医学生における集中治療医の認知度は低い

e0156318_21563989.jpg こういう研究、とても好きです。

細川康二ら.
医学生の“集中治療医”認知度
日集中医誌 2019;26:43-4.


背景:
 集中治療医は,医療機関の中央部門としての集中治療室(ICU)で医療行為などを行う医師を指す。医学生における認知度の低さは,集中治療医を目指す医師と集中治療医学発展の阻害因子となることが危惧されるが,現状は明らかでない。

方法:
 集中治療医の認知度について,関連の強い専門医の認知度と比較調査した。方法は,著者が過去に担当した学生講義でのアンケート調査の解析である。調査は2012年から2017年の5年間で,対象は西日本の国公立大学医学部医学科など5施設である。調査項目は,集中治療医,麻酔科医,救急科医という専門医職種を知っているか,具体的な業務内容(選択肢)とした。調査は,救急医学の単元の中で行われる講義の前に行い,講義の内容は結果に反映されないものである。

結果:
 総回答数は,1,156で,医学科学生からの回答数は,512であった。全体として集中治療医という職種を知っているのは,41%であり,麻酔科医,救急科医に比して有意に低かった(それぞれ,P=0.01,P<0.01)。医学科学生に限ると,麻酔科医や救急科医をほぼ知っているが,集中治療医を知っているものの割合は医学科以外の学生と同様に約4割と低い。

結論
 大学生において集中治療医の認知度が低かった。それは医学科学生でも同様の結果だった。



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# by otowelt | 2019-05-06 00:01 | 集中治療

本の紹介:医師のために論じた判断できない抗菌薬のいろは

 献本ありがとうございます。岩田先生監訳で第3版という割には聞きなれないタイトルだな・・・と思っていたところ、どうやら『抗菌薬マスター戦略』の第3版のようです。なるほどなるほど。

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発売日:2019年4月26日
単行本 : 354ページ
価格 : 5,000円 (税別)
出版社 : メディカルサイエンスインターナショナル
監訳: 岩田 健太郎 先生

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 この本の特徴は、医師が知ってほしい重要なポイントをしぼって書いてあるという点です。とかく医学書というのは冗長になり、マニアックになり、そしてページ数も増え、読んでいると疲れる本が多いのですが、イッツシンプル!要らないところをこそぎ落して、スリムにした感染症本の最終形態ともいえる作品に仕上がっています。
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 話題のセフトロザン・タゾバクタムもアップデートされていました(呼吸器領域では使うことはまずありませんが・・・)。

 ベストな対象読者は、臨床を経験し始める前の医学生~研修医かなと思っていますが、非常によくまとまっているので、中堅医師のリファレンスブックとしても十分活躍できる逸品です。
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# by otowelt | 2019-05-04 00:31 | その他

術後6週のCRPは肺癌の予後予測バイオマーカーとなりうる

e0156318_10535567.png 術後のCRPが予後予測バイオマーカーになりうるという報告です。

Shinohara S, et al.
Postoperative C-reactive Protein Is a Predictive Biomarker for Survival After Non-small Cell Lung Cancer Resection.
Anticancer Res. 2019 Apr;39(4):2193-2198.


背景:
 本研究では、肺切除を受けた非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、術後CRP値が予後に与える影響を調べた。

患者および方法:
 われわれは肺切除を受けたNSCLC患者336人を後ろ向きにレビューした。CRP値は基本的に術後6週に測定した(CRP6w:術後4~8週間であれば許可)。患者はCRP6wの平均値(5.0mg/L)に基づいて高値群と低値群の2群に分けられた。両群で5年全生存(OS)と無再発生存(RFS)が評価された。

結果:
 5年OSおよびRFSは、高CRP6w群のほうが低CRP6w群よりも不良だった (それぞれ62.9% vs. 82.9%; p<0.001, 48.4% vs. 76.1%; p<0.001)。サブグループ解析でも、高CRP6w群の病理病期IおよびII以上でOS不良であることが示された。多変量解析では、高CRP6wとOS不良に関連がみられた(ハザード比2.23、p<0.001)。

結論:
切除されたNSCLC患者において、CRP6wは予後予測バイオマーカーになるかもしれない。





# by otowelt | 2019-05-02 00:58 | 肺癌・その他腫瘍

免疫チェックポイント阻害剤投与後のhyperprogressive disease (HPD)

e0156318_1424077.png 話題のHPDについてです。

Kim CG, et al.
Hyperprogressive disease during PD-1/PD-L1 blockade in patients with non-small-cell lung cancer.
Ann Oncol. 2019 Apr 12. pii: mdz123. doi: 10.1093/annonc/mdz123.


背景:
 PD-1/PD-L1阻害剤による免疫チェックポイント阻害は、さまざまな悪性腫瘍に効果的であり、非小細胞肺癌(NSCLC)の患者の標準治療モダリティに位置づけられている。しかしながら、PD-1/PD-L1阻害剤がhyperprogressive disease (HPD)、すなわち予後不良に直結するフレアアップを起こしうることが示されている。

患者および方法:
 2014年4月~2018年11月までにPD-1/PD-L1阻害剤によって治療された再発性・転移性NSCLCの患者を登録した。同治療を受けたNSCLC患者において、臨床病理学的因子、腫瘍増大の過程、治療アウトカムが解析された。HPDは、腫瘍増大速度(TGK)、腫瘍増大率(TGR)、治療打ち切りまでの期間(TTF)によって定義された。HPDの潜在的予測バイオマーカーを探索するため、末梢血CD8陽性Tリンパ球の免疫フェノタイピングが実施された。

結果:
 合計263人の患者が解析された。HPDは、TGK、TGR、TTFの定義では55人(20.9%)、54人(20.5%)、98人(37.3%)が該当した。TGKおよびTGR基準を満たしたHPDは、HPDのなかった病勢進行と比較して無増悪生存の悪化(ハザード比4.619、95%信頼区間2.868-7.440)、全生存の悪化(ハザード比率5.079、95%信頼区間3.136-8.226)と関連していた。臨床病理学的因子とHPDに明らかな関連はなかった。末梢血CD8陽性Tリンパ球を用いた探索的バイオマーカー解析では、エフェクター/メモリーサブセット(CD8陽性T細胞のうちのCCR7陰性・CD45RA陰性T細胞)およびT細胞の高度"疲弊(exhausted)"がある集団(PD-1陽性・CD8陽性T細胞のうちのTIGIT陽性T細胞)はHPDおよび生存率低下と関連していた。

結論:
 HPDはPD-1/PD-L1阻害剤で治療されたNSCLC患者でよくみられる。合理的に設定された分析によるバイオマーカーを用いることで、HPDと転帰不良をうまく予測できるかもしれないため、さらなるHPDの研究が望まれる。





# by otowelt | 2019-04-30 00:15 | 肺癌・その他腫瘍

NTM診断における気管支鏡の役割

e0156318_2257030.png 着眼点が実臨床的ですごいなと思いました。

角谷拓哉ら.
非結核性抗酸菌感染症疑いの気管支鏡検査で同菌が検出されなかった症例の経過について
日呼吸誌, 8(2): 91-96, 2019


背景:
 NTMに対する気管支鏡検査の有用性は確立しているが,特徴的な画像所見を呈していながら,気管支鏡
検査を行ってもNTM が検出されない症例をしばしば経験する.このような症例が,その後どのような経過をたどるか検討された報告はない。

方法:
 2006~2010 年に聖隷三方原病院呼吸器センターを受診し,胸部CT 画像で結節性陰影,小結節性陰影や分枝状陰影の散布,均等性陰影,空洞性陰影,気管支または細気管支拡張所見のいずれかを呈しNTM症が疑われたが,喀痰検査による診断がつかず,気管支鏡検査を施行した110 例のうち,気管支鏡検査にてNTM症と診断された28例を除き,残り82例のなかで気管支鏡検体の塗抹,PCR,培養検査がすべて陰性かつ,気管支鏡検査後2 年以上の経過が観察可能であった52例を対象として,陰影の推移や症状の変化,排菌の有無を後ろ向きに検討した。

結果:
 全52例のうち症状または画像が悪化した症例は13例,いずれの悪化も認めなかった症例は39例あり,それぞれの背景として年齢は中央値(範囲)で64(26~72)歳/63(39~81)歳,性別は女性が6 例(46%)/28 例(72%),有症状受診例は8 例(62%)/12 例(31%)であり,いずれの悪化も認めなかった症例で女性が多い傾向であった.症状または画像が悪化した症例のなかで症状の悪化は6 例(46%),画像の悪化は12 例(92%),いずれも悪化した症例は5例(38%)であった.6 例(46%)で気管支鏡が再検されており,9 例(69%)で喀痰検査が再検されていた.
 いずれの悪化も認めなかった39 例では,7 例(18%)で気管支鏡が再検され,17 例(44%)で喀痰検査の再検が行われていたが,喀痰検査が再検された2 例より,後にNTM が検出されていた.

結論:
 経過中に症状/画像が不変であった症例ではその後,気管支鏡が再検された症例は少なく明確なことは言えないが,症状/画像が悪化した症例のうち約半数(6/13例,46%)で気管支鏡が再検されており,NTM の検出はなかった.このことから初回に気管支鏡検査を施行し,NTM の検出がなければ,経過中に症状/画像が悪化し気管支鏡を再検してもNTMが検出される可能性は低いかもしれない.喀痰で陽性とならなければNTM症以外の病態を考える必要があるかと思われた.


# by otowelt | 2019-04-29 00:42 | 抗酸菌感染症