Mounier-Kuhn 症候群

●Mounier-Kuhn 症候群とは
Mounier-Kuhn 症候群は1932 年に報告された。
         Lyon Méd. 1932;150:106-109.
その後、1962 年にKatz ら によって「慢性気道感染を繰り返す著明に
気管及び気管支の拡張を呈する疾患」と定義された。
         Am J Roentgenol Radium Ther Nucl Med. 1962;88:1084-1094.
病因として、病理組織学的検討から気道壁の弾性線維の欠損や委縮
筋層の菲薄化がみられたり、Ehler-Danlos 症候群やCutis laxaとの合併例が
報告されていることより、先天的な結合組織の異常が関連していたり
染色体異常や常染色体劣性遺伝の形式をとる可能性も示唆されている。
後天的にはBateson らの報告でMKS の75% 以上は29 歳以降に発症するとされ
慢性気道感染の関与が考えられるが、まだ不明確な点が多い。

●Mounier-Kuhn 症候群の診断
診断は胸部X 線、胸部CT、胸部MRI が有用である。
Katz らは気管支造影検査にて、成人の平均直径が気管で20.2±3.4 mm
右主気管支で16.0±2.6 mm、左主気管支で14.5±2.8 mm と報告しており
Himalstein らが平均値+3 SD 以上を示す場合にMKS と診断してもよいとしている。
         Ann Otol Rhinol Laryngol. 1973;82:223-227.

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●Mounier-Kuhn 症候群の治療
基本的に気道分泌促進剤などの去痰剤、呼吸器感染症時の抗生剤の使用や
体位ドレナージなどの理学療法などの対症療法が主体であるが、
外科的治療も有効な場合がある。またクラリスロマイシンの少量長期投与が有
効であったとの報告もある。
         日本内科学会雑誌.1996;85:617-619.

文責"倉原優"

# by otowelt | 2010-02-01 02:14 | レクチャー

気管支動脈蔓状血管腫


●気管支動脈蔓状血管腫とは
気管支動脈蔓状血管腫は、1976 年にBabo らによって初めて報告された
   ROFO Fortschr Geb Rontgenstr Nuklearmed 1976 ;124 : 103―110
気管支動脈が著明に屈曲・蛇行・拡張し時にそれらが肺動静脈との異常吻合を
示す疾患である。気管支動脈蔓状血管腫は新生物としての血管腫の概念とは異なる。
疾患概念が明確化されておらず、また血管病変の量的・質的程度についても
定義されていない。本症は先天性気管支動脈形成異常による原発性と
気管支拡張症や結核等の炎症性既存病変に起因する続発性に大別される。

●気管支動脈蔓状血管腫の症状
本邦では原発性の34 例に対し詳細な検討を行っており、
それによると主訴は喀血がほとんどを占め、18~80 歳と幅広い年齢層で
見られ出血部位としては右側が25 症例を占めていた。

●気管支動脈蔓状血管腫の造影
気管支動脈蔓状血管腫は、本症に特徴的な気管支動脈の屈曲,蛇行,拡張を
確認することで診断される。本邦の40 例のうち、33 例は血管造影によって
診断されている。

●気管支動脈蔓状血管腫の気管支鏡所見
内視鏡所見は、原発性では正常粘膜に覆われた暗赤色や赤紫色の
半球性の隆起性病変を認めるとの報告がなされている。
      日呼吸会誌2000 ; 38 : 403―407.
続発性における報告例は乏しく、内視鏡写真掲載は1 例のみで
正常粘膜におおわれた隆起性病変との程度しか記載されておらず、
さらにこれまでに経時変化を報告した論文もない。
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●気管支動脈蔓状血管腫の治療
現在、本疾患に対する標準的治療は確立されていない。
過去の報告によるとBAE や肺葉切除・肺区域切除などが多く行われており
気管支動脈結紮術に関しても施行されている例がある。
BAE は侵襲は少ないが前脊髄動脈塞栓の危険と再開通の可能性が問題と
なる。さらに気管支動脈と肺動脈でのシャントが形成されていた場合
塞栓子が肺動脈まで流入し肺塞栓を合併する可能性もある。
葉切除は根治が期待できるが侵襲性と術後の呼吸機能の低下が問題となる。

文責"倉原優"

# by otowelt | 2010-01-31 21:43 | レクチャー

非侵襲的人工呼吸管理は、重症胸部外傷による低酸素血症において酸素療法に比べて挿管率を有意に減少


救急の外傷の現場で、NIPPVを使っているところが想像できないのだが・・・
JATECでは、Airway-Breathingに異常があれば
NIPPVではなくIPPVを推奨しているので、これが世に反映されるのは
もう少し先かもしれない。

Noninvasive Ventilation Reduces Intubation in Chest Trauma-Related Hypoxemia
A Randomized Clinical Trial
CHEST January 2010 vol. 137 no. 1 74-80


背景:
 非侵襲的人工呼吸管理(NIMV)ガイドラインでは、部分的麻酔でも低酸素が続く場合
 胸部外傷の患者にCPAPを用いることをすすめている。
 この推奨は、ランダム化試験がなかったため、エビデンスレベルCとなっている。
 
方法:
 この試験は、single-center randomized clinical trialであり、
 9床のレベル1外傷ICUでおこなわれた。
 対象は受傷48時間以内に酸素療法が始まった患者で、
 Pao2/Fio2<200が8時間以上続くもの。患者は
 高流量酸素とNIMVに割り付けられた。
 プライマリエンドポイントは挿管の発生、セカンダリーエンドポイントは
 入院日数および生存率とした。

結果: 
 25人の患者が登録された段階で、NIMV患者群で有意に挿管頻度が少ないことが
 統計学的に明らかになったため、試験は中止された。
 (酸素群10人[40%] vs NIMV群3人 [12%], P = .02)
 多変量解析によれば、年齢、性別、慢性心不全の存在、APACHEIIスコアが
 NIMVにおける挿管のリスク因子であった。
 在院日数は、NIMV患者で少なかった (14 vs 21 days P = .001)。
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結論:
 非侵襲的人工呼吸管理は、重症胸部外傷による低酸素において
 高流量酸素療法よりも挿管頻度を減らすことが可能である。

# by otowelt | 2010-01-31 18:34 | 救急

術後Noninvasive Ventilationレビュー

Anesthesiologより術後Noninvasive Ventilationの話がレビューされていた。
curativeとpreventiveの違いを強調している。

Postoperative Noninvasive Ventilation
Anesthesiology 2010; 112:453– 61
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# by otowelt | 2010-01-31 11:24 | 集中治療

BMI増加はARDS発症を増加させるが死亡率は増加させない

つまり、肥満が関連するARDSは予後がいいということの裏返しになるわけか。
当院に肥満のARDSがかなり続いた時期があったが、予後は何ともいえなかった。
そもそも肥満のARDSは、本来のDADとは異なるのではないだろうか。
気温が少し上がるだけで、Fが増えてP/F ratioもなんか低くなるし…。

Body mass index is associated with the development of acute respiratory distress syndrome
Thorax 2010;65:44-50


背景:
 body mass index (BMI)とARDSの関係は知られていない。

方法:
 コホートスタディにおいて、ARDSのリスクを抽出。
 BMIは入室時に身長と体重から計算。
 患者はAECCの定義したARDSによって日々スクリーニングされ、
 60日死亡率を計算した。

結果:
 1795の患者のうち83人(5%)はBMI <18.5 kg/m2であり、627人(35%)
 はBMI 18.5–24.9、605人 (34%)はoverweight (BMI 25–29.9)
 364人 (20%) はobese (BMI 30–39.9) 116人(6%) は
 severely obese(BMI ≥40)であった。
 体重増加は若年(p<0.001)、糖尿病(p<0.0001)、高血糖 (p<0.0001)
 lower prevalence of direct pulmonary injury (p<0.0001)
 later development of ARDS (p = 0.01)と関連していた。
 パラメータとしてのBMIはARDS発症と有意に相関していた。
 (OR 1.24 per SD increase; 95% CI 1.11 to 1.39)
 同様に肥満(obesity)は正常体重に比べてこれも有意にARDSに相関
 (OR 1.66; 95% CI 1.21 to 2.28 for obese;
  OR 1.78; 95% CI 1.12 to 2.92 for severely obese)。
  ARDS患者において、BMI増加は入室日数の増加と関連していたが(p = 0.007)、
 死亡率とは関連性がなかった(OR 0.89 per SD increase; 95% CI 0.71 to 1.12)。
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結論:
 BMIはARDS発症のリスクであり、入室日数を増加させる危険性があるが
 死亡率は上昇させない。

# by otowelt | 2010-01-30 07:30 | 集中治療