広島県におけるレジオネラ集団発生事例調査報告

e0156318_2143291.jpg レジオネラでステロイドを使ってしまうかどうか、確かに悩みどころですね。

尾下豪人ら.
広島県東部におけるレジオネラ症集団発生事例の郵送調査報告
日呼吸誌, 7(2): 85-89, 2018


概要:
 2017年3月に発生した広島県三原市の温泉入浴施設を感染源とするレジオネラ症集団発生では58人の発症届出があった.我々は近隣病院に対して郵送調査を実施し,12病院からレジオネラ肺炎39例の臨床情報を得た.平均年齢は70.7歳で,31人が男性だった.29人が尿中抗原検査にて診断され,他検査で診断された症例より,診断に要した時間が短かった.過去の集団発生事例と比べて確定診断例が増加していた.治療では抗菌薬に加えて,主に低酸素血症をきたした症例では副腎皮質ステロイド薬が使用された.

<以下、考察より抜粋>
 レジオネラに有効なリファンピシンは、一般診療医にとって使い慣れない薬剤であるためか,使用症例がなかった.また,副腎皮質ステロイド薬については,奏効例の報告は散見されるものの,レジオネラ肺炎に対する有効性は明らかではない.市中肺炎全体においてもステロイド薬の是非は古くから議論されているテーマであり,いまだ結論は出ていないものの,少なくとも短期間の投与であれば有害事象を増加させることなく,抗菌薬治療期間や入院期間の短縮に寄与するといった効果が示唆されている.本調査では主に呼吸不全を呈する重症のレジオネラ肺炎に対して,ステロイド薬が頻用されている実態が明らかになった。




# by otowelt | 2018-03-28 00:05 | 感染症全般

メタアナリシス:ED-SCLCに対するPCI

e0156318_8124310.jpg 日本の肺癌診療ガイドラインでは、ED-SCLCに対するPCIの意義は乏しいと結論づけられています。

Maeng CH, et al.
The Role of Prophylactic Cranial Irradiation in Patients with Extensive Stage Small Cell Lung Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis.
J Thorac Oncol. 2018 Mar 8. pii: S1556-0864(18)30180-1. doi: 10.1016/j.jtho.2018.02.024. [Epub ahead of print]


背景:
 進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)に対する予防的全脳照射(PCI)の役割は、まだ議論の余地がある。この研究の目的はED-SCLC患者におけるPCIの影響を調べることである。

方法:
 システマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。電子データベースから研究を抽出し、全生存期間(OS)をプライマリアウトカムとした。

結果:
 984人の患者が登録され、448人がPCI群、536人が非PCI群だった。PCIはOSを改善しなかった(ハザード比0.82; 95%信頼区間0.60 to 1.11; I2 = 77%; p = 0.19)。しかしながら、PCIによって1年生存率は上昇した(37.1% vs. 27.1%; リスク比0.87; 95%信頼区間0.80 to 0.95; I2 = 47%; p = 0.002)。また無増悪生存期間(PFS)もPCI群のほうが良好であった(ハザード比0.83、95%信頼区間0.80-0.98、I2 = 22%; p=0.03)。

結論:
 ED-SCLCにおけるPCIは1年生存およびPFSの観点からは有用と言える。しかし、OSのアドバンテージは有意ではない。


# by otowelt | 2018-03-27 00:29 | 肺癌・その他腫瘍

出版のお知らせ:ポケット呼吸器診療2018

 しつこくも2回目の宣伝ですが、毎年アップデート出版している「ポケット呼吸器診療2018」が2018年3月30日に発売されます。前回の2017年版から少しだけボリュームが増えました。2017版と同様に変更があった部分は青いアミをかけて、一目で分かるように工夫をこらしています。価格は、ギリギリ税込1,000円台を維持しました。

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発売日:2018年3月30日
単行本 : 221ページ
価格 : 1,944円 (税込)
出版社 : シーニュ
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科)
監修 : 林 清二 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター院長)

e0156318_13141310.jpgAmazonから予約/購入する 
e0156318_13141310.jpg出版社から購入する 

<2017年版→2018年版の主な変更点>
・喀血の項目を追加
・インフルエンザ治療薬にバロキサビルマルボキシル(ゾフルーザ®)追加
・成人肺炎診療ガイドライン2017のアップデートを反映
・SPA治療に空洞切開菌球除去術を追加
・ABPA治療にイトラコナゾール単独治療を追加
・肺クリプトコッカス症に一部追記
・ベナンバックス®の腎機能別用量を記載
・肺ノカルジア症の項目を追加
・結核治療薬にベダキリン(サチュロ®)を追加
・キードラッグが使用できないケースの結核治療について表作成
・リファマイシン系との相互作用でグレカプレビル/ピブレンタスビル(マヴィレット®)を追加
・喘息治療薬にアニュイティ®追加(ステップごとの該当用量についてはGSKに問い合わせ済)
・喘息治療薬にベンラリズマブ(ファセンラ®)追加
・気管支サーモプラスティの手技や費用などの情報を追加
・GOLD2018のアップデートを反映
・ERS/ATSのCOPD増悪ガイドラインのアップデートを反映
・ACOS(asthma-COPD overlap syndrome)からACO(asthma and COPD overlap)へ変更
・『喘息とCOPD のオーバーラップ 診断と治療の手引き2018』の情報を反映
・気管支拡張症に対する吸入アミノグリコシドおよび間欠的抗菌薬投与について追加
・クライオバイオプシーが使えるようになったことを追加
・Fleischner SocietyのUIP診断カテゴリーをアップデート:typical UIP、probable UIP、indeterminate for UIP、most consistent with non-IPF diagnosisの4群へ
・メトトレキサート(MTX)関連リンパ増殖性疾患について追加
・リンパ脈管筋腫症(LAM)の項目を追加
・肺癌の項目を大幅に変更(肺癌診療ガイドライン2017 年版刊行による)
・抗癌剤の禁忌・慎重投与にタフィンラー®、メキニスト®の情報を追加
・悪性胸膜中皮腫に対するオフェブ®、オプジーボ®について追加
・悪性胸膜中皮腫のTNM 分類をAJCC2017へ
・胸腺腫・胸腺癌の項目を追加
・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)のFive-Factor Scoreを追加
・年齢と腎機能によるエンドキサン®間欠的静注の用量調節を追加
・サルコイドーシスの寛解率・合併臓器の情報をアップデート
・Morisset らのデルファイ法による慢性過敏性肺炎(CHP)診断アルゴリズムを追加
・じん肺健康管理手帳交付の申請書類について追加
・じん肺管理区分フローチャートを追加
・じん肺の小陰影の読影、大陰影の読影、付加記号について追加
・珪肺症の分類を変更
・気胸の項目を追加
・閉塞性睡眠時無呼吸のauto CPAPについて追加
・肺高血圧症の診断と治療を大幅に追加
・肺血栓塞栓症の項目を追加


 このマニュアルは「できるだけコンパクトかつ有用な安い書籍」を目標にしていますが、限りなく最新の文献に基づいた疾患情報を提供できるよう心がけています。実臨床で使用することを最優先に、不要な贅肉を極限までこそぎ落としているつもりです。

 呼吸器を診療する医師のポケットに長く入れていただけるよう、これからも努力致しますので、よろしくお願い申し上げます。「こういった内容の方がよい」「こういった項目を入れて欲しい」などの叱咤激励もお待ちしております。

 最後に、シーニュの藤本浩喜様、監修を引き受けていただいた当院院長の林清二先生に心より感謝申し上げます。


# by otowelt | 2018-03-25 00:03 | 呼吸器その他

メタアナリシス:結核性胸膜炎の診断に胸水中IL-27が有用

e0156318_9552565.jpg 結核性胸膜炎に対するインターロイキン-27(IL-27)の有効性については、すでにThoraxで報告されています(Thorax. 2018 Mar;73(3):240-247. )。診断能がずば抜けているので、実用化される可能性が高いです。

Liu Q, et al.
Diagnostic Accuracy of Interleukin-27 between Tuberculous Pleural Effusion and Malignant Pleural Effusion: A Meta-Analysis.
Respiration. 2018 Mar 14. doi: 10.1159/000486963. [Epub ahead of print]


背景:
 結核性胸膜炎の診断に胸水中IL-27濃度が有効とされている。悪性胸水と結核性胸膜炎を比較すると、IL-27は後者で有意に上昇することが示されている。これら疾患を鑑別することは治療選択の上で重要である。

目的:
 このメタアナリシスでは、結核性胸膜炎と悪性胸水を鑑別する上でIL-27が有用かどうか調べた。

方法:
 固定効果モデルを用いて、結核性胸膜炎に対するIL-27の診断能を悪性胸水と比較し、感度、特異度、陽性尤度比、陰性尤度比、診断オッズ比を算出した。

結果:
 7の症例対照研究から、550人の患者(結核性胸膜炎285人、悪性胸水265人)が登録された。結核性胸膜炎のIL-27の上昇は、悪性胸水との鑑別において感度93%(95%信頼区間90-96%)、特異度97%(94-98%)、陽性尤度比25.88(95%信頼区間13.84-48.39)、陰性尤度比0.07(95%信頼区間0.05-0.11)、診断オッズ比333.26(95%信頼区間146.10-760.19)だった。

結論:
 胸水中Il-27は結核性胸膜炎と悪性胸水の鑑別に有用である。
 

# by otowelt | 2018-03-23 00:55 | 抗酸菌感染症

COPD患者ではフレイルが多い

e0156318_1633480.jpg 予想通りの結論です。

Alessandra Marengoni, et al.
The relationship between chronic obstructive pulmonary disease and frailty: a systematic review and meta-analysis of observational studies
CHEST DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.02.014


背景:
 フレイルは高齢者によくみられ、加齢に伴って身体的な筋力や精神的な活力が低下している虚弱化状態である。フレイルは、COPDなどの複数の慢性疾患の予後や治療アプローチに変化を与える。フレイルとCOPDの関連性はまだよくわかっていない。

目的:
 システマティックレビューおよびメタナアリシスにおいて、COPDとフレイル・プレフレイルの関連性を調べた。

方法:
 電子データベースから2002年1月以降の文献を調べ、2人の独立した研究者が文献の質を評価した。

結果:
 27研究(23つが横断研究、3つが縦断研究、1つが両方)が同定された。COPD患者におけるプレフレイルの状態は56%にみられた(95%信頼区間52-60%、I2=80%)。フレイルの状態は20%にみられた(85%信頼区間15-24%、I2=94.4%)。COPDのある人は、フレイルのリスクが高かった(オッズ比1.97、95%信頼区間1.53-2.53、I2=0%)。

結論:
 COPDではフレイルおよびプレフレイルの状態が多い。高齢者COPDではフレイルのリスクが倍増する。


# by otowelt | 2018-03-21 00:04 | 気管支喘息・COPD