致死的な急性好酸球性肺炎では牽引性気管支拡張がみられる

e0156318_1872356.jpg AEPは数えるほどしか診たことがないので、勉強になります。

Takei R, et al.
Traction bronchiectasis on high-resolution computed tomography may predict fatal acute eosinophilic pneumonia
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.09.005

背景:
 急性好酸球性肺炎(AEP)のほとんどの患者は、急速に改善する。しかしながら、AEPのいくつかの例は致死的になる。この研究の目的は、AEPが致死的アウトカムになる臨床的、放射線学的、病理学的特な特徴を決定し、予後不良因子を同定することである。

方法:
 日本にあるわれわれの施設で、2005年7月から2013年7月までにAEPと診断された全患者の診療録を後ろ向きに同定した。

結果:
 試験期間中にAEPと診断された41人のうち4人が死亡した。死亡した患者は全員男性で、3人が特発性、1人が薬剤関連だった。気管支肺胞洗浄中の好酸球分画の中央値は59%だった。薬剤関連AEPだった患者で剖検がおこなわれ、病理学的に好酸球浸潤を伴うびまん性肺胞傷害がみられた。致死的AEPとなった4人において、胸部高分解能CTでびまん性のすりガラス吸収域および牽引性気管支拡張(TBE)が同定された。TBEは6人(特発性AEPの5人、薬剤関連AEPの1人)に観察され、これらの患者の67%が死亡している。喫煙関連AEPの患者は誰もTBEを有していなかった。これらの患者は治療反応性がよく、生存していた。

結論:
 治療に反応しなかった致死的AEP患者の特徴を観察した。致死例では全例にTBEが観察され、予後不良と関連していた。



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# by otowelt | 2018-11-14 00:47 | びまん性肺疾患

肺高血圧症患者に対する気管支鏡は安全に実施できる

e0156318_9511053.jpg 肺高血圧症があると、積極的な生検を躊躇してしまう傾向があるのは事実です。

Ishikawa T, et al.
Safety of diagnostic flexible bronchoscopy in patients with echocardiographic evidence of pulmonary hypertension
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.08.009

背景:
 肺高血圧症(PH)の存在と抗凝固薬の治療は、気管支鏡処置に関連した出血/血行動態上の合併症リスクを上昇させる。この研究の目的は、PHの患者における診断的軟性気管支鏡(FB)の安全性を評価することである。

方法:
 日本の単施設において、2004年から2016年に診断的FBを適用された、心臓超音波に基づくPH(右室拡張期圧[RVSP]>40mmHg)がある患者の診療録を用いた後ろ向きレビューが実施された。同時期にFBをおこなわれたPHを支持する臨床的所見のない患者がペアワイズマッチコントロール群として登録された。マッチングに用いられた因子は、年齢、性別、おこなわれた処置である。

結果:
 全体で、45人のPH群、90人のコントロール群患者が登録された。PH群の6人(13%)が重症PH(RVSP>61mmHg)を有していた。鉗子生検および経気管支針吸引が、PH群の62%、13%、コントロール群の58%、13%に実施された。FB中の出血の頻度は、両群で差がなかった(18% 対 16%; p = 0.742)。FB後2時間に記録されたバイタルサインについても、両群で差はなかった。不整脈やFB処置に関連した死亡のエピソードはなかった。

結論:
 本データによれば、診断的FBは心臓超音波によるPHを有する患者において、安全に実施できると考えられる。



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# by otowelt | 2018-11-13 00:20 | 気管支鏡

本の紹介:科学的認知症診療 5Lessons

 怪物的な医学書に出合いました。認知症の分野には明るくありませんが、おそらく現時点でこの領域随一の医学書であることは間違いないでしょう。まえがきにある「最新の臨床研究や系統的レビュー、すなわち科学的根拠を紹介することに徹しました。」という言葉は、自信に満ち溢れており、頼もしい。

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発売日:2018年10月5日
単行本 : 226ページ
価格 : 3,000円 (税別)
出版社 : シーニュ
著者: 小田 陽彦 先生

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する

 最初の項目のタイトルは「認知症という疾患は存在しない」です。「え?」と思いますよね。読んでみて下さい、その理由が分かります。そこから先は、雪崩のごとく読み進めていきました。自分の浅はかさが恥ずかしくなるくらい、1つ1つのフレーズが心に響きました。
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 私の目を惹きつけたのは、まえがきで宣言されていた、エビデンスの数々。よくもまぁここまで臨床研究をご存知だなというくらい、膨大なデータの洪水。そして、1ページに1回は登場するであろう認知症診療に対する深い洞察。豊富な経験があってこその、ズッシリと重みある言葉たち。数えきれないくらいガツンとパンチをもらったので、一部抜粋して紹介します。

 「この人はアルツハイマー病、と臨床診断すると、その病名が終末期まで独り歩きする傾向がありますが、臨床診断は症状から病理診断を予想する行為に過ぎないという事実を医師自身が認識しておく必要があります。」

 「外してはいけない大原則は、告知は技術的に不可能、という点です。認知症性疾患の確定診断は病理診断でなされますが、現行の臨床診断基準は不完全で、しばしば病理診断と一致しないことがわかっています。」

 「認知症診療はしばしば難しいですが、難しくさせている原因の1つは医療者側の知識不足であり、ある当事者の言葉を借りるならば人災という側面もあることは否定できないと思います。」
 
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 「アリセプト®やメマリー®ってぶっちゃけエビデンスどうなの?」と思っている内科医は多いと思いますが、認知症に関するこうした疑問のほぼ全てを、科学的根拠でもってこの本が解決してくれるはずです。

 全体的に、余白がものすごく狭い。シーニュならではのこだわりでしょう。226ページですが、おそらく一般的な医学書350ページぶんくらいの内容はあるでしょう。ちょっと藤本社長、3,000円っていくらなんでも安すぎないですか?

 認知症の患者さんを診ることがある、すべての医師が持っておくべき一冊です。とりわけ、総合診療科畑の人たちにとっては、最高のリファレンスブックとなるでしょう。自信をもってオススメできます。




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# by otowelt | 2018-11-10 00:33 | 内科一般

肺結核の空洞は栄養不良および高度炎症と関連

e0156318_1302985.jpg JA愛知厚生連海南病院からの報告です。

Nakao M, et al.
Immunonutritional status and pulmonary cavitation in patients with tuberculosis: A revisit with an assessment of neutrophil/lymphocyte ratio
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.08.007


背景:
 いくつかの報告では、結核患者の罹患や死亡において免疫学的および栄養学的な重要性が記述されている。この研究の目的は、肺結核の患者において、肺の空洞と免疫栄養学的ステータスの関連性を評価することである。免疫栄養学的ステータスは、好中球/リンパ球比(NLR)や予後的栄養インデックス(PNI)といったパラメータによってアセスメントした。

方法:
 われわれは、2008年4月から2016年3月までに、海南病院で細菌性肺炎を合併していない培養陽性活動性肺結核患者と診断された患者137人を後ろ向きに解析した。血清アルブミン、リンパ球、NLR、PNI、血小板/リンパ球比(PLR)、BMI、肺の空洞が評価された。

結果:
 合計77人の男性および60人の女性(年齢中央値75歳、範囲16-94歳)が研究に組み込まれた。66人の患者が喫煙歴を有しており、55人が呼吸器症状を呈し、44人が何も症状がなかった。症状発生から60日を超えて医療機関を受診したペイシェント・ディレイ(受診遅れ)は25人に観察された。単変量解析では、高NRL(≧5)、高PLR(≧200)、血清アルブミン低値(<3g/dL)、好中球高値(>6000/mm3)、リンパ球低値(<1000/mm3)は肺の空洞と関連していた。多変量解析では、高NLRおよび血清アルブミン低値が肺の空洞と関連していた(性別と喫煙歴で補正したモデルでは、それぞれ補正オッズ比3.05[95%信頼区間1.25-7.44]、0.37[95%信頼区間0.15-0.88])。
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(文献より引用)

結論:
 栄養不良および炎症の重症度の増加は、結核患者における肺の空洞と関連しているかもしれない。本研究の知見を確かなものにするため、さらなる研究が望まれる。

※アブストラクトでは異なる人数が記載されているが、解析されたのは男性77人、女性60人であったため、修正して記載。





# by otowelt | 2018-11-09 00:24 | 抗酸菌感染症

慢性呼吸困難に対してセルトラリンは無効

e0156318_14441648.jpg セルトラリン(ジェイゾロフト®)についてです。

David C. Currow, et al.
Sertraline in symptomatic chronic breathlessness: a double blind, randomised trial
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.01270-2018


背景:
 適切に治療されている進行性疾患を基礎に持つ患者の慢性呼吸困難に対して、セルトラリンは症状緩和をもたらすだろうか?

方法:
 基礎疾患を適切に治療された223人の慢性呼吸困難(修正MRC息切れスケール2点以上)が、ランダムに1:1の割合でセルトラリン25-100mg(9日かけてタイトレーション)あるいはプラセボに4週間割り付けられた。プライマリアウトカムは、呼吸困難の100mm visual analogue scale(VAS)VASがベースラインから15%を超えて改善がみられた割合とした。

結果:
 26~28日目に実施した現在の呼吸困難に関して、セルトラリンに反応した患者の割合はプラセボと同等であった。(オッズ比1.00、95%信頼区間0.72-1.40)。またそのほかの呼吸困難指標でも同様の結果だった。セルトラリン群において4週間のQOLは、プラセボよりも改善がみられた(オッズ比0.21、95%信頼区間0.01-0.41、p=0.044)。パフォーマンスステータス、不安および抑うつ、生存に関しても差は観察されなかった。有害事象は両群同等だった。

結論:
 この患者集団において、慢性呼吸困難の症状緩和に対するセルトラリンはプラセボと比較して利益をもたらさないことが分かった。





# by otowelt | 2018-11-08 00:40 | 呼吸器その他