COPDにおけるヒアルロン酸および分解酵素の役割

e0156318_1633480.jpg ヒアルロン酸といえば呼吸器内科領域では悪性胸膜中脾腫ですが、COPD増悪時にも有用かもしれません。ただ、そこまで必要性が高いバイオマーカーとは言えません。

Papakonstantinou E, et al.
Serum levels of hyaluronic acid are associated with COPD severity and predict survival.
Eur Respir J. 2019 Jan 31. pii: 1801183. doi: 10.1183/13993003.01183-2018.


背景:
 ヒアルロン酸(HA)とその分解生成物は、COPDにおける肺の病態生理および気道リモデリングにおいて重要な役割を果たしている。

方法:
 HAとその分解酵素ヒアルロニダーゼ-1(HYAL-1)がCOPDの重症度と転帰に関連しているかどうか調べた。血清HAは、安定期および増悪にあるCOPD患者80人のdiscovery cohortで測定された。HA、HYAL-1、HYAL-1酵素活性が安定期、増悪および増悪4週間後に評価された。validation cohortにはPROMISE試験から638人が登録された。

結果:
 discovery cohortにおいて、血清HAは安定期と比較して増悪時に上昇していた(p=0.015)validation cohortでは、HAはベースラインより中等症および重症増悪時に高く(p<0.001)、ぞ悪4週間後も高値のままだった(p<0.001)。
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(文献より引用:血清ヒアルロン酸値)

 HAは、補正Charlsonスコア、年間増悪率およびBODE指数とは関係なく、死亡までの期間と関連しており(p <0.001)、全生存の強い予測因子だった。血清HYAL-1は中等症増悪(p=0.004)および重症増悪(p=0.003)で上昇していたが、増悪4週間後には減少した(p<0.001)。HYAL-1酵素活性は、安定期において%予測1秒量(p=0.034)および生存期間(p=0.017)と逆相関していた。
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(文献より引用:HYAL-1活性とアウトカム)

結論:
 血清HAはCOPD重症度と関連しており、全生存を予測する。HAの酵素分解は気流制限と肺機能障害に関連している。




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# by otowelt | 2019-02-28 00:00 | 気管支喘息・COPD

BOLDコホート解析:COPDの過剰診断・過剰治療は多い

e0156318_1633480.jpg 日本でも、薬剤を使用するために保険病名をとりあえずつけて・・・という医療はまかり通っています。所得が多い地域はやはり薬剤の曝露が多いですね。

Sator L, et al.
Overdiagnosis of COPD in subjects with unobstructed spirometry - a BOLD analysis.
Chest. 2019 Jan 31. pii: S0012-3692(19)30066-2. doi: 10.1016/j.chest.2019.01.015.


背景:
 COPDの過小診断についてはいくつか報告があるが、COPDの過剰診断や過剰治療についてはほとんど分かっていない。われわれは、COPDの過剰診断とスパイロメトリーの定義上COPDの偽陽性だった頻度を調べ、2003年~2012年まで実施されたBOLD試験に参加した20ヶ国における23集団サンプルを通じて、過剰治療との関連性も調べた。

方法:
 COPDの偽陽性は、医師にCOPDであると診断された参加者が気管支拡張後スパイロメトリーで非閉塞(1秒率>正常下限値)だったものに考慮された。追加解析で、さらに固定比基準(1秒率<70%)も用いた。

結果:
 16177人のうち、919人(5.7%)が過去にCOPDの診断を受けていた。気管支拡張後スパイロメトリーで非閉塞であると診断されたCOPD偽陽性例は569人(61.9%)だった(正しいCOPD診断は38.1%だったということ)。これは固定比基準を用いても同等の過剰診断率だった(55.3%)。「慢性気管支炎」あるいは「肺気腫」と診断された患者を除外したサブグループ解析では、220人(47.7%)が気流制限を有していなかった。地域特異的なCOPDの偽陽性率は、低中所得国1.9%から高所得国4.9%まで大きく変動がみられた。多変量解析において、過剰診断は女性によくみられ、高い教育水準、現在および既往喫煙者、喘鳴の存在、咳嗽および喀痰、喘息あるいは心疾患に付随する場合によくみられた。COPD偽陽性患者のうち、45.7%は呼吸器系の薬剤を現在使用されていた。喘息であると報告した患者を除外すると、それでも呼吸器系薬剤を処方されている患者の34.4%は正常スパイロメトリーだった。
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(文献より引用:所得ごとのCOPD過剰診断・過剰治療の地域差)

結論:
 COPD偽陽性は頻繁にみられる。これにより、非閉塞の患者が呼吸器系の投薬による有害作用にさらされる可能性がある。



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# by otowelt | 2019-02-27 00:45 | 気管支喘息・COPD

ゾレア®をやめても効果は6年続く?

e0156318_9473145.png リサーチレターです。ゾレア®をどこまで続けるか、あるいはやめた後どのような経過をたどるか、という貴重な報告です。

Maria del Carmen Vennera, et al.
Duration of the efficacy of omalizumab after treatment discontinuation in ‘real life’ severe asthma
Thorax, http://dx.doi.org/10.1136/thoraxjnl-2017-210017


概要:
 重症喘息におけるオマリズマブの効果はよく記述されているが、適切な治療期間は不透明である。このオープン前向き研究において、われわれはオマリズマブ治療を終了した患者における反応の持続性を調べた。われわれは、オマリズマブ治療を自発的に終了することを選んだ49人の患者を治療6年後まで評価した。喘息再発は、喘息コントロールの消失に関連した重度の喘息増悪と定義された。初年度の追跡で12人の患者が再発し、13~48ヶ月の間で7人が再発した。このことから、オマリズマブを終了した後も、少なくとも4年のあいだ60%の患者が6年におよぶ治療効果が継続することが支持される。
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(文献より引用)



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# by otowelt | 2019-02-26 00:15 | 気管支喘息・COPD

INPULSIS試験における気腫はニンテダニブの効果に影響するか?

e0156318_10514140.png Cottin先生の書かれた、ERJのリサーチレターです。

Cottin V, et al.
Therapeutic effects of nintedanib are not influenced by emphysema in the INPULSIS trials
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.01655-2018


 リサーチレターです。INPULSIS試験の事後解析です。ご存知と思いますが、2つのINPULSIS試験において、ニンテダニブが努力性肺活量の年間減少率をプラセボと比較して抑制したことが示されました(差109.9mL/年、95%信頼区間75.9-144.0)。

 このリサーチレターでは、気腫肺の影響について検証しています。1061人の患者のうち、420人(39.6%)に胸部HRCTで気腫肺がみられ、ベースラインで1秒率が80%以下だったのは412人(38.8%)でした。ただ、INPULSIS試験は、1秒率が70%以上の患者を適格としています。

 サブグループ解析において、ニンテダニブによる努力性肺活量減少の抑制は気腫肺がある患者とそうでない患者で差はありませんでした(p=0.6771)。IPF急性増悪についても、気腫肺の有無では有意な差はありませんでした(p=0.1449)。また、1秒率が80%以下と80%以上の患者を分けて解析しても、努力性肺活量に対する効果は同等でした(p=0.3735)。

 以上から、ニンテダニブとプラセボの治療効果の差は気腫の有無やベースライン1秒率に影響されることはないと言えます。





# by otowelt | 2019-02-25 00:27 | びまん性肺疾患

イギリス単施設における早期肺癌に対する外科手術と定位放射線治療の比較

e0156318_10535567.png 耐術能との綱引きになるので、一概に比較する意義があるかどうか、ですが・・・。

Spencer KL, et al.
Surgery or radiotherapy for stage I lung cancer? An intention to treat analysis.
Eur Respir J. 2019 Jan 11. pii: 1801568. doi: 10.1183/13993003.01568-2018.


背景:
 外科手術は早期肺癌に対する標準的ケアであり、定位放射線治療(SABR)は生理学的予備能が限られている患者に対する代替選択肢である。これらの治療選択肢間の転帰の比較は、併存症および治療前の病理学的情報の違いによって規定される。この研究では、病期Iが想定される肺癌の全生存率と癌特異的生存率の両方を、治療意図に基づいて評価することによって、当該問題に対処することを目的とした。

方法:
 これは、イギリスの単施設で実施された、病期Iが想定される肺癌に対する後ろ向きITT解析である。Cox比例ハザード回帰およびFineとGrayの競合リスクモデルによって交絡因子を補正し、全生存期間(OS)および癌特異的生存期間(CSS)および両混合治療関連生存期間(CTRS)が解析された。

結果:
 468人の患者(316人が外科手術群、99人がSABR群)が組み入れられた。外科手術と比較してSABRは、多変量CoxモデルではOS短縮と関連していたが(ハザード比1.84、95%信頼区間1.32-2.57)、CSSおよびCTRSでは有意差はなかった(ハザード比1.47、95%信頼区間0.80-2.69、ハザード比1.27、95%信頼区間0.74-2.17)。FineとGrayの競合リスク多変量モデルでは癌および治療関連死亡に群間差はなかった(ハザード比1.03、95%信頼区間0.59-1.81)。癌に関連しない死亡は外科手術よりSABRのほうが有意に高かった(ハザード比2.16、95%信頼区間1.41-3.32)。

結論:
 この解析では、SABRと外科手術の間には癌特異的生存期間に有意差はなかった。治療転帰の予測因子を定義し、治療法を決定するためにさらなる検証が必要である。



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# by otowelt | 2019-02-22 00:33 | 肺癌・その他腫瘍