EGFR-TKIとニボルマブの併用は間質性肺炎のリスク

e0156318_1164629.jpg ニボルマブ→EGFR-TKIによる続発発症も注意が必要です。

Oshima Y, et al.
EGFR-TKI-Associated Interstitial Pneumonitis in Nivolumab-Treated Patients With Non-Small Cell Lung Cancer.
JAMA Oncol. 2018 Aug 1;4(8):1112-1115.


背景:
 ニボルマブとEGFR-TKIは非小細胞肺癌(NSCLC)に対する標準的治療に位置付けられている。EGFR-TKIの特性や安全性プロファイルはよくわかっているが、免疫チェックポイント阻害剤については他の抗癌剤と併用されるにも関わらずいまだよくわかっていない部分がある。

目的:
 ニボルマブがEGFR-TKI関連間質性肺疾患の頻度を増加させるかどうか調べること。

方法:
 2015年4月~2017年3月までの20516人のNSCLC患者FAERSデータベースを用いた。ニボルマブ治療を受けた患者とそうでない患者のEGFR-TKI関連間質性肺疾患の頻度を比較した。

結果:
 EGFR-TK治療を受けた患者の平均年齢は64.4±15.5歳、EGFR-TKIとニボルマブを併用した患者の平均年齢は68.9±11.8歳だった。男性の比率はそれぞれ40.0%、53.8%だった。
 20516人のNSCLC患者のうち、985人(4.8%、95%信頼区間4.51-5.10)に間質性肺炎が生じた。5777人のEGFR-TKIを受けた患者のうち、265人に間質性肺炎が生じた(4.59%、95%信頼区間4.06-5.16)。EGFR-TKIとニボルマブを併用した患者70人のうち18人に間質性肺炎が生じた(25.7%、95%信頼区間16.0-37.6)。EGFR-TKIとニボルマブの相互作用に対する補正オッズ比は4.31(95%信頼区間2.37-7.86; P < .001)であり、相互作用があると考えられる。ニボルマブ使用の有無で層別化すると、EGFR-TKI関連間質性肺炎のオッズ比はニボルマブ併用時5.09(95%信頼区間2.87-9.03)、非併用時1.22(95%信頼区間1.00-1.47)だった。
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(文献より引用)

結論:
 EGFR-TKIとニボルマブを併用すると、それぞれの単剤治療と比較すると高い頻度で間質性肺炎を発症した。研究には限界があるため、さらなる検討が望まれる。しかしながら、EGFR-TKIとニボルマブを併用する場合は間質性肺炎の発症に注意が必要である。



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# by otowelt | 2018-08-28 00:36 | 肺癌・その他腫瘍

ヨーロッパにおけるIPF管理の変遷

e0156318_7331272.jpg Respiratory Researchに批判的な目を持っているわけではありませんが、データ収集にバラつきはあれどもう少し上のジャーナルを目指せたのではないのかと思います。

Guenther A, et al.
The European IPF registry (eurIPFreg): baseline characteristics and survival of patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Research201819:141,https://doi.org/10.1186/s12931-018-0845-5


背景:
 2009年からヨーロッパのIPF患者はeurlIPFregに登録されており、ここから疫学的データやtranslational researchの生体材料が提供されている。

方法:
 レジストリーデータは、患者および主治医のベースライン・追跡時質問票に基づいており、1700のパラメータで構成されている。このレジストリの中期~長期的な目的は、IPFのフェノタイプ、トリガー因子、増悪条件、地域的・環境的特徴、疾患動態、マネジメントについて理解するための情報を提供することである。

結果:
 2009年11月から2016年10月までに合計2090人の患者がレジストリに登録されたが、1083人は間質性肺疾患疑いどまりであった。IPFと確定診断されたのは525人だった。IPF患者の平均年齢は68.1歳であり、進行性の呼吸困難(90.1%)、疲労(69.2%)、乾性咳嗽(53.2%)で受診することが多かった。cracklesは95.5%の患者に聴取され、ばち指は30.8%にみられた。IPF患者のうち、18.64%がIPFおよびびまん性肺疾患の家族歴を有していた。外科的肺生検は2009年に32%実施されていたが、2016年には8%にまで減少しており、これはおそらくクライオバイオプシーの普及による。気管支肺胞洗浄が行われた263人の所見は、好中球分画上昇(14±15.7%)、好酸球分画上(5.4±8.5%)、リンパ球分画正常(9.8±10.7%)、マクロファージ分画減少(71.2±20.1%)だった。
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(文献より引用:IPF患者の診断手技)

 eurlIPFregに登録された時点で、%努力性肺活量は68.4±22.6%であり、%DLCOは42.1±17.8%だった。135人のIPF患者が長期酸素療法を受け、平均流量は鼻カニューレ2L/分だった。135人のうち、18人が4L/分を超える流量だった。肺高血圧症は16.8%にみられた。6分間歩行距離のは平均388±122mだった。
 ステロイド、免疫抑制剤、N-アセチルシステインは2009年以降減少しており、かわりに抗線維化薬が用いられている。これにより生存が改善している(p = 0.001)。抗線維化薬を使用している患者では生存期間中央値は123.1ヶ月、使用していない患者は68.3ヶ月だった。
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(文献より引用:IPFの治療)
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(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
 ヨーロッパのIPF患者のベースライン特性、診断、マネジメントの変化、アウトカムについて報告した。



# by otowelt | 2018-08-27 00:37 | びまん性肺疾患

重症喘息を有する日本人女性において肥満は喘息コントロール不良と関連

e0156318_1637713.jpg 言われてみると、確かに日本のデータは見かけません。男性の肥満喘息はあまり診たことがありませんが、女性の肥満喘息はチラホラ見かけます。物理的な影響だけでなく、レプチンが好酸球の炎症局所への遊走を促進したり、アディポサイトカインがステロイド感受性を低下させたり、いろいろな説があるようです。

To M, et al.
Obesity-associated severe asthma in an adult Japanese population.
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.07.003


背景:
 重症喘息は公衆衛生学的に重要な問題として認識されている。肥満は、喘息コントロール不良や喘息重症度悪化のリスク因子である。しかしながら、肥満患者と喘息の関連性を調べたほとんどの研究は欧米諸国のものである。重症喘息を有する肥満の日本人の特徴はほとんど報告されていない。そのため、われわれは日本人集団において肥満関連喘息の臨床的特徴、および肥満と喘息コントロール不良の関連性を調べた。

方法:
 重症喘息の成人患者の後ろ向き観察研究である。患者はBMI25以上の肥満群と25未満の非肥満群の2群に分けられた。この2群を比較検討した。肥満の特徴と代謝性マーカーは男女で差がみられることがわかっているため、男性のみのコホートと女性のみのコホートに分けて解析した。

結果:
 合計492人が登録された。年齢、喫煙歴(pack-years)、日常的なコントローラー使用、スパイロメトリーデータは肥満群・非肥満群で差はみられなかった。女性コホートにおいて、年間の増悪率および頻回な増悪の頻度は、肥満群のほうが非肥満群よりも有意に高かった。多変量ロジスティック回帰分析では、女性コホートにおいて、肥満は頻回な喘息の増悪と独立して関連していた。
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(文献より引用:男女別のプロファイル)

結論:
 われわれの研究において、BMI25以上の肥満は、重症喘息を有する日本人女性の喘息コントロール不良(急性増悪を含む)と独立して関連していた。


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# by otowelt | 2018-08-24 00:12 | 気管支喘息・COPD

WRAP-IPF試験:GER合併IPFに対する腹腔鏡下逆流防止術

e0156318_7331272.jpg 今年のATSで発表されたのでご存知の方も多いと思いますが、後ろ向き研究だった知見を前向きに再検討したものです。結果はポジティブとは言えませんが、もっと大規模にやりましょうという結論になっています。

Ganesh Raghu, et al.
Laparoscopic anti-reflux surgery for the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis (WRAP-IPF): a multicentre, randomised, controlled phase 2 trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30301-1


背景:
 胃食道逆流(GER)は、IPFの進行にかかわると考えられている。我々は、腹腔鏡によるGERに対する手術(腹腔鏡下逆流防止術)がIPF進行を抑制するかどうか調べた。

方法:
 このWRAP-IPF試験は、IPFでGERがみられる患者をアメリカ6施設から集めたランダム化比較試験である。われわれは、努力性肺活量が保たれているIPFで24時間pHモニタリングでDeMeesterスコア14.7点以上のGER患者を登録した。%努力性肺活量が50%以下の患者、1秒率65%以下の患者、過去12週間に急性呼吸器系疾患の既往がある患者、BMI35以上の患者、既知の重症肺高血圧症の患者は除外した。ニンテダニブやピルフェニドンの併用は許可した。プライマリエンドポイントは、ITT集団におけるランダム化から48週までの努力性肺活量の変化とした。

結果:
 2014年6月1日から2016年9月30日までに、72人の患者がスクリーニングされた。そのうち58人が外科手術群(29人)、非外科手術群(29人)にランダムに割り付けられた。外科手術群の27人、非外科手術群の20人が48週時に努力性肺活量の測定を受けた。抗線維化薬の使用で補正したITT解析において、48週までの努力性肺活量の変化は外科手術群-0.05L(95%信頼区間-0.15~0.05)、非外科手術群-0.13L(95%信頼区間-0.23~-0.02)だった(p=0.28)。IPF急性増悪、呼吸器疾患による入院、死亡は外科手術群のほうが多かったが統計学的な有意差にはいたらなかった。嚥下障害(28人中8人)、腹部膨満感(28人中4人)が外科手術後の合併症としてみられた。観察期間中、外科手術群で1人、非外科手術群で4人の死亡がみられた。
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(文献より引用:努力性肺活量の変化)

結論:
 IPFでGERがみられる患者の腹腔鏡下逆流防止術は安全で忍容性がある。大規模なランダム化比較試験が望まれる。




# by otowelt | 2018-08-23 00:16 | びまん性肺疾患

若年気胸に対するS6a切除の重要性

e0156318_14441648.jpg 積極的にS6aを切除したほうが再発が少ない可能性があります。

Obuchi T, et al.
Pneumothorax in teenagers: reducing recurrence through resection of superior segment of lower lobe.
J Thorac Dis. 2018 Jun;10(6):3507-3511.


背景:
 若年患者における自然気胸は、再発率が高い。われわれは、後ろ向きに再発の原因や効果的な外科手術法を調べ、特に下葉S6aの切除が再発率軽減に有効かどうか調べた。

方法:
 2011年4月~2017年9月に、われわれは20歳以下の片側気胸患者126人(男性105人、女性7人、平均年齢17.2歳)に対し146の外科手術を適用した。肺尖部のブラ切除とS6aの切除をおこなった患者群(S6a群)と、通常の肺尖部ブラ切除を行い吸収性メッシュシート被覆をおこなった患者群(AB群)で再発率を比較した。

結果:
 S6a群とAB群ではS6a部位の再発数に明らかな差がみられた(0例 vs 8例、p=0.025)。しかし、総再発率という観点からみると2群に有意な差は観察されなかった(16.1% vs.18.6%)。初回手術の時点で、S6a検体56のうち55(98.2%)で、無症候性で非破裂ブラがみられた。
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(文献より引用)

結論:
 肺尖部に加えて、S6aも気胸再発の責任部位になることが多い。再発率を減らすため、われわれは初回手術でたとえ肉眼的に嚢胞が明らかでなくともS6a切除を並行することを支持する。





# by otowelt | 2018-08-22 00:19 | 呼吸器その他