抜管時の喉頭浮腫予防目的のためのステロイド使用

喉頭癌の既往があったり、アナフィラキシーで挿管されたり、、、
といったときに抜管時にステロイドを使うべきかどうかという問題がある。
当院では、全例には行なっていない。

2009年の論文では、以下のものが有名。

Corticosteroids to prevent extubation failure: a systematic review and meta-analysis
Int Care Med 2009


方法:
 Medline、EMBASE、the Cochrane Central Register of Controlled Trials、
 文献、学会の抄録、未発表データベース、これらから検索を実施。
 2人の著者らがそれぞれ別々に、研究の有効性、研究の特徴に関して抽出した
 データの有効性、再挿管率と喉頭浮腫の特徴について評価。

結果:
 14のRCTで2600人の患者が対象となった。
 抜管前の人工呼吸管理期間は平均で3~21日であった。Corticosteroids投与
 により再挿管を減らすことが示された(OR; 0.56, 95%CI; 0.41-0.77, p<0.0005)。  
 Corticosteroidsの効果は、抜管の少なくとも12時間前に投与することで
 顕著になる傾向にあった(OR; 0.41, 95%CI; 0.26-0.64)。またCorticosteroidsを
 投与された場合、喉頭浮腫率も低下(OR; 0.36, 95%CI; 0.27-0.49, p<0.0005)。

結論:
 Corticosteroidsは喉頭浮腫発生を減らし、全年齢層の重症患者での
 extubation failure発生率をも減らす。


ここで問題になるのが、どのくらいのステロイドを使用するか、である。
もっともよく引用されているのがLancetの論文で、
メチルプレドニゾロンを12時間前から4時間ごとに20mgずつ投与するものである。

12-h pretreatment with methylprednisolone versus placebo for prevention of postextubation laryngeal oedema: a randomised double-blind trial
The Lancet 2007; 369:1083-1089


これは698名(プラセボ343名、methylprednisolone群 355名)を検討し、
有意に抜管後喉頭浮腫発生減少(11/355 3% vs 76/343 22% p<0.0001)
させることを示した論文である。

# by otowelt | 2010-01-03 01:34 | 集中治療

吸入抗コリン薬まとめ

UPLIFT試験からスピリーバを使うドクターが多いですけど。
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# by otowelt | 2009-12-31 15:34 | 気管支喘息・COPD

吸入ステロイド薬のまとめ

少し見にくいけど…(画像をクリックすれば拡大できます。)
”MDIは噴霧粒子が小さいから全身作用も大きい”って覚えてます。
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# by otowelt | 2009-12-31 15:30 | 気管支喘息・COPD

post antibiotic effectの説明

post antibiotic effectを説明しなさいと言われても
なかなか詳しく説明できないのが指導医の悲しいところ。

以下に詳細をメモしておく。

●PAE(post antibiotic effect)とは
 「ある抗菌薬が微生物に短時間接触した後に持続してみられる増殖抑制効果」
 と定義されている。すなわちPAE を有する抗菌薬は、血中もしくは組織内から
 その薬剤が消失した後も、微生物の増殖をある一定期間抑制できることを
 意味している。
  Antibiotics in Laboratory Medicine:403-431, 1991

●PAEを持つ抗菌薬
 グラム陽性菌に対してはほとんどの抗菌薬はPAEを持っている。
 グラム陰性菌にはアミノグリコシド系、フルオロキノロン系、
 テトラサイクリン系の薬剤はPAEを持つが、多くのβラクタム剤はPAEがない。
 呼吸器内科医として重要なのは、リファンピシンもこのPAEを長く持つ部類に
 入るということである。1週間に2~3回のRFPでもOKなのはそういう理由である。

●PAEの測定方法
 in vitro ではPAE の測定は微生物に5~10倍MICの薬剤を1 時間以上接触させ
 その薬剤を除去後微生物が10倍増加するのに要する時間から
 薬剤を接触させない微生物が10倍増殖する時間を差し引いた値を算出。
 ゆえに、PAEの単位は「時間 hours」である。
 アミノグリコシドは3時間と覚えておく。

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●PASME(post-antibiotic subMIC effect)
 PAEは完全に薬剤を除いた時にみられる菌の増殖抑制効果であるのに対し、
 PASMEは、1/2MIC、1/4MICなどのsubMICに低下しても
 引き続き菌の増殖が抑えられる効果のこと。 
 この語は、最近の流行である。

文責"倉原優"

# by otowelt | 2009-12-30 14:56 | 感染症全般

CPAP治療最初の2週間のeszopicloneの併用は、CPAPアドヒアランスを上昇させる


睡眠時無呼吸症候群の治療で困るのが、CPAPのアドヒアランスの
悪さであり、呼吸器内科医であればイラっとすることもあると思う。
欧米の報告ではアドヒアランスは46~79%程度とされており、必ずしも高くない。
   Am J Respir Crit Care Med1999 ; 160 : 1124―1129.
   Am Rev Respir Dis 1993 ; 147 : 887―895.
   Sleep Med 2000 ; 1 : 209―214.


SASは、今では「AHIが5以上+日中の眠気」という定義なので
昔ほど覚えにくくはなくなった。
ポリソムノグラフィ+Epworth sleepiness scale(ESS)で診断するのが一般的。
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Pickwick症候群という病名は現在では使わず、
現在ではOSASとOHS(肥満低換気症候群)は分けて考えるべきである。
OHSは、明らかな閉塞がないのに日中の高CO2血症がみられるものを指す。


Ann Intern Medより、CPAP治療最初の2週間のeszopicloneの併用が
CPAPアドヒアランスを上昇させるとの報告が出た。
AHIが平均36.9と、重症のOSASが対象となっている。

Effects of a short course of eszopiclone on continuous positive airway pressure adherence: A randomized trial. Ann Intern Med 2009 Nov 17; 151:696.

背景:CPAPは、短期のアドヒアランスが長期使用におけるそれに非常に重要となる。

目的:
 非ベンゾジアゼピン系で超短時間型のeszopicloneを使用することにより
 プラセボに比べて、長期CPAPのアドヒアランスを改善させるかどうか検証。

デザイン:Parallel randomized, placebo-controlled trial。
 
患者:
 160人の成人(平均45.7歳)。平均AHI(apnea–hypopnea index)が
 36.9 events/h [SD, 23])の閉塞性睡眠時無呼吸とあらたに診断され
 CPAPを導入された患者。

方法:
 eszopiclone 3 mg (n = 76)あるいは、プラセボ(n = 78)
 を最初の14夜にCPAPに併用。1,3,6ヶ月後までフォローをおこなった。

結果:
 eszopiclone群では、20.8% (95% CI, 7.2%~34.4%; P=.003)だけ多く
 夜間CPAPを使用した(単位はnights)。
 全夜間で、1.3時間 (CI, 0.4~2.2 hours; P= .005)多かった。
 CPAPの中断は、プラセボでHR1.90 (CI, 1.1~3.4; P=.033)と多かった。

結論:
 プラセボと比べて、eszopicloneをCPAP導入最初の2週間に併用することによって
 CPAPアドヒランスが上昇する。


<メモ>
 閉塞型睡眠時無呼吸症候群(Obstructive sleep apnea syndrome;OSAS)
 に対する持続的陽圧呼吸療法(Continuous positive airway pressure;CPAP)
 の有用性はすでに確立しているが、中枢型睡眠時無呼吸症候群
 (Central sleep apnea syndrome;CSAS)に対する治療法はまだ確立していない。
 またOSAS に対しCPAP 療法の導入で、閉塞型無呼吸(Obstructive apnea;OA)
 が改善したが中枢型無呼吸(Central apnea;CA)は顕著化する症例の報告が
 近年増加し、これらの病態を、Complex sleep apnea syndrome(Comp SAS)
 と定義している。


 Complex sleep apnea syndrome

# by otowelt | 2009-12-30 13:26 | 呼吸器その他