関節リウマチに対しての雷公藤はサラゾスルファピリジンより優れる

e0156318_1342216.jpgComparison of Tripterygium wilfordii Hook F Versus Sulfasalazine in
the Treatment of Rheumatoid Arthritis
A Randomized Trial
Ann Intern Med. 2009;151:229-240.


リウマチに対する、アザルフィジンと漢方薬の一騎打ち。
膠原病界では有名な話のようだ。

サラゾスルファピリジン(アザルフィジンetc)のRAにおける有用性は多くの試験や
メタ分析で確認されており、特に早期で比較的軽症のRAでの有用性が強調されている。
効果の強さはヒドロキシクロロキンに優っており、注射金剤および
D─ペニシラミンとほぼ同等とされる。
 Arthritis Rheum 1988;31:702-13.
 Scand J Rheumatol 1995;24:330-5.
 Br Med J 1983;287:1099-102.


SASPの抗リウマチ薬としての特徴は速効性にあると考えられ、
比較的早期で軽症~中等症のRAがよい適応と考えられる。


方法:
 アメリカの活動性RA(関節リウマチ)患者121人をランダムに2群に分け、
 一方(60人)に漢方薬の雷公藤(Tripterygium wilfordii Hook F)抽出物を
 一日180mg、もう一方(61人)に免疫調節薬のサラゾスルファピリジンを
 一日2g投与。免疫を抑える経口ステロイドと、非ステロイド性抗炎症薬の
 安定用量での服用は認めた。

結果:
 24週後、関節の疼痛や腫脹が20%以上改善した患者割合は、
 雷公藤群では65.0%で、サラゾスルファピリジン群の32.8%より有意に高かった。
 有害作用を呈した者の割合は、雷公藤群(88.3%)と
 サラゾスルファピリジン群(90.2%)で有意差なし。
 有害作用の60%が消化器症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛など)。

 本試験では中途の脱落が多かった。有害作用が原因と考えられたのは、
 雷公藤群が7人に対して、サラゾスルファピリジン群は17人と有意に高かった。
e0156318_13445162.jpg

結論:
 関節リウマチに対しての雷公藤はサラゾスルファピリジンより優れる。

# by otowelt | 2009-08-19 13:37 | 内科一般

アスピリンは大腸癌全死亡率を減少させる


私は呼吸器内科医だが、大腸癌肺転移もたまに診察することがある。
結核合併例では主治医として治療させていただいたこともある。
この論文はかなり消化器内科医にとってはトピックと思われる。
腎細胞癌に対するソラフェニブと同様、驚異的と言わざるを得ない。
なにせ、死亡率の低下が大きい上に、アスピリンは安い!

以前からCOX-2活性を阻害する作用を持つアスピリンに
大腸癌予防効果があるのではないかと期待されてきた。
2009年5月30日から6月4日まで開催された米国消化器学会で、
マサチューセッツ総合病院のAndrew T.Chan先生が発表したものが
JAMAから論文としてリリースされた。

Aspirin Use and Survival After Diagnosis of Colorectal Cancer
JAMA.2009; 302: 649-658.


背景:
 アスピリンは大腸悪性腫瘍のリスクを下げる可能性があることがわかっている。
 しかしながら、生存率に寄与するかどうかはまだわかっていない。

目的:
 アスピリンを服用している患者が、大腸癌患者において
 生存率に影響を与えるかどうかを検証。

デザイン:
 プロスペクティブコホート試験であり、1279人の男女でstage I~IIIの大腸癌
 を登録した。1980年~1986年に診断されたケースを2008年6月1日まで追跡した。

主要転帰:
 大腸癌による死亡率、あるいは全死亡率

結果:
 大腸癌と診断される前にアスピリンを定期的に服用していた場合、
 大腸癌による死亡率についても、全死亡率についても、
 服用していない場合と比べて特に差はみられなかった。
 また大腸癌と診断された後でアスピリンを定期的に服用すると、
 服用していない場合に比べ、大腸癌による死亡率が29%も有意に低下
 (95%CI:0.53-0.95、p=0.02)全死亡率についても有意に改善(p=0.03)。
 大腸癌と診断される前にアスピリンを服用していなかった患者719人については、
 診断後にアスピリンを服用しなかった536人に比べ、
 診断後にアスピリンを服用し始めた183人では大腸癌による死亡率が
 47%低下(95%CI:0.33-0.86)。
 免疫組織学的評価が可能だった459人について、COX-2の過剰発現の有無と
 大腸癌の関係を調べた。その結果、COX-2が過剰発現していた患者314人では、
 アスピリンを定期的に服用していた132人で、服用しなかった182人に比べ
 大腸癌による死亡率が61%と大幅に低下した(95%CI:0.20-0.76)。

結論:
 大腸癌診断後におけるアスピリンの使用は、全死亡率低下をもたらす。
 特にCOX-2過剰発現患者においてそれは顕著である。

# by otowelt | 2009-08-18 08:54 | 肺癌・その他腫瘍

気管支鏡時に前投薬としての抗コリン薬は不要かもしれない


気管支鏡施行前に、アトロピンやジアゼパムなどを
用いることがあるが、これは気道分泌を減らしたり安心感を与えるため
と考えられている。
これによって本当に恩恵があるのかどうかを検討した論文がCHESTから出た。

グリコピロレートというのは、麻酔の分野では
アトロピンにかわって使われることもある抗コリン薬である。
特徴は、頻脈になりにくい、より強い分泌物抑制効果がある、
BBBを通過しないのでアトロピンよりも麻酔後の記憶障害が少ない。

Anticholinergic Premedication for Flexible Bronchoscopy
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study of Atropine and Glycopyrrolate
CHEST August 2009 vol. 136 no. 2 347-354


背景:
 抗コリン薬は、気管支鏡の前投薬としてよく使われているが
 潜在的リスクよりも利益が上回るかどうかはよくわかっていない。

方法:
 1000人の気管支鏡患者に対して、アトロピンとグリコピロレートの
 安全性を検討。
 339人の患者はアトロピン(0.01 mg/kg)、336人の患者はグリコピロレート
 (0.005 mg/kg)、325人の患者はプラセボ(2 mL of normal saline solution)を
 筋肉注射した。これらはランダム化された。
 施行者および被験者が感じた気道分泌、咳嗽、患者不快感、SpO2、施術時間、
 副作用頻度などが検討された。

結果:
 施行者の報告した気道分泌は、グリコピロレート(p = 0.02)および
 アトロピン(p = 0.064)で少なかった。しかしながら、
 患者の訴えた気道分泌の多さ、患者および施行者の報告した咳嗽・不快感とは
 いずれも関連性がなかった。また、いずれの薬剤もサチュレーション低下とは
 関連がなく、アトロピンは施行時間が長くなってしまう傾向にあった(p = 0.042)。
 心拍数や血圧上昇は抗コリン薬、特にアトロピンでよく認められた。

結論:
 抗コリン薬は気道分泌を減らすかもしれないが、
 咳や不快感やサチュレーションには関連がない。しかしながら、
 気管支鏡施行時間を長くしたり、循環動態を変動させる。
 ルーチンでの抗コリン薬は気管支鏡施行時には必要ないと考えられる。

# by otowelt | 2009-08-17 09:20 | 気管支鏡

結核標準化学療法へのPNU-100480の追加効果

抗結核薬は抗菌活性の強弱と交差耐性の観点から3 種類に分類されることが多い。

① 殺菌作用を有するもの
 RFP、INH、aminoglycosides(SM、kanamycin:KM、amikacin:AMK、
 capreomycin:CPM)、ethioamides(ETH)、pyrazinamide (PZA)
② 弱い殺菌作用を有するもの
 fluoroquinolones(ofloxacin:OFLX、levofloxacin:LVFX など)
③ 静菌作用を有するもの
 ethambutol (EB)、cycloserine(CS)、para-amino-salicylic acid(PAS)

ザイボックス(リネゾリド)を代表とするオキサゾリジン系抗菌薬も
in vitro とin vivoで結核菌とMAC に対して抗菌活性を示すことが知られている。
  Antimicrob Agents Chemother 43: 1189~1191, 1999

そのため、サードラインに位置付けられている。
MDRTBの腎不全時なんかでは活躍できるか。

Addition of PNU-100480 to First-Line Drugs Shortens the Time Needed to Cure Murine Tuberculosis
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 180. pp. 371-376, (2009)


PNU-100480 はリネゾリドと同じく、オキサゾリジン系抗菌薬である。
抗結核薬としての試験がいくつか進行している。
AJRCCMに、標準治療にオキサゾリジンを加える論文があったので
ここに少し留意しておく。

# by otowelt | 2009-08-15 11:29 | 抗酸菌感染症

乳癌のリンパ浮腫にウェイトリフティングは有効

e0156318_1111831.jpgリフティングと聞くと、どうしてもこういうのをイメージしてしまうが…。

Weight Lifting in Women with Breast-Cancer–Related Lymphedema
N Engl J Med 2009; 361 : 664-73




背景:
 乳癌によるリンパ浮腫がある女性では、一般的にウェイトリフティングは禁忌
 とされている。そのため、ウェイトリフティングの健康上の利益を得ることができない。

方法:
 上腕に安定リンパ浮腫を呈する乳癌患者141例を対象に、強度を上げていく
 週2 回のウェイトリフティングの無作為化対照試験を実施。
 プライマリエンドポイントは、1年後の上腕と手の腫脹の変化。
 セカンダリエンドポイントは、リンパ浮腫の増悪率、リンパ浮腫症状の数・重症度、
 筋力とした。

結果:
 上腕腫脹が5%以上増大した女性の割合は、ウェイトリフティング群(11%)
 と対照群(12%)で同等。(95%CI 0.88~1.13)
 対照群に比べてウェイトリフティング群では、自己報告によるリンパ浮腫の
 重症度(P=0.03)、および上半身・下半身の筋力(P<0.001)が改善。
 認定リンパ浮腫専門医の評価によるリンパ浮腫の増悪率が低かった。
 (14% VS 29%,P=0.04)

結論:
 リンパ浮腫を呈する乳癌患者において、強度を上げていくウェイトリフティング
 は、上腕の腫脹に有意な影響を及ぼすことなくリンパ浮腫の増悪率を低下させる。

# by otowelt | 2009-08-14 11:08 | 肺癌・その他腫瘍