比1.85、95%信頼区間1.99-2.88、p=0.006)、緩和治療(オッズ比6.75、95%信頼区間3.88-11.77、p<0.001)、EGFR-TKI使用(オッズ比率4.5、95%信頼区間3.27-6.18、p<0.001)で高かった。早期死亡リスクが低かったのは、非喫煙者(オッズ比0.62、95%信頼区間0.41-0.95、p=0.028)、より長い年数のSACT(オッズ比0.65、95%信頼区間0.45-0.86、p=0.002)だった。

結論:
 NSCLC患者がSACTを受けた後の早期死亡に関連するいくつかの因子を同定した。



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# by otowelt | 2019-08-27 00:54 | 肺癌・その他腫瘍

KEAP1/NFE2L2/CUL3変異はEGFR-TKI耐性に関与

e0156318_8124310.jpg 耐性メカニズムにはいろいろな報告があります。

Hellyer JA, et al.
Impact of KEAP1/NFE2L2/CUL3 mutations on duration of response to EGFR tyrosine kinase inhibitors in EGFR mutated non-small cell lung cancer.
Lung Cancer. 2019 Aug;134:42-45.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)においてEGFR遺伝子変異のある患者に対する、EGFR-TKIは通常化学療法と比較してアウトカムを改善させる。しかしながら、これら薬剤に対する耐性が懸念されている。近年、KEAP1-NFE2L2経路がEGFR-TKI耐性の獲得に潜在的に関与することが示唆されている。

方法:
 われわれは、転移性NSCLCでEGFRおよびKEAP1/NFE2L2/CUL3に変異のある全患者を調べた。これらの患者は、性別、喫煙状態、年齢、人種に基づいて、EGFR変異がありKEAP1/NFE2L2/CUL3が野生型である対照コホートと比較された。EGFR-TKIによる治療奏効期間(TTF)と全生存期間が解析された。

結果:
 228人のEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者のうち、17人(7%)がKEAP1/NFE2L2/CUL3変異陽性だった。9人の患者が一次治療でEGFR-TKIを受け、エルロチニブが8人、オシメルチニブが1人だった。その他は二次治療以降でEGFR-TKIを受けた。KEAP1/NFE2L2/CUL3変異群と野生型群におけるもっともよくみられた共通の変異はTP53であった。
 KEAP1/NFE2L2/CUL3変異コホートとコントロールコホートに、年齢、性別、喫煙歴、人種などの差はなかった。
 KEAP1/NFE2L2/CUL3変異のある患者は、EGFR-TKIによるTTFが有意に短かった(4.7ヶ月 vs 13.0ヶ月、p=0.0014)。全生存期間には差はなかった。
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(文献より引用:TTFおよびOS)

結論:
 EGFR遺伝子変異があるNSCLCにおいて、KEAP1/NFE2L2/CUL3にも変異があると、TTFが有意に短くなることが示された。これらの変異は内因性のTKI治療耐性メカニズムと関連していると考えられる。



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# by otowelt | 2019-08-26 00:02 | 肺癌・その他腫瘍

非結核性抗酸菌症の外科切除成績

e0156318_10555091.png 当院でも選択的に外科手術をお願いしています。

関原圭吾ら.
非結核性抗酸菌症に対する外科切除の成績
Kekkaku Vol. 94, No. 7 : 409-412, 2019


目的:
 非結核性抗酸菌(NTM)症の治療には,薬剤耐性など限られた症例に対して外科切除の適応がある。本検討では外科切除後の成績を明らかにすることを目的とした。

対象:
 2012年1月から2017年12月までの手術例18例を対象とした。観察期間中央値は39.1カ月。

方法:
 術後排菌が陽性化,もしくは画像で陰影の増悪を再燃とし,術後合併症と無病生存率(DFS)をそれぞれ検討した。

結果:
 年齢中央値66 歳,男性4 例(22%),女性14 例(78%),菌種はM.avium 12 例(67%),M.intracellulare 3 例(16%),M.xenopi 2 例(11%),M.abscessus 1 例( 6 %)であった。術式は部分切除1 例( 6 %),区域切除2 例(11%),肺葉切除11 例(61%),肺葉切除+部分切除1 例( 6 %),肺葉切除+区域切除3 例(16%),手術時間220分,出血量84 gであった。合併症は遷延性肺瘻を2 例(11%)に認め,周術期死亡はなかった。術後3 年DFS は85% であった。

考察:
 重症合併症や周術期死亡はなかった。病勢制御率も高く,適切な症例選択をすれば外科切除は有効な治療である。






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# by otowelt | 2019-08-23 00:01 | 抗酸菌感染症

LAM患者における気道可逆性と吸入薬

e0156318_21492533.jpg ブリーフコミュニケーションですが、とても興味深いテーマです。

Johnson J, et al.
Cross-sectional study of reversible airway obstruction in LAM: better evidence is needed for bronchodilator and inhaled steroid use.
Thorax. 2019 Jul 30. pii: thoraxjnl-2019-213338.


概要:
 確定あるいは疑い例のリンパ脈管筋腫症例(LAM)患者を2011~2018年まで登録した。初回受診時に、臨床・薬剤投与歴、肺機能検査、胸腹部CT検査がおこなわれた。サルブタモールを用いて気道可逆性も評価された。気道可逆性は1秒量200mL以上かつ12%以上の改善と定義された。
 213人の患者が登録された。症状発症時の平均年齢は37±12.9歳で、受診時の平均年齢は50±12.3歳だった。95人が気道可逆性検査を実施された。気道可逆性検査を受けた患者は、受けていない患者と年齢や肺機能に差はなかった。LAM患者の気道可逆性の平均は9.5±10%であり、全体の20%が気道可逆性ありと判定された。
 気道可逆性のある患者は気管支拡張薬によって治療されていることが多く、SABA 72% vs 34%、LABA 80% vs 47%、LAMA 76% vs 39%、ICS 44% vs 20%だった。全体の55%が吸入薬を用いていた。吸入薬を用いている患者は、用いていない患者と比較して、罹病期間が長く、1秒量が低く、DLcoが低かった。
 ラパマイシンは72% vs 34%とこれも気道可逆性がある患者群で多かった。
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(文献より引用)







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# by otowelt | 2019-08-22 00:59 | びまん性肺疾患

本の紹介:ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第2版

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 3年前、こんな書き出しで前版を紹介しました。「私が手に入れてよかったと思う医学書は、読んで自分が焦る本です」と。

 ―――ついに出たぜ、神本第2版!!! 

発売日:2019年8月22日
単行本 : 886ページ
価格 : 8,640円 (税込)
出版社 : シーニュ
監訳: 高岸 勝繁 先生

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 今や「ホスピタリストといえば誰ですか?」という質問に対して、高岸勝繁先生を挙げる人も多いでしょう。彼は「Hospitalist ~病院総合診療医~http://hospitalist-gim.blogspot.jp/)」というブログを運営しています。毎日のように更新されるハイレベルな知識の洪水の恩恵を受けようと、アクセスが集まっています。私も更新されるたびにチェックしています。日本の「ザ・ホスピタリスト」として必ず挙げるドクターの一人です。

 ホスピタリストは本来、入院患者さんを包括的に診療する医師という意味で、プライマリ・ケアとは違い病棟に特化した用語です。高岸先生は外来マネジメントも綿密でしょうが、本領を発揮している舞台が病棟であることは、ブログや著書から明白です。
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 この本は独自のフローチャートがとてもシンプルで分かりやすいのですが、真髄は徹底したエビデンスの裏付けにあります。いや、徹底どころじゃない、やりすぎと言ってもいいレベル!

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 たとえば、ポビドンヨードを胸腔内に入れるという癒着術について、近年論文レベルで目にするようになりました。しかし、この本にはさも当たり前のようにサラリと書かれています。こういう知見があらゆる内科分野にわたって散りばめられているわけです。専門医なのにそんなアハ体験があると、背筋がゾッとしますよ。

 ―――日本中の医師よ、さあこの本を読んで焦るがよい。



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# by otowelt | 2019-08-20 00:14 | その他