ICUせん妄スクリーニングにはCAM-ICUが最も良い

ICUでのせん妄は、本当の意味で永遠のテーマだと個人的に思う。
「何でおとなしくしてくれへんねん!」と
挿管されている患者さんを見ながら思うことがしばしばある。

せん妄と不穏は異なることを知っておく必要がある。
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Cirt Care MedからICUせん妄のスクリーニングとして何が一番良いかという
検討がなされた論文が発表された。
結論としてはCAM-ICUが一番よかった。

Different assessment tools for intensive care unit delirium: Which
score to use?
Crit Care Med 2010; 38:409 – 418


CAM-ICU、Nu-DESC、DDSが有名だがそれらを以下のアルゴリズムの
ごとく検討をおこない、CAM-ICUに軍配をあげている。
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日本語版CAM-ICUというのもあり、出版されている。
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# by otowelt | 2010-02-10 12:56 | 集中治療

侵襲性肺アスペルギルス症(Invasive Pulmonary Aspergillosis;IPA)

●侵襲性肺アスペルギルス症の概略
 侵襲性肺アスペルギルス症(Invasive Pulmonary Aspergillosis;IPA)は
 血液疾患や移植後などの免疫抑制状態や、肺の構造破壊のある患者で
 発症しやすいと報告されている。
              AJRCCM 2006 ; 173 : 707―717.
 アスペルギルスによる肺感染症が起こるケースの90%は、
 ①好中球<500μl
 ②生理的な量以上のステロイド治療
 ③そのほかの免疫抑制剤(シクロスポリン等)投与中
 の3項目のうち2 項目以上を満たす場合と記載されている。
          Harrison’s Principles of Internal Medicine 16th ed.
 IPAは、明らかな免疫抑制状態にない患者であっても
 特にCOPD をもつ症例で発症するとの指摘が近年増加してきている。
           Journal of postgraduate medicine 2003 ; 49 : 78―80.
           Clin Microbiol Infect 2005 ; 11 : 427―429.
           Can Respir J 2005 ; 12 : 199―204.

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●IPAのリスク
 ・遷延性好中球減少
 ・ステロイド治療中
 ・造血幹細胞移植レシピエント
 ・AIDS
 ・慢性肉芽腫症
                Med Mycol 2005; 43 Suppl 1:S247.
 固形癌患者ではアスペルギルス症を起こしにくいといわれている。
                Clin Infect Dis 2006; 43:577

●IPAの原因微生物
 Aspergillus fumigatus (56%)
 A. flavus (19%)
 A. terreus (16%)
 A. niger (8%)
 A. versicolor (1%)

●IPAの診断
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●IPAの画像所見
 IPA の典型的な画像所見としては、
 出血性梗塞と梗塞周囲の肺胞内出血が中央の浸潤影と周囲のスリガラス状陰影
 としてみられるHalo sign が有名。しかし、その一方で宿主の免疫状態などにより
 多彩な画像を呈することも知られている。
 具体的には、
 ・結節影94%(halo sign を伴うものが61%)
 ・浸潤影30%
 ・肺梗塞様の浸潤影27%
 ・空洞陰影20%
 ・Aircrescent sign 10%
            Chest 2002 ; 121 : 1988―1999.
 免疫状態に関連して、
 白血球数1,500/μl 以上で小葉から広がる肺炎類似像を呈し、
 白血球数1,500/μl 未満で結節影やhalo sign が主体となるとされている。
             Clin Infect Dis 2007 ; 44 : 373―379.
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●IPAの治療
・治療 (第一選択はボリコナゾール)
 ボリコナゾール 
  内服:1日目800mg分2 → 2日目以降400mg分2 
  注射:1日目6mg/kg 12時間ごと → 2日目以降 4mg/kg 12時間ごと
 アムホテリシンB 1.0~1.5mg/kg/日
 アムビゾーム 3.0~6.0mg/kg/日
 ミカファンギン150~300mg/日
・治療期間
 できれば10週間以上続けた上ですべての感染徴候が消失してから14日間


 IPA の治療薬としては、ボリコナゾールの優位性が示されている。
                NEJM 2002 ; 347 : 408―415.
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 日本における深在性真菌症の治療ガイドラインでは、VRCZを第一選択薬とし
 重症例・全身状態不良例ではキャンディン系+アゾール系、
 またはキャンディン系+ポリエン系の併用療法が考慮されるべきとされている。
                     深在性真菌症の診断・治療ガイドライン
文責"倉原優"

# by otowelt | 2010-02-10 01:31 | レクチャー

ICSによるCOPD急性増悪減少は誇張されすぎかもしれない

COPD患者への吸入ステロイドは是か非か。

今週のCHESTの論文も、それほどでもないという結論にとどめている。
”それほどでもない”が、少しでも効果があるのであれば、
エエやないかと思うのはダメなのだろうか?
ICSによる肺炎リスクはやはりあるのだろうか?
まだ結論は出ないと考えてよいだろうか・・・。


COPDに対する吸入ステロイドは、呼吸器内科医の間でも議論の
わかれるところであった。それは、結果の異なる報告が複数あるためかもしれない。

2008年に、JAMAからICS療法は安定期COPD患者の全死因死亡リスクを低減せず、
肺炎リスクが有意に上昇するというメタ分析が報告された。これは11のRCT
(14426人)のメタ分析によるもので、2008年の論文で発表されている。
Inhaled Corticosteroids in Patients With Stable Chronic Obstructive Pulmonary Disease
JAMA. 2008 Nov 26;300(20):2407-16.


しかしながら、オランダのRCTでは中等度~重症のCOPDにおけるICSが
肺機能の低下を遅らせるとの結果が示された。
Effect of Fluticasone With and Without Salmeterol on Pulmonary Outcomes in Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Randomized Trial
Ann Intern Med 2009; 151: 517-527


呼吸器学会からのCOPDガイドラインには以下の記述がみられる。
 %FEV1が50%未満のCOPDで増悪回数の多い症例では、吸入ステロイド療法が
 増悪の回数を減らし、患者QOLの悪化速度を抑制すると報告されている。
 COPDに対する吸入ステロイド薬の用量反応性の検討は少ない。これまでの大規
 模トライアルの報告では、高用量の吸入ステロイドが用いられている。



今週、CHESTに新しいメタ分析の報告が掲載されていたので特記しておく。

Inhaled Corticosteroids vs Placebo for Preventing COPD Exacerbations A Systematic Review and Metaregression of Randomized Controlled Trials
CHEST February 2010 vol. 137 no. 2 318-325


背景:
 吸入ステロイド (ICS) は、COPD急性増悪を減少させるといわれている。
 しかしながら、もともとの肺機能とICSによる急性増悪減少が
 どのように関連しているかはわかっていない。

方法:
 PubMed、EmBase、Cochrane Central Database of
 Controlled Trials databases (1988-2008)を解析し、
 ICSとプラセボによる効果の差を検証。
 これにより、risk ratio (RR)と95%CIを2群間で抽出。

結果:
 11試験、8164人の患者を抽出。
 ICSは急性増悪の減少と関連していた(RR, 0.82; 95% CI, 0.73-0.92)。
 しかしながら、有意な統計学的hetergeneityを認めるが、出版バイアスの根拠はなし。
 FEV1 < 50% の患者においては、ICSは有意な利益を持っていた
 (RR, 0.79; 95% CI, 0.69-0.89)。
 これも統計学的heterogeneityを認める。
 メタ回帰において、急性増悪リスク減少は、COPD重症度にかかわらず不変と
 考えられた。(一秒量解析による)

結論:
 現在言われているICSによるCOPD急性増悪減少は、誇張されすぎかもしれない。

# by otowelt | 2010-02-08 22:57 | 気管支喘息・COPD

ICUにおける栄養療法の実際はガイドラインの推奨と差がある

Nutrition therapy in the critical care setting: What is “best achievable”
practice? An international multicenter observational study
Crit Care Med 2010; 38:395– 401


目的:ICUにおける栄養療法の実際を記録することと、EBMに基づく
  Critical Care Nutrition Clinical Practice Guidelinesによる
  ”最大の達成”を究明することである。

デザイン:international, prospective, observational, cohort study

セッティング:158の成人ICU、20ヶ国

患者:2946人の最低72時間以上人工呼吸管理された成人患者

介入:入院時から退院あるいは最大12日の栄養記録の抽出

結果:Clinical Practice Guideline recommendationsの中でも
  アドヒアランスの高いものもみられた。
 ・静脈栄養よりも経腸栄養を使用する傾向にあった
 ・血糖コントロール
 ・アルギニンの少ない製剤
 ・低カロリー非経腸栄養
 しかしながら、他の推奨項目では有意に推奨と実際とに差がみられた。
 ・経腸栄養開始までの平均時間:46.5時間(site average range, 8.2–149.1時間)
 ・胃内残存が多い患者の消化管蠕動薬の使用:58.7%(site average range, 0–100%)
 ・胃内残存が多い患者の小腸栄養:14.7%(site average range, 0%–100%)

 平均の栄養療法の妥当率は59%であった。(site average range, 20.5%–94.4%)
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結論:
 ガイドラインで推奨されている項目のうち、高いアドヒアランスを保っている項目も
 あったが、ICUの栄養療法のうち多くの推奨で実際との差がみられた。

# by otowelt | 2010-02-05 09:19 | 集中治療

癌性心膜炎

e0156318_2332246.jpg●癌性心膜炎
 癌性心膜炎は癌が心膜に浸潤もしくは播種した
 状態である。生存期間は6 ヵ月以内とされ、
 心タンポナーデ合併後の予後は
 きわめて不良である。

●癌性心膜炎の治療戦略
 心嚢穿刺ドレナージがすべてである。
 しかし一時的な心嚢穿刺ドレナージのみの場合、
 半数に心嚢液が再貯留するとされている。
            J Thorac Cardiovasc Surg.1996;112:637-643.
 再貯留を防ぐ目的で心膜開窓術や心膜癒着術が施行されることもある。
 心嚢穿刺ドレナージ後の癒着剤の心嚢腔内投与が臨床現場ではしばしば
 施行されているが、薬剤注入を行うか否かの明確な判断基準はない。
              Int J Cardiol. 1987;16:155-160.
 癒着剤は、テトラサイクリン、ブレオマイシン、ドキシサイクリン、シスプラチン
 マイトマイシンC、thiotepa などが報告されている。
 しかしながら心膜癒着療法が予後改善を示した大規模試験がほとんどないのが
 現状である。
 JCOG9811では、原発性肺癌を対象としてbleomycin投与群と
 非投与群との比較試験が行われ、2 ヵ月間心嚢液無再貯留生存率が
 bleomycin 投与群で46% と非投与群29% に比べて良好であるものの
 有意差は認められなかった。
                 Br J Cancer. 2009;100:464-469.
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●癌性心膜炎のドレナージによる予後改善効果
 心嚢穿刺ドレナージを行うことにより、平均3 ヵ月の延命が得られたとする報告
 が多い。しかし中には平均生存期間が約10~12 ヵ月と長期の報告も認められる。
文責"倉原優"

# by otowelt | 2010-02-04 23:32 | レクチャー