リウマチ性疾患に対するST合剤によるPCP発症予防

e0156318_20444355.jpg やはりステロイド投与量が多いほど、PCP発症が多いですね。

Park JW, et al.
Prophylactic effect of trimethoprim-sulfamethoxazole for pneumocystis pneumonia in patients with rheumatic diseases exposed to prolonged high-dose glucocorticoids.
Ann Rheum Dis. 2018 May;77(5):644-649.


目的:
 リウマチ性疾患に対して高用量ステロイドを投与されている患者の、ニューモシスチス肺炎(PCP)の予防としてのST合剤の効果と安全性を調べること。

方法:
 12年を超える期間において、1092人の患者で高用量ステロイド(プレドニゾン≧30mg/日相当)を4週間以上投与された1522回の治療エピソードが登録された。これらのうち、262回の治療でST合剤による予防があった。Cox回帰を用いてST合剤によるPCP発症の頻度と死亡率の差を類推した。ベースラインの不均衡を最小限にするため、傾向スコアマッチを用いた(年齢、ベースライン以前のステロイド積算量、免疫抑制剤の有無などをマッチ)。

結果:
 1474.4人年のうち、30人のPCP症例が同定され、死亡率は36.7%だった。ST合剤予防群で発症したのは1例のみだった(当該患者は生存)。ST合剤は1年間のPCP発症率(補正ハザード比0.07、95%信頼区間0.01 to 0.53)、死亡(補正ハザード比0.08、95%信頼区間0.0006 to 0.71)を有意に減少させた。ST合剤による有害事象は100人年あたり21.2だった。2人のみが重篤な有害事象を起こし、1人はStevens-Johnson症候群だった。ST合剤によるPCP予防のためのNNTは52であり、重篤な有害事象のNNH131より低かった。初期ステロイドの用量が多いほど、NNTは低くなった。
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(文献より引用:ステロイド用量別のPCP発症)

結論:
 リウマチ性疾患で高用量ステロイドを長期に投与されている患者におけるST合剤は有意にPCPの発症を減らし、安全性プロファイルも良好だった。


# by otowelt | 2018-05-02 00:29 | 膠原病

マイコプラズマ肺炎と胸部HRCTのaffected areaの関連

e0156318_10514999.jpg 当院は、びまん性肺疾患でないと胸部HRCTデータは残りませんので、肺炎球菌性肺炎で胸部HRCTデータが得られるというのはちょっと羨ましい気もします。
 小葉中心性粒状影の頻度に興味があったのですが、論文中にはマイコプラズマ肺炎97.6%、肺炎球菌性肺炎17.6%と記載されています。気管支壁の肥厚はマイコプラズマで結構多いという印象ですが、この論文では26.2%の頻度でした。

Takeshi Saraya, et al.
Correlation between clinical features, high-resolution computed tomography findings, and a visual scoring system in patients with pneumonia due to Mycoplasma pneumoniae
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.03.001


背景:
 Mycoplasma pneumoniae (MP) は、市中肺炎の主たる病原菌である。われわれは、特に低酸素血症や胸部HRCTで得られたtotal affected areaに関連した臨床的特徴を調べた。

方法:
 2006年1月から2013年11月までの、杏林大学病院で15歳を超えたMP肺炎患者(PPLO培地あるいはPAタイターの診断)の診療録を参照した。これを2013年1月から2014年9月までに同定された肺炎球菌性肺炎の患者と比較した。

結果:
 MP肺炎65人、肺炎球菌性肺炎32人が後ろ向きに同定された。胸部HRCTデータはそれぞれ42人、32人から得られた。そのうち、低酸素血症(SpO2が94%未満あるいは酸素療法を要する状態)の存在は、肺炎球菌性肺炎の方がMP肺炎よりも多かった(11.9% vs 41.2%)。胸部HRCTにおけるtotal visual scoreは両群ともに低酸素血症と有意に相関していたが、低酸素血症のある患者ではMP肺炎の方がスコアが有意に高かった。MP肺炎のtotal visual scoreと血清炎症性バイオマーカー(CRP[r=0.43, p=0.025]、LDH[r=0.466, p=0.016])に相関がみられた。両群ともに、中葉および下葉の個々のスコアは上葉と比べて有意に高く、葉優位性の存在が示唆された。

結論:
 低酸素血症のある肺炎患者において、肺のHRCTにおけるtotal affected areaはMP肺炎の方が肺炎球菌性肺炎よりもよくみられることがわかった。また、低酸素血症と血清炎症性バイオマーカーには相関がみられた。


# by otowelt | 2018-05-01 00:18 | 感染症全般

実臨床におけるネーザルハイフローの使用

e0156318_21563989.jpg まだコンセンサスがなさそうなので、用語はネーザルハイフローにしています。実臨床でどういう風に使われているのか、私の持っているイメージと同じでした。

Jiro Ito, et al.
The clinical practice of high-flow nasal cannula oxygen therapy in adults: A Japanese cross-sectional multicenter survey
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.02.002


背景:
 ネーザルハイフローは急性期ケアでよく用いられている酸素療法だが、実臨床ではデータが限られている。この研究の目的は、日本人の成人患者における同酸素療法について記述することである。

目的:
 日本の33施設における後ろ向きの横断的研究を2015年3月まで実施した。

結果:
 321人の患者が22病院から登録された(年齢中央値76歳、218人が男性、103人が女性、PF比中央値178mmHg)。挿管拒否(Do-not-intubate)ステータスは患者の37.4%にみられた。ネーザルハイフロー導入前、57.9%の患者が通常酸素療法を適用され、25.9%がNPPVを適用され、15.0%が挿管人工呼吸管理を適用されていた。もっともよくみられた適応疾患は、急性低酸素性呼吸不全(65.4%)で、術後呼吸補助(15.9%)、抜管後呼吸補助(11.2%)と続いた。急性低酸素性呼吸不全の原因は、間質性肺疾患、肺炎、心原性肺水腫が主だった。ネーザルハイフロー導入はICUやそれに準ずる場所でおこなわれており(60.7%)、一般病床で行われたのは36.1%だった。装着期間中央値は4日で、流量中央値は40L/分、FiO2中央値は50%だった。ネーザルハイフローは動脈血酸素分圧、動脈血二酸化炭素分圧、SpO2、呼吸数を改善させた。3分の2の患者が生存し、退院もしくは転院した。

結論:
 実臨床におけるネーザルハイフローの使用について記述した。


# by otowelt | 2018-04-27 00:04 | 集中治療

重症COPDは好酸球数が多いと肺炎リスクが高い

e0156318_1633480.jpg あまり実感したことはありませんが・・・。好酸球数が多いCOPDというのは、本当にCOPDなのかという哲学的な問答も出てくる。

Signe Vedel-Krogh, et al.
Blood eosinophil count and risk of pneumonia hospitalisations in individuals with COPD
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.00120-2018


背景:
 COPDにおける血中好酸球数は、増悪の頻度とステロイド反応性の高さに関連しているとされているが、頻回な増悪とICS使用は肺炎のリスクを高める。われわれは、重症COPDの患者では血中好酸球数が肺炎リスクと関連しているという仮説を立てた。

方法:
 Copenhagen General Population Studyから7180人のCOPD患者が登録され、643人が%1秒量50%未満だった。追跡期間中に、退院時診断名が肺炎とついているものを記録した。

結果:
 COPD患者のうち%1秒量が50%未満の患者のうち、0.34×109/Lの好酸球数にカットオフ値を設定すると、それより高い群は低い群と比較して肺炎の多変量補正罹患率比が2.17だった(95%信頼区間1.31–3.58)(性別、年齢、喫煙歴、BMI、教育水準、%1秒量で補正)。過去の肺炎歴、炎症性バイオマーカー(CRP、白血球数、フィブリノーゲン)、ICS使用でさらに補正すると1.81(95%信頼区間1.11-2.94)だった。臨床的にCOPDと診断された人(直近の増悪、10pack-years以上の喫煙歴、%1秒量<70%)では、同リスクは4.52(95%信頼区間2.11-9.72)だった。肺炎リスクは、%1秒量50%以上の症例では好酸球数によって差はみられなかった。

結論:
 COPDで%1秒量50%未満の場合、血中好酸球数0.34×109/L以上の群では肺炎による入院リスクが高かった。



# by otowelt | 2018-04-26 00:35 | 気管支喘息・COPD

緑膿菌感染合併肺MAC症の臨床的特徴

e0156318_13334416.jpg 気管支拡張症がシビアな患者さんだと両感染症を合併することがよくありますね。

本間千絵ら.
緑膿菌感染合併肺Mycobacterium avium complex 症患者の臨床的特徴の検討
Kekkaku Vol. 93, No. 2 : 101-107, 2018


目的:
 緑膿菌感染合併肺Mycobacterium avium complex(MAC)症の臨床的特徴を明らかにするため,後方視的に非緑膿菌感染合併肺MAC 症患者と比較検討を行った。

対象と方法:
 2012 年度から2015 年度までに当院に初診し,肺MAC 症と診断された患者322 人のうち緑膿菌感染合併患者41 人(12.7%)を対象とし,後方視的に非緑膿菌合併患者と臨床像を比較検討した。

結果:
 緑膿菌感染合併肺MAC 症患者は非合併肺MAC 症患者と比べ,統計的に有意に,より低いBody Mass Index(18.7±2.9,p<0.05),CT における病変がより広範囲(p<0.05)で,他一般細菌の同時検出が多くみられた(68.3%,p<0.05)。年齢(71.3±7.9),CT における下葉への拡がり(86.5%)やMAC 抗体陽性率(82.6%),他非結核性抗酸菌の検出(14.6%),クラリスロマイシン耐性(2 人,13.3%),死亡率(3 人,7.3%)について有意差はみられなかったが,緑膿菌感染合併肺MAC 症患者に多い傾向がみられた。

考察:
 肺MAC 症に緑膿菌感染を合併する場合,空洞の有無よりも病変の拡がりおよび,より低いBodyMass Index が関連した。緑膿菌感染合併肺MAC 症患者は一般細菌との混合感染,他非結核性抗酸菌の同時検出がより高頻度に認められ,緑膿菌検出は複数菌の混合感染の指標になる可能性,また予後もより悪い可能性が示唆された。


# by otowelt | 2018-04-24 00:20 | 抗酸菌感染症