LIBERTY ASTHMA QUEST研究:コントロール不良喘息に対するデュピルマブの有効性

e0156318_13451472.png デュピクセント®のLIBERTY ASTHMA QUEST研究です。VENTURE研究と同じく、こちらでも好酸球増多がみられているので、この現象は覚えておきましょう。

Mario Castro, et al.
Dupilumab Efficacy and Safety in Moderate-to-Severe Uncontrolled Asthma
NEJM, May 21, 2018, DOI: 10.1056/NEJMoa1804092


背景:
 デュピルマブは、IL-4およびIL-13のシグナルを阻害するヒト抗IL-4抗体受容体αモノクローナル抗体である。われわれは、コントロール不良の喘息患者に対する効果と安全性を検証した。

方法:
 われわれは12歳以上のコントロール不良喘息患者1902人を、2:2:1:1の割合で、既存治療に200mgデュピルマブあるいは300mgのデュピルマブを2週ごとに投与する上乗せ群と、それぞれのマッチプラセボ群(200mgと300mgで注入量が異なるためプラセボを2群設定)にランダムに割り付けた(52週間)。プライマリエンドポイントは、全集団における重度の喘息増悪の年間発生率およびベースラインから12週時点の気管支拡張前1秒量の絶対変化とした。セカンダリエンドポイントは、血清好酸球数が300/mm3以上の患者群における増悪率および1秒量とした。喘息コントロールおよびデュピルマブの安全性が解析された。

結果:
 重度の喘息増悪の年間発生率は、200mgデュピルマブ群に割り付けられた患者では0.46(95%信頼区間0.39-0.53)で、同マッチプラセボ群では0.87(95%信頼区間0.72-1.05)だった(47.7%減、p<0.001)。300mgデュピルマブ群でも同様の結果だった。
 12週時点での1秒量は、200mgデュピルマブ群で320mL改善した(マッチプラセボ群+140mL、p<0.001)。これについても300mgデュピルマブ群でも同様の結果だった。
 血清好酸球数300/mm3以上の患者では、重度の喘息増悪の年間発生率は200mgデュピルマブ群で0.37(95%信頼区間0.29-0.48)だった(マッチプラセボ群1.08[95%信頼区間0.85-1.38]、65.8%減)。これについても300mgデュピルマブ群でも同様の結果だった。
 介入開始から52人(4.1%)にデュピルマブ投与による好酸球増多がみられた。

結論:
 デュピルマブを投与された喘息患者では、プラセボよりも重度の喘息増悪が少なく、肺機能や喘息コントロールも良好だった。ベースラインの血清好酸球数が多い患者ではその恩恵が大きかった。デュピルマブによる好酸球増多が一定の患者にみられた。

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# by otowelt | 2018-05-24 20:46 | 気管支喘息・COPD

ATS2018閉幕:医学情報収集に対する私見

 ATS2018が閉幕しました。Facebookページでは、58のニュースをお届けしました。いかがだったでしょうか。

 若手医師の方々から、よく「倉原先生はどうやって情報を集めているのですか?」「倉原先生はどうやって医学論文を読んでいるのですか?」と聞かれます。簡単です。作業を簡略化しているだけです。私はもともと頭がよくない人間なので、インプットとアウトプットの間にできるだけ時間をかけないようにしています。

 私は、諸事情により休暇をとって海外に行くことはできません。そのかわり、学会参加者に負けない量の情報を収集しています。1つの情報源はTwitterです。そしてもう1つの情報源は参加医師です。数年前から、海外の信頼できる医師にインセンティブを支払って、国際学会の情報を収集しています。わずかなお金を支払って海外の学会に仮想参加できるなら、時間もお金もそのほうがリーズナブルです(臨場感はゼロですが・・・)。今後、学会情報を効率的に集めて医師向けに拡散するベンチャー企業が出てきてもおかしくないとすら思っています。

 また、医学論文を1つ1つ検索して読む時間がもったいないので、ある程度の水準のジャーナルに掲載された原著論文を週1回サーベイランスできるルーチン作業を実践しています。PubMedで検索式を代入するだけのアナログな手法ですが、これも作業を簡略化しているだけです。繰り返しますが、基本的に私は頭がよくないですから。要は、最小努力で最大情報量を集める意欲こそが情報収集のコツだということです。

 ATS2018では、多くの医師がTwitterを使用していました。実際、どういったセッションでどのくらいツイートがあったかというデータもあります(ATS2018ニュース33参照)。しかし、日本の学会ではSNS投稿はおろか、写真撮影はNGです。今年から、写真撮影に厳しいとされる天下のAACRですらもSNSでの情報拡散を一部容認しました。医師が情報収集ツールとしてSNSを使っている流れに便乗したわけです。SNSで拡散されるだけなら学会にメリットはありませんが、学会がマネースポットであるという企業向けの宣伝効果にもなりますし、学会の認知度も向上します。
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 残念ながら、日本では旧態依然とした考えがまだ根強く、SNSの普及に異論を唱える人もいます。これからの時代、SNSは医師にとって必携の情報収集ツールだと確信しています。




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# by otowelt | 2018-05-24 12:33 | 呼吸器その他

ATS2018ニュース配信中

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Facebookページ(URL:Facebook「呼吸器内科医」https://www.facebook.com/pulmonarist)でATS2018のニュースを流しているため、ブログは少しお休みしています。

日本から情報収集しているため情報に偏りがあるかもしれませんが、呼吸器内科医の皆さんは是非チェックしてみてください。TwitterなどのSNS、委託している外国人医師の現地情報収集・ヒアリングに基づく速報です。このほうがトータルコストが少なく、豊富な情報が得られるためです。

<5月23日更新分 ATS2018ニュース47~>
■注目されていた演題

・ICUにおける家族ケア介入:PARTNER研究(NEJM同時掲載)
・電子たばこはCOPDのリスク:PATH研究
・IPFに対する抗線維化薬は診断後すみやかに開始すべき:IPF診療医169人のアンケート
・アメリカにおけるARDS10年のあゆみ
・ATSウォーキングチャレンジ第1位は42万歩(笑)

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<5月22日更新分 ATS2018ニュース35~46>
■注目されていた演題
・ニンテダニブのINPULSIS試験+TOMORROW試験のプール解析
・メポリズマブのオマリズマブからのスイッチング:OSMO試験
・難治性肺MAC症に対するALISの上乗せ効果:CONVERT研究
・heterogeneous emphysemaに対するZypher:LIBERATE研究(AJRCCM同時掲載)
・ATS/ERS/JRS/ALATのIPF臨床プラクティスガイドライン2018策定(2011年からの改訂)


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<5月22日更新分 ATS2018ニュース23~34> 
■注目されていた演題
・ステロイド依存性喘息に対するデュピルマブの第3相試験:LIBERTY ASTHMA VENTURE研究(NEJM同時掲載)
・コントロール不良喘息に対するデュピルマブの第3相試験LIBERTY ASTHMA QUEST研究(NEJM同時掲載)
・TRILOGY試験+TRINITY試験+TRIBUTE試験のプール解析


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<5月21日更新分 ATS2018ニュース1~22>
■注目されていた演題

・ARDSに対するEOLIA研究
・IPFに対するPBI-4050+ニンテダニブ
・IPFにおける遺伝子組み換え型ヒト・ペントラキシン-2タンパク質製剤(JAMA同時掲載)
・IPFに対するオートタキシン阻害剤GLPG1690:FLORA研究(Lancet Respiratory Medicine同時掲載)
・IMPACT研究(すでにNEJM掲載)
・COPDのトリプル吸入療法からのde-escalation:SUNSET研究(AJRCCM同時掲載)
・低中所得国におけるqSOFAの有効性(JAMA同時掲載)
・重症喘息に対するTralokinumab:STRATOS 1、2研究(Lancet Respiratory Medicine同時掲載)
・メポリズマブの長期追跡:COLUMBA研究


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# by otowelt | 2018-05-21 00:10 | 呼吸器その他

気道熱傷の重症度判定に胸部CTにおける気管支壁測定が有効

e0156318_17111674.jpg thin sliceでないと正確な判定はできませんが、かなり参考になるデータですね。

久保飛鳥.
初療時胸部CT画像検査における気管支壁厚を用いた気道熱傷の重症度予測の有効性の検討.
日本集中治療医学会雑誌. 25 巻 (2018) 3 号 p. 179-184.


目的:
 気管支鏡による偽膜形成の評価は,受傷時に正確に判断できないことがある。そこで,初療時胸部CT検査が気道熱傷の重症度評価に有効か検討した。

方法:
 2011年4月から2016年12月に搬送された気道熱傷症例を対象に,胸部CT検査で中枢・末梢気管支壁肥厚を測定し,気管支鏡検査による重症度分類や臨床経過との関係を後ろ向きに検討した。結果は中央値で示す。

結果:
 症例は36例,年齢64.5歳であった。そのうち,気管支鏡検査による重症度評価かつ胸部CT検査が行われていたのは18例であった。重症度が高いほど,有意に中枢と末梢の気管支壁の肥厚を認めた(中枢:Grade 1:5例,1.55 mm,Grade 2:4例,1.89 mm,Grade 3:3例,4.39 mm,Grade 4:6例,3.77 mm,P<0.01,末梢:Grade 1:1.45 mm,Grade 2:2.06 mm,Grade 3:3.40 mm,Grade 4:3.62 mm,P<0.01)。

結論:
 初療時胸部CT検査を行うことで,気道熱傷の重症度を早期に予測することができる可能性がある。



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# by otowelt | 2018-05-17 00:57 | 救急

南アフリカにおけるデラマニドの効果と安全性

e0156318_9552565.jpg デルティバ®は個人的にはまだ1例にしか使用経験がありません。心電図のフォローアップが大変です。

Erika Mohr, et al.
Delamanid for Rifampicin–Resistant Tuberculosis: A Retrospective Study from South Africa
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.00017-2018


背景:
 とりわけ、HIV陽性の患者においてデラマニドの投与経験は限られている。われわれは、南アフリカにおいてデラマニドの早期の効果と安全性を調べた。

方法:
 これは、2015年11月から2017年8月までにデラマニド含有レジメンを投与された患者の後ろ向きコホート研究である。12ヶ月時の中間解析において、2ヶ月および6ヶ月までの喀痰陰性化率、重篤な有害事象、QT時間が報告された。

結果:
 103人の患者がデラマニドを開始した。79人(77%)がHIV陽性だった。主なデラマニド適応は、セカンドライン抗結核薬に忍容性がなかったことであった(58人、56%)。46人の患者が12ヶ月のフォローアップを受け、28人(61%)が良好なアウトカムだった(治癒、治療完遂、培養陰性化)。47人の患者がデラマニド開始時に喀痰塗抹が陽性であり、31人中16人(52%)が2ヶ月以内、31人中25人(81%)が6ヶ月以内に喀痰陰性化を達成した。67人重篤な有害事象が29人(28%)に報告された。4回のQT延長(500msec超)が2人(2%)にみられ、1例では治療中止となった。しかしながら、不整脈の発生はなかった。

結論:
 HIV陽性患者が多い大規模コホート研究では、リファンピシン耐性結核に対するデラマニド治療は早期に良好な治療反応性を達成し、忍容性も良かった。デラマニドは、特に通常のレジメンが適用できない場合に有効な選択肢である。



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# by otowelt | 2018-05-16 00:41 | 抗酸菌感染症