COPD患者に対するインフルエンザワクチンはインフルエンザ関連入院を減らす

e0156318_13203796.png 予想された結果ですが、COPD患者ではエビデンスはそこまで多くないらしいです。死亡率が高いのが目につきますね。

Mulpuru S, et al.
Effectiveness of Influenza Vaccination on Hospitalizations and Risk Factors for Severe Outcomes in Hospitalized Patients With COPD.
Chest. 2019 Jan;155(1):69-78.


背景:
 COPD患者におけるインフルエンザ関連入院を減らすうえで、インフルエンザワクチンの有効性はあまり記述されておらず、インフルエンザワクチン接種の推奨は二の次になっている。

方法:
 2011年から2015年に呼吸器系あるいはCOPD増悪で入院したCOPD患者を含んだ国内前向き多施設共同コホート研究のデータが解析された。全患者はインフルエンザPCRの鼻咽頭スワブスクリーニングをおこなわれた。プライマリアウトカムはインフルエンザ関連入院とした。インフルエンザ陽性例と陰性コントロール患者を設定し、test-negativeデザイン(症例対照研究)による多変量ロジスティック回帰を用いて、インフルエンザ関連入院を予防するワクチンの効果を検証した。

結果:
 4755人のCOPD入院患者のうち、PCRベースでインフルエンザが陽性となったのは1833人(38.5%)だった。ワクチンステータスがある4198人(88.3%)が解析された。インフルエンザ感染症がない入院患者と比較して、インフルエンザ患者は高齢が多く(75歳超がそれぞれ50.8% vs 47.6%)、喫煙者が多く(34.4% vs 27.2%)、長期療養施設入所者が多く(9.2% vs 7.0%)、インフルエンザワクチン接種を受けていない頻度が高かった(58.9% vs 70.6%)。
 補正後の解析において、インフルエンザ関連入院は、ワクチン接種者のほうがワクチン非接種者よりも37.5%(95%信頼区間27.3-46.2)少なかった。インフルエンザ陽性患者(1833人[38.5%])は粗死亡率(9.7% vs 7.9%; P = 0.047)、重症疾患(17.2% vs 12.1%; P < .001)が陰性患者よりも高かった。
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(文献より引用)

 インフルエンザ陽性患者の死亡リスク因子には、75歳を超える年齢(オッズ比3.7 [95%信頼区間0.4-30.3]), 心疾患合併(オッズ比2.0 [95%信頼区間1.3-3.2]), 長期ケア施設入所中 (オッズ比2.6 [95%信頼区間1.5-4.5]), 在宅酸素療法中(オッズ比2.9 [95%信頼区間1.6-5.1])が挙げられた。
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(文献よ引用)

結論:
 COPD患者においてインフルエンザワクチン接種はインフルエンザ関連入院を有意に減らす。COPD患者の予防接種推奨と抗ウイルス薬を早期に開始するための政策は、インフルエンザ関連の入院と重症疾患を減らし、脆弱な集団の医療費を軽減できるかもしれない。





# by otowelt | 2019-01-31 00:03 | 気管支喘息・COPD

メタアナリシス:安定期COPDの臨床アウトカムを予測する因子

e0156318_1633480.jpg こういう長期的観点の評価って大事ですよね。

Fermont JM, et al.
Biomarkers and clinical outcomes in COPD: a systematic review and meta-analysis.
Thorax. 2019 Jan 7. pii: thoraxjnl-2018-211855.


背景:
 COPDを評価するための従来の方法では、全身性の問題、特に筋骨格系の脱力および心血管疾患を捉えることができない可能性がある。これらを特定し、臨床転帰(すなわち死亡率、増悪およびCOPD入院)との関連を評価することは、臨床的に重要になっている。

目的:
 6分間歩行距離(6MWD)、心拍数、フィブリノーゲン、CRP、白血球数、インターロイキン-6および8(IL-6, IL-8)、TNF-α、大腿四頭筋最大随意収縮、鼻吸息圧、簡易身体能力バッテリー、脈波伝達速度、頸動脈内膜-中膜厚および増大指数、臨床アウトカムが安定期COPD患者を調べる。

方法:
 われわれはシステマティックに電子データベースから61研究を抽出し(2018年8月)、統合し、ハザード比を推定するため、MOOSE (Meta-analysis Of Observational Studies in Epidemiology)およびPRISMAに準拠してメタアナリシスをおこなった。

結果:
 6MWDの短縮、心拍数増加、フィブリノゲン増加、CRP増加、白血球数増加は、死亡の高いリスクと関連していた。プールされたハザード比は、6MWDが50m長くなるごとに0.80(95%信頼区間0.73 to 0.89)、心拍数が10/分速くなるごとに1.10 (95%信頼区間1.02 to 1.18)、フィブリノゲンが2倍に上昇するごとに3.13 (95%信頼区間2.14 to 4.57)、CRPが2倍に上昇するごとに1.17 (95%信頼区間1.06 to 1.28)、白血球数が2倍に上昇するごとに2.07 (95%信頼区間1.29 to 3.31)となった。6MWDの短縮とフィブリノゲンおよびCRPの上昇はCOPD増悪と関連しており、6MWDの短縮と心拍数、CRP、IL-6の上昇はCOPD入院と関連していた。筋骨格系測定に関する研究は少なかった。
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(文献より引用:死亡についてのfolest plot)

結論:
 本研究によれば、6MWD、心拍数、CRP、フィブリノゲン、白血球数は安定期COPD患者の臨床アウトカムと関連している。筋骨格系の測定値に関する研究がこの先必要になるだろう。




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# by otowelt | 2019-01-30 00:18 | 気管支喘息・COPD

多剤耐性肺結核に対するデラマニド上乗せの効果と安全性

e0156318_13203583.jpg プラセボ群の治癒が多すぎたようです。

Florianvon Groote-Bidlingmaier, et al.
Efficacy and safety of delamanid in combination with an optimised background regimen for treatment of multidrug-resistant tuberculosis: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, parallel group phase 3 trial.
Lancet Respiratory Medicine, https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30426-0


背景:
 デラマニドは、最近承認された多剤耐性結核の治療薬2つのうちの1つである。われわれは、初期治療6ヶ月におけるデラマニドの効果と安全性を評価した。

方法:
 これは7ヶ国(エストニア、ラトビア、リトアニア、モルドバ、ペルー、フィリピン、南アフリカ共和国)の17施設で実施された、ランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験である。われわれは18歳~69歳の肺多剤耐性結核患者で、WHOおよび国内ガイドラインに基づいて選択された適切なバックグラウンドレジメンに、経口デラマニド(100mg1日2回)2ヶ月→200mg1日1回4ヶ月あるいはプラセボ群に登録した。患者は、2:1の割合でランダム化され、排菌陰性化遅延のリスクカテゴリーによって層別化された。プライマリアウトカムは、6ヶ月のあいだのMGIT喀痰培養陰性化までの期間および2群間の同期間における喀痰培養陰性化期間の分布差とした(修正ITT集団で解析)。

結果:
 2011年9月2日から2013年11月27日までの間に714人の患者をスクリーニングし、そのうち511人がランダム化された(341人がデラマニド+適切なバックグラウンドレジメン[デラマニド群]、170人がプラセボ+適切なバックグラウンドレジメン[プラセボ群])。年齢中央値はそれぞれ32歳、31歳だった。7割以上が男性だった。327人が培養陽性多剤耐性結核であり、これらが有効性解析に組み入れられた(226人がデラマニド群、101人がプラセボ群)。喀痰培養陰性化までの期間は両群で有意差はなかった(51日 vs 57日、ハザード比1.17、95%信頼区間0.91-1.51)。患者511人のうち501人(98.0%)が治療による有害事象を経験した。136人(26.6%)が重篤な有害事象をきたしたが、その頻度はデラマニド群とプラセボ群で同等だった(26.1% vs 27.6%)。死亡についても有意差はなかった(4.4% vs 3.5%)。QT延長はデラマニド群5.3%、プラセボ群2.9%だった。
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(文献より引用)

結論:
 プライマリ解析では、6ヶ月の間での喀痰培養陰性化について、デラマニド群とプラセボ群で有意差はなかった。デラマニドは忍容性があり安全性プロファイルに懸念は少ない。





# by otowelt | 2019-01-29 00:21 | 抗酸菌感染症

アルコール消費は結核発症のリスク因子

e0156318_1302985.jpg エタノールは週100gまで大丈夫という報告がありましたが(Lancet. 2018 Apr 14;391(10129):1513-1523.)、結核治療中のアルコール消費はゴカンベンいただきたいところです。

Simou E, et al.
Alcohol consumption and risk of tuberculosis: a systematic review and meta-analysis
IJTLD, DOI: https://doi.org/10.5588/ijtld.18.0092

目的:
 アルコール消費と結核のリスクの関連についてシステマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなうこと。

方法:
 Medline, EMBASE, Web of Scienceを用いて2005年から2018年4月までの観察研究を調べた。登録された研究の参考文献リストについてもスクリーニングされた。

結果:
 49研究が登録された。アルコール消費が少ないまたは全くない集団と比較すると、アルコール消費が多いまたはその他いずれの消費量において相対オッズ比は上昇した(1.90、95%信頼区間1.63–2.23)。相当なレベルでの異質性が確認された(I2= 82%)。しかしながら、出版バイアスは観察されなかった(P = 0.54)。アルコールをまったく飲まない群を対照群に設定した研究に限った感度解析では、わずかに低いながらもリスク上昇はやはり観察された(オッズ比1.60, 95%信頼区間1.39–1.84)。サブグループ解析では、研究デザイン、研究の質、地域、出版年、交絡因子の補正のいずれにおいて有意な差はみられなかった。ハザード比を報告した4研究を追加したプール解析では、追跡期間中のアルコール消費に関連した結核のリスク上昇は約3倍だった(ハザード比2.81, 95%信頼区間2.12–3.74)。暴露反応解析では、1日あたり10~20gのアルコール摂取が増えるごとに、結核のリスクは12%上昇した。
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(文献より引用:用量反応関係)

結論:
 アルコール消費は、結核発症の重要なリスク因子である。





# by otowelt | 2019-01-28 00:40 | 抗酸菌感染症

メタアナリシス:ICS/LABAと比較したトリプル吸入療法の効果

e0156318_1633480.jpg IMPACT試験、KRONOS試験、TRILOGY試験など名だたるランダム化比較試験が組み込まれたメタアナリシスです。全部よく知られた臨床試験なので、メタアナリシスの結果は予想通りになっています。

Calzetta L, et al.
Adding a LAMA to ICS/LABA therapy: a meta-analysis of triple therapy in COPD
Chest, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.12.016


背景:
 吸入ステロイド(ICS)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)の併用はCOPDでよく用いられている。そこで、われわれはCOPDにおけるICS/LABA併用に長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を加える効果についてメタアナリシスを実施した。

方法:
 COPDにおけるICS/LABA/LAMAの効果を調べたランダム化比較試験(RCT)を異なるデータベースを用いて検索同定した。プライマリエンドポイントは、トラフ1秒量(FEV1)、COPD急性増悪(AECOPD)リスク、心血管系の重篤な有害事象(SAE)リスクに設定し、トリプル吸入療法の影響をICS/LABA併用と比較した。エビデンスの質をアセスメントするためGRADEシステムを用いた。

結果:
 13RCT、15519人のCOPD患者がメタアナリシスに組み込まれた(ICS/LABA/LAMA併用:53.1%、ICS/LABA併用46.9%)。ICS/LABA併用と比較すると、ICS/LABA/LAMA併用はトラフFEV1を改善し(平均差104.86mL、95%信頼区間86.74-122.99、エビデンス高度)、AECOPDに対する予防効果が大きかった(相対リスク0.78、95%信頼区間0.71-0.85、エビデンス高度)。IMPACT試験、KRONOS試験、TRILOGY試験にしぼった解析では、トラフFEV1に対する効果は平均差82.11mL(95%信頼区間66.00-98.23mL)だった。
 ICS/LABAと比較して、トリプル吸入療法を患者約4人に用いれば1人に100mL以上のFEV1上乗せがみられ(NNT=3.97、95%信頼区間3.25–5.13)、約26人に用いれば1人の年間1回のAECOPDを予防する効果がみられた(NNT=26.07、95%信頼区間16.79–152.70)。また、ICS/LABA/LAMA併用はSGRQスコアやTDIを改善する傾向にあったが統計学的な有意差はなかった。
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(文献より引用:トラフFEV1

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(文献より引用:重要なRCTにしぼったトラフFEV1

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(文献より引用:AECOPD)

 ICS/LABAにLAMAを加えても心血管系のSAEリスクは修飾されなかった(エビデンス中等度)。

結論:
 ICS/LABAを用いているCOPD患者にトリプル吸入療法を用いる臨床的ベネフィットは大きい。心血管系SAEのリスクを増加させることなくICS/LABAをトリプル吸入療法にステップアップすることができる。



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# by otowelt | 2019-01-27 00:42 | 気管支喘息・COPD