エコーガイド下中心静脈カテーテル挿入後のレントゲン写真撮影は必要か?

e0156318_21563989.jpg さりとて、なくならないと思います。

Jason Chui, et al.
Is Routine Chest X-ray After Ultrasound-Guided Central Venous Catheter Insertion Choosing Wisely? A population-based retrospective study of 6875 patients
CHEST DOI https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.02.017


背景:
 中心静脈カテーテル(CVC)をエコーガイド下で挿入した後、ルーチンのレントゲン撮影が推奨されている。われわれは、エコーガイド下CVC挿入後にレントゲン写真を撮影する意義を調べた。

方法:
 集団ベース後ろ向きコホート研究において、2008年7月1日~2015年12月31日までに手術室でCVCを挿入された成人患者の記録を抽出した。気胸とカテーテル位置不良の頻度を調べた。ロジスティック回帰分析によって、これらの合併症の潜在的リスク因子を調べた。また経済的な影響についても調べた。

結果:
 18274人のCVC挿入患者のうち、6875人が登録された。気胸およびカテーテル位置不良の頻度はそれぞれ0.33%(95%信頼区間0.22-0.5)(23人)、1.91%(95%信頼区間1.61-2.26)(131人)。カテーテル挿入部位は、気胸およびカテーテル位置不良の主要な規定因子だった。特に左鎖骨下静脈からの挿入が気胸リスクが高く(オッズ比6.69、95%信頼区間2.45-18.28、p<0.001)、右内頚静脈以外の部位はカテーテル位置不良が多かった。胸部レントゲン写真による当施設のコストは年間10万5000ドル~18万3000ドルと推定された。

結論:
 エコーガイド下CVC挿入後の気胸およびカテーテル位置不良はまれな合併症であり、コストも高い。そのため、ルーチンの撮影は不要と考えられる。


# by otowelt | 2018-03-19 00:55 | 集中治療

薬剤性好酸球性肺炎はダプトマイシンによるものが多く、急性・慢性の両病型をとりうる

e0156318_1872356.jpg ダプトマイシンによるEPは呼吸器内科医としておさえておきたいですね。

・ダプトマイシンによる好酸球性肺炎

Bartal C, et al.
Drug-induced eosinophilic pneumonia: A review of 196 case reports.
Medicine (Baltimore). 2018 Jan;97(4):e9688.


背景および目的:
 好酸球性肺炎(EP)は肺浸潤影と好酸球増多を伴う患者の重要な疾患である。EPは慢性経過か否かと薬剤によるものかどうかで分類ができる。1990年以降の症例報告を集め、薬剤に関連するEPならびに急性EP(AEP)と慢性EP(CEP)の差異について調べた。

方法:
 電子データベースで薬剤性EPあるいはPIE症候群と診断された報告を抽出した。

結果:
 196人の薬剤性EPの患者が同定された。主な原因はダプトマイシンによるEPだった。AEPは若年患者にみられ、性差はなかった。診断時の末梢血好酸球増多はCEPによくみられた(CEP:80%、AEP:20%)。放射線学的な異常はAEP・CEPともに同等だった。EP患者の多くがステロイド治療を受け、CEPでは再発が多くみられていた。

結論:
 薬剤性EPはAEP・CEPのいずれの病型もとりうる。両疾患がオーバーラップしていることもあり、同経路の機序が想定される。最も多い薬剤はダプトマイシンだった。


# by otowelt | 2018-03-16 00:49 | びまん性肺疾患

小児ウイルス性喘鳴に対するマグネシウム静注は無効

e0156318_1154073.png 成人喘息に対しても有効性が疑問視されています(Respirology. 2016 May;21(4):668-73. )。

重症喘息発作に硫酸マグネシウムの静注は効く?

Pruikkonen H, et al.
Intravenous magnesium sulfate for acute wheezing in young children: a randomised double-blind trial.
Eur Respir J. 2018 Feb 7;51(2). pii: 1701579.


背景:
 硫酸マグネシウムは、比較的成人に近い小児の喘息発作に効果的と言われているが、4歳未満の小児における重症ウイルス性喘鳴に対する効果は検証されていない。

方法:
 この研究では、生後4ヶ月~4歳までの61人の小児を登録した。適格基準は、初期サルブタモール治療が無効だったRDAI6点以上の重度のウイルス性喘鳴がある児とした。患児は、20分かけて硫酸マグネシウム40mg/kgの点滴あるいは生理食塩水の点滴を投与される群にランダムに割り付けられた。プライマリアウトカムは、RDAIスコアのベースラインからの変化とした。

結果:
 RDAIスコアの平均変化は、マグネシウム群で4.7±2.6点、プラセボ群で4.2±4.2点の変化だった(群間差0.5, 95%信頼区間-1.3 to 2.3, p=0.594)。

結論:
 重症ウイルス性喘鳴の小児に対する硫酸マグネシウムは無効である。


# by otowelt | 2018-03-15 00:42 | 気管支喘息・COPD

肺病変のないサルコイドーシスの主体は皮膚サルコイドーシスであり患者背景は異なる

e0156318_11333269.jpg 肺サルコイドーシスと非肺サルコイドーシスで分類する必要性があるのかどうかは微妙な結果でしたね。

W. Ennis James, et al.
Clinical Features of Extrapulmonary Sarcoidosis without Lung Involvement
CHEST DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.02.003


背景:
 肺サルコイドーシスと比較すると、肺病変のないサルコイドーシスは他の免疫病理学的機序があり、異なる背景と臨床的特徴と関連しているとされている。

方法:
 アメリカの2つの大学病院において、後ろ向きに1686人の病理学的に確定されたサルコイドーシス患者を登録した。われわれは、肺サルコイドーシスの背景と臨床的表現を肺病変のないサルコイドーシス(non-pulmonary sarcoidosis:NPS)と比較した。胸部画像所見が正常で、現在の基準に照らし合わせて肺病変のない患者をNPSありとした。

結果:
 このサルコイドーシスコホートにおいてNPSに合致したのは8.3%だった。NPSは、黒人より白人に多くみられ、男性より女性に多くみられた。皮膚サルコイドーシスがもっともよくみられた病変部位で、NPS患者の約半数を占めた。皮膚病変単独は、NPSの25%にみられた。

結論:
 肺サルコイドーシスとNPS患者では、背景や性別に差異がみられた。これらの差は、NPSの主病変である皮膚サルコイドーシスと、肺サルコイドーシスの差を反映しているものと思われる。


# by otowelt | 2018-03-14 00:51 | サルコイドーシス

STICS試験:小児に対するICS5倍戦略は重度の喘息発作の発生を減らさない

e0156318_1637713.jpg 小児に対する身長の懸念をあまり前面に出さないでほしいです。それを差し引いてもあまりある恩恵を受けているからです。


Daniel J. Jackso, et al.
Quintupling Inhaled Glucocorticoids to Prevent Childhood Asthma Exacerbations
N Engl J Med 2018; 378:891-901


背景:
 喘息は吸入ステロイド薬(ICS)などの喘息管理薬を定期的に使用していても、発作を起こす頻度が高い。臨床医は通常、喘息コントロール悪化の初期徴候があった場合、その期間にICSを増量する。しかし、小児におけるこの戦略の安全性と有効性に関するデータは限定的である。

方法:
 この研究では、軽症~中等症の持続型喘息で、過去 1 年間に全身性ステロイドで治療した喘息発作を1回以上起こしている5~11歳の小児254人を対象に検討した。低用量ICS(フルチカゾンプロピオン酸エステル44μg/吸入・1回2吸入1日2回)による維持療法を合計48週間適用したあと、同ICS量を継続する群(低用量群)と、喘息コントロール悪化の初期徴候がみられた期間(イエローゾーン)に5倍量(フルチカゾン 220μg/吸入・1回2吸入1日2回)を7日間吸入する群(高用量群)にランダムに割り付けた。治療は二重盲検下で行われた。全身ステロイド治療を要した重度の喘息発作の発生率をプライマリアウトカムとした。

結果:
 全身ステロイド治療を要した重度の喘息発作の発生率について、治療群間で有意差はなかった(高用量群0.48回/年 vs 低用量群0.37回/年、相対的比率1.3、95%信頼区間0.8-2.1、P=0.30)。初回発作までの期間、治療失敗率、喘息症状スコア、イエローゾーンでのアルブテロール使用にも、群間差はなかった。ステロイド総曝露量は高用量群のほうが低用量群よりも16%多かった。高用量群と低用量群の身長の伸びの差は-0.23 cm/年であった(P=0.06)。

結論:
 ICSを毎日使用している軽症~中等症の持続型喘息の小児において、喘息コントロール悪化の初期徴候を観察される期間にステロイドを5倍に増量しても、重度の喘息発作の発生率は低下しなかった。また、小児においては身長の伸びの減少と関連する可能性がある。


# by otowelt | 2018-03-13 00:51 | 気管支喘息・COPD