COPD早期発見のツール

COPDを早期発見するのは難しい。
患者も病識が少ないので、軽症例をひっかけるのは
至難の業であることはだれしも経験していることと思う。
e0156318_1259896.jpg

17点以上をCOPD診断の価値ありと判断し、
16点以下はそれ以外の疾患を考える。

# by otowelt | 2009-11-17 12:58 | 気管支喘息・COPD

オキシーパをARDS・敗血症で使う理由

・アルギニンが入っていない(NOをおさえるため)
アルギニンは、病態時においては条件付き必須脂肪酸となることもある。
アルギニンは、成長ホルモンやインスリン、プロラクチンなど様々な
ホルモン分泌を促進し、代謝を改善したり、たんぱく質の合成を促進すること
により、創傷治癒の促進や、免疫細胞の活性化により感染を予防する機能が期待できる。
さらに、アルギニンは、核酸の前駆物質として、リンパ球の機能の
正常化・活性化に有用であることが報告されている。また、血管拡張作用や、
殺菌作用を有する一酸化窒素の基質となるため、循環の維持や感染防御能の
増強に有用である。しかし、過剰な一酸化窒素の産生は血管拡張作用に伴う
ショックの誘発や、活性酸素と一酸化窒素との反応によって産生される
過酸化硝酸塩が原因となり、組織障害の原因となりうるため、敗血症時における負荷は
むしろ有害となりうる。 よって、このような患者にはアルギニンを添加した
濃厚流動食の投与は望ましくないとされている。

・ω-3 系脂肪酸が入っている
Immunonutritonでもアルギニンを入れず、炎症で大きな問題になっている
酸化ストレスを抑えるω-3 脂肪酸やその他の抗酸化物質を考慮した組成の
ものが開発されるようになった。
ω-3 系脂肪酸は免疫能を上げるよりは調整する働きがあり過剰な炎症を抑制する。
Immune-Enhancing ではなくImmuno-Modulating Diet(IMD)という
新たなカテゴリーの栄養剤とされている。
過剰な炎症が起こっている状態ではω-3 系脂肪酸はそれを抑え、
必要に応じて急性の肺障害や合併症の発症も抑えます。

・グルタミンが入っている
オキシーパ® の主な成分にはグルタミンも入っている。
グルタミンはIED にも使われていたが、
免疫能を上げる一方で細胞保護にはたらくヒートショックプロテインの産生を
上げ、抗酸化作用のあるグルタチオンの材料にもなる。

# by otowelt | 2009-11-13 13:34 | 集中治療

非結核性抗酸菌症の治療


a)肺MAC 症
1)RECAM
 CAM 600-800mg/日分2-3 (最低12mg/kg/day以上は必要)
 RFP 450-600 mg/日 分1
 EB 500-750mg/日分1
 KMまたはSM1000 mg/日週2-3回 筋注(初期2-3ヶ月)
 排菌陰性化から1年以上

2)(CAM耐性または使用不可の場合)
 RFP 450-600mg/日 分1
 EB 500-750mg/日分1
 SPFX 100-200mg/日分1
 KM またはSM1000mg/日週2-3回筋注
排菌陰性化から1年以上

*CAM耐性:
 液体培地を用いてMICを測定する. 32μg/mlを越えた場合を耐性とする.


b)肺M. kansasii症

1)HRE
 INH 300mg/日  分1
 RFP 450-600mg/日  分1
 EB  500-750mg/日  分1
  計1-1.5年

※INHの副作用が疑われた場合は中止

2)(RFP耐性または使用不可の場合)
 CAM 600-800mg/日 分2
 EB 500-750mg/日 分1
 LVFX 300-500 mg/日 分1
 またはTH 300-500mg/日
 重症ではSM1000mg/日 週2-3回筋注(初期3-6ヶ月)を追加
  菌陰性化後1年以上


c)迅速発育菌による肺感染症
発育速度が速く、通常の抗結核薬は無効であるが一般抗生剤の一部が有効
であり、薬剤感受性検査は液体培地を用いた微量希釈法によるMICの測定
が有益である等、抗酸菌ではあるが一般細菌に近い菌と認識すべき。

M. fortuitumはAMK、ニューキノロン、sulfonamides、cefoxitin、
IPM/CS、CAM等が有効であり比較的予後良好。

M.abscessusは有効な薬剤がCAM、AMK、cefoxitin、IPM/CSに
ほぼ限られており(RFP+EBが有効との意見もあり)、最も予後不良な
肺非結核性抗酸菌症。

M. chelonae はAMK、CAM、IPM/CS、doxycyclin、CPFX等に
感受性が報告されている。

いずれも経験的に有効な3-4剤を1-2年投与しているのが現状である.

d) 肺M.szulgai症
RFP、EB、TH、SM、KM、EVMに感受性を示す菌が多い。
RFP+EBにKMまたはTHを加えた1-2年の治療で菌陰性化が期待できる。

e)肺M. nonchromogenicum症
RFP+EB+TH+CAMで治療するという結核病学会の見解はあるが、
症例の蓄積が乏しく臨床効果は確定していない。

f)その他の菌種による感染症
有効薬剤や治療法は確立していない。
肺MAC症に準じた治療をしているのが現状。

# by otowelt | 2009-11-12 07:17 | 抗酸菌感染症

ARDSにおいて腹臥位療法は生存率を改善させない

ARDSの腹臥位療法のランダム化試験の結果が
JAMAから出ている。

ALI/ARDS の患者を安静臥床させて呼吸管理すると、
肺の背側に無気肺が生じるため、腹側には過剰な陽圧が
かかって過膨張になることが知られている。
その状態で肺血流は重力の影響で背側に多くなり、
換気と血流の不均衡が生じる。この状態から体位を
腹臥位に変換すると、無気肺のない腹側肺への肺血流が増多し、
換気/血流のマッチングが改善すると考えられている。

――――これが理論である。

今まで、どちらかといえばARDSにおける腹臥位の
メリットの方が多いという趨勢であり、そのような論文も
多かった。
Prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome.
Respr Care Clin N Am 8: 237-245, 2002.
Prone position in acute respiratory distress syndrome.
Eur Respir J 20: 1017-1028, 2002.


Crit Care Medの有名なメタアナリシスでは、
死亡率は有意差はないものの、酸素化の改善を認めている。
Effect of prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome: A meta-analysis. Critical Care Medicine.2008; 36 (2): 603-609


このJAMAの論文は、生存率におけるベネフィットを否定するものである。
傾向としては、やや効果があるかと思うカーブだが
統計学的には残念ながらP valueは有意差ナシ、である。

Prone Positioning in Patients With Moderate and Severe Acute Respiratory Distress Syndrome  A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2009;302(18):1977-1984.


背景:
 腹臥位療法は、ARDSにおける重症低酸素血症患者の生存率を
 改善する可能性があると考えられている。

目的・方法:
 多施設トライアルにより、ランダムにARDS 342人、重症低酸素血症を
 対象に、仰臥位と20時間/日の腹臥位療法に割り付けた。
 28日、6ヶ月死亡率をエンドポイントとした。

結果:
 28日死亡率・6か月死亡率はともに統計学的に同等であった
e0156318_14491729.jpg


結論:
 この試験により、ARDSにおける中等症~重症低酸素血症に対して
 腹臥位療法は生存率改善をもたらさないことがわかった。

# by otowelt | 2009-11-11 14:51 | 集中治療

HPV-16ウイルス腫瘍性蛋白E6・E7に対する合成長鎖ペプチドワクチンの有用性


10月16日に婦人科腫瘍学会から、パピローマウイルスワクチンの
ステートメントが発表されたのが記憶にあたらしい。

http://www.jsog.or.jp/statement/pdf/HPV_20091016.pdf

(1) HPV ワクチン接種が広範に行われることにより、将来、わが国における子宮頸がんの発生を約70%減少させることが期待できる。このことはわが国の女性とその家庭に幸福をもたらすだけでなく、子宮頸がん治療に要する医療費を大幅に抑制することにつながる。

(2) 11~14 歳の女子に対して優先的にHPV ワクチンを接種することを強く推奨する。なお、接種の費用については公的負担とすべきである。

(3) 11~14 歳でワクチン接種を受けることができなかった15 歳~45 歳の女性に対してもHPV ワクチンの接種を推奨する。本接種についても何らかの公的支援が望まれる。

(4) 現行のHPV ワクチン接種を行っても、子宮頸がんの発生をすべて予防できるわけではない。したがって、子宮頸がん検診は今後もきわめて重要であり、検診受診率の向上を目指した啓発が必要である。また、ワクチン接種者のフォローアップ体制が構築されることが望ましい。


NEJMより、HPVワクチンについての発表があった。

Vaccination against HPV-16 Oncoproteins for Vulvar Intraepithelial Neoplasia
N Engl J Med 2009; 361 : 1838 - 47.


背景:
 外陰上皮内腫瘍は、ハイリスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)、
 16 型(HPV-16)により引き起こされる慢性の疾患である。
 自然軽快するのは患者の1.5%未満で、術後の再発が高いことが問題である。

方法:
 合成長鎖ペプチドワクチンの免疫原性と有効性を、HPV-16 陽性かつ
 高グレード外陰上皮内腫瘍患者を対象に検討。HPV-16 陽性・グレード3の
 外陰上皮内腫瘍患者20 例にHPV-16 ウイルス腫瘍性蛋白E6・E7 由来の
 長鎖ペプチドを混合し、不完全フロイントアジュバントを加えたワクチンを
 3 ないし4 回接種。エンドポイントは、臨床反応とHPV-16特異的T細胞応答。

結果:
 主な有害事象として、局所腫脹が患者全員100%にみられた。発熱が64%。
 ただし、Common Terminology Criteria for Adverse Eventsの
 グレード2を超えるものはなかった。最後の接種から3 ヵ月後の追跡調査で、
 20例中12例(60%,95%CI 36~81)に臨床反応が認められ、症状が軽減。
 5 例では病変が完全に退縮し、うち 4 例では HPV-16 が検出されなかった。
 12ヵ月後の追跡調査では、19例中15 例に臨床反応が認められた(79%,
 95% CI 54~94)。そのうち9例では完全寛解(47%,95% CI 24~71)。
 24 ヵ月後の追跡調査時にもこの完全寛解率は維持されていた。
 ワクチンによる T 細胞応答は全例で認められ、3 ヵ月後に完全寛解が得られた
 患者では、完全寛解が得られなかった患者に比べてインターフェロンγ 関連
 増殖性 CD4+T 細胞応答が有意に強かった。

結論:
 HPV-16 陽性かつグレード3外陰上皮内腫瘍患者に対する
 HPV-16 ウイルス腫瘍性蛋白 E6・E7 に対する合成長鎖ペプチドワクチンは
 臨床反応が得られる可能性があり、完全寛解はHPV-16 特異的免疫の誘導と相関。

# by otowelt | 2009-11-09 09:18 | 感染症全般