pulmonary veno-occlusive disease(PVOD)


・pulmonary veno-occlusive diseaseとは
PVOD は1966 年Heathらによって命名された、肺高血圧を来たす疾患である。
正確な頻度は不明であるが、臨床的に原発性肺高血圧症の約10%を占める。
ベニスシンポジウムではPVOD や肺毛細血管腫症もそれのみでは
動脈病変を説明しきれないとの意見のため、肺動脈性高血圧の範疇に含められた。

・原因
本症の病因は不明。
HIVウイルス、EBウイルス、骨髄移植、放射線治療、ブレオマイシン、
フルオロウラシル、SLE などの自己免疫疾患との関連が報告されている。

・画像
胸部CT において小葉間隔壁の肥厚、粒状斑状の多発性すりガラス陰影、
胸水、肺動脈の拡張が特徴的。
小葉中心性の分布を示す粒状斑状のすりガラス陰影、小葉間隔壁の肥厚、
リンパ節腫大はIPAHに比べ有意に頻度が高い。
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・診断
PVOD の古典的な診断の三徴候として
①肺動脈高血圧
②胸部画像上肺水腫
③正常肺動脈楔入圧
が挙げられてきたが、実際には三徴候全てが揃わず、早期確定診断が困難である。
厳密な診断にはVATSによる病理組織が必要だが、実際には剖検によって
明らかになるケースが多い。

・治療
本症に対する治療として血管拡張剤の効果は定まっていない。
肺静脈性肺高血圧に対しては肺動脈が拡張する一方で
肺静脈が拡張せず毛細血管静脈圧が上昇し急激な肺水腫を来たす可能性が
報告されている。ゆえに血管拡張剤の投与を禁忌とする意見もある。
肺移植以外に決定的な治療がないため、
厳密な観察下で使用されているのが現状である。

・予後
PVOD の予後は診断後2 年以内に死亡することが多い。

# by otowelt | 2009-11-04 13:25 | レクチャー

CMC易罹患性はCARD9のホモ接合型変異に関係


慢性皮膚粘膜カンジダ症(chronic mucocutaneous candidasis:CMC)
は、難治性の皮膚・粘膜・爪甲の慢性カンジダ感染症である。
しばしば免疫異常や内分泌異常を伴うことがある。
多くは幼少期に起こり、カンジダによる限局性~広範性の皮膚感染から
始まり、口腔・その他の消化管粘膜や爪に病巣が広がるとされている。

CMC に対する抗真菌剤の投与では一時的に軽快するものの完治せず
再発を繰り返すことが多く、さらに抗真菌剤の長期投与による菌の薬剤
耐性化のため、治療が困難となってくるという問題があるのが難点である。

AIDSや先天性免疫不全の子供の皮膚病変では必ず鑑別に挙げなければ
ならないカンジダ皮膚感染症なので頭に入れておきたい。

そんなCMCについて、NEJMより報告。

A Homozygous CARD9 Mutation in a Family with Susceptibility to Fungal Infections
N Engl J Med 2009; 361 : 1727 - 35.


背景:
 CMCはカンジダ種による粘膜や皮膚の持続性・反復性の感染を特徴とし
 原発性免疫不全症の一つである。ほとんどの場合が散発性だが
 常染色体優性遺伝や常染色体劣性遺伝の例も報告されている。

方法:
 5世代36人を遺伝学的に検討。22人からDNA解析血液検体を得た。
 ホモ接合型マッピングを用いて変異遺伝子の位置を決定。
 カンジダ症に罹患した 4 例(患者)と罹患していない 18 例において
 CARD9の塩基配列決定とT細胞表現型解析を行った。

結果:
 染色体9q上ゲノム間に連鎖が認められ(ロッドスコア 3.6)、CARD9が同定。
 CMC4 例ともにが CARD9 にホモ接合型の点変異がみられ、中途終止コドン
 (Q295X)が認められた。健常な家族は野生型CARD9蛋白が発現していた。
 (CMC4例には野生型発現はなし)

結論:
 常染色体劣性遺伝のCMC易罹患性は、CARD9のホモ接合型変異に関係している。

# by otowelt | 2009-11-02 14:46 | 感染症全般

ばち指の定義

●ばち指
 慢性に経過する呼吸器疾患でよくみられるが、消化器疾患・循環器疾患でも
 みられることがしばしばある。1938年にLoviboundにより診断基準が
 提唱され、それが今でも使われている。
 他にもphalangeal depth ratio、Schamroth signなどがある。

 
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# by otowelt | 2009-11-01 10:40 | レクチャー

扁桃周囲膿瘍におけるFusobacterium necrophorumの疫学


CIDより。
扁桃周囲膿瘍に関するFusobacteriumの論文。

Fusobacterium necrophorum: Most Prevalent Pathogen in Peritonsillar Abscess in Denmark
Clinical Infectious Diseases 2009;49:1467–1472


背景:
 Group A streptococci(A群溶連菌)は、最もよくみられる
 急性扁桃周囲膿瘍(PTA)の起因菌である。 しかしながら、PTAの多くは
 嫌気性菌も関連しており、Fusobacterium necrophorum(FN)の関連が
 考えられる。このスタディの目的は、デンマークにおけるPTAの
 疫学調査であり、その微生物学的データを検証することにある。

方法:
 レトロスペクティブにPTA患者を調査。Aarhus大学病院に入院した患者で調査。

結果:
 847人の患者がこのスタディに組み込まれた。平均年間PTA患者は
 41 cases/100,000 populationであった。同定された菌については
 FNが23%と最も多く、GASが17%とそれに続いた。GCSは5%であった。
 191のFNが同定され、81%がpure cultureとしてはえた。他の菌と比べて
 FNのPTA患者は若い傾向にあり(P<.001)、好中球が多く(P<.001)、
 CRPが高かった(P=.01)。

結論:
 これはPTA患者におけるFNの有病率を報告した最初の論文である。
 CRPと好中球が有意に高い患者では、PTAにおけるFNの関連を考える必要がある。

 → GAS迅速チェックのみで抗菌薬投与は安易ということか???


救急をやっていたときは、非常にGASの扁桃炎が多く
Centor's criteriaを用いて迅速チェックをしたりしなかったりしていた。
バイシリンGを処方していたが、当然ながらFusobacteriumには無効である。
明らかに膿瘍のものに関しては、アンピシリン/スルバクタムを使用していたが
このabscess or non-abscessという判断は結構難しいと思う。

# by otowelt | 2009-10-30 11:09 | 感染症全般

気管支拡張症患者の死亡リスク


今月のERJより。
アブストラクトしか読んでないが、アバウトすぎる。

Mortality in bronchiectasis: a long-term study assessing the factors influencing survival
Eur Respir J 2009; 34:843-849


背景:
 気管支拡張症に関する死亡率に関してはあまり言及されていない。
 このスタディの目的は、それを調べることである。

患者:
 合計91人の原因のはっきりしない気管支拡張症患者で検証。
 肺機能およびHRCT、喀痰、QOLを13年間にわたりフォローアップした。

結果:
 29.7%の患者が13年間で死亡した。
 St George’s Respiratory Questionnaire activity score、
 Pseudomonas aeruginosaの感染、肺機能におけるTLCが
 おもにその死亡と統計学的に関連づけられた。

結論:
 気管支拡張症患者では、拘束性および閉塞性換気障害の程度や
 慢性緑膿菌感染症の存在が死亡と関連づいている。

# by otowelt | 2009-10-30 10:54 | びまん性肺疾患